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人口減少問題と愛について

高校生のときにボランティア活動に参加していて、そこで出会ったキリスト教徒の方達にとても興味深い話を沢山聞かせていただきました。主に聖書の読み方やその価値観についてでしたが、当時から仏教思想などの宗教観にとても興味があったのでキリスト教の考え方についても興味津々でした。

そうして何度かお話を聞いているときにある質問をされました。それは「人間が作られた理由は何か。」というとても大きくて想像もつかない質問です。高校生の自分には皆目見当もつかず、結局その正解は教えてくれませんでした。

ただしこの議論に関しては生物が自然に発生したとされている説を無視してしまうのですが、自分はそれらの説も教典に書かれていることもどちらも否定する気はなく、ただ人間を作った存在があるならば人間よりも高次元に存在し時間や空間などの概念が人間の観測できる範疇を凌駕していると思うので見たり感じたりできないのだとして、空気や紫外線のように見えなくとも確かに存在している可能性はあると考えています。

そこから何年か経った今もその正解をずっと考えているのですが、最近分かったような気がしています。当時は「種の存続」だと思っていました。この地球上のすべての生物は種の存続というプロトコルがDNAに記載されていなければ、その代でその種は滅亡してしまい、作られた理由が滅亡という無に帰することならば初めから作った理由がないので、人間が作られたと仮定するならばそれとはそぐわない気がします。なので「種の存続」が人間や生物の本質であるのだと考えていましたが、「人間が作られた理由」と結論づけるのは尚早な気がします。

なぜなら人間が繁殖するには有性生殖をしなければならないということです。もし本当に「種の存続」が目的ならアメーバのように無性生殖によって繁殖するほうが合理的で単純です。なのに人間のように複雑な感情や意思をもって心を発達させたのはなぜでしょうか。その複雑に進化しすぎた意識や心によって鬱になり、自殺してしまうこともあってはならないことですが、現実には起きています。おそらくそこに人間の本質的な部分が隠されているように思うのです。

以上のことを踏まえ結論から言うと、「人間が作られた理由は何か。」という答えはシンプルに一文字で「愛」ではないかと思います。先ほど述べたように人間は有性生殖によって種を残すことができますが、まず前提としてそれを行うには複雑で不合理な恋愛という壮大な情報処理をしなければなりません。逆説的に言うと、人間は愛が無ければ種の存続すらできないということです。事実として今のあなたが存在しているのも、人類何百万年の歴史の中で先祖代々の両親が「愛」をもっていたおかげです。クローン技術が進み、例え試験管の中で子供ができたとしてもその子を育て上げる親の愛情が無ければ立派に成長することはできないでしょう。

そしてそれは「種の存続」に限ったことだけではなく、戦乱の世界に日本が何千年も和の国でいられているのも聖徳太子が十七条憲法に記載したように「和を以て貴しとなす」という「愛」の力があったからだと思います。米ソ冷戦の時にキューバで核戦争が起きなかったのも当時現場にいた兵士たちが戦争を起こしたくないという「愛」の価値観を持っていたからです。

人間には単純な生物が持たない不合理性と不確実性があります。自分が愛している人のためには自分の命さえも犠牲にできる生き物です。まさしくその正体が「愛」であり、人間の本質。「人間が作られた理由は何か。」に対する答えだと僕は思います。

それなのに「愛」があるせいでその方向性を間違えてしまえば争いになり戦争になります。もとより人間は種の根源は同じで、同じ色の血液が体には流れているのですが、肌の色や民族、宗教、国家、思想などの枠組みが少し違うだけで差別し殺し合うことがあるのです。

もとより永遠ではない太陽系の小さな地球に生まれ、運命を同じくしている70億人の人達は言葉は違えど「愛」という共通言語をもっているはずなので互いに尊敬し、助け合い、愛することはできるのだと思います。

別に明日世界を変えようとは思わないしできなくても、せめて自分の周りの半径5mにいる人くらいには争ったり憎んだりせず「愛」をもって生きなければならないと思いました。そうやって多くの人類がその考えをもつことができれば世界は良くなると思います。中村哲さんがアフガニスタンに慈愛をもって活動してきたように「愛」を持つことで人は繁栄し豊かになることができます。

そして今、人口が減少し続けている日本ではとてつもない危機に瀕しています。出生率が低下し医療技術で寿命は延びているのにも関わらず、人口減少が止まらずこのままでは2100年ごろには総人口は今の半分になるといわれています。もしそうなると働く世代は激減し経済や福祉、インフラ、国防までも貧弱な状態となり、国力を増している近隣の中国、ロシアなどアジア諸国から攻撃を受ければ太刀打ちできなくなり、今までイギリスや日本が行ってきたように占領され植民地になる可能性があります。

今の政治家が寿命で死ぬころには問題ないと思いますが、生まれてから大人になるまでの時差があるので、それから先の未来の世代を救えるのは今から対処しなければ手遅れになります。

この問題に対処するには事実上、「愛」を持たなければならないのです。これまで述べてきたように種の存続と繁栄の根源にはそれが不可欠であるからです。それを持っているか否かで日本人という種が繁栄するか滅亡するかが決まります。

人を愛し、未来を愛することができるか。日本の将来はそれにかかっています。


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