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作楽#7 石畳十字文/600経紬

1,デザイン:石畳十字文

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デザインは市松柄に十字を入れたシンプルな文様、『石畳十字文』です。

十字柄無しの『市松文様』は、当初石畳と呼ばれいましたが、江戸時代の歌舞伎役者、初代佐野川市松が好んで袴として履いていたことから、市松模様と呼ばれるようになりました(そのためもあって、江戸よりも前の名物裂などは、今でも石畳と呼ばれることも)。

個人的には、桂離宮の襖にある『市松』、何度見ても見入ってしまいます。

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十字柄は、縦と横が交差すること、キリスト教圏では十字架を思い浮かべますが、アジアでも厄除けの柄として、日本では鎌倉時代頃から馴染みのある柄だったりもします。

織物でいう経糸と緯糸との関係で、この交差はすべての始まりを意味しますし、大島紬の一元絣もそうですね。御召十など、織物の文様としても多くのところで見られます。

人が一番最初に描いた絵や図は、おそらく線。だとしたら、その次辺りに来るのがこの十字。その意味でも重要なデザインの一つだと言えそうです。

その2つを組み合わせたのが、この石畳十字文、シンプルですが、意味を知るとその深さも感じるデザインです。

2,織組織/600経紬

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織り組織の600経紬は、経糸に紬、緯糸にも紬糸を通したカジュアルに最適な織り方です。筬打ちは少なく、フワッとした風合いが特長でとにかく軽さが際立ちます。

帯を上記のように拡大してみると、縦に筋が見えますが、これが紬糸の節。ランダムに出てきますが、モノづくりをするときは、これを計算に入れながら、柄を決めていきます。

製織時には、特長である紬の節が筬に引っかかり、大変織りにくい織物。
気軽に着れるカジュアルな帯ですが、織るのは一苦労な帯だったりします。

3,全通

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帯は全通で織っていますので、柄の出方はそれほど気にせず、結べます。
大きい市松柄ですので、少しお太鼓の位置を変えると、少し雰囲気が変わりますので、着物の様子を意識しながら、コーディネートすると、幅広くお使い頂けると思います。

4,裏地は縞柄

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裏地は縞柄。
この縞柄は、バリエーション豊かで本当に無数にあります。おいおい、その縞柄も紹介していたいとおもいます。中でも大小太さの異なる縞を子持ち縞といって、それが両端にあるのを両子持縞(この柄だけでも無数にあります)。この帯はその両子持縞の一つです。

市松文様は、どちらかと言えば、静。
この縞は、動。

それが両面になった袋帯にです。

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