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唐長さんとのモノづくり#4 南蛮七宝に光悦蝶

1,南蛮七宝に光悦蝶

南蛮七宝文様を地に、青が印象的な蝶を織り込んだ袋帯です。
当初、このブルーはとなみ織物の帯ではほとんど使ってこられなかった色目。実際には、モノづくり時に何十とある青系の色をこの地色茶系と色合わせしました。その際、シックリと来る色が無かったため、この帯のために新たに染め出した色目になります。

今では、この色と甕覗色は、となみ織物らしい青色『となみブルー』とも呼ばれるようになり、南蛮七宝のモノづくりでは、この後の『南蛮七宝文様に光悦蝶』の地色へ、他のとなみ織物のモノづくりへ受け継がれて行っています。

2,お太鼓画像1

お太鼓は、南蛮七宝に光悦蝶。
光悦の名前は琳派の大巨匠 本阿弥光悦から、光悦が好んだ蝶々ということで、文様にはこの名前が付けらました。

◯柄付について
モノづくりの王道ルールとしては、お太鼓の柄を制作する場合は、帯に向かって右側の柄いきを重くすること、というものがあります。こうすることで着物の柄づけ(主に訪問着)とのバランス。もう一つは右に柄を置くほうが、(人間の目の特性)として柄が安定して落ち着きの様に見えるということです。

たとえば・・・この2柄。上の乱菊は花の核は右寄り、
       下は大柄花が右側縦に並んでいます。

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ですが、蝶々はフワフワ飛んでいる生き物。それを文様として表現するために、敢えて左寄りに柄づけ。こうすることで、不安定さを蝶々のフワフワ感に変化させています。この帯を前にすると、人によっては、不思議な魅力(魔力?)を感じて引き寄せられてしまう、と言われるのも、この効果もあるのかもしれません。

3,織りの細部

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前回の【南蛮七宝に蕨】と同じ考え方ですが、南蛮七宝文様と上に乗せる柄とは、レイヤーを変えて、あえて馴染ませない様にしました。蕨の際には紬糸を通して蕨を織り上げて、物理的に立体感を。

この蝶々の場合、地の南蛮七宝部分は細かな地紋(砂子地紋)を入れ、蝶々には地紋を全く入れず、敢えて平面に。こうすることで、変な日本語になりますが、平面的な立体感を作り上げました。


4,お腹部分

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お腹部分にも蝶々を飛ばしています。
こだわりは、同じ柄に見えても、実はお太鼓とは異なる蝶々です。

この光悦蝶を唐紙を制作される場合は、ヤキモチ版で飛ばした蝶々ですので、通常の帯づくりのように、同じ柄を繰り返すことは止めて、新しい紋を起こして制作しました。

5,こんなコーディネートも




6,帯地のイメージを草履へ

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帯をオマージュした真綿入り草履も制作
 ⇒ https://www.senpukuya.jp/products/detail.php?product_id=3669


【今後につながるモノづくりです。】
この南蛮七宝に光悦蝶の帯は、今回の帯を最初のモノづくりとして、ここから毎年配色を変更してモノづくりを行っています。

その辺りの話は、今後書いていていきたいと思います。




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