茅原実里さん。

声優、歌手として活動されている茅原実里さんが、年内をもって歌手活動を休止する、と発表された。


発表内容を読んで、反芻していくうちに色々とこみ上げてきたので、ここにしたためておこうと思う。

長い独り言になるけど、お付き合いいただければ嬉しい。


僕が茅原さんをきちんと認識したのは、レンタルショップで「純白サンクチュアリィ」を見かけた時だと思う。

それ以前に名前を知ったのは「涼宮ハルヒの憂鬱」で「長門有希」を演じている声優さんで、キャラソンが妙に印象に残ったので名前も覚えた、という実にありきたりなものだけど、レンタルショップのCDコーナーに並んだジャケット、そこに書かれた「茅原実里」という文字列に「へえ、長門の中の人、ソロもやってるんだ」と、興味半分で借りたような気がする。

家に帰って実際に聞いてみて「…この人、凄いな…」と思い、そこから出演作品やリリース曲を探して、実はこの曲が個人名義としての、レーベル移籍後最初の曲だったということをようやく知ったのだった。


その後、リリースされるシングルをレンタルショップで借り続けるなか、ようやく彼女名義としてのフルアルバム「Contact」が発売されることを知る。

借り続けたシングルも好みの曲が多かったので、アルバム購入には躊躇しなかった。

そして到着したアルバムを聴いていき、最後の曲「truth gift」を聞いた時、勝手に涙が出てきた。

この頃、仕事や人間関係が全く上手くいかず、なんとか生活はできてるけど本当に「生活ができている」だけで、心がかなり参っていた。それを自覚させてくれたのがこの曲だった。

歌詞なのか、楽曲なのか、歌声なのか、もしくはその全てなのかは分からない、でも分からないながら、間違いなくこの時僕はこの曲に「救われた」んだと思う。


「Contact」の後、僕は彼女のCDは全て「買う」ようになった。この時点で相当彼女の歌声に入れ込んでたんだと思う。

そんな中、2枚目のアルバム「PARADE」が発売された。

当然初回盤を予約、購入。彼女の歌いあげる歌詞を、楽曲を、歌声に心酔しつつ、CDに封入されていた「ツアー申し込み用紙」を目にした。

その時点で僕は、CDはよほど気に入った人でない限り借りて済ます、CDを買うこと自体が自身の最高の入れ込み度合いだと自認していたが、この申し込み用紙を見た時、ふと出来心が湧き上がった。

「ダメ元で申し込んでみるか」

どこに申し込んだかはよく覚えていないが、当選したのは仙台ファイナルと、パシフィコ横浜の追加公演だった。

白状すると冷やかし半分だったのと、地方は小旅行もできるしな、くらいの感覚だったんだけど、この2会場で彼女に完全に惚れ込んでしまったのでそこは勘弁してほしい。

どのくらい惚れ込んだかというと、追加公演で発表された「SUMMER CANP」開催の報に、その場でFC入会して両日申し込んだくらいだ。ライブの経験も、遠征の経験もない僕がだ。

今思うとなんだったんだろうなあの行動力は。

ただその時「サマキャン、絶対に行きたい」という思いがあったのは間違いない。それは今でも言い切れる。


申し込んだ結果は両日当選、そこから宿探しや足の確認にてんやわんやしつつ(当時は今と比べるとインフラも劣悪だった。本当に便利になったよね、河口湖近辺)、当日微妙な天候だったにもかかわらず、ハチャメチャに楽しかったのを今でも思い出せる。会場で見た花火は凄く綺麗だった。


その後、声優や歌手、いわゆるタレント業には全然詳しくない僕でも知っている「日本武道館」での追加公演を含む、通称SALツアー「Sing All Love」、この辺りをきっかけに、新しい人間関係が構築された。

その関係は今でも続いてたり、疎遠になったり、拗れたり、霧散したり、断絶したりとまあ色々だけれど、まあみんな楽しくやってくれてるといいな、とは思う。


その後もKEY FOR Defection やD-Formation、NEO FANTASIAと参加を続けてるうち、ふと自分の中に「惰性」を感じるようになった。

彼女の楽曲は確かに好きだ、でもそれを盾に半ば「義務感」を感じてないか?

と思ってしまった。

先の人間関係の事も少し関係してくるけど、そこで僕のファン活動の熱は一段下がってしまい、そのまま熱は下がり続けていた。

ファンクラブも「チケットを取るためのインフラ」くらいの意義しか見出せなくなってしまい、ある時継続を止めてしまった。


それでも何故か、毎年の河口湖野外ライブだけは全日程参加していた。


これは誓ってもいいけど惰性ではない。いや惰性も少しあったかもしれないけど、参加後の「楽しかった」という気持ちだけは他の比ではなかったし、その時点で翌年も参加する、という意思が間違いなくあった。

なんならある年から、参加した日の内に翌年の同日程(8月最初の土日)のホテル予約をするまでに「常連」化していた。

僕は河口湖ステラシアターで歌う茅原実里さんが大好きだし、河口湖ステラシアターで楽しそうに振る舞う茅原実里さんが大好きだったんだな、と今更ながらに思う。


そんな茅原さんが歌手業をお休みする、と言った。

昨年のてんやわんや(あまり気分の良い話ではないので詳細は省く)があったこともあり、何かしらのよくない流れは覚悟していたし、やむなしと思う一方、本音では「半信半疑」というか「嘘でしょ?」という思いが今は強くある。

だって、一昨年の河口湖ライブ(10周年)では「これからも毎年ここ(河口湖ステラシアター)で歌いたい」って言ったし、去年の河口湖配信ライブの時も「来年もここで歌いたい」って言ってた。

それが今年でお終いです。って言われても、正直「理解」はできても「納得」はできない。行ってしまうと呑み込みきれない思いが強くある。


でも、それでも僕は、これを受け入れるしかないのかな、と思っている。それがあの時彼女に救われた、そして彼女の自由な姿が大好きだった人間として、最後に取るべき姿勢だと思う。


きっと休業後、ふとした拍子に寂しくなって泣くだろう。

行かなければいいのに、8月に河口湖に行ってしまい、泣いてしまったりするんだろう。


それでも、僕は彼女の決断をちゃんと肯定して、受け入れていきたい、そう思っている。


茅原さんの歌手活動は年内いっぱいだそうだ。

その「最後の日」がいつになるかは分からない。

それでも、河口湖ステラシアターでのライブは今年が最後になる、それは間違いない。


今は最後の言葉は口に出さず、8月の『SUMMER CHAMPION 2021』に向け粛々と準備を進めて、最後の「夏のお祭り」を、全身全霊全力全開で楽しもうと思う。


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