#3 これでも自動車部なんですの?

「──ここですわね。お姉さまがまとめていらっしゃる自動車部というのは。それにしても、ホンダ…のバイク?」

「なんだお前」

「ひぃ、犬が喋った!」

「犬は喋んねーだろ…おいせんせー、客だぜ客。ったく車ばっかり構ってないで人間や犬の面倒も見てくれよ?」

──やあツバサ、お散歩ご苦労さん。おや1年生だね。入部希望かな?いやいや今年は大入りで大変けっこう。

「入るだなんて言ってないでしょう?それよりここは自動車部で合ってますの?おね…鮎川先輩が部長の?あなたは顧問?他に部員は?」

「質問が多いな」

「なぜ犬が?なぜバイクが?殿方も一緒だなんて聞いていませんわ!」

ちょっと落ち着いて!答弁の時間をください!

「(こいつの入部は断りたいな…)」

ごらんの通り、自動車部です

えー、ここは自動車部です。部長は2年の鮎川さん。現在部員は12人。この…

わぅ?

…犬も入れてね。それでも去年は頭数が足りなくて、バイク乗ってる生徒も誘ったんだ。

「部活でなら大型乗れるし、ここは工具揃ってるからな…って、俺らは犬より後だったのかよ」

「そんなのはまともな部活と言えないでしょう!誰がそんなこと許し…」

えーと、鮎川の思いつきで、生徒会長が許可した。

「(お姉さま…言いそう…)」

「それにバイクだって2輪の自動車、だろ?」

法律上はそうだね。普通自動車免許でも原付は乗れるんだし、2輪と4輪で全く関係が無いわけじゃない。公道を走るのは同じでしょ。

「それは、まあ…」

バイク通学に寛容な学校だから、原付の免許だけでも取ってみたら?問題集も最新の物が揃っているし、学科の勉強の為だけに来るのでもいいからさ。

「ただで?それはいいかも…」

「車に関係する物だったらマンガでもゲームでも何でもあるもんな。それにしてもあの本革のシートや冷蔵庫はどこのリムジンから持っt…ちょ何するんだせんせぇぇ!」

いけないこんな時間だアルバイトに遅刻してしまうよツバサくん!(がらがらぴしゃん)

おにいさんはすうぼるでばいとにいきました

「──やはり部活としては問題があるような…」

ヤダナアソンナコトアリマセンヨ?

「…いいわ、入部します」

エッ?

「こんないい加減な部、お姉さまもさぞ苦労されているのでしょう…今までわたくしに心配かけまいと秘密にしていらっしゃったのね!ああ、おいたわしやお姉さま!」

いやその部長が一番…まあいいか。それじゃ入部届渡すから、担任の先生に提出してね。ところで今日の活動は特にないよ?部長もとっくに帰ったし。

「手始めに掃除いたしましょう!わたくし達の憩いの場に殿方のニオイはふさわしくありませんわ!」

あの…帰ってね?…

本日の結論:「自動車部」では車:6・バイク:3・その他:1ぐらいで道路交通文化をあーだこーだ(勝手に)考察します。

まきね─岩崎さん家の分家の子。1年生。好きな同性は部長。
ツバサ─本田さん家の兄。2年生。好きな数字は1。
せんせい─自動車部の名誉顧問。好きな動物は犬。
???─(純粋な)柴犬。2年生? 好きな??は???

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