見出し画像

人事部は、自分をこう見ている。

政治経済学部15年卒です。現在、某プラントエンジニアリング企業に勤務しています。上下水など国内外の水インフラに関わる設備施設全般において、設計・建設、メンテナンス、オペレーションを行っている会社です。(全従業員5000人弱)

国内インフラを就活軸に就職活動を進めて、内定を受諾、1・2年目は監査の仕事をしていました。

入社して3年目で、人事部に所属し、いまに至ります。
企業を形成する「ヒト・モノ・カネ・情報」の中で、企業内の事務業務を司るとともに、一番の基幹となる「人材」を管理するのが人事の役割です。

「人事部」と聞くと、次の新書が思い浮かぶ方もいるでしょう。
(古いかな?)

しかし、人事の仕事の本質とは「この会社、という船の乗組員になれば、自身が成長でき、社員の成長が会社の成長につながる」だから働き続けたい、と確信をもってもらえるような、働くための制度作りにこそ存在します。

いま、具体的にどのような仕事をしているのか?
1年間の仕事はどのように進めているのか?
仕事を通して目指す夢は何か?
自分の仕事の棚卸しも兼ねて、ここに記します。

人事の仕事って?

ひとことで「人事」といっても、大きく二種類に分けられます。
人事管理労務管理です。

人事管理
会社の中でも人を扱う仕事だと考えてください。その業務の範囲は採用活動のほか、人材の育成、評価、さらには定期的に行われる人事異動、昇格、配置管理など多岐に渡ります。組織の人、つまり従業員を対象とした業務が特徴です。
労務管理
会社の中でも、従業員を対象とした社内環境の整備を目的とした仕事であると考えてください。その業務範囲は、福利厚生の管理や労働安全衛生の管理、さらには労使関係の管理、労働組合との折衝および調整などが該当します。
あしたの人事オンライン から引用


会社の規模によっては、ひとり(または少数)の担当者が、人事管理・労務管理の業務を複数兼ねることもあります。
自社の場合、業務ごとに個別の担当者が存在します。私は、このうち人事管理、特に採用活動人材の育成に注力しています。

採用活動と人材の育成。
ここから、どのような仕事を行なっているか、具体的にお伝えします。


私が担当する業務:採用活動の場合

採用活動の中でも、私がメインで担当するのは新卒採用です。
インターンシップから本選考に至るまで、採用担当がどのような仕事を行っているかは、皆さんが就活に関する情報収集を通し承知かと思いますので、ここでは私がメインで担当業務についてご紹介します。

①  夏〜冬インターンシップの企画・進行、選考会の企画・進行
自社にマッチングする人材を早期に発見し、選考を経て獲得するための戦略を毎年アップデートしています。
「接点をどう増やすか」「自社の社会的意義・貢献性をどう魅力的かつ率直に伝えるか」がカギになっています。
その戦略を練るためにも、世の中の学生や転職者の市場・動向を探り、随時施策を変えていく必要あります。

②  新卒採用パンフレット改訂、新卒採用ホームページ改訂
皆さんが就活の中で目にする各種情報媒体、これを制作・発信するのが「採用広報」としての仕事です。
自社のありのままの姿を伝える「読み物として読ませる」コンテンツとして、どんな題材を取り上げるか。パンフとHP改訂に際しては、ここを重点に考えました。
エンジニアリングという業種ならではの魅力:企画から建設まで、ひとつのプラントをチームで協力して作り上げていく醍醐味を見せたい。
そこで、直近の案件に携わったプロジェクトチームを集め、座談会を実施、その模様を掲載しました。

③  新入社員研修、新人フォローの実施
入社後、一社会人としての基礎の体得とスムーズな配属部門への移行を目指し3か月の研修を実施します。配属後に2回のフォロー研修、入社3年目までOJT制度やメンター制度の運営により、社会人としての基礎作り&組織への定着を促進し、育成をサポートします。


私が担当する業務:人材の育成について

「これからの人材」に限らず「全ての人材」が、果敢に自分らしい仕事をすることに挑んでいくための役目を担っています。
社内教育に取り組むとともにキャリア自律・開発のための制度構築、キャリア自律支援の運用インフラの整備を行っています。

階層別研修については、外部のベンダーに依頼・実施することもありますが、自社で研修内容を企画することが多いです。
その中でも、大規模に行うのが、社内各部署から講師を選抜し、営業メソッド・水処理知識・研究開発・法律といった各部署の保有するノウハウ(専門知識)を全社展開する研修です。
当社事業の基礎知識取得だけでなく、部署をまたいだ社員間の交流を促す重要な機会にもなっています。これら事前調整・運営などをこの数年間私は主担当として実施しています。
各部門長に働きかけ、講師を選抜。例年夏から秋にかけて、1時間半の講座を20講座前後実施。全講座について、社内講師とのリレーション・連携を積極的に行い、講師が講義しやすい環境作り、受講者が講義を受けにきやすい環境作りに取り組んでいます。
全講座について「いつでも・どこでも・だれでも見れるように」全講座のアーカイブズ化も実施しています。

また、人生100年時代におけるあるべき「それぞれの」キャリア構築・成長の姿を発見するための講演会、ワークショップを集中的に実施する期間「キャリア月間」を、昨年度から全社員を対象に、毎秋開催しています。
今年のテーマは、
・アフターコロナの働き方はどう変わるのか
・ビジョンや目標を現実化させるための習慣
・困難に出会った場合でも、合理的に物事を捉え、逞しさを持って逆境を乗り越えるマインドセット
と、「ウィズコロナの絶えず変わりゆく時代を背景にして、自分らしい働き方を目指す」「そのために自分を知る」ヒントで統一しています。

もちろん、(採用活動ふくめ)これらの施策は1人で行えるものではなく、同じ部署の上司・先輩・同僚・後輩との分担・協力が必須となっています。


1年間の仕事の流れ

新卒採用においては、政府が指示する就活ルールに従って、1年間のスケジュールを組み立てています。

21新卒採用を例に挙げると、
2019年(卒業の前年度)6月から1月にかけて、就活サイトや学校訪問によりインターンシップ参加者を募集し、そこでの説明やグループワークを通じて水業界や当社の魅力について発信。
2020年2~5月頃に本選考を実施し、できるだけ多くの人材を選考候補者の「母集団」として構成し、当社の求める多様性のある人材を獲得。
内定後、2020年夏から2021年3月にかけて、入社に向けた社会人としてのマインドセットや、同期同士の一体感の向上等を目的とした内定者フォローを実施。
という流れです。

人材の育成については、自社繁忙期を外した夏から秋にかけて重点的に行っています。時に複数の研修が同時期に走り、百人以上の社員に並行してフォロー・研修を行うこともあります。


人事パーソンに求められる資質・能力

どの職種でも同じことが言えますが、自分の言葉を持つことが必要不可欠です。採用活動でいえば、候補者に会社の広告塔として「ここに入りたい!」と思ってもらえるように会社の魅力を伝える必要があります。人の心に刺さるのはその人が経験し導き出した言葉であることが多いので、自社の魅力を見つけ「自分の言葉」で語りかけることが必要となります。また自分が発した言葉が相手にどのように受け取られるかを意識することも重要です。
人材育成でいえば、「どうしていま学ぶのか、どうしてこれを学ぶのか」を丁寧に説明する必要があります。
希望しようとしまいと一人の人間が働く時間は長くなるし、ますます先の見えない状況になります。だからこそあえて「そんな世の中を楽しみながらも生き残る」ために、常に学び、存分に仕事しその結果、個人の市場価値向上にもつながるような経験をどう行っていただくか、試行錯誤しています。

やりたいテーマを見つけ、調べ、すぐ動くフットワークの良さも必要です。外部セミナーなどからの積極的な情報収集と共有を大事にしています。
採用活動・人材育成ともに、世間一般においてもまだ着手し始めたばかりの新しいテーマ・メソッドを扱うことが多く、最先端の理論や施策を学びながら実際に実践に移せるフットワークの軽さが求められます。

採用活動も人材育成も、人間関係をベースとする仕事であるため、軋轢が生じたり、疎まれたりすることもあります。だからこそ、大胆かつ繊細に地道な説明を厭わない姿勢を常に心掛けること、繊細さもまた、求められます。


ウィズコロナで仕事はどう変わった?

自分事としては「在宅勤務を自由に行えるようになった」程度です。

しかし、社員一人一人との関わり方において、大きな変化が生じています。
冒頭にも述べましたが、人事の仕事とは、全社員を導く羅針盤のようなものです。そのため、新しい価値観、変化の価値観(変化の見通し)、成長の価値観を絶えず盛り込んでいく必要があります。
今回のウィズコロナこそまさしく、その変化を迫られる機会となりました。

① 全研修のオンライン化、そのノウハウの全社展開
三密防止のため、従来の集合研修をオンライン化しています。
また、研修を行うのは人事部だけではありません。例えば地方の支店では、自社・他社製品の特色、建設業法、広域化や民間委託に関する法令、補助金・交付金制度等の幅広い分野の理解を行うための、営業研修を行っている所があります。
そこで、人事で培ったノウハウを展開するため、「オンライン研修マニュアル」を作成し発信を行いました。

② 発信するメッセージの強化
「Withコロナ下、今後ますます世の中の動きが不透明になっていく中でも新しい施策によって、社員一人ひとりの意識と能力向上だけでなく、良い人材を採用するとともに働きやすい職場へとつなげたいと思っている」
このメッセージを採用活動・人材育成両方で、絶えず発信しています。

③ 部署内勉強会の企画
人事部というチーム全体のパワーを上げるため
・ 人事従事者が知るべき基礎と昨今の外部環境変化について、全員が学べる機会を作る。
・ 個人の想いやがんばりに興味・関心を持ち、お互いに認め合う組織の雰囲気を醸成する。
以上を目的に、管理人事も担当者の交えた部署内メンバーを対象とした月一回の勉強会の運営を行っています。
労働関連法、キャリア理論、社会保険・税金に関わる人事の仕事、エンゲージメント など人事領域従事者にとって必要な知識・見識、国内外トレンドを中心にテーマを設定しています。

「みなで取組み、改善に向けた仕組みを考え、すぐ実行に移す」というスタンスで、やれることは何でもやっています。


人事という仕事に賭ける夢、今後のビジョンなど

色々書きましたが、
My business is People Business
が私のキーワードです。
どのテーマについても、経営と人づくりの接点となって、自分が大事にする価値観(創造性、中立性)を発揮して仕事ができることに、非常にやりがいを感じています。その中で、研修と採用、どちらか一方ではなく、両方体験している所が、私の強みなのかな、と思っています。
いま担当している業務は、人事管理の一部ではありますが、今後は労務管理など企業理念の実現を根底に置き、組織全体を見渡しながら従業員の方たちが健やかに働けるように既存の制度を見直したり、新しい制度や新しい人を採用したりできるようになればと思っています。


以上、長文ご熟読ありがとうございました。私の体験譚が、皆様のお力になれますと幸いです。

就活生の皆さんの声を聞かせてください!!

「先輩をつかおう!」では、10月24日(土)に早稲田の就活生向けに無料オンラインイベントを計画しています!
より中身の濃いイベントにするため、「こんなイベントがあったら嬉しい!」「〇〇の話が聞きたい!」など、就活生の生の声を大募集しています!
是非ハッシュタグ「#先輩をつかおう」でツイートしてください!!Twitter(@senpai_waseda)へのDMでもOKです!

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?