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映像制作のワークフローを全て学べる!? 清水昭夫先生と辿る、「メディアアーツコース」の出発点
洗足学園音楽大学を卒業した後に幅広い領域で活躍する同窓生や、現在洗足学園にて教鞭を執る先生方にお話を伺う、洗足学園音楽大学同窓会コラム。
今回お話を伺ったのは、作曲コースのアカデミック・プロデューサー(統括責任者)、洗足オンラインスクール・オブ・ミュージック校長、そして2024年4月に新設される「メディアアーツコース」のアカデミック・プロデューサーを務める清水昭夫(しみずあきお)先生です。
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新しく設立された「メディアアーツコース」は、なんと映像制作に関する技術・知識を身につけられるコースなのだとか! なぜ映像制作にまつわるコースが生まれたのか。実際に、どのようなカリキュラムで学びを深めることができるのか……。
今回はコースの新設に伴って建設された「M Lab(メディア・ラボラトリー)」に足を運び、メディアアーツコースが生まれた背景やその魅力について教えていただきました。
清水昭夫(しみずあきお):
東京芸術大学音楽学部作曲科卒業。同大学院音楽研究科修了。学内においてヴァイオリン協奏曲が初演され、同時に長谷川賞を受賞。フルート協奏曲が第19回日本交響楽振興財団作曲賞に入選。5 弦コントラバスのための協奏曲が第23回日本交響楽振興財団作曲賞に入選し、作曲奨励賞を受賞。東京芸術大学非常勤講師(2001-2003)を経て現在に至る。ヤマハマスタークラス特別コース講師(2002-2022)、洗足現代音楽作曲コンクール審査員(2011-2015)、日本現代音楽協会正会員。
これまで数多くの音楽教育ソフトを制作し、代表作としては聴音RPG『失われた音問い村』(2010)、リズム学習ソフト『りずむん』(2012)、和声学学修支援ソフト『和声の祭典』(2015)、ソルフェージュと楽典の学習ソフト『楽典ウォーズ3D』(2016)、対位法学修支援ソフト『地球の旋律線』などが洗足オンラインスクールで公開されている。また『ネットで採点 和声学課題集Ⅰ・Ⅱ』(音楽之友社)の執筆責任を務める。
映像制作に必要な技術・ワークフローを全て学べる
──メディアアーツコースは映像制作に関わるコースだと思いますが、ひとことで「映像制作」とは言え、具体的にどのような知識・技術を身に付けられるコースなのでしょうか。
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映像制作と聞くと、多くの方が録画して編集する……というイメージを持たれるかもしれません。しかし、実際の映像制作現場ではさまざまな技術が融合することで、日々素晴らしい作品が生み出されています。
たとえば、プロが制作する映像では照明の役割が重要な要素になりますし、映画やドラマはもちろんのこと、ミュージックビデオやプロモーションビデオでも、まずは企画があり、シナリオがあり、そして制作段階ではコンテが必要になることが多くあります。さらに、実写の録画だけではなく、作品によってはCGやアニメーションを用いた表現も多用されていますよね。
企画やシナリオ設計、撮影に編集、さらには録音、アニメーション、デザインまで……。映像制作に必要とされる多種多様な技術やワークフローのすべてを、メディアアーツコースでは学ぶことができます。
──カリキュラムについて質問です。ピアノコースを始めとしたほとんどのコースには、毎週1回の主科実技レッスンがあるかと思います。メディアアーツコースには「主科実技レッスン」は設けられているのでしょうか。
主科実技レッスンはメディアアーツコースにはありませんが、必修科目として『メディア制作研究』という授業があります。
どのような形で授業を進めるのか。まず、4~5人ほどのグループを作ってもらい、「監督・照明・カメラマン・録音」といった形でまずは役割分担をしてもらうんですね。そして、それぞれの役割を交換しながら全ての技術を身につけていき、最終的には各チームごとに映像作品を発表してもらいます。ある種、実際の制作現場の1チームのような形に見立てて進められる実技授業だと言えるでしょう。
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他にも、映像制作やライティングに関する理論を学べる『映像制作論』や録音や整音などのテクニックを学べる『音響制作論』などの授業もあります。空間オーディオ技術・Dolby Atmos(ドルビーアトモス)を始めとした各分野における最先端の設備を扱いながら実践的なスキルを高められる点も、本コースの特徴です。
ドラマや映画撮影にも対応可能なスタジオ
──スタジオを見渡すだけでも本格的な機材が揃っていることに興奮してしまいます。どのような設備が揃っているのか、簡単にご紹介いただけたら嬉しいです。
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4月に向けて機材をセッティングしている途中ではありますが、ようやく環境が整ってきたところです。特に巨大なグリーンバックや照明機材は、インパクトがあるのではないでしょうか。
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──Web会議や簡単な配信で使うグリーンバックとはまるで大きさが違いますね。
高さは約6m、幅は約11m まで広げられるグリーンバックです。このサイズであれば数人での撮影にも対応できるので、ドラマや映画の撮影にも活用できますよ。
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これは「白ホリゾント」という撮影設備となります。床から壁にかけて滑らかな曲面を描くように設計されており、角や境界がないため影の発生を抑えられるんですね。そのため、被写体を目立たせたいときや、字幕を付けたいときに活用できます。
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さらにスタジオの上階にあるコントロールルームには、MA(マルチオーディオ)や立体音響分野、照明分野に対応した設備が揃っています。メディアアーツコースで作られた映像作品を上映するときはもちろんのこと、他コースとコラボレーションして行われる配信やイベントの際にも必要不可欠な設備です。
複雑な設備ではありますが、授業の中で機材の操作方法を身につけることができるので、実際にスタジオで行われるイベントでは学生自身に操作をしてもらうことを想定しています。
ディスプレイやLANケーブルが完備された教室
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別の階に行きましょう。ここは授業を行うための教室なのですが、全席にLANケーブルと27インチのモニターディスプレイを設置しています。
授業時間外は映像制作のために教室を活用することもできるため、自宅に本格的な作業スペースがない学生でも、安心して映像制作を進められると思います。
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こちらは半個室の教室です。『メディア制作研究』では4~5人ほどのグループを作って1つの作品を作る……と先ほどお伝えしましたが、そのためのミーティングなどに活用できるスペースとなっています。
視覚と聴覚は切っても切れない関係にある
──映像制作を学ぶための学校はたくさん存在するかと思います。洗足で映像について学ぶことには、主にどのようなメリットがあるとお考えでしょうか。
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今日では映像と音楽、言い換えれば視覚と聴覚は切っても切れない関係にあると言えます。たとえば、YouTubeには音楽だけをアップロードすることはできませんよね。また、昔から音楽は“演奏する人を観る”ことも重要な要素でしたので、元を辿ってみると純粋に音楽だけを楽しむ世界ではなかったとも言えるでしょう。
洗足学園には幅広いジャンルの音楽を作る人、演奏する人がたくさんいることはもちろんのこと、ミュージカル俳優やダンサー、そして声優を目指す学生もいます。さまざまな専門性を持つ学生たちとコラボレーションをして映像作品を作ることができるのは、本コース最大の魅力です。
──さまざまな専攻の学生が結集することで映画も作れるのではないか?と期待してしまいます。今後、どんな映像作品が生まれるか楽しみですね。
オープンキャンパスなどで学生に「どんな映像を作りたいですか?」とよく聞きますが、ミュージックビデオを作りたいという学生は多いです。その他には、バラエティー番組や、フィクションのドラマを作りたいという希望もありましたね。
このように学生は自発的に多種多様なコンテンツを作ってくれると思っていますので、これからどんな作品が作られるのか私自身も非常に楽しみです。学生のパワーに期待しています!
幅広く学ぶことで見えてくる“自分の可能性”
──メディアアーツコースへの進学を考えている学生に、メッセージをお願いいたします。
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たとえば「監督になりたい」などの目的がはっきりしている学生はそれに向かって邁進することができますし、漠然と映像関係の仕事をしたいと思っている学生も、撮影・照明・編集・音響などを幅広く学んでいくうちに、自身の得意分野や取り組んでみたいことが見えてくる。メディアアーツコースはそのようなコースだと思います。
また、さまざまなコースの学生とコミュニケーションを取り、コラボレーションをしながら作品を作っていくという経験は、どのような社会に出ても役立つ経験となりますので、素晴らしい将来を夢見て、ぜひチャレンジしてください。
【テレビ放送のお知らせ】
tvk(テレビ神奈川)『猫のひたいほどワイド』にて、メディアアーツコースが紹介される予定です。『M Lab』の設備やコースの特色について、さらに詳しく知りたい方はぜひご覧ください!
◆放送予定日:2024年3月7日(木) 12:00-13:30
Text and Photographed by 門岡 明弥
洗足学園音楽大学同窓会ホームページ・SNS:
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