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(米国株式市場12月6〜10日)今週の合戦の振り返り!代表株価指数上昇、S&P500とアップル(AAPL)は史上最高値を記録。南アフリカ変異株「オミクロン」の脅威は後退も株式市場は「Market in correction」を継続。CPIはほぼ市場予想通りの結果でVIXは下落。来週はADBE、FDX、TNPなどが決算。

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おはようございます。寒い季節到来ですね。もうモンクレールのダウンジャケットは買いましたか?風邪をひかないように温かくしてくださいね。

今週は私(@hidejiromoney)がマーケット週報を担当します。無駄な情報なくシンプルに今の株式市場動向が理解できるよう努め制作しております。


1. 今週の合戦の要約



・代表株価指数上昇、S&P500は史上最高値を記録。南アフリカ変異株「オミクロン(Omicron)」の脅威は後退。
・株式市場ステータスは引き続き「Market in correction(調整相場)」を継続。今週は代表株価指数上昇するも出来高が不足。
・CPIはほぼ市場予想通りの結果に、株式市場の不安心理薄まる。
・オミクロンの懸念から急騰していたVIXも下落し、落ち着いた水準へ。
・市場の利上げ時期は前倒し傾向続く。
・NAAIMナンバー69まで後退。アクティブファンドのポジションは非常に低い。
・来週はADBE、FDX、TNPなどが決算。



2. 代表株価指数動向(&強気相場 or 弱気相場判定)

□ 各指数の動き

(12月10日の株価指数とVIX)

金曜日にCPI(&コア)の発表がありましたが、ほぼ予想通りの結果となり、株価指数は上昇。VIXは低下、不安心理が後退しました。


・NYダウ平均:+0.60%
・S&P500:+0.95%
・ナスダック:+0.73%
・ラッセル2000:-0.38%



ナスダック、S&P500、NYダウ平均は50MAの上に位置していますが、イマイチ強い出来高が足りないといったところで、強気に出るのはまだ早い段階です。ラッセルは厳しいですね。

オミクロン株の脅威は後退しました。


□現在は強気相場?弱気相場?

(先週のMarket in correction入りした指数推移)

上記は先週のものですが、今週も「Market in correction(調整相場)」継続中です。早く株式市場に光が差してほしいものです。もう少し、強気になるのは待った方が良さそうです。



(売り抜け日とは?)

売り抜け日カウントが以下を満たせば天井圏の下落警戒となります。

● 前日より出来高が増加し且つ指数が0.2%以上下落する売抜日カウントが4週間-5週間で3-5日起こる。(上昇中に発生)
● 2-3週間という短い期間で売抜日が4日あっても注意が必要。

(売り抜け日カウント数とは?)

前日比で0.2%以上のマイナスを前日以上の出来高ともなって記録した日を「売り抜け日」とカウント。4-5週間で4-5日あれば天井から下落の可能性あり。2-3週間という短期間で売抜日が4日ある場合も注意が必要。

「フォロースルー日」を迎えたらカウントはリセット。「フォロースルー日」は下落局面で前日比プラスで引けた日から4-7営業日後に出来高を伴って大幅に上昇した日のことを指す。また、カウントから25営業日経過後にも消滅する。

ただ、上位の条件を満たさなくても売り抜け日がカウントされることもあります。これは「指数が失速する」という意味のカウントとなっています。

指数が活発な出来高の中で上昇していくなかで、前日と同じような出来高なのに停滞した場合にカウントがなされることがあります。



3.セクター別(1week)

□ S&P500

AAPL+10.88%、MSFT+6.05%、FB+7.47%、GOOGL+4.22%

大型株から盛り返してきていますね。


□ セクターETF騰落率 Highlight(1week)

VTI+3.61%、QQQ+3.88%


4. FRB動向

(FRBの金利動向に気をつける)過去を振り返ると、FRBの金利が引き上げられたことがきっかけで弱気相場が始まり不景気に突入した歴史があります。弱気相場が終わるのは金利が下げられた時が多いです。最も簡単で役に立つ金融指標はFederal Fund(FF)レート(政策金利)。

コンピューターによる自動売買や様々なヘッジサービスによってリスクの高い弱気相場で発生する株価の下落から資金を守るために、ポートフォリオの大部分をヘッジするファンドが現れました。金利が急騰する場面は相場が下落しやすい仕組みになっています。

□ 先週のHighlight(11月30〜12月3日)

◇ 上院銀行委員会でのパウエルFRB議長の発言

  • インフレ高進リスクが高まったという見解を示す。

  • 「一過性という文言の使用をやめる適切な時期の可能性がある」と言及。

  • 11月会合で発表したテーパリングの完了時期を数カ月早める可能性を検討。

  • 総じてタカ派(金融引き締め政策に積極的なスタンス)に転じた。

◇ 雇用統計

  • 21万人増と軟調 (vs 予想55万人)

  • 失業率は4.2%と堅調 (vs 予想4.6%)

  • 平均時給はYoY4.8%増と弱含み (vs 予想5.0%)

  • インフレ懸念の若干の緩和で「直後」は金利低下で株買いの動き


□ 今週のHighlight(12月6〜10日)

◇ CPI結果

  • 11月CPI結果 6.8%/予想6.8%(前年比)

  • 11月CPIコア結果 4.9%/予想4.9%(前年比)

  • 11月CPI結果 0.8%/予想0.7%(前月比)

  • 11月CPIコア結果 0.5%/予想0.5%(前月比)

株価は反応し上昇に転じました。

VIXも下落。市場関係者の不安心理が和らいだことが見て取れましたね。



◇ 10月の雇用動態調査

  • 求人件数:1103万3000件(前月比+43.1万件/予想1040万件)、過去2番目の高水準に。

  • 雇用の伸び鈍化が需要減退ではなく、労働力不足によるものであることが示唆された。


□ 今後の予定

  • 12月15〜16日:FOMC(インフレ率次第で利上げ前倒しに関する発言出る可能性有り)


□ 金利動向(市場の利上げ織り込み)

参考:CME FedWatch Tool

◇ 3月16日時点の利上げ確率:12月3日時点28.6%→本日時点35.9%

◇ 5月4日時点の利上げ確率:12月3日時点49.7%→本日時点57.9%

◇ 6月15日時点の利上げ確率:12月3日時点75.3%→本日時点79.5%

総じて利上げが前倒しになる確率が上がっていますね。我々個別株投資家はこの荒波を越えていく必要がありますが、2021年ほどのセクターローテーションの早さは起きず、寧ろ個別株は2021年に比べるとパフォーマンスを出しやすい年になるかもしれません(株価指数をベンチマークとして考える場合です)。


□ ドットチャートの動き (9月FOMCの復習、次回は12月15日!)

ドットチャートはFOMCメンバーによる金利予想です。

更新は3月・6月・9月・12月です。6月は3月から引き続き、2021年での利上げは見込んでいませんでした。しかし今回の9月のFOMCで見通しが大きく変更されました。全体的に高い金利に向かってFOMCメンバーの予想が動いていますね。

(最新ドットチャート)

11月のFOMCでテーパリングが決定されました。来年6月まで段階的に実行。
米国債月100億ドル、MBS月50億ドルのペース(ペース調整あり得る)で実施されます。利上げは経済状況次第、躊躇はしないとのこと。12月のドットチャートにも注目ですね。

GDP見通しも更新される予定です。以下は11月に出されたものです。


◇ GDP見通し(前回→今回)
2021年:7.0%→5.9%
2022年:3.3%→3.8%

◇ インフレ見通し(前回→今回)
2021年:3.4%→4.2%
2022年:2.1%→2.2%

◇ コアインフレ見通し(前回→今回)
2021年:3.0%→3.7%
2022年:2.1%→2.3%



□ FRBのバランスシート(BS)拡大・縮小動向

BSが拡大するということは、市場に流通する資金が増大して、景気を加熱させることに繋がります。

FRBは金利を引き上げる前に、まずはバランスシート(BS)の縮小(テーパリング、資産買い入れプログラムの変更)を実行します。すでにテーパリングは始まっていますが、グラフではまだクリアにわからないですね。これから縮小していく様が見られると思いますので、楽しみですね(辛い)。

(2002/12/18-2021/12/08)

Assets: Total Assets: Total Assets

※資産買い入れプログラムについて、現在では米国債を月800億ドル(約8兆4千億円)、住宅ローン担保証券(MBS)は同400億ドルのペースで買い入れています。こちらのペースを下げることを「テーパリング」といいます。



□ ブレイクイーブンインフレ率

ブレイクイーブンインフレ率とは、債券市場が期待するインフレ率を意味します。

この1年間「5年ブレークイーブンインフレ率」と「10年ブレークイーブンインフレ率」は上昇基調で進んできましたが、5月に入り一服、6月に入り下落。横ばいが続いていましたが、10月に入り遂に上昇に転じました。

(2020/01/01-2021/12/10)

10/5-Year Breakeven Inflation Rate

(2021/10/01-2021/12/10)

直近も怖い動きしていますね。11月のCPIは予想通りではありましたが、12月も下落基調でそろそろ流石にインフレ止まって欲しいですね。適正温度まで下がってくれないと経済の所々で支障が出てしまい株どこではなくなってしまいます。


□ 長期金利(2/5/10年債利回り)

長期金利の動向は株式市場関係者は非常に注意深く見ています。10年債利回りと株式のバリュエーションはシーソーゲームの関係にあるからです。金利が上がれば(債券が売られれば)株の評価は下がります(あえて、非常に簡易的に表現しています、評価が下がるのはそれだけではありません)。


(2020/01/01-2021/10/28)

10・5・2Year Treasury Constant Maturity Rate

短期債が上昇。インフレ懸念が高まるステージでは当然長期債は売られ短期債が買われていきます。

今週も10年債利回りは売られ、債券利回りが上昇しました。


5. プットコールレシオ

ここでは年初来からの比率(%)を観察します。直近の投資家心理を確認します。


プットコールレシオ = Put売買金額 /Call売買金額

⑴プットコールレシオ > 1 = Putの売買代金が大きい = 投資家が株式相場下落を期待(悲観的)
⑵プットコールレシオ < 1 = Callの売買代金の方が大きい = 投資家が株式相場上昇を期待(楽観的)

で算出されます。つまりプットコールレシオが1を超えているということはPutの売買代金の方が大きく下落を警戒する投資家が多いことを意味します。これは相場が悲観的なことを意味しており相場の底局面ではプットコールレシオが高くなる傾向があります。

一方、プットコールレシオが1を下回っているということはCallの売買代金の方が大きく上昇を期待する投資家が多いことを意味します。ただ、これは楽観的であるということを意味しており、相場の高値圏ではプットコールレシオは低くなる傾向があります。



PUT CALL RATIO CBOE


S&P500のプットコールレシオは1.04となっています。1を下回っています。以下に当てはまります。Market in correctionですから、そりゃ悲観的でしょうといった感じです。


⑴プットコールレシオ > 1 = Putの売買代金が大きい = 投資家が株式相場下落を期待(悲観的)



6. Volatility index(VIX指数/恐怖指数)

昨晩のCPI発表後にVIXは大きく下落しました。

VIXとは市場で取引されている価格から逆算された「株式市場のボラティリティ」のことを指します。株価指数は上昇時は緩やかに上昇し、下落時は急落します。市場参加者が高いボラティリティを見込んでいるということは、市場に対して不安を抱いていると想像できます。

VIX指数は株価の先行きにどれほどの振れ幅(ボラティリティー)を投資家が見込んでいるかを示す「株価変動率指数」のうち、米国株を対象にした指数。通常、株安が懸念される局面で上昇し、20を超えると不安心理が高まっていると解釈される。その場合、「株価が今後1年間に約7割の確率で上下20%の範囲で変動する」と投資家が予想していることを示す。

2008年の金融危機の際にVIX指数が80超に上昇して注目を集めた。18年2月と10月にもVIX指数の上昇をきっかけに米国株が下落する場面があった。VIX指数の上昇に連動して機械的な株売りを出す「リスク・パリティ」などと呼ばれるファンドが存在するからだ。(引用:日経新聞)


S&P500指数(VIX:青)とNASDAQ(VXN:ピンク)のVIX指数の5年推移は以下となります。

VIX/VXNの5年推移


以下は1ヶ月の推移です。

オミクロン株の出現でVIXは35付近までS&P500、ナスダック共に反応しましたが、現在は急激に下げています。そろそろ「Market in correction(調整相場)」を抜けて欲しいですね。

オミクロン株出現時のリアルタイムレポートは以下の週報にあります。大変でした←


7. 空売り比率 (Short Volume)

空売り比率・ショートボリュームはNYSE(ニューヨーク証券取引所)で空売りされている株式の数をNYSEの総出来高との割合で示したものです。

この比率が高ければ投資家が市場をネガティブに見ていることが読み取れます。(「空売残」はShort Interestです。ここでは触れません)

特に暴落局面で注視するのが有効で弱気相場が底をつける時というのは空売りの「急増を示す数値の上昇」が通常2回か3回現れると成長株の巨匠・オニール氏は言及しています。

それではまずS&P500指数の空売り比率は以下となります。S&P500指数で最も取引Volumeが多いETFである「SPY」で見ていきます。

SPY - Short Interest - SPDR S&P 500 ETF Trust - Short Squeeze, Short Sale Volume, Borrow Rates, Fails-To-Deliver

12/9に急騰しています。先週も週末にかけて上昇基調にあり、弱気相場の特徴が出ていると思います。

ナスダックについても取引ボリュームが大きいQQQでみていきたいと思います。

QQQ - Short Interest - PowerShares QQQ Trust - Short Squeeze, Short Sale Volume, Borrow Rates, Fails-To-Deliver


そもそも空売り比率がSPYよりも高く推移するのがQQQですが、12/7に急騰していますね。弱気相場ならではの急増を示す数値の上昇が散見されます。

改めて、S&P500は最高値を更新したものの、まだまだ安心できる段階にはいないことがわかります。


8. 機関投資家やアクティブファンドマネージャーの動向

□ センチメントインジケーター

センチメントインジケーターは、個人投資家、機関投資家、海外投資家の過去12か月の株式ポジションと比較したもの。スコアが1を超えていたら、ポジションが増大していることを示し、-1を下回るとポジションが縮小していることを示しています。

Sentiment Indicator and Stock Positioning

最近は更新されておりませんのでこの項目は参考にしないでください。11月22日時点で「0.0」(11月8日は「0.3」)。ファンドポジションは縮小していますが、次の更新を待ちましょう。


□ NAAIM Number

次にNAAIM Numberです。NAAIM Numberはアクティブファンドの投資動向です。100を超えるということはアクティブファンドがレバレッジをかけていることを意味します。

NAAIM Exposure Index

12月8日時点で69まで下がっています。アクティブファンドは明確に弱気です。Market in correction(調整相場)ですので、当然ではあります。

寒いですね。本格的な冬を感じます。すっかりモンクレールのダウンジャケットが必要な季節ですね。


9. 注目経済指標の動向

以下が今週の経済指標発表でした(マネックス経済指標カレンダーを参考)。CPIを通過、来週はFOMCです。


10.来週の決算

来週はADBE、FDX、TNPなどが決算です。


総括



・代表株価指数上昇、S&P500は史上最高値を記録。南アフリカ変異株「オミクロン(Omicron)」の脅威は後退。
・株式市場ステータスは引き続き「Market in correction(調整相場)」を継続。今週は代表株価指数上昇するも出来高が不足。
・CPIはほぼ市場予想通りの結果に、株式市場の不安心理薄まる。
・オミクロンの懸念から急騰していたVIXも下落し、落ち着いた水準へ。
・NAAIMナンバー69まで後退。アクティブファンドのポジションは非常に低い。
・来週はADBE、FDX、TNPなどが決算。



良い週末を!!


ーFINー

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