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作楽#21 彩作楽唐草(雲龍錦版) もう織れない帯

1,デザイン


唐草は、蔓草の様子を図案化したもの。古代四大文明のメソポタミアやエジプトを起源に持ち、ギリシアに伝播、ユーラシア大陸を渡り、日本に伝わったものとされています。ロータス柄やパルメットとも合わさることで、それぞれの地域や文化に根付き、今でも世界各国で見られる文様となっています。

蔓がどこまでも伸びていく様子を生命のシンボルとみなしたり、繁栄や長寿を意味すると考えられた吉祥文の一つです。

帯としては、帯幅いっぱいに広がる唐草を4色の色糸と金銀糸、それをミックスさせることで表現。

2,織組織/雲龍錦

織りは『雲龍錦』。
経糸に金銀糸と絹糸を並べて製織。織り上がり後、職人が櫛を使い地部分の経糸に変化を付けることができます。

この帯では、その変化は2パターン。ちなみに、意匠図でパターンを制作していきますが、イメージとしては櫛で動かせる可動域を決める感じです。

例えば、写真上部は、大きな波の様な地紋=経糸の可動域が大きい。下部は細かく縦に流れた地紋=可動域は小さい。

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こうすることで、地色に使う色は同じはずですが、上は白く、下はベージュのような色が入ったようにも見えます。

緯糸を使わず、経糸の変化だけですので、帯は重くならず、透け感のある帯ですので、奥行きも同時に付けることができる、メリットの多い上げ方です。

3,季節感

この帯当初の予定としては、袷モノと単衣の入り口辺りの季節でした。
制作途中から、雲龍錦の特長である経糸の変化を大きく付けたことで、単衣〜夏もコーディネート可能に。もう一つ、裏地には総紗縫を合わせて袋帯に仕立てています。

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この帯の裏地には基本的に総紗縫を付けていますが、柄にはバリエーションがあります。この裏地の場合、織り上がり後、上から染めをかけたモノを使用。両面も可能ですが、結ぶよりも隠れたお洒落的な使い方かな?と思っています。

重さ的にも、帯芯を入れての600gを切りますので、かなり軽い帯となっています。

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