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レぺゼン母

『レペゼン母』

宇野 碧 (著)
発行:講談社


「レペゼン」とは~を象徴する、~を代表する
自らが背負っている地域やグループを主張したり
自己表現したりする際に用いるヒップホップ用語です。
すなわち、「私は母親を代表してここに来た」
というような意味合いで名付けられたタイトル
「レペゼン母」なのです。

主人公は、若くして亡くなった夫から引き継いだ
梅農園を立派に経営しながら、ひとり息子を育てた
和歌山の片田舎のおかん。
こんなに頑張って梅農園を守りながら
ひとりで育てた息子は、借金まみれの放蕩息子。
親の心子知らずではないけど、
なんでこんな子に育つねん!!とブチ切れ一歩手前。
息子が置き去りにしていった若い嫁
(しかも離婚を繰り返して3人目の嫁)の方が
本当の親子みたいに私のことをわかってくれる。

息子に対する呆れ、もどかしさ、
でも、見捨てられない情のようなものに
さいなまれるなか、ラップバトルを通して
マイクに魂の想いをたたきつけ息子と戦うのです。

わざわざ、人様の前でマイクを通して
親子喧嘩せんでも、、と思うかもしれませんが
面と向かうと、言葉にすることが難しいのは
親子でも夫婦でも友達でも一緒かもしれません。
こういうつもりだった。。伝わってると思っていた。
その積み重ねがすれ違いを生むのです。
そう、マイクを通してぶつけ合った本音は
息子側からも飛び出します。

若者文化ともいえるラップバトルに
60代のおかんが飛び込む柔軟さも
素敵だなと思いつつ
「発する言葉の大切さ」に気づかせてくれる
痛快な家族小説です。

そうそう、ラップバトルのなんたるかを知らなくても
物語をとおしておかんと一緒に知ることが
できるのでご安心ください。

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