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(米国株式市場1月3日〜7日)2022年第1週の合戦の振り返り!FOMC議事要旨、雇用統計で揺れる米株式相場。代表株価指数下落。S&P500は50MA、NASDAQは200MAへ接近、VIXは25台へ。来週は $TLRY $DAL $JPM $BLK が決算。年明け決算シーズンいよいよ開幕、君たちはどう生きるか?

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おはようございます!今週第1週目の相場が終わりましたね。

今週はFOMC議事要旨公表、雇用統計などあり相場は下落基調継続でしたね。流石に利上げ3回やるぜ、BSも縮小しちゃうよ?みたいなウルトラコンボが予定されていると、上昇するにも限界がありますよね。もうほぼ織り込んだと思いますが、来週以降の動きはどうなっていくのでしょう。



相場に試練が訪れている時は、キャッシュで待機する勇気を持ちましょう。逆流する波にはどんなサーファーでも乗ることはできませんし、たまに遭難します。

どうも、秀次郎@hidejiromoney)です。我々と、来週の合戦に向けて、今週の米国株式市場を振り返っておきましょう。

1. 今週の合戦の要約


・代表株価指数上昇は下落、S&P500は50MA上、Nasdaqは200MAへ接近。
・GAFAMTを筆頭に大型テック株被弾、金融・エネルギー関連株は上昇。
・1月5日の水曜日に株式相場ステータスは「Uptrend Under Pressure(上昇相場頭打ち)」に格下げ。売り抜け日累積中。
・FOMC議事要旨は利上げ開始後に保有資産の縮小(前回正常時よりも速度を上げる)などよりタカ派的な金融政策に移行した詳細を示した。
3月16日時点の利上げ確率:12月31日時点56.5%→本日(1/8)時点77.5%へ上昇。
・雇用統計は非農業部門雇用者数が前月比+19万9000人(市場予想+40万人)と大きく予想を下回る。
・失業率は22カ月ぶりの低水準となる3.9%と、前月の4.2%から改善(市場予想は4.1%)。
・時間当たり平均賃金は前月比0.6%上昇。11月の0.4%上昇から伸びが加速(つまりインフレ)。10年債利回り上昇。
NasdaqのVIXが25へ、NAAIMナンバーの水準はまだ低くアクティブファンドの積極性はなし。
・来週はTLRY、DAL、JPM、BLKなどが決算発表。年明け決算シーズンが開幕。



2. 代表株価指数動向(&強気相場 or 弱気相場判定)

□ 各株価指数の動き

1月7日(金)
1月7日(金)

代表株価指数は1週間を通して下落、Nasdaqは50MAを割り、200MAに限りなく近い位置にいます。S&P500も50MAにおり、来週の動きが注目されます(反発を期待したいところ)。


□現在は強気相場?弱気相場?

月曜日しか相場上昇していませんね(笑)1月5日の水曜日に株式相場ステータスは「Uptrend Under Pressure(上昇相場頭打ち)」に格下げされました。利益が伸びているお化け銘柄候補以外は手仕舞い、新規購入も極力避ける場面です。

売り抜け日はS&P500が3、NASDAQが1です。4-5週間で4-5日あれば天井から下落の可能性あり。ナスダックは売られ続けている割に売り抜けが少ないですね。近々どこかで盛り返すかもしれません。200MAで流石に反発して欲しいですね。



(売り抜け日とは?)

売り抜け日カウントが以下を満たせば天井圏の下落警戒となります。

● 前日より出来高が増加し且つ指数が0.2%以上下落する売抜日カウントが4週間-5週間で3-5日起こる。(上昇中に発生)
● 2-3週間という短い期間で売抜日が4日あっても注意が必要。

(売り抜け日カウント数とは?)

前日比で0.2%以上のマイナスを前日以上の出来高ともなって記録した日を「売り抜け日」とカウント。4-5週間で4-5日あれば天井から下落の可能性あり。2-3週間という短期間で売抜日が4日ある場合も注意が必要。

「フォロースルー日」を迎えたらカウントはリセット。「フォロースルー日」は下落局面で前日比プラスで引けた日から4-7営業日後に出来高を伴って大幅に上昇した日のことを指す。また、カウントから25営業日経過後にも消滅する。

ただ、上位の条件を満たさなくても売り抜け日がカウントされることもあります。これは「指数が失速する」という意味のカウントとなっています。

指数が活発な出来高の中で上昇していくなかで、前日と同じような出来高なのに停滞した場合にカウントがなされることがあります。



3.セクター別(1week)

□ S&P500

しっかり大型株が被弾した週でした。

MSFT-6.63%、GOOGL-5.41%、AAPL-3.04%、TSLA-2.82%、AMZN-2.50%

TSLAは1月3日に13%の上昇を見せましたが結局マイナスで今週を終えています。投資家泣かせのボラティリティですね。

金融株、エネルギー株は上昇。

WFC+14.15%、BAC+10.54%、JPM+5.56%

XOM+12.57%、CVX+6.54%


□ セクターETF騰落率 Highlight(1week)

当然ですが、レバレッジETFの赤が目立ちますね。それ以外は半導体SMHを除きマイルドな動きではあります。


4. FRB動向

(FRBの金利動向に気をつける)過去を振り返ると、FRBの金利が引き上げられたことがきっかけで弱気相場が始まり不景気に突入した歴史があります。弱気相場が終わるのは金利が下げられた時が多いです。最も簡単で役に立つ金融指標はFederal Fund(FF)レート(政策金利)。

コンピューターによる自動売買や様々なヘッジサービスによってリスクの高い弱気相場で発生する株価の下落から資金を守るために、ポートフォリオの大部分をヘッジするファンドが現れました。金利が急騰する場面は相場が下落しやすい仕組みになっています。

参考元:米FRB特集


□ 先週のHighlight(12月27〜31日)

◇ 米失業保険申請(米労働省)

  • 25日までの1週間の新規失業保険申請件数(季節調整済み)は前週比でほぼ変わらずの19万8000件(予想は20万6000件)。

  • パンデミック(世界的大流行)前の水準を引き続き下回っている。


□ 今週のHighlight(1月3〜7日)

◇ サプライチェーン(GSCPI)

  • インフレ高進に繋がっていた世界のサプライチェーン(供給網)に対する圧力はピークに達した可能性がある。

  • パンデミックからの回復過程で大幅に上昇していた輸送料がここ数カ月で鈍化し始めているとのこと。

◇ 米ISM製造業景気指数

  • 2021年12月の製造業景気指数は58.7と、前月の61.1から低下し、昨年1月以来の低水準となった。

  • 市場予想の60も下回った(指数は50が景気拡大・縮小の節目となる)。

◇ 米ADP民間雇用

  • 昨年12月の全米雇用報告は、民間部門雇用者数が+80万7000人、市場予想+40万人を上回った。2021年末の労働市場の堅調さを示唆。

  • 新型コロナウイルスのオミクロン変異株の感染が全国的に急拡大し始めた時期に重なり、雇用増の勢いは今後鈍化するとの懸念も。

◇ 米雇用統計(12月)

  • 非農業部門雇用者数が前月比+19万9000人(市場予想+40万人)と大きく予想を下回る。

  • 失業率は22カ月ぶりの低水準となる3.9%と、前月の4.2%から改善(市場予想は4.1%)。

  • 時間当たり平均賃金は前月比0.6%上昇。11月の0.4%上昇から伸びが加速。インフレです。来週12日には米国12月消費者物価(21:00)の発表があります。


◇ FOMC議事要旨(ポイント)

・従来の見通しより早期に利上げ開始(最大雇用が比較的早期に達成される可能性)、もしくは速いペースで実施することが正当化される可能性。
・利上げ開始後に保有資産の縮小、縮小は前回正常時よりも速度を上げる。
・オミクロン株により経済見通しの不確実性は高まっている。
・議事要旨はFRBが先月のFOMCで、目標の2%の2倍を超えるインフレ率に対処するため、よりタカ派的な金融政策に移行した詳細を示した。


□ 金利動向(FF先物金利/市場の利上げ織り込み)

参考:CME FedWatch Tool

  • 3月16日時点の利上げ確率:12月31日時点56.5%→本日(1/8)時点77.5%

  • 5月4日時点の利上げ確率:12月31日時点71%→本日(1/8)時点85.5%

  • 6月15日時点の利上げ確率:12月31日時点100%→本日(1/8)時点95.4%

テーパリングが終了する3月に利上げが既定路線ですね。年末の56.5%から77.5%まで跳ね上がっています。以下は6月会合の利上げ見込みです。

2回目の利上げ(50-75)が6月に46.3%で行われる可能性があります。インフレ動向を日々ウォッチしていきましょう。


□ FRBのバランスシート(BS)拡大・縮小動向

BSが拡大するということは、市場に流通する資金が増大して、景気を加熱させることに繋がります。

FRBは金利を引き上げる前に、まずはバランスシート(BS)の拡大停止(テーパリング、資産買い入れプログラムの変更)を実行します。すでにテーパリングは始まっており3月には終了します。グラフではまだクリアにわからないですね。これから拡大が鈍化、ストップしていく様が見られると思います。さみしくなりますね。

(2002/12/18-2022/1/5)

Assets: Total Assets: Total Assets

(2020/1/1-2022/1/5)


※資産買い入れプログラムについて、現在では米国債を月800億ドル(約8兆4千億円)、住宅ローン担保証券(MBS)は同400億ドルのペースで買い入れています。こちらのペースを下げることを「テーパリング」といいます。



繰り返しになりますが、12月のFOMCでテーパリングが決定しました。来年3月まで段階的に実行されます。米国債月200億ドル、MBS月100億ドルのペース(ペース調整あり得る)で実施されます。つまりこのベースでは2022年3月にテーパリングが終了することになります。

テーパリングはBSの「拡大」を細切にして終了させていくことですが、その後利上げ、そして次はBSの「縮小」が待っています(テーパリング→利上げ→BS縮小、QT)。


つまり株はオワコン時代に突入しますので、その時は覚悟を持って相場から離れて呪術廻戦などを読んで時間を過ごすのが良いかと思います。自粛が終焉を迎えるようであればリア充してください。

BSの縮小ですが、量的緩和で購入した債券などが償還された時に再投資しない場合はFEDのBSは縮小していきます。このようにバランスシートを縮小することをQT(Quantitative Tightening)といいます。


前回は4回利上げがおこなわれたあとQTが実施されましたが、今年はインフレ動向次第で前倒しで行われる可能性も頭に入れておきましょう。以下はゴールドマンサックスの資料です。ご参考までに。


□ ブレイクイーブンインフレ率

ブレイクイーブンインフレ率とは、債券市場が期待するインフレ率を意味します。

この1年間「5年ブレークイーブンインフレ率」と「10年ブレークイーブンインフレ率」は上昇基調で進んできましたが、5月に入り一服、6月に入り下落。横ばいが続いていましたが、10月に入り遂に上昇に転じました。


その後止まらず、どこまでいってしまうのかと心配でしたが、12月以降は流石に下げてきていますね。オミクロン株懸念後退により早くサプライチェーンが回復することを願ってやみません。

(2020/01/01-2022/1/7)

5・10-Year Breakeven Inflation Rate


□ 長期金利(2・5・10年債利回り)

長期金利の動向は株式市場関係者は非常に注意深く見ています。10年債利回りと株式のバリュエーションはシーソーゲームの関係にあるからです。金利が上がれば(債券が売られれば)株の評価は下がります(あえて、非常に簡易的に表現しています、評価が下がるのはそれだけではありませんし株価指数を観察する方が大切です)。

(2020/01/01-2022/1/6)

10・5・2Year Treasury Constant Maturity Rate

直近は上昇。昨日の雇用統計を以って10年債利回りはさらに上昇しました。


5. プットコールレシオ

ここでは1年の比率(%)を観察します。直近の投資家心理を確認します。


プットコールレシオ = Put売買金額 /Call売買金額

⑴プットコールレシオ > 1 = Putの売買代金が大きい = 投資家が株式相場下落を期待(悲観的)
⑵プットコールレシオ < 1 = Callの売買代金の方が大きい = 投資家が株式相場上昇を期待(楽観的)

で算出されます。つまりプットコールレシオが1を超えているということはPutの売買代金の方が大きく下落を警戒する投資家が多いことを意味します。これは相場が悲観的なことを意味しており相場の底局面ではプットコールレシオが高くなる傾向があります。

一方、プットコールレシオが1を下回っているということはCallの売買代金の方が大きく上昇を期待する投資家が多いことを意味します。ただ、これは楽観的であるということを意味しており、相場の高値圏ではプットコールレシオは低くなる傾向があります。



PUT CALL RATIO CBOE


S&P500のプットコールレシオは0.957となっています。1を下回っています。以下に当てはまります。楽観的な状況にあると出ています。とはいえほぼ1なので、中立でしょうか。


⑵プットコールレシオ < 1 = Callの売買代金の方が大きい = 投資家が株式相場上昇を期待(楽観的)



6. Volatility index(VIX指数/恐怖指数)

VIXとは市場で取引されている価格から逆算された「株式市場のボラティリティ」のことを指します。株価指数は上昇時は緩やかに上昇し、下落時は急落します。市場参加者が高いボラティリティを見込んでいるということは、市場に対して不安を抱いていると想像できます。

VIX指数は株価の先行きにどれほどの振れ幅(ボラティリティー)を投資家が見込んでいるかを示す「株価変動率指数」のうち、米国株を対象にした指数。通常、株安が懸念される局面で上昇し、20を超えると不安心理が高まっていると解釈される。その場合、「株価が今後1年間に約7割の確率で上下20%の範囲で変動する」と投資家が予想していることを示す。

2008年の金融危機の際にVIX指数が80超に上昇して注目を集めた。18年2月と10月にもVIX指数の上昇をきっかけに米国株が下落する場面があった。VIX指数の上昇に連動して機械的な株売りを出す「リスク・パリティ」などと呼ばれるファンドが存在するからだ。

(引用:日経新聞)

S&P500指数(VIX:青)とNASDAQ(VXN:ピンク)のVIX指数の5年推移は以下となります。

VIX/VXNの5年推移

20を超えると不安心理が高まっていると解釈されますが、Nasdaqは25.65まで上昇しました。オミクロン株ほどのVIX上昇(35程度)には全く及んでいませんね。


7. 空売り比率 (Short Volume)

空売り比率・ショートボリュームはNYSE(ニューヨーク証券取引所)で空売りされている株式の数をNYSEの総出来高との割合で示したものです。

この比率が高ければ投資家が市場をネガティブに見ていることが読み取れます。(「空売残」はShort Interestです。ここでは触れません)

特に暴落局面で注視するのが有効で弱気相場が底をつける時というのは空売りの「急増を示す数値の上昇」が通常2回か3回現れると成長株の巨匠・オニール氏は言及しています。


それではまずS&P500指数の空売り比率は以下となります。S&P500指数で最も取引Volumeが多いETFである「SPY」で見ていきます。

SPY - Short Interest - SPDR S&P 500 ETF Trust - Short Squeeze, Short Sale Volume, Borrow Rates, Fails-To-Deliver


そこまで大きな急増を示す数値の上昇は今週はありませんでした。ナスダックについても取引ボリュームが大きいQQQでみていきたいと思います。

QQQ - Short Interest - PowerShares QQQ Trust - Short Squeeze, Short Sale Volume, Borrow Rates, Fails-To-Deliver


問題なし、意外と大きな急増は確認できませんでした。


8. アクティブファンドマネージャーの動向(NAAIM Number)


次にNAAIM Numberです。NAAIM Numberはアクティブファンドの投資動向です。100を超えるということはアクティブファンドがレバレッジをかけていることを意味します。

12/22時点で67.02でしたが、今は89.54。まだ様子を伺っている状況だとは思います。当然強気ではありません。


9. 注目経済指標の動向


以下が今週の経済指標発表でした(マネックス経済指標カレンダーを参考)。雇用統計(非農業部門雇用者数)が大きく予想を外れました。

来週はCPIの発表です。


10.来週の決算

来週はTLRY、DAL、JPM、BLKなど金融関連株の決算です。いよいよ決算シーズンが幕開けです。


総括


・代表株価指数上昇は下落、S&P500は50MA上、Nasdaqは200MAへ接近。
・GAFAMTを筆頭に大型テック株被弾、金融・エネルギー関連株は上昇。
・1月5日の水曜日に株式相場ステータスは「Uptrend Under Pressure(上昇相場頭打ち)」に格下げ。売り抜け日累積中。
・FOMC議事要旨は利上げ開始後に保有資産の縮小(前回正常時よりも速度を上げる)などよりタカ派的な金融政策に移行した詳細を示した。
3月16日時点の利上げ確率:12月31日時点56.5%→本日(1/8)時点77.5%へ上昇。
・雇用統計は非農業部門雇用者数が前月比+19万9000人(市場予想+40万人)と大きく予想を下回る。
・失業率は22カ月ぶりの低水準となる3.9%と、前月の4.2%から改善(市場予想は4.1%)。
・時間当たり平均賃金は前月比0.6%上昇。11月の0.4%上昇から伸びが加速(つまりインフレ)。10年債利回り上昇。
NasdaqのVIXが25へ、NAAIMナンバーの水準はまだ低くアクティブファンドの積極性はなし。
・来週はTLRY、DAL、JPM、BLKなどが決算発表。年明け決算シーズンが開幕。



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