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【PLTR/米国株銘柄分析】ビッグデータを扱うAI企業!Paypalマフィアのピーター・ティールが導くスーパーAI企業「Palantir Technologies Inc,」の概要, ビジネスモデル, 今後の株価見通し(将来性/成長性)を直近決算とオニール流CANSLIMの観点から考察。

(このマガジンは取り上げた企業の投資を推奨する意図は全くないことを改めて確認いたします。企業の業績チェック、ビジネスモデル、新着ニュースをシンプルに定点観測する読み物です。)

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ワシらのマガジンで分析した米国企業については以下の目次で纏めておるぞ!

今回の記事はPLTRの銘柄解説じゃ!主に事業概要やビジネスモデルについて読んでいただきたい!

最新決算と最新のCANSLIM分析は順次上記の目次につけたしてゆくぞい!

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「Palantir Technologies Inc,」はビッグデータを活用したAI企業でテクノロジーの本丸と言える企業です。株価は2月に45ドルを記録してからは軟調な動きとなっています。ただ直近はカップウィズハンドルを形成しておりチャートポイント25.76を一旦上抜けています。(その後若干下落していますが..,)

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けど、正直なにしているかわからない企業ですよね。。

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もともと、米国政府や軍を相手にしておる企業じゃから、事業内容がわかりにくいのは致し方ないことよの。

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PalantirはPayPalマフィアのピーターティールが設立したビッグデータを用いたAI企業という「The Technology」といった企業です。

政府機関や軍関係者に対してサービスを提供してきたこともあり、謎に包まれている部分が多い企業でもあります。

本日はPalantirの事業内容についてPress Conferenceの内容にも言及しながら、お伝えした上で上場して間もないのでトラックレコードも少ないですが業績推移を確認していきたいと思います。

1.会社概要

企業名:Palantir Technologies
本社:Denver Colorado
設立年月日:2003年
IPO:2020年9月30日(NASDAQ)
事業概要:ビッグデータ解析

名前はロードオブザリンクででてくる未来を見通す名前の水晶体であるパランティアが由来となっています。(ロードオブザリンクみてなくて疎くてすいません)

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ビッグデータとAIで全てを見通すという意気込みですね。

2.PLTRの歴史とCEO

2003年:PayPalの共同設立者であるピーター・ティールが設立
2004年:ティールはPayPalのエンジニアであるネイサン・ゲティングスとスタンフォード大学の学生であるジョー・ロンズデールとスティーブン・コーエンによるプロトタイプの作成に資金を提供。同年、ティールは、スタンフォード大学ロースクール時代の同僚であるアレックス・カープを最高経営責任者として採用。初期はティールの3000万ドルがほとんどの資金だった。
2009年:Information Warfare Monitorは、Palantirのソフトウェアを使用して、GhostNetとShadow Networkを発見。GhostNetは、ダライ・ラマのオフィスやNATOのコンピュータ、各国の大使館など103カ国の1,295台のコンピュータを対象とした中国ベースのサイバースパイネットワークだった。 Shadow Networkは、インドの安全保障・防衛機構をハッキングした中国ベースのスパイ活動。
2010年:ロイターと提携し、Palantir Metropolis 製品を「QA Studio」(定量分析ツール)として販売することを発表。当時の副大統領バイデンは、連邦政府が導入しているソフトウェア「Palantir」が成功したことを評価し、今後、他の政府機関にもこの機能を導入していくことを発表
2013年:リークされた文章によると、この時点でクライアントには、CIA、DHS、NSA、FBI、CDC、海兵隊、空軍、特殊作戦司令部、ウェストポイント、即席脅威撃退組織と同盟国、復興説明責任透明性委員会、国立行方不明・搾取児童センターなど、米国政府内の少なくとも12のグループ。4億5000万ドルを調達。2016年にかけて継続して調達を実現している。
2020年:パランティアは、米国で使用されているワクチン配分のためのソフトウェアであるTiberiusも開発。2020年9月の上場

設立者であり会長はPaypalマフィアの筆頭格でもあるピーターティールが設立した会社ということです。

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PaypalマフィアはPayPaLの設立に関わった伝説の7人じゃ!

ピーターティール:他にクラリウムキャピタルを創業
イーロンマスク:言わずとしれたテスラのCEO
マックス・レプチン:AffirmのCEO
リード・ホフマン:LinkedInを創業
デイビッド・サックス:社内用SNS「Yammer」を創業
ジェレミー・ストップルマン:Yelpを創業
チャド・ハリー:Youtubeを共同創業

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錚々たる面子ですね!猿なんかじゃなくて、こういうすごい人に娶られたかったです!

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ごらあああああああああ

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ただ、ピーターティールはあくまで会長です。創業初期からCEOとして今のPalantirをつくったのはアレックス・カープです。

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はい、いかにもインテリヤクザですね。儲かる気しかしません。実際儲かってます。(真顔)

ただ、両親はヒッピーで政治的な抗議運動に加わるような両親の家に生まれ子供の時から虐げられていたそうです。さらに失読症ということもあり自分の将来を暗くみていました。

ただ、幼少期を乗り越えてハバフォード大学で学士号、スタンフォード大学で法学博士、フランクフルトのゲーテ大学で新古典派社会理論の博士号を取得しています。

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米国のエリート学びすぎ問題….

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カープは祖父からの相続した資金をきっかけに投資を行い成功させてロンドンに資産運用会社であるCaedmon Groupを設立。

2004年にスタンフォード時代のピーター・ティールから声をかけられて共同でPalantirを設立してCEOに就任しています。彼の野望については事業内容の後にお伝えします。

3.PLTRの事業内容

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パランティアの響きはいいが、結局なにしておる企業ぞ!

という衆に向けてみていきたいと思う。PLTRが上場時にSECに出しておるS1や様々なメディアやYoutubeを元にみていくぞ!

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◼️:事業概要

パランティアはビッグデータ解析プラットフォームの開発・提供をしている企業です。パランティアは膨大なデータを可視化し、一見無意味なデータを統合することで業務を劇的に効率化し、生産性を高める「ダイナミック・オントロジー」という技術で世界最先端を走っています。

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よく聞くビッグデータって、結局なんなのですか?大学院のエリートがよく口にするワラワには暗号用語なんですが……

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まあ、その名の通り「大量のデータ」なんじゃが…..

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ビッグデータはただ量が多いというだけでなく4つの側面を有しています。(参照:日立)

大量データ:
既存の一般的な技術では管理できないデータ量です。名前そのままですね。現状は数ペタバイト以上という認識みたいです。

種類:
エクセルなどに落とし込めるような構造化データであるとは限りません。テキスト、音声、ビデオ、ログファイル、位置情報、センサ情報等のさまざまな種類の非構造化データも存在

頻度・スピード:

24時間発生するPOSデータ、交通系ICカードから生み出される乗車履歴データ等のリアルタイムのデータ

価値:
ビジネス上の価値がある情報

要は様々な型として落とし込めないようなデータやリアルタイムの莫大な情報をAIによって解析化して国や軍部に価値あるデータを提供したり、民間企業業務効率を効率化とコスト削減させる提案を行っているのがパランティアなのです。

◼️:GothamとFoundryという二つのプラットフォーム

パランティアは政府向けにGothamというプラットフォームと、民間向けにFoundryというプラットフォームを提供しています。

【Gotham(=ゴッサム)】

元々のパランティアの事業です。以下は上場時に提出されたS1の内容です。

最初のプラットフォームである Gotham は、防衛および情報部門の政府関係者向けに開発されました。このプラットフォームにより、ユーザーは、信号情報源から秘密情報提供者からの報告まで、データセットの奥深くに隠されたパターンを特定することができます。また、Gothamは、アナリストと運用ユーザーの間のハンドオフを容易にし、運用者がプラットフォーム内で特定された脅威に対する実際の対応策を計画・実行できるようにします。Gothamは現在、政府機関で幅広く使用されています。

犯罪調査や国防に重要な役割を果たしていきていると言われています。一説にはウサマビンラティンの場所を特定したのもパランティアといわれていますし、テロリストの追跡などに利用されてきた事が知られています。


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2008年12月には米国防省との間で陸軍のデータベース統合に関する1億1081万ドルの1年契約を結んだことでも注目を浴びておったの!

米国政府全体のデータのデフォルトOSになることを目指しておるそうじゃ!

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直近でも米軍と1億ドルの契約を締結したことをConference Callで発表しています。また、軍だけでなくヘルスケア分野にも契約は広がってきています。

米国陸軍、空軍、沿岸警備隊との新規契約を締結し、その中には米国特殊作戦軍との2年間で1億ドルの契約も含まれています。この実験では、当社のソフトウェアが実世界のシナリオに対して応用的なAIによる意思決定を促進し、敵を凌駕するためにデータを活用するノースコムの能力に革命をもたらしました。ヘルスケア分野では、米国でHHSやCDCと新たな契約を結びました。

7月には、米国政府がワクチンの生産、流通、管理を追跡するために使用しているTiberiusプラットフォームの契約を倍増したことを発表しました。これらの受賞は、パンデミックへの対策とヘルスケア分野におけるイノベーションの推進の両方において、当社の活動範囲が拡大していることを示しています。政府との連携は、防衛分野だけでなく、ヘルスケア分野にも広がっています。第2四半期、FAAは、航空機の認証および運航安全活動をサポートするソフトウェア・バックボーンの提供者として、パランティアを選定しました。


【Foundry(=ファウンドリ)】

ファウンドリは民間・商業用に提供しているプラットフォームです。同じくS1の中で要点を抜き出したものが以下となります。

ファウンドリー Foundryは、データの集中管理システムを構築することで、組織の運営方法を変革します。個々のユーザーは、必要なデータを一箇所で統合し、分析することができます。現在、当社のすべての商業部門のお客様がFoundryを使用しており、政府機関のお客様も数社使用しています。

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ビッグデータを用いて業務効率を改善させたり、コストカットをするための解析プラットフォームを提供しているわけじゃな!

欧州の大手航空機メーカーのエアバスの生産工程を効率化し、年間数十億ユーロ規模のロスカットを達成したことが話題になっておったの!

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具体的になにしてるかはブラックボックスですね。。

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国や軍を相手にしとることからも分かる通り、当然セキュリティーや機密性は高いからの。知ろうとするのが無理があるの。

とりあえず、「ビッグデータを用いて効率化と節約を行い、公的機関については情報解析なども行う企業」ということだけ押さえておけばよかろう

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具体的な内容が気になる方は直近のConference callで事例としてだされていたいくつかの例をお伝えします。

まずはブラジルの鉄鉱石の採掘会社であるRio Tintoの例です。

鉱業分野では、リオ・ティント社の最新鋭の地下鉱山にファウンドリが導入されました。この鉱山は、5つの独立した坑口で構成されており、200kmのトンネル、最大で地表から1.3kmの深さに達しています。リオ社はファウンドリを利用してデジタルマインを構築し、従業員の安全を確保し、業務を効率化しています。

センサーデータにより、リオ社はピンポイントの精度で機器の性能を監視し、地盤の状態を測定し、地下にいる従業員の安全を確保することができます。また、これらの作業を何千マイルも離れたブリスベンの拠点から行うことができ、洞窟探検の専門家が現場での作業を支援することができます。

またFoundryはブランドの需要予測にも使われています。

6月にはDataRobot社との新たなパートナーシップを発表し、顧客の需要予測の支援に注力しています。COVIDの混乱により、これらの予測を管理する旧来の方法はすべて台無しにされ、変革の必要性が非常に高まっています。DataRobotのモデル開発と、ファウンドリーのクラス最高のソフトウェア定義のデータ統合、オントロジー、運用アプリケーションとワークフローを活用することで、ブランドは需要予測にアジャイル戦略を採用し、数ヶ月ではなく数分で展開することができます。

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確かに需要予測ならイメージしやすいです!

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その他宇宙分野でも活躍しています。

私たちは、商業宇宙企業と協力して、237機の衛星を使ったメタコンステレーションを一晩で構築しました。メタ・コンステレーションとは、衛星の運用方法や情報収集の遅延を根本的に変え、AIを活用した意思決定の連鎖の基本となるリンクを生み出します。

パランティアのメタ・コンステレーション・ソフトウェアは、成長する衛星コンステレーションの力を利用して、AIを宇宙に展開し、地球上の意思決定者にインサイトを提供します。パランティアのメタコンステレーションは、既存の衛星を統合し、何百もの軌道センサーとAIモデルを最適化することで、

山火事の指標はどこにあるのか、気候変動は作物の生産性にどのような影響を与えているのか。また、海軍の艦隊はいつ、どこで作戦を行っているのか?といった地球全体でタイムセンシティブな質問をすることを可能にしています。


◼️:市場規模

パランティア自身がS1で推定する市場規模は1190億ドル(約13兆円)となっています。

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2020年の売上は11億ドルじゃから、まだまだ取るべきパイは多いとみておるということじゃな!

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政府部門:630億ドル
推定を行うに際して行った試算は以下となります。米国政府で260億ドル、他の国の政府で370億ドルとしています、

政府関係 当社は、米国およびその同盟国、ならびに自由民主主義に価値観が合致する海外諸国の政府機関を含む、政府部門のTAMを630億ドルと推定しています。米国政府部門のTAMを推定するために、当社はまず、国際通貨基金が公表している財務統計を用いて、米国における防衛、経済、教育、保健、一般公共サービス、環境保護、公共の秩序と安全など、政府のさまざまな機能に関わる連邦政府および州政府の支出総額を算出しました。このような支出のうち約5%がソフトウェアおよびコンサルティングサービスに対するものであると推定しました。さらに、政府機関のお客様とのこれまでの経験に基づき、当社のソフトウェア・プラットフォームが広く採用された場合に獲得できると考えられる割合を適用しました。米国の政府機関における TAM は 260 億ドルと推定しています。海外の政府機関における TAM は、米国政府機関におけるビジネス機会の推定と同じ方法を用いて、370 億ドルと推定しています。

商業部門:560ドル

商用分野における当社の推定TAMは560億ドルです。これは、年間売上高5億ドル以上の企業約6,000社を大まかに定義した世界中の潜在的顧客数に、組織の規模および既存顧客の支出に関する社内データに基づく潜在的商業顧客ごとの想定年間契約額を乗じて算出したものです。

◼️ 競争優位性

以下は競争優位性としてあげている点です。

✔︎ データ保護とガバナンスの為の機能をプラットフォームに組み込んでいる
✔︎ 他の企業が対処しようとしない、あるいは対処できない問題に対して展開
✔︎ 産業界には政府レベルのセキュリティを提供
✔︎ 政府には民間企業の幅広い経験をもたらす
✔︎ 組織内や分野を超えて拡大できるように構築されている
✔︎ 長期契約を獲得している(売上高上位20社の顧客は平均6.6年の契約)
✔︎ ヨーロッパをはじめとする世界中の米国およびその同盟国で使用(米国の敵国には与しない姿勢を明確化)

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まあ、政府部門に提供してきたことの信頼性やセキュリティーが強さの源泉ということじゃな!

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茶の湯TIME:GAFAMへ対抗しよう

ピーターティール氏とカープ氏はGAFAMに対抗しようとしています。現在、ビッグデータはGAFAMによって独占されています。これに対して明確な不快感を述べています。

「データを扱う企業に対する人々の懸念は非常によく分かります。データを扱う企業は、綿密かつ正確に規制されなければなりません。

データの管理と運用に関しては、透明性が求められ、しっかりと監視されなければなりませんが、重要なのは誰が監視するかという事です。

私は、これらの問題は、開かれた議論によって社会によって審議されるべきであると信じています。私を含め、多くの国民は、一部のシリコンバレーのIT業界の人間が審議する事に対して不快感を持っているのです。」

アレックス・カープ

一部の巨大テックが影響力を増大させつづけることで公的なセクターとしての役割をジフすることに懸念をいだていています。

GoogleのCEOサンダー・ピチャイはカンファレンスで特定の大企業が主導するAIの未来に対して懸念を抱く人々に向かって「何も心配しなくてよい。我々が世界をよくするから。」と傲慢ともいえる発言をしています。


しかし、「グーグルは中国で人工知能(AI)を開発して中国政府のスパイ活動に協力をしており、FBIやCIA)は調査をするべきだ」ティールが指摘しているとおり、透明性が担保されているかは怪しい状況となっています。またFBでも大量の個人データの流出などプライバシーの漏洩問題が頻発しています。

AIやビッグデータを自分たちの正義の名の下に導く巨大テック企業に対抗して、パランティアはAIをどうコントロールするかは民衆によって決められるべきであるという思想のもとパランティアを運営しているのです。

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GAFAMに社会規範まで規定される社会から脱しようぞ!という理念をもって運営しておるわけじゃな。(当然、ポジショントークもはいっとるじゃろうから差し引いて考えた方がよいぞ)

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4.PLTRの業績推移

それでは肝心の今まで発表された2021年6月末までの決算の内容をみていきましょう。PLTRは2020年9月30日に上場したためトラックレコードは短いことはご了承ください。

■ 順調に伸びる売上

以下はPLTRの売上の推移です。

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※YoY = year over year(前年同期比)

Q4-2019:$229.4M
Q1-2020:$229.3M
Q2-2020:$251.9M
Q3-2020:$289.4M(YoY+52%)
Q4-2020:$322.1M (YoY+40%)
Q1-2021:$341.2M(YoY+49%)
Q2-2021:$375.6M(YoY+49%)←New!!

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まだ、上場して間もない会社の場合は利益よりも売上の拡大の方が重要じゃからの!YoYで50%の成長を継続しているのは凄まじい成長率といえるじゃろう!

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■ 改善する利益率

次に利益率についてみていきましょう。以下は売上総利益率と、Non GAAP営業利益率とNon GAAP純利益率の推移です。(IRにNon GAAPの純利益が2019年3Q分、4Q分、2020年3Q分、4Q分がなかったので0としております。)

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着実に粗利、営業利益、純利益ともに改善してきています。

■ EPSと成長率の推移

以下は肝心なPLTRのEPSの推移です。IRから読み取れるのは2020年1Q、2Qと、2021年1Q、2Qであり、2020年3Qと4Qの数値はSeeking Alphaの数値となります。

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上場まもない企業は報告形式も毎期変わっておって集計が難しかったわい…

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※YoY = year over year(前年同期比)

Q1-2020:△$0.01
Q2-2020:$0.01
Q3-2020:$0.06
Q4-2020:$0.06
Q1-2021:$0.04 (YoY 500%)
Q2-2021:$0.04 (YoY+300%)
Q3-2021:$0.04 (YoY△33%)(Yahoo finance 予想)
Q4-2021:$0.04 (YoY△33%)(Yahoo finance 予想)

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まだ利益を積極的に狙っていく水準ではないということですね。また、利益が伸びても現状まだまだ新規株を発行して資金を調達している段階ですのでEPSは伸び悩む段階です。

◼️:Press Conferenceで示された直近決算の見解

最新決算を会社側がどう見ているのかを示した重要な部分を抜粋していきます。

第2四半期の契約金額合計は、前年同期比175%増の9億2,500万ドルとなり、長期的な成長の見通しが立ちました。

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ガイダンスでも伝えるが、長期的に2025年まで売上高は30%以上で成長しつづけると力強い成長ガイダンスをだしておるぞ!

また以下の通り素晴らしい決算であったと総括しておる

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✔︎2Qで20社の新規顧客獲得 (前四半期比+13%)
✔︎商用顧客は前四半期比で32%増加
✔︎米国事業は第2四半期は前年同期比60%増
✔︎第2四半期の政府機関の売上高は、前年同期比66%増
✔︎第2四半期の商業部門収入は前年同期比28%増(特に米国は90%増と加速)
✔︎第2四半期の総契約残額は前年同期比63%増
✔︎商用契約残額は前年同期比122%増
✔︎500万ドル以上の案件を30件、1,000万ドル以上の案件を21件成立
✔︎第2四半期に計上した契約総額は、前年同期比175%増
✔︎平均契約期間は、第1四半期末の3.7年から3.9年に増加
第2四半期の顧客単価は790万ドル(前年同期比19%増)

顧客単価は台石四半期から減少したが、これは急速な顧客獲得によるものと説明されており第2四半期に追加された新規顧客の影響を除くと、顧客1人当たりの平均売上高は、第1四半期に比べて9%増の880万ドルと説明しています。

■ 2021年3Qのガイダンス

PalantirはIRでガイダンスを発表しています。

For Q3 2021, we expect:
$385 million in revenue.
Adjusted operating margin of 22%.
For full year 2021, we are raising our outlook for:

Adjusted free cash flow to in excess of $300 million, up from in excess of $150 million.
Per long-term guidance policy, as provided by our Chief Executive Officer, Alex Karp, we continue to expect:

Annual revenue growth of 30% or greater for 2021 through 2025.

2021年3Qの売上高は$385Mを予想しており2020年3Qの売上高は$289Mとなっていますので年率33%の成長率となります。今までの50%近い成長率からは若干減退していますね。

Yahoo financeでのアナリスト予想も$381Mですので概ね会社予想と即した内容となっています。

Non GAAP営業利益率22%から算出される3QのNon GAAP 営業利益は$84.7Mとなります。2020年3Qが$73.1Mから考えられる成長率は15.8%といずれも鈍化しています。

2021年2Qの営業利益率が31%であることを考えると利益率そのものが低下予想となっています。ただ、まだまだ拡大期のPalantirからすると人員拡充や広告などの経費が発生するので一概に悪い状況とはいえません。

実際、カンファレンスコールで営業部門の人員を拡大しマーケティング費用を増加させていると述べています。

第2四半期には営業部門で60名以上を採用し、上半期の採用数が100名を超え、パイプラインも加速しています。2021年下半期にも好調な雇用が続くと見込んでいます。

第2四半期のマーケティング費用は、第1四半期と比較して約2倍に増加しました。これは、販売と採用のファネルを促進するために、ブランドマーケティングとパフォーマンスマーケティングの両方を引き続き強化しているためです。


2021年通期でみると調整後のFCFが従来の$150Mから$300Mに上方修正がなされています。更に2021年から2025年まで継続して売上高は30%以上の成長が見込まれると長期のガイダンスも発表しています。

利益についてのガイダンスはありませんが、Yahoo financeでは今後5年間で年率50%近いEPS成長となると見込んでいます。

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将来の成長見通しには会社側もアナリストも強い見通しを持っておるということじゃな!

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5. KPI (ユーザー数、ARPR)

それではROKUが重要としている指標について見ていきましょう。

まだ決算の数が少ないのでグラフにするほどのデータがありません。以下がEarning ReleaseとPresentationから拾ってきた数値です。

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基本的には売上高は以下で算出されます。

顧客数 ×  平均単価(Average Revenue Per Customer)

顧客数は順調に伸びていますが、トラックレコードが少なすぎて過去からの傾向がわかりません。ただ、Average Revenue Per Customerについては順調に伸びていることが確認できます。

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今2Qで単価が1Qに比べて下がっているのは先ほどPress Conferenceで見た通り単価の低い新規顧客が増えたことによるもので、その影響除けば$8.8Mと順調にふえておるの!

また、大口20顧客の単価がずば抜けており、このトレンドが売上に大きく影響してくるぞ!今期は$39Mと全四半期より10%も大きくなっておる

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6.財務状況とキャッシュフロー

財務の健全性とキャッシュフローについても十分に注視する必要があります。

■ 負債比率の推移

以下はPLTRの総負債比率ですが、一時期90%まで高まりましたが現在は上場したことで自己資本が厚くなったこともあり30%まで減少しています。

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◼️ 徐々に高まる営業CF

今は依然として株式の新規発行によって資金を調達していますが、徐々に営業CFが増加基調となってきています。

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ただ、投資CFが依然として少ないのは気がかりですが、まだ買収して拡大するフェーズではないということですね。

7.PLTRをオニール流に解析する!


オニールは米国では伝説として取り上げられているグロース株投資家です。

われわれの投資手法は、強いファンダメンタルを持つ企業、つまり独自の新製品や新サービスによってもたらされた大きな売上と増益を見せる銘柄を見つけ出し、そのような銘柄が適切に形成されたベース期間から抜け出して強気相場で大きく上昇を始める前に、正しいタイミングで買うということだ

-オニールの成長株発掘法-
ファンダメンタルが良好な銘柄を良いタイミングで仕込む必要があるのです。そのファンダメンタル部分がCANSLIMです。

CANSLIM分析手法について詳しく知りたいという方は以下のまとめ記事をご覧いただければと思います。

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以下では各条件について整理しながらPLTRについてオニール流に分析を行なっていきたいと思うぞ!

CANSLIMは初耳という衆もわかりやすいように書いていこうと思うゆえ、付いてきてくれい!

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因みにオニールが運営するInvestors Business Dailyでは8月20日時点で62点となります。(低い評価です)

■□━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━□■

C:△
A:×
N:◎
S:×
L:△
I: ◎
M:○

■□━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━□■

■ C(=Current Quarterly Earnings)△

まずはファンダメンタルで一番重要な「C」です。「C」は直近EPSに関する指標です。直近の成長は高いですが、前年度3Q、4Qの水準より低いこと、今年度のEPSがマイナス成長であることを加味して△とします。

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「C」の条件

● 最低条件は前年同期比直近EPS成長率は25%以上
→ 合格
● 強気相場の時は前年同期比直近EPS成長率は40%以上
→ 合格
● 過去10四半期に以前に比しEPS成長率が加速している
→ ようやく黒字になっている状況
● 直近売上成長率は少なくとも25%以上上昇、又は直近直近3四半期で売上増加率が加速していることが最低条件
→ 直近50%成長している

(補足条件)
● 2四半期続けて大幅にEPSが成長
→ 200%以上の成長を実現している
● 翌四半期、翌々四半期も力強い成長が予想されている
→ 成長の鈍化が予想されている
● 今後2年間で成長の軌道にのるガイダンスがある
→ EPS成長率は今年は△20%、来年は25%の成長が見込まれている。ただ、今後5年間の成長率は年率50%近くが見込まれている。
● 同業他社でEPSの成長率が高い銘柄が少なくとも1つ以上存在
→ Computer Software-Enterprise GroupのトップであるDOCUが高い成長を実現している

(注意点)
● EPS成長率が66%以上の減少が二四半期続けば危険
→ 問題なし

■ A(=Annual Earnings Increase)×

次はAです。Aは年間EPSの推移です。2020年9月末に上場しているのトラックレコードはありません。なので基本的に判定は難しいのですが、その他の点も殆ど満たしていないので「×」とします。

「A」の条件

● 過去3年連続で年間EPSが増加。EPS Stability(後述)が25以下
→ 2020年に悪化している。まだEPSが2020年通年まではでていないのでEPS StabilityはN/A。
● 年間EPSの増加率が25%-50%以上の銘柄を選択
→ 大幅に増加しており余裕で合格といえる
● ROEが17%以上(出来れば25%以上)
→ ROEは2021年ベースだと14.4%が予想されており

(補足条件)
● アナリストのコンセンサス予想が翌年EPSが上昇すると見込んでいる
→ 20%の減速が見込まれている
● 実際のEPSに比べて営業CFが20%以上大きい
→ 40%大きくなっている

■「N」(=New Products, New Management, New Highs=新興企業、新製品、新経営陣、正しい株価ベースを抜けて新高値)◎

次は「N」です。Nは新しい何かを持っているかということになります。

「N」の条件

● 成長著しい新興企業
→ 新興企業ではない(意外に2003年創業)
● 新しい画期的な製品やサービスを提供
→ AIを用いた効率化や需要予測活用で先進的
● 素晴らしい経営陣
→ PayPalマフィアのピーターティールと彼の大学同期によって創業
● 正しい株価ベースを抜けて新高値
→ 新高値45ドルからは大きく下方に下落しているが、ベースを抜けるタイミングを迎えようとしている。

以下はPLTRの日足となっています。底値の17.05と考えると30%以上上昇したところで、ベースを形成しておりCup with handleを形成して現在出来高を伴ってhandleを上抜けています。

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■ S(=Supply and Demand) △

次は株式の需要と供給についての項目です。株式の供給は大きいですが需給が整ってきていることから「△」とします。

「S」の条件

(供給側)
● 発行済株式数が多い銘柄は上昇しにくい
→ 発行済株式数16億株と多い(時価総額も約5兆円)
● 長期間かけて自社株買を継続している企業
→ IPOから日が浅く寧ろ発行気味

(需要側)
● 株価下落時で出来高が枯れてきているか、上昇時に出来高を伴っている
→ 直近下落時に出来高が枯れて上昇時に出来高を伴っている

(補足条件)
● 経営陣が発行済株式の1%-3%以上を保有(中小型株なら3%以上)
→ ピーターティールが700万株(0.42%)とCEOのカープ氏が640万株(0.40%)の保有比率となっている。
● 過去2-3年の間に総資本に対する負債率が減少している
→ 低下傾向にはある

(注意点)
● 過度な株式分割を行う企業は危険
→ 株式分割はおこなっていない。


■「L」(=Leader or Laggard=主導銘柄か、停滞銘柄か)△


主導株か停滞銘柄かという基準としてLがあります。Lの条件は以下なのですが、レラティブストレングスが高いのですが業界順位が38位と低いので△とします。

「L」の条件

● 業界内で上位2-3位の銘柄を狙う(時価総額ではない)
→ 業界の中で36位 (8月20日時点)。1位はDOCU
● レラティブストレングス指数が80以上(大化け銘柄の平均は87)
→ レラティブストレングスは93と高い

(注意点)
● 共振株(=おこぼれ企業)には投資しない
→ おこぼれ企業ではない
● レラティブストレングス指数が60以下の企業に投資してはいけない
→ レラティブストレングスは93と高い。とはいえ今の値動きが続けば大きく低下することが見込まれます。

PLTRはまだ利益拡大フェーズではないということもあって業界内順位は低くなっています。

画像63


■「I」(=Institutional Sponsorship=機関投資家による保有)◎

株価を引き上げるのは機関投資家です。

「I」の条件
● 直近四半期で、株主数が著しく増加しているか?(一番重要)
→ 増加している
● 最近の数四半期で、保有している機関投資家の数が着実に増加しているか?
→ 6末時点で大きく増加している
● 株主となった機関投資家は優秀か?
→ARK社が腰を据えて仕込んでいる

機関投資家の保有残高が減少しているので△とします。

過去4四半期の投資しているファンドの数は以下となります。投資家数は大幅に増加してきています。

Sep-20:84
Dec-20:157
Mar-21:193
Jun-21:461

一方、保有残高は以下の通りとなります。3末時点で保有残高は減少に転じていましたが、直近の6末に大きく上昇しています。

画像55

次にPLTRを保有している機関投資家についてみていきましょう。

画像56

なんと、構成トップはARKKとなっています。ARKKが優秀なファンドであることは敢えていうまでもないですね。

画像68

6位のARK ETF Tr-ARK Next Generation Internet ETFのリターンですが2021年んになってから軟調ではあるますが長期的に破壊的なリターンを出しています。

画像58


■「M」(= Market Direction) ○

市場全体がUptrendなのかどうかという点は非常に重要になります。

銘柄自体が良くても市場全体の調子が悪いと適切なベースを上抜けたファンダメンタルが良好な銘柄でも上昇しないという事態になります。

画像9

Mの条件についてはCANSLIMの目次記事の中でまとめておるぞい!

画像6


2021年8月20日時点のオニールのInvestors Business Dailyの評価はでは「Confirmed Uptrend(確固たる上昇相場)」となっています。

しかし、売り抜け日がS&P500指数で4、ナスダックで3と多くなっており必ずしも上昇する力が強いともいえません。そのため◎ではなく○としています。

マーケット環境については毎週土曜日に更新しているのでご覧いただければと思います。(直近レポートについては以下となります。)

■□━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━□■

C:△
A:×
N:◎
S:×
L:△
I: ◎
M:○

■□━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━□■

まとめ

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Palantirについてまとめると以下じゃ!

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✔︎PayPalマフィアのピーターティールが設立
✔︎CEOのカール氏はピーターティールのスタンフォード大学時代の同僚
✔︎ビッグデータを扱ったAI企業
✔︎従来から政府系や軍関係の案件の受注をしていた
✔︎テロの防止や軍関係の動きなどをサーチするのに活用されている
✔︎直近は民間にもサービスを提供し始めており爆発的に伸びている
✔︎需給の予測やコストカットを皮切りに様々な局面で活用されている
✔︎売上高は50%程度の高い成長を実現している
✔︎EPSはまだ伸ばしていくフェーズではなく売上を伸ばすための人員拡充やマーケティング費用を拡張している
✔︎株価は45ドルから17ドルまで大きく下落しているが現状底値から30%以上上昇してカップウィズハンドルを形成している

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