ヤングキング連載中 瀬尾と北中 第4話「瀬尾とコミセン」裏話

初めまして。
瀬尾健太朗です。
すみませんもう少し詳しく書きます。

吉本興業所属、ザ・シーツの瀬尾健太朗です。

そうです。あの吉本です。
あの吉本でお笑い芸人をやっています。
コントを主にやっています。
相方は北中こぞう、と申します。
よろしくお願いします。

芸人としての実績なんてまったくないので、芸人としての自己紹介はこの辺りで締めさせていただきたく思います。
芸人として、と書いたのには理由があります。
僕には芸人とは別のもう一つの顔があるのです。

それは漫画原作者としての顔です。

なぜだか僕らは今少年画報社のヤングキングにて「瀬尾と北中」という漫画の連載を待っています。
コントを漫画化してみよう、というライブが発端となって、あれよあれよという間に連載が決まり、今や漫画原作者となっています。
こんな無名の僕らをキャラクターとして漫画に落としこんでくださって、あまつさえ連載まで持たせていただいて、限りなくありがたいことです。

ただ、漫画原作といっても一から話を考えているわけではなく、打ち合わせの際に家族のことやら学生時代のことやら今考えていることやらをただただ喋って、それが気がつけば漫画の形になっている、という特殊な形の原作者です。

つまり、掲載されている漫画は僕らのエピソードが根底にあるのです。
なので今回からちょっとした裏話なんかをここで記していこうかと思います。

瀬尾と北中を読んでからでも良いし、この記事を読んでから瀬尾と北中を読んでもどちらでも良いと思います。
どちらも読んで感想いただければ幸いです。

どうぞ、よろしくお願いします。


**第4話「瀬尾と、コミセン」 **

たしか中学3年生の頃だったように思う。
僕が通っていた中学は地元でも有数の進学校であり、かつ中高一貫校だった。
だから中学3年生だったけれど僕たちには高校受験は必要なかった。

中3のとき、僕はサッカー部を辞めた。
辞めたのは夏だったか冬だったか、はっきりとは覚えていないけど、辞めたっていうこととなんで辞めたのかってことだけは覚えている。
2個上の先輩があまり好きじゃなかったからだ。
別に何かされたわけじゃない。
ただ何となく体育会系のノリとちょっとした上下関係がその頃の僕には合わなかったんだと思う。事実、明確に誰々が嫌だったなんて個人名は出てきやしない。
中3になってやっと上から解放されたというのに、中高一貫校というせいでまたあいつらと一緒にサッカーをするのかと思うと耐えられなかった。
周りの顔が変わらないというところは、中高一貫校の良くないところと言ってもいいかもしれない。
そんな人間関係の悩みにすらなれない悩みで僕はサッカー部を辞めてしまった。

辞めたからといって、やりたいことがあるわけじゃなかった。
やりたいこともなりたいものもなかった。
目標なんてものもないしただ毎日暇を持て余していた。

やりたいことがないのなら恋の一つでも、という人もいるだろう。
たしかに中学3年生ともなれば浮いた話の一つや二つもあっておかしくないだろうが、当時の僕は女子とまともに会話なんてできやしなかった。
うぶというよりは、成長が追いついていなかったのだろう。付き合うだとかそういうことは、何やら別の世界の人がやることのように思えて仕方がたなかった。
恋をするにはまだ早いと、勝手に遠ざけていた。

類は友を呼ぶ、とはよくいったもので不思議と周りに集まるやつらも僕と同じような奴らだった。
部活もしてない、特にやりたいこともない、恋もしていない、ただただ暇で退屈で毎日が飽き飽きしてしょうがない。
そんな僕らはどうにか暇を潰すのに必死だった。もしかしたらたくさんの暇潰しの中で一つ夢中になれるものを探していたのかもしれない。

そんな暇潰しの一つに、コミュニティセンターに行く、というものがあった。
自治体が運営しているコミュニティセンター、そこでは卓球が無料でできるスペースがあった。卓球以外にもビリヤードなんかもあったように思う。
そう広くはないスペースに卓球台が二つ並んでいた。卓球台は霞んだ緑色で割れた木が露出しているし、ラケットはラバーが少しめくれてしまっている。
それでも十分だった。
卓球なんてやったことはなかったけれど、やってみると意外と楽しかった。
漫画で見齧った程度のシェークハンドで握ってみせて、卓球の愛ちゃんがやっていた王子サーブを真似てみせて、曲がっているのかわからないカーブで笑い合っていた。

卓球は楽しかった、けれど夢中にはなれなかった。
いつしか僕らはコミュニティセンターに行かなくなって、また別の暇潰しを探しに行ったものだった。

何かしたいけどその何かがわからないから何かをやってみる。
その一つがコミュニティセンターでのあの卓球だった。足繁く通っていたわけではないけれど、なぜだかよく覚えている。

そんな誰しもの中にある、何でもないあの頃の一幕でした。

ヤングキングは毎月第2・4月曜日発売です。
瀬尾と北中、並びにお笑いコンビ「ザ・シーツ」をよろしくお願いします。

また書くと思います。
よろしくお願いします。

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