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【CRWD/2022/1Q決算速報】、2022年第1四半期の結果は売上◎、EPS◎、ガイダンス◎。市場予想を上回る。CANSLIM定点観測。

(CRWDの会社概要・歴史・ビジネスモデル考察は以下を参照してください。


「Crowd Strike(ティッカーシンボル:CRWD)」のQ1-2022の結果が出ました。


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※YoY = year over year(前年同期比)

・CRWDの2021年1Q決算は、売上$302.8M/YoY+70%(アナリスト予想:$ 291.4M)。→◎
・EPSは$0.1/YoY+400%(アナリスト予想$0.06)→◎

【企業KPI】
・顧客数:11,420 (4Qから1,524増加)・ARR:1.19B (YoY +73%)
・GRR:98%
・NRR:125%

ガイダンスは以下の通り、前四半期に出したガイダンスと市場予想を大幅に上回る結果を発表

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結果とガイダンスともに文句のつけようのない決算だと思うんじゃがの。。なぜかアフターでは殆どcloseから動いておらん。。

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それでは2022年1Q決算の内容を詳しくみていきたいと思います。

1. Revenue(売上高)

Q1-2022:売上$302.8M/YoY+70%増(アナリスト予想:$ 291.4M)。

以下過去からの推移をご覧いただくと成長率が鈍化しているようにも見えますが、現在でもYoYで70%の成長を維持しているのは流石といえます。

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■ 売上推移

※YoY = year over year(前年同期比)

Q4-2020:$152.1M(YoY +89.06%)
Q1-2021:$178.1M(YoY +85.35%)
Q2-2021:$199.0M(YoY +84.05%)
Q3-2021:$232.5M(YoY +85.79%)
Q4-2021:$264.0M(YoY +73.56%)
Q1-2022:$302.8M(YoY +70.04%)

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しっかり利益率も改善してきているのも非常にポジティブな点です。

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2. EPS(1株当たりの当期純利益)

Q1-2022:(non-GAAP)EPSは$0.1/YoY+400%(アナリスト予想$0.06)

EPSもアナリスト予想はクリア。EPS予想は「Yahoo Finance」で取れます。アナリストは保守的に予想を出すため、決算企業はこれを超えなければ市場から好感されません。

CRWDはしっかりと過去から継続的に市場の予想を上回ってきています。

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以下はCRWDのEPSの推移です。昨年度1Qからプラ転しています。

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■ EPS推移

※YoY = year over year(前年同期比)

Q4-2020:$△0.02
Q1-2021:$0.02
Q2-2021:$0.03
Q3-2021:$0.08
Q4-2021:$0.13
Q1-2022:$0.10

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3. CF (営業CF,投資CF,財務CF)

CFについてみていきます。

営業CFは利益が上昇するにつれて上昇基調にあります。今期は投資CFがHumioの買収費用関連で嵩んだこともあり大幅に営業CFを上回っています。

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営業CF:147.5M/YoY 49.7%
 投資CF:△384.9M/前年同期634M
 財務CF:2.6M/前年同期6.8M

4. 財務状況

CRWDは上場後株式数を増加させてきましたが、直近は殆ど発行済株式数を増加させていません。

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財務の健全性でいうと、総負債比率は以下の通りとなっています。成長企業であるとはいえ、若干総負債比率の高さは気になるところです。

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ただ、Non GAAP営業利益29.7M、Non GAAP純利益23.2Mから考えても支払利息6Mは大きなポーションを占めているので総負債比率の上昇はネガティブな点ではあります。

5.企業KPI

それではCRWDの企業KPIについて見ていきたいと思います。

■ 顧客数

CRWDはSaaS企業なので顧客数の増加が非常に重要になってきます。顧客数は前四半期から1,524増えて11,420となっています。YoYで82%という驚異的な成長率を維持しています。

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■ ARR

CRWDに限らずSaaS企業にとって重要な指標にARRがあります。

「ARR(Annual Recurring Revenue)」とは「年間経常収支」のことでです。毎年決まって得られる1年間分の収益や売上のことです。ARRは初期費用やコンサルティング費用などの一時的に発生する収入は除外して算出します。

CRWDのARRは以下の通り顧客数と同様に安定的に積み上げています。

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■ GRRとNRR

SaaS企業にとって重要な指標としてNRRとGRRもはずすことができません。これらは、どれだけ顧客を引きつけて話さず追加で課金していただいているかという指標です。

【NRR(=Net Retention Rate)】
既存顧客の売上が前年比でどれほど増減しているかを示す指標です。NRRが100を上回っていれば、契約の延長に加えてアップグレードが行われていることを意味します。
【GRR(=Gross Retention Rate)】
GRRは一定期間において既存顧客で維持された経常利益の割合を言います。新規顧客による収益増加を含まなないのはNRRと同じですが、更にアップグレードによる収益増加も含みません。90%以上あれば優秀であると評価されます。

以下はCRWDのARRとGRRは共に安定的に高水準を維持しています。GRRが98%というのは上記説明にある通り非常に優秀な数値であるといえるでしょう。

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6.ガイダンス

CRWDは2022/2Qの決算と2022年通期のガイダンスを発表しています。

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中央値を用いて前年同四半期や前年度の結果と比較したものが以下となります。タフーファイナンスの結果も並べています。

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通期は前期に出したガイダンスから売上とEPSともに引き上げられており、2Qと通期ともにYahoo Financeの予想を上回る素晴らしい内容となっています。

7. CANSLIM定点観測

前回から変更した分を更新いたします。因みに5月17日時点でNVDAのInvestors Business Daily上の総合評価は78点でしたが、5月27日朝時点で総合評価は84点に評価が上がっています。

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C:◎
A:△
N:×→△
S:×
L:△→ ◎
I: ×→△
M:△

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それではCANSLIM分析を行なっていきたいと思います。オニールが提唱するCANSLIMの基準については以下で纏めていますので、この内容に沿って行なっていきます。

■  C(=Current Quarterly Earnings)◎→◎

ファンダメンタルという観点で最も重要なものが「C」です。CRWDの「C」は文句ないレベルで合格です。

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「C」の条件

● 最低条件は前年同期比直近EPS成長率は25%以上
→ 余裕で合格
● 強気相場の時は前年同期比直近EPS成長率は40%以上
→ 余裕で合格
● 過去10四半期に以前に比しEPS成長率が加速している
→ 直近一年でプラ転している
● 直近売上成長率は少なくとも25%以上上昇、又は直近直近3四半期で売上増加率が加速していることが最低条件
→ 売上成長率は70%

(補足条件)
● 2四半期続けて大幅にEPSが成長
→ 合格
● 翌四半期、翌々四半期も力強い成長が予想されている
→ Humioの買収費用除けば力強い
● 今後2年間で成長の軌道にのるガイダンスがある
→ 今年は10%、買収費用が途切れる来年は100%成長が予想されている
● 同業他社でEPSの成長率が高い銘柄が少なくとも1つ以上存在
→ ZSが該当

(注意点)
● EPS成長率が66%以上の減少が二四半期続けば危険
→ 問題なし

ほぼ、非のつけようがない評価となります。

■  A(=Annual Earnings Increase)△ → △

Aは毎年EPSは改善していますが、ROEの水準を満たしていないので○に近いですが△のままとしたいと思います。


「A」の条件
● 過去3年連続で年間EPSが増加。EPS Stability(後述)が25以下
→ 増加している。2020年度からプラ転。まだEPS stabilityはトラックレコードが少ないので発表されています。
● 年間EPSの増加率が25%-50%以上の銘柄を選択
→ 満たしている
● ROEが17%以上(出来れば25%以上)
→ 満たしていない(利益が出だした水準で2.7%と低い)

(補足条件)
● アナリストのコンセンサス予想が翌年EPSが上昇すると見込んでいる
→満たしている
● 実際のEPSに比べて営業CFが20%以上大きい
→営業CFがNon GAAP純利益の6倍もある

■ N(=New Products, New Management, New Highs)×→△


「N」の条件
● 成長著しい新興企業
● 新しい画期的な製品やサービスを提供
● 素晴らしい経営陣
● 正しい株価ベースを抜けて新高値

CRWDはCEOは変わっていませんし、製品という意味では全く新しいサービスを提供しているわけではありません。評価は最高峰ですが。

あとは、新高値を取れているかという点です。2月に記録した高値251ドルから最大約32%下落しています。しかし、オニールが基準とする33%未満の調整幅ですので、適切なベースの範囲内といってもよいでしょう。

再び最高値を狙える水準にきているということで△に引き揚げさせていただきます。

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■ S(=Supply and Demand) ×→×

「S」については、まだ株式数が増えている段階で、なおかつ需給が改善している状況ではないので×のままとなります。


「S」の条件

(供給側)
● 発行済株式数が多い銘柄は上昇しにくい
→ 2億2500万株でそこまで多いわけではない
● 長期間かけて自社株買を継続している企業
→ むしろ現在はまだ発行している側

(需要側)
● 株価下落時で出来高が枯れてきているか、上昇時に出来高を伴っている
→ ベースの中ではあるが、まだ売が枯れてきている様子は見られない

(補足条件)
● 経営陣が発行済株式の1%-3%以上を保有(中小型株なら3%以上)
→ CEOは全株式の8%を保有している
● 過去2-3年の間に総資本に対する負債率が減少している
→ むしろ増加基調である

(注意点)
● 過度な株式分割を行う企業は危険
→ まだ株式分割はおこなっていない


■L(=Leader or Laggard)△ → ◎

Lについては業界内順位とRSが上昇していることで◎に引き上げました。


「L」の条件
● 業界内で上位2-3位の銘柄を狙う(時価総額ではない)
→ 3位で条件満たす(前回は5位)
● レラティブストレングス指数が80以上(大化け銘柄の平均は87)
→ RSは86で条件満たす (前回は82)

(注意点)
● 共振株(=おこぼれ企業)には投資しない
→ リーディング企業であり問題ない
● レラティブストレングス指数が60以下の企業に投資してはいけない
→ RSは86


■ I(=Institutional Sponsorship) ×→△


結局株価が勢いよく上昇するかどうかは機関投資家が購入するかどうかに依拠します。特に巨大な企業においては機関投資家の買い上げがないと株価は上昇しません。


「I」の条件
● 直近四半期で、株主数が著しく増加しているか?(一番重要)
→約20%上昇

● 最近の数四半期で、保有している機関投資家の数が着実に増加しているか?
→ 上昇している

Jun-20:841
Sep-20:993
Dec-20:1194
Mar-21:1346

ただ保有残高は微減しています。一部機関が売り抜けているのいが見て取れます。

● 株主となった機関投資家は優秀か?
→ 上位の機関投資家の成績は優秀(参照:前回の分析)

以下は保有残高ですが3末までで少し減少しています。報告の時差があるので6末時点の残高はまだわかりませんが、一部売られていることから△という評価にします。

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■ M(=Market) △→ △

ファンダメンタルやチャートが良くても相場環境が悪ければ引きずられて下落してしまいます。

以下をご覧いただければわかると思いますが、現在2021年6月4日時点の相場は天井圏の様相を呈しています。


「M」の条件

(天井圏の傾向)
● 株価は寄り付きで強く引けで下落する傾向にある
● 前日より出来高が増加し且つ指数が0.2%以上下落する売抜日カウントが4週間-5週間で3-5日起こる。(上昇中に発生)
● 2-3週間という短い期間で売抜日が4日あっても注意が必要。
● 売抜日は1つの指数で確認されれば十分
● 上昇を先導していた先導株が下落を始める
● CANSLIを満たした銘柄を正しい買いポイントで買った直近の銘柄が伸びないものが多い
● 低価格で投機的なボロ株が浮上し始めたり、オールドエコノミーが堅調になる(新高値の中にしめるディフェンシブ銘柄の比率が上昇するのは弱気相場の始まりのサインになりうる)

(注意点)
● 売抜日はカウントから25営業日経過後に消滅。また、カウントした日の終値から5%上昇した時に同じく消滅。
● フォロースルー日を迎えたら累積売抜日はリセットされる。フォロースルー日とは投資家に有料株を買い戻しても大丈夫なタイミングを教えてくれるものです。

<<フォロースルー日とは?>>
前日比で上昇した日を1日目として、2日目、3日目が直近安値を下回らずに4日目以降に大幅な出来高上昇を伴って急激に上昇した時にフォロースルー日と考える。

(天井圏を見極める補足的な事項)
あくまで市場平均の値動きや出来高といった指標が最重要であるが、以下も補足的な天井圏のサインとして列挙しています。

● 平均株価に乖離が頻繁に起こっている。(SP500、ダウ平均、ナスダックがそれぞれ異なった動きをしている)
● アナリストの見通しが強気のものが多くなる
● 金利が上昇したり、今後の利上げ観測が顕在化する
● 買われ過ぎ、売られ過ぎを表す指標は信用しない

(上昇の試しが失敗するサイン)
天井をつけた後、再び上昇トレンドに戻す動きが失敗する時に発生するパターンについても言及しています。試しに失敗しそうなら更にポジション縮小を提言

● 反発した日(1日目)の翌日(2日目)も寄りは強いが引けにかけて弱い
● 3日目、4日目、5日目も上昇するが出来高は前日よりも少ない
● 指数の上げ幅が前日よりも少ない
● 前に付けた高値から直近の安値の半分も回復していない

(底の見分け方)
● フォロースルー日を経験する
● フォロースルー日の後に下落した場合も直近安値を下回らなければ合格
● あくまで市場の底入れのサインであり、最高の銘柄のベース抜けまで購入は我慢するべし

(底の見分け方の補足的事項)

● プットコールレシオが1を上回る(投機家たちが市場に悲観的になっている→底の可能性があるが、毎回そうなるとは限らないのであくまで補足的事項)
● 空売り比率の急増が通常2回か3回現れる
● 騰落ライン(1日に上昇した銘柄数と下落し銘柄数の比率)が弱気相場からの上昇を試みる時に下落する場合は、まだマーケットが脆弱であるサインとなる。(たった数社の先導株だけでは新たな強気相場を作るのには不十分)

毎週末土曜日にWeeklyレポート、ツイッターでDailyレポートをだしていますので参考にしていただければと思います。

最新のWeeklyレポートは以下となります。現在の環境はUptrend under pressureです。


■ CANSLIMまとめ

CANSLIMをまとめると以下となります

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C:◎
A:△
N:×→△
S:×
L:△→ ◎
I: ×→△
M:△

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