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やっかいな食卓

『やっかいな食卓』

御木本 あかり (著)
発行:小学館

久しぶりに面白くて一気読みした小説です。
家族のかたちも嫁と姑のかたちもそれぞれな今のご時世。
なかなか二世帯住宅とはめずらしいもの。

なのに、この物語のふたりの主人公、
バリバリのフードスタイリストの嫁のユキさん
外交官だった夫を亡くし、悠々自適に
日々の暮らしを楽しむ姑の凛子さん
そんなふたりと、その家族が二世帯住宅を
はじめたら、いろいろ起こるのは自然の摂理です。

家族のため、自分のためにバリバリ仕事をしていたら
日々の食事に全力投球できないのは当たり前。
それでも、手をかけた美味しい手料理を
子どもに食べさせてあげたい気持ちもわかる。

あら、お義母さま、子どもにそんなに食べさせないでくださいな
あらあら、だって美味しいもの食べさせてあげたいじゃない

意地とプライドがぶつかりながら
それぞれの本音と心のうちを読者は覗いて
そうだよね、そうだよねと共感の嵐。
けれども、結局意地とプライドを溶かすのは
美味しい食事なのです。

ひとつの家庭だっていろいろとあるのだから
親の世帯、兄弟の世帯、家族といえども
何世帯にもなれば、一枚岩でいかないよね。
一歩進んで、二歩下がる。
ラストも大団円とおもいきや、これからも
いろんなことが起こりそうな予感を残して終わります。
だって、家族はいつまでも続いていくんだもの。

そして、毎度おなじみSENSE OF WONDER。
先月のメイン本「マダムたちのルームシェア」の
世界につながるようなエピソードも飛び出し
今月の小説はこれしかない!と確信したのでした。

しかも、この作品、69歳の大型新人デビューとな!
40歳でも50歳でも60歳でも遅すぎるということは
ないのですね。
今日が一番若いのです!
美味しいご飯を食べて、エネルギッシュにいきましょう!

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