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【GDRX/2021/4Q決算速報】GoodRX、2021年第3四半期の結果は売上×、EPS×。ガイダンスも期待はずれで暴落。

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このマガジンは取り上げた企業の投資を推奨する意図は全くないことを改めて確認いたします。企業の業績チェック、ビジネスモデル、新着ニュースをシンプルに定点観測する読み物です。

(GDRXの会社概要・歴史・ビジネスモデル考察は「【GDRX/米国株銘柄分析】米国の不透明な医療費に一石を投じる!薬の価格.comを運営し遠隔医療も手がける「GoodRx」の概要, ビジネスモデル, 今後の株価見通し(将来性/成長性)を直近決算とオニール流CANSLIMの観点から考察。」を参照。)

「GoodRx(ティッカーシンボル:GDRX)」のQ4-2021の結果が出ました。


株価としては厳しい展開の中で発表されたが、正直厳しい内容となったな。AHで30%の暴落となっておる。

それでは詳しくみていきたいと思います。Earnings Callについては1-7に肉付けしています。

1. Revenue(売上高)

Q3-2021:売上$213.3M/YoY+39%増(アナリスト予想:$ 217.5M)。

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※YoY = year over year(前年同期比)

Q3-2019:$101.7M
Q4-2019:$113.3M
Q1-2020:$133.4M
Q2-2020:$123.3M
Q3-2020:$140.4M (YoY+38%)
Q4-2020:$153.5M(YoY+36%)
Q1-2021:$160.4M(YoY+20%)
Q2-2021:$176.6M(YoY+43%)
Q3-2021:$195.1M (YoY+39%)
Q4-2021:$213.3M (YoY+39%)

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売上の内訳は以下の通りとなっています。サブスク会員からの売上も増えていますが、以前として処方箋事業の売上が主役の状況は変わりません。

サブスク収入とは、会員になると更に安く処方箋を購入できるようになるシステムです。

詳しくは以下でお伝えしていますので参考にしていただければと思います。

その他の中には製薬会社向けソリューションが入っています。2021年はこの分野が大きな成長をしているとEarnings Callで述べられています。

製薬会社向けソリューションは、当プラットフォームでの検索の20%が4ブランドの薬であるという事実を活かし、前年同期比4倍の成長を遂げ、四半期でも爆発的な成長を遂げました。

全体的な売上の不調についてはEarnings Callによると不調の原因はコロナの影響が予想以上に大きかったこととしています。

2021年計画を策定する際、第2四半期は引き続きCOVIDの影響を受けるが、第3四半期には未診断の疾患バックログが解消され、医療活動が活発化すると予想していました。これらの想定は、昨年の第4四半期の決算説明会で説明した2021年通期ガイダンスの基礎となるものです。現実には、COVIDの影響が予想以上に長く残り、その結果、当社の事業における影響も予想以上に大きくなっています。
定量化とその2022年ガイダンスへの影響についてはKarstenが説明しますが、私たちはCOVIDが当社のビジネスに与える影響の長さを過小評価していたことを認めたいと思います。リフィルの頻度や処方の長期性から経常性の高い事業において、新規治療の開始が24ヶ月間少なかったことは、長期的に複合的な影響を及ぼしました。

2.利益

利益率の水準は以下となります。

営業利益率が低下しているのは気になりますね。

経費率としては営業経費率が下がらず逆に上昇しています。後でお伝えしますが新規のユーザーを獲得するのに苦戦しているのが読み取れます。

Earnings Callでも投資についてはペースを緩めず行なっており、将来の利益構築に勤しんでいるとのべられています

予想以上に成長が鈍化した時期にも、過去の利益率を下回る結果となりましたが、投資のペースを下げることはしませんでした。また、技術革新のペースを落とさないことを選択しました。私たちは長期的な視野に立っています。
これらの製品およびマーケティング投資の中には、第4四半期に発売されたGoodRx for Providersのように、すぐにリターンを得られるものもありますし、国内最大のプロバイダー向けプラットフォームの1つとなる道筋が見えていると信じています。すでに、製薬会社との販売パイプラインには、この製品への期待が寄せられています。その他の投資については、業績に反映されるまでに時間がかかりますが、消費者や当社の将来の収益に大きな影響を与えるものと考えています。

GoodRx for Providersの説明は以下となります。医療従事者向けのプラットフォームとなります。

第4四半期に新しく改良されたGoodRx for Provider's プラットフォームのProvider Modeを立ち上げたことによります。

第2四半期の決算説明会で紹介したように、GoodRx for Providersは当社のプロバイダー専用プラットフォームで、特定のHCP(医療提供者)
のニーズに対応し、医療従事者が患者をサポートするために必要なツールを備えて、よりカスタマイズされた体験を提供するものです。私たちは、患者さんと医療従事者のヘルスケアシステムとの関わり方を再構築しています。

患者さんと医療従事者の両方が、患者さんのヘルスケアジャーニーの同じステージで私たちと関わることができるスケーラブルなプラットフォームとして、私たちは革新的なソリューションで医療従事者独自のニーズに応え、患者さんの転帰を改善するのに役立つ大きな機会があると信じています。

2021年6月にDMD IQVIAデータの追跡を開始して以来、70万人以上のプロバイダーがGoodRxプラットフォームを利用しており、腫瘍からプライマリーケアまで幅広い専門分野にまたがっています。新しいプロバイダーモードは、GoodRxにアクセスするプロバイダーのサブセットに徐々に導入されており、導入されたプロバイダーの90%以上がこの新しいモードを選択し、8万人以上のHCPに相当し、さらに増加しています。

3. EPS (1株あたり利益)

Q4-2021:$0.09/YoY+13%増(アナリスト予想:$0.10)。

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※YoY = year over year(前年同期比)

Q3-2019:$0.06
Q4-2019:$0.06
Q1-2020:$0.09
Q2-2020:$0.07
Q3-2020:$0.09 (YoY +50%)
Q4-2020:$0.08 (YoY +33%)
Q1-2021:$0.07 (YoY △22%)
Q2-2021:$0.08 (YoY +14%)
Q3-2021:$0.09 (YoY +0%)
Q4-2021:$0.09 (YoY +13%)

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まだ、利益を拡大するというフェーズではないことが読み取れますね。

また、EPS伸びが芳しくないのは1年前と比べて発行済株式数が上昇していることも要因としてあります。

ただ、新規発行済株式は直近落ち着いております。むしろ、買い戻しを行うことが発表されておりEPSにとってはプラスです。

最近、取締役会により、従業員持分の希薄化を抑制するために最大 2 億 5,000 万ドル相当の普通株式の買戻しを承認されたことを発表しました。
この買戻しには、既存の現金及び現金同等物、運転資金、営業活動から得たキャッシュ・フロー、または様々な借入契約を通じて利用可能な資金を充当することを想定しています。

2022年の成長率は42.9%、今後5年平均成長率は30.88%が見込まれています。

ただ、前回の3Q時点と比べるとアナリストの成長見通しも減速しています。3Q時点では今年50%、5年平均で32.57%の成長が見込まれていました。

4.ガイダンス

GDRXはEPSのガイダンスは発表していませんが、来期と通期の売上予想を発表しています。

1Qと通期ともに予想未達となっています。結構深刻なミスですね。オミクロン の影響が深刻で1月は12月を下回る売上となっているそうです。

市場の処方量は引き続き緩やかな回復を示し、ほぼ2019年の水準に戻りましたが、回復はその性質上、COVIDが当社の事業に与えた累積的な影響を補うほど高い新規治療開始の増加をもたらしていません。また、第4四半期末にかけて、オミクロンの影響が大きくなり、2022年は1月の数量が前月比で減少し、ソフトなスタートとなったため、市場全体と新規市場の処方の伸びは、ここ数年見られなかった12月、1月のパターンとなりました。

現時点では、当社の事業に対するCOVIDの影響のほとんどは、新規治療開始コホートが小さくなることによる2年間の累積的影響に関連しており、これは当社が予想していたよりもはるかに長い期間であり、新規ユーザーと復帰ユーザーの両方に影響を与えるものです。

市場が完全に回復し、風邪やインフルエンザなどの急性期・季節性のトレンドが完全にペースに乗り、医師や薬剤師を通じて構築した素晴らしい紹介エンジンの稼働率と効果が完全に回復したとしても、これらの小さなコホートを瞬時に補填することはできません。

ただ、Earnings Callでは2022年の後半には行なってきた投資が実を結び営業レバレッジが拡大し、営業利益率が上昇すると見込んでいるそうです。

2022年後半には、年間を通じてマージンが拡大し、営業レバレッジが拡大すると見込んでいます。

また、長期的な売上成長率は20%台半ばとアナウンスしており、営業利益率も改善するということでコロナの影響がなくなった後の売上と成長率に期待したいところですね。

長期的には、年間売上成長率は20%台半ばを見込んでいます。私たちの計画は、革新的な製品の開発と戦略的なM&Aを継続し、GoodRxを知り尽くし、愛用している大規模かつ継続的なユーザー層により多くの価値を提供することにあります。私たちは、高い収益成長率と拡大するマージンにより、将来的にさらなる価値を提供し、長期的に大きな株主価値を創造できると確信しています。

300億ドル規模の医薬品メーカー向けソリューションのTAMでは、急速にシェアを拡大しており、今後ますます医薬品への支出がデジタルに移行するにつれて、このシェアは拡大すると考えています。
2021年に前年比3倍増、純収益維持率150%を達成しても、まだ1%にも満たない浸透度ですが、製薬メーカー上位20社のうち19社との関係により、今後も急成長を続けられる絶好のポジションにあります。この長期的な売上増加のもうひとつの要因は、COVIDの影響がなくなり、過去24ヶ月の小規模コホートをより大規模な案件で補充できるようになったことです。巨大な処方薬市場に対する当社の浸透度はまだ低いものの、この市場における当社のシェアは一貫して上昇を続けており、この事業に対する自信を示しています。

また、現在収益の中では「その他」に分類されている医療品メーカー向けソリューションは利益率が高く、最も成長している分野で今後期待できるとしています。

以前にもご説明したとおり、収益構成は引き続き変化し、当社の非常に高収益でマージン拡大が期待できる医薬品メーカー向けソリューションの売上比率がこれまで以上に高まると予想しています。このミックスシフトは数四半期にわたり一貫しています。
2年前、売上の約90%が処方箋取引に関連するものでしたが、現在では80%を切り、第4四半期では総売上高の74%を占めています。つまり、利益率の高い非処方箋薬取引の売上比率は、株式公開以来約2.5倍に拡大したことになります。そして、この比率は昨年だけでほぼ倍増しています。収益構成の変化に加え、2021年のマーケティング、製品、テクノロジーへの投資の通年効果が2022年のコスト構造に完全に反映されれば、それ以降の期間ではより大きなオペレックスのレバレッジを示すようになるでしょう。

メーカー向けソリューションは、消費者向けとGoodRxプロバイダーによるプロバイダー向けの両方で、引き続き非常に急速に成長すると予想しています。今年はほぼ倍増すると考えています。

5.KPI指標

GDRXにとって重要な指標についてお伝えしていきます。

Monthly Active User

1ヶ月どれくらいの人が利用しているかという最も重要な指標です。成長率は14%と再び大幅に減速しています。

また、4Qのアクティブユーザーは6.4Mでしたが、3Q時点のアクティブユーザーも6.4Mと成長していない点が懸念されます。つまり、3Qからユーザー数が増えていないのです。

Earnings Callではオミクロンが流行していたにも関わらず維持したことに自信をのぞかせていましたが。。

ただ、新たにGoodRxの薬の割引を受けられるチャネルを増やしており1Qは再び上昇に転じていることが期待されます。

第 4 四半期は、オミクロンの変種が後半に悪影響を及ぼしたものの、月間アクティブユーザー数は 640 万人以上、定期購入会員数は 160 万人以上となりました。

第 4 四半期から新年にかけては、処方箋関連製品に新たな B2B 販売チャネルを追加し、需要をさらに拡大しました。当社は、バーチャルプライマリーケアと行動医療サービスを提供するデジタル医療プラットフォームである Wheel との新たな統合を発表し、Well の顧客とその数百万人の患者が GoodRx 価格を利用できるようになりました。

また、Instacart と契約を締結し、同社の買い物客にゴールドへの割引アクセスを提供することになりました。

Subscriber

サブスクを利用している人の数です。サブスクを利用している数の増加は安定収入の増加という側面だけでなく、サービスに満足している人が多くなってきていることを意味します。

成長率は低下していますが、50%程度あるので低いともいえません。今年はサブスクの区分を見直してさらに拡大をはかっていくそうです。

今年は、定額制プログラムであるゴールドの位置付けを戦略的に変更し、ゴールドから最も価値を見出せると思われる、慢性疾患や複数の定期的な処方、その他の長期的なニーズを持つ会員という、より特定のユーザーに焦点を絞る予定です。

また、1月に単価を引き上げており、顧客単価が伸びることを期待しているとのコメントも出ています。

1月にゴールドの新規加入者の価格を引き上げました。ゴールドを当社のプラットフォームに統合した時期から約2年が経過しました。そして、加入者数が大幅に増えたことで、加入者の行動と価格戦略を評価する時期がやってきました。一部のユーザーは、年間契約料がわずか 100 ドル程度でありながら、年間数千ドルを節約し、高い利用率を誇っていることがわかりました。また、このサービスを十分に活用しておらず、無料の処方箋取引サービスを利用したほうがよいという加入者もいました。
全体として、この変更は当社のユーザーベースに利益をもたらすと信じています。ユーザーにとって最も有意義なサービスを提供することができ、値上げによって単価が向上し、処方箋取引と金商の差別化も図れます。

値上げは新規会員に対して行われていますが2四半期までに既存のゴールド会員に対しても適用されるそうです。

1月10日から新規会員限定で値上げを行いましたが、最初のテストは順調に進んでいます。
このままテストが順調に進めば、第2四半期末までに既存のゴールド会員も段階的に値上げする予定です。この値上げにより、新規加入者数は減少し、また、既存加入者の値上げに伴う解約の影響も予想されるため、今年の加入者数の伸びはほぼ横ばいになると考えています(おそらく第2四半期に実施)。

サブスクの売上に占める比率はまだまだ小さいので安定収益獲得のために今後伸びることが期待されています。

NRR(=Net Retention Rate)

Net Retention Rateは、既存顧客の売上を前年比で維持できているかを計る指標のことです。120%以上であれば優秀と言われるのですが、Earnings Callで150%以上と語られており驚異的な数値となっています。


6.CF(営業CF、投資CF、財務CF)

IPOによる資金調達でえたお金を活用して、徐々に営業CFを伸ばしてきています。今期は営業CFと投資CFが見合う水準まで来ています。

営業CF:178M
投資CF:△178M
財務CF:△31M

Non GAAP 純利益が40.4Mなので、純利益より4倍以上のCashを稼げていることになります。

2022年1QにはGoodRx for Providersの機能を補完するためにフリップMDを買収したことを発表しています。

第1四半期には、フリップMDを買収し、プロバイダー専用ソリューションを追加しました。フリップMDは、基本的に収益化前の市場で、開業医とオンデマンドの医療専門家を求める組織をつなぐものとして、大きな勢いを見せています。flipMD は、医療従事者との関係を拡大し、製薬会社向けソリューションで提供されるサービスを増加・補完するエキサイティングな機能を備えており、引き続き差別化と代替品に対する優位性の拡大を図ることができると考えています。
GoodRx for Providersによって、当社は処方箋関連サービスの成長を促進できるだけでなく、医薬品マーケティングに費やされる年間300億ドルのうち、さらに大きなシェアに対応することで、医薬品メーカー向けソリューションの提供を拡大することができるようになりました。

7.財務状況

総負債比率は安定して推移しています。

支払利息が売上高に占める比率は3%、営業利益比率では10%という水準です。上場間もない企業としては気にする水準ではありません。

8.Earnings Call

Earning Callについては1-7に肉付けしています。和訳は以下となります。

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