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【完成】絞りを活かした、となみ織物のモノづくり#2/作楽『アフリカの渦』着物

2020.12.24〜2021.4.17 

1、デザインづくり

作楽シリーズ『アフリカの渦』のデザインをつかい、モノづくりを行なっています。

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デザインは、アフリカの大地が持つ力強さを帯のデザインとしたもの。

紹巴織で緻密に織り、曲線を作りながら、銀糸で流れを作り出すように。渦をなぞっています。


2、制作

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気づき難い部分ではありますが、渦と渦の間には氷割れの様な地紋を織で表現しています。写真で引いて撮ってしまうと、あまり目立たなく感じますが、実際にこれがあるのとの無いのとでは、デザインとして大きく変わります。

そんなこともあって、今回の着物制作にあたり、この地紋をどのように表現するか?それがモノづくりの大きなテーマとなりました。

通常の染めで出す。というのも全く悪くありませんが、今回はその時のモノづくりへの気持ちも含めて、竜巻絞りを採用。

3、竜巻絞り

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絞りの効果としては、こういう表現をすることができます。今回は、この縞柄のような格子のような独特の地紋を生かすことで、帯地紋を表現することにしました。

ちなみに、竜巻絞りの制作方法はいくつか、職人によっても違ってきますが、今回はこんな形になります。着物を制作している現場とは思えない光景に。大島紬の絣糸をつくるための『絣むしろ』に見た感じは近いかもしれません。

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ホース状のものに巻き付けています。

解いた後、柄を筆で加えていきます。竜巻絞りの特徴である、生地の凹凸。それがあるお陰で、ここでは大変描き難い状態になっています。

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上の写真では、色重ねが最初の方なので、浅く軽く見えてしまいます。ここから染料を重ね、ボリュームを施していくことで、織物に負けないような重厚感を作り出していきます。

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作業風景では分かりづらかった部分も、全体を俯瞰して見ると、帯と同じように力のある渦が流れる・沸き立つ空気感を感じて頂けると思います。帯とは異なり、絵羽で見ると時、空いた空間に気がつきます。これは着物として着る、コーディネートすることを考えたデザインであるとともに、竜巻絞りと渦との間で、目が行ったり来たりする、この流れを感じさせる。そんな効果も考えたデザインになっています。

基本的に、同じデザイン・配色のモノはつくりません。いずれ帯と同じように、全く雰囲気の異なる配色で作りたいですが、今のところ、全然思いつきませんので、次のモノづくりへ移りたいと思います。


4/17 お披露目

うちうちで完成した着物のお披露目を行いました。草案・図案、染めていく段階で柄の配置や流れは最大限の注意を払って制作しています。そのため、問題は無いはずですが、一番最初にお客様へお見せする時は、常に緊張します。

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仮に着物を羽織って頂いて、確認中。これでようやく完成となります。

どんな方の元でどんな帯や小物と合わせてコーディネートされていくのか。とても楽しみの着物です。可能であれば、その着姿を撮らせて頂き、ここに掲載したいと思っています。


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