偽旗作戦について

今回は離間の計(分断工作)について、古典的ながら非常に強力な『偽旗作戦』をまとめてみたいと思います。

離間の計とは?
離間の計は対象の悪い噂や、反逆の意志があるといった裏切りの示唆を吹聴することで敵同士を仲間割れ状態にする計略です。
多くの場合、物事が成功する時には将軍や社長のようなトップの功績だけでなく「右腕」と呼ばれるような補佐役の存在が欠かせません。また、それだけでなく一兵卒までみんなが協力することで大きな成功を納めることができます。トップと補佐の関係が良好であると軍や組織は強力になり手が付けられなくなります。
ではどうすればいいか?ということで取られる計略が離間の計です。

お互いが協力し合っている組織は強いです。
ならばお互いが協力しないようにすればいいという単純な発想です。
発想自体は単純なのですが、真理を突いているので威力は高い計略です。
いくつかのパターンがありますので紹介していきます。

「悪評吹聴」
狙っている対象のイメージを貶める離間の計です。
単純に対象の悪いところを吹聴したりすることですが、手の込んだやり方の場合は嘘の証拠をでっち上げたり、スパイを送り込んで対象に悪いイメージが付くよう働きかけたりします。規模的には少人数を対象としています。
一般企業の一部署程度なら悪い噂を流すだけでも効果はありますが、例えば国会議員などを陥れようとする場合はそんな単純な方法では成功しません。
火のないところにわざと火を付けて「疑惑」という形で追及することで、何もしていない議員を「疑惑の議員」に仕立て上げることもできます。悪評がなければ悪評を作ればいいのです。そのためにはあらゆる手段をもって悪評をでっち上げます。
その後で次の計略(流言飛語)へ繋げます。

「流言飛語」
こちらも大昔から使われている離間の計です。
悪評を吹聴するのが小規模なものあるのに対して、流言飛語は国単位の大掛かりな悪評の流布です。
現代ならマスコミなどを利用して「偏向報道」をさせます。
国会議員などを対象にする場合はこちらを用います。
事前の段取りとして、スパイなどを潜り込ませて議員を罠に嵌めるトラップ系の準備がなされていることが多いです。異性交遊を火種にするハニートラップは有名ですが、例えば組織内で秘書あるいはそれに相当する発言力を得てから「コロナ禍ですけど会食しても大丈夫です。こちらで全部うまくやっておきますから」と持ち掛けて、実際はマスコミにリークするということもあります。
そのような火種を世間にばら撒くのがマスコミの本来のお仕事です。
ここでの離間対象は国民と政府です。
君民一体という言葉がありますが、国民と政府の関係が良好な国は強いのです。
君が民を信じ、民が君を信じる国は豊かになります。
そうさせないようにする単純かつ強力な手法が流言飛語です。

「偽旗作戦」
本題に入ります。
偽旗作戦にはやや複雑な段取りがありますのでひとつずつ丁寧に追っていきます。
この作戦の概略は「対象(敵勢力)の味方になりすまし、その対象に同調し支援しているように見せかけ、味方勢力(=敵にとっての敵=偽旗にとっての味方)が攻めやすい状況を作り出し、最後に裏切ることで敵勢力にさらなる被害を与える」ことです。
少し難しいので例え話を交えながら実際の流れを紹介してみます。

ケース1
A社が開発したインスタントラーメンが大ヒットしたとします。
しかしアンチA社の人々が「そのラーメンには身体によくない原材料が含まれている」と指摘しました。そしてその指摘はとてもまっとうなもので、科学的にも間違ってはいない指摘であったと仮定します。
そこでA社はアンチA社のグループを分断するために偽旗作戦を実行します。

まず、A社からアンチA社グループに「私もA社のインスタントラーメンは身体に悪いと思う!」という人物(偽旗)を一定の人数送り込みます。
もちろんアンチA社のグループの人は仲間が増えたと喜ぶでしょう。
そして初めのうち偽旗たちはアンチA社の意見に賛同し、同調し、支援を続けていきます。
ここからさらに二つの作戦が展開されます。

作戦1
アンチA社グループの主張に尾ひれを付けてデマを流します。
例えばアンチA社の主張はあくまでも「身体によくない原材料が含まれている」ということでした。これを「A社のインスタントラーメンを食べたら病気になる!不妊症になる!ガンになる!」ということにすり替えて主張し始めます。
簡単に論破できるデマをわざと主張させます。

そして頃合いを見て、A社からの正式反論ですということにして「当社のインスタントラーメンには巷で言われているような病気になったり、不妊症になったり、ガンになるような成分は含まれておりません。よって、今流れている当社製品への批判は"すべてデマ"です」と言えば良いのです。
もともとでたらめな主張なのですから論破は簡単です。
もしもっと強い措置を取るならA社アンチグループの「代表者」に対して名誉棄損と損害賠償請求をしてもいいでしょう。
ここで責任を取らされるのは偽旗たちではなくアンチA社グループの「代表者」ですからこれほど一石二鳥な作戦はありません。

偽旗たちの主張はもともとデマなのですが、アンチA社精神の旺盛な人はこのデマに賛同する者も少なからず存在します。過激な主張には賛同者が付きやすいものです。この時点ですでにアンチA社グループの分断は成功しているようなものなのです。賛同者が増えているように見せかけるために偽旗のさらなる増員だって行うこともあります。こうして一枚岩だったアンチA社グループの中は「単に身体によくない原材料が含まれていると主張していただけ」の派閥と、「病気になる、不妊症になる、ガンになると主張する」派閥で別れます。
当然ですが偽旗たちは派閥闘争を引き起こし、内乱を起こさせます。

「もうめちゃくちゃだ・・・」という雰囲気にさせて士気を奪うのです。
そして世間にはきちんと説明をしたA社・デマを流したアンチA社グループという構図で記憶に刷り込まれます。アンチA社グループは過激集団で、A社を陥れるためにデマまで流した最低な奴らという認識になるのです。
一方A社はデマに対して科学的にきちんと答えた素晴らしい会社として人々の支持を得て安泰となります。
これが作戦1です。

作戦2
頃合いを見てA社からさらなる偽旗を送ります。
この偽旗は元A社幹部とか、重要な仕事をしていたという者です。
「A社のやり方にはついていけなくなった」とかそういう切り口でアンチA社グループに入りたいということで仲間になります。もちろん元から居た偽旗たちは大歓迎します。極秘情報、弱みを握っているということで採用を強く推して仲間にしようとします。代表者からしても嬉しい話なので引き受けます。

※といってもこれは短期間の話ではなく、代表者に疑いを抱かせないために事前にかなり入念な工作を行ってからやります。例えば数ヶ月かけて幹部が不満を抱いていることや仲間になりたがっていることを匂わせておきます。
土壌が整ったタイミングでの申し入れということです。

当然ですがこの幹部の情報はウソです。
しかし、もっともらしいことを言ってくるのでウソと見抜く力はここまで作戦が進行してしまっているアンチA社グループに残ってないでしょう。
いや、見抜けたとしても止められないといったほうが適切かもしれません。
すでに数割の人間が偽旗の味方になっていることが想定されるからです。
偽旗は当然ながらこのウソ情報が本物だという前提で動きます。
だからそれをSNSに載せて拡散し大々的に広報します。
後で叩かれ責任を取らされるのは結局のところアンチA社グループの代表者ですから言いたい放題です。
この勢い(暴走)を止めることはもう不可能です。
こうして頃合いを見てその情報がデマであることをA社から発表すれは詰め腹を切らされるのはアンチA社グループの代表者なので作戦終了です。

いわゆる「マッチポンプ」というものですね。単純で古典的ですがこれほど対処の難しい計略は他にありません。
この作戦を止められるとすれば「人類が他人の思考や心を読める能力」を手に入れるしかないのです。でもそんなことは無理ですね?つまりこの作戦は余程のことが無い限り成功するのです。

しかし、成功確率を下げる・・・
厳密にいうと威力を下げることは可能です。
それは「偽旗作戦というものが存在する」という意識を常に持つことなのです。作戦というのはその可能性を考慮されるとうまく機能しにくい性質があります。
つまり私たちひとりひとりが偽旗という存在を意識するだけで、偽旗たちは動きにくくなってしまうのです。疑われないための準備も多くなります。
それでは次のケースを見ていきましょう。

ケース2
F社が開発したワクチンが・・・

後は説明不要ですね。
K大臣の動き、見ていると偽旗作戦を警戒してしまいます。
もともとワクチン反対派は不妊症とかマウスが死んだとかそんなことではなく、現時点で重症者も死亡者も出ていない年齢にワクチンを打たせることに「疑問を感じている」という程度の主張でした。だから任意なんだったら私は打たないということでしたよね?

その部分には「一切答えない」で、不妊はデマだとかマウスは通常何もなくても2年で死にますとか、これって偽旗の主張を論破したのでは?と疑われても仕方がないのではないでしょうか?
未だにK大臣から「全くコロナリスクのない若者になぜワクチン接種が必要なのか合理的な説明」を聞いたことがありません。また、縦断的データについてもその口から聞いたことはないです。厚労省の資料には縦断的データはないとハッキリ書いているのですから大臣の口からも言って欲しいものです。

さて、この偽旗作戦ですが防ぎようがありません。
本当に強力無比な作戦です。
誰が偽旗で、誰が偽旗に味方する者で、誰が偽旗に取り込まれた者かを判別できるほどの洞察力や観察力が仮にあったとしても、それが例えば代表者ひとりとかでは組織は乗っ取られてしまいます。そしてそんな洞察力や観察力に優れた人間はそんなに多くありません。よってこの偽旗作戦というのは常に成功の確率が高く、なおかつ破壊的な威力を発揮するのです。

考えても考えても、偽旗作戦を防ぐ手段は思いつきません。
もしあるとすればこちらが先手を打って敵勢力に偽旗作戦を実行し無力化しておくことぐらいでしょうか。それぐらいこの作戦は強力なのです。
あとは初期メンバーには徹底的に偽旗作戦の内容を教えておくことですかね。仕掛けられてからでは手遅れになります。

今回のケースでも偽旗作戦が遂行されたのかどうかはわかりません。
偽旗を見破るのは容易なことではないのです。
しかし、その可能性を考慮しておくことはできます。
世の中には偽旗作戦というものがあり、仕掛けられているかもしれないという意識が高まれば威力を軽減することは可能です。

以上、偽旗作戦についてでした。

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