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(米国株式市場11月22〜26日)今週の合戦の振り返り!ブラックフライデーに代表株価指数大幅下落、南アフリカ変異株「オミクロン」誕生。旅行関連銘柄が売り叩かれワクチン銘柄は上昇。VIX急上昇、報道に大きく反応し市場心理は不安状態に。FRB議長はパウエル氏が続投決定。来週は再度注目を集める可能性あるハイパーグロース銘柄CRWD、OKTA、SNOW、DOCUなどが決算。

おはようございます。とんでもない金曜日でしたね。ブラックフライデーならぬ真っ赤なレッドフライデーでした。私ももちろん血みどろですよ?株価指数は今年最大の下げでした。

欧州で感染者数増加でブルーなムードの中、南アフリカの新型変異株でトドメを刺された感じですね。来週も下落は続くのかもしれません。覚悟しましょう。


まぁ、まだみんな死んでしまうほどの下げではありませんでしたね。偏頭痛を発症してしまった、くらいの水準でしょうか。

それでは、いつものごとく、張り切って今週のマーケットを振り返っていきましょう!


先週の合戦については以下↓↓↓

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今週は私(@hidejiromoney)がマーケット週報を担当します。金曜日のせいで調査が増えたので、できれば信太郎に今週の週報もやらせたかった←

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0.Covid-19パンデミックの状況

状況が状況なので新型コロナ変異株について、情報をキュレーションします。このまま今回出現した新型変異株「オミクロン(Omicron)」がこれまで開発したワクチンの効果を無にしてしまうのかどうかの攻防になると思います。欧州ではオーストリアとスロバキアがロックダウン(封鎖)、オランダも部分的ロックダウンへ。

WHOは、南アでは「この変異株は従来の感染急増よりも速いペースで確認されており、増殖に強みを持っている可能性がある」と記しました。


(後続で掲載しています)すでにファイザー(PFE)、アストラゼネカ、ジョンソンアンドジョンソン、モデルナが今後の見通しの声明を出しています。流石は米企業というか、動きが非常に早いです。


今までのワクチンが無になるのであれば、株式市場はもう一度コロナショック級の下げがくるかもしれませんし、それは新たな金融緩和の始まりになり、暴落の後に金融相場第二弾のボーナスタイムが来るのかもしれません・・・。人類にとっての不幸が株には好機。但し、経済は滅茶苦茶になり不幸な人が増加するでしょう。金融緩和でインフレとどう向き合っていくのかもまた...これまでのワクチンがオミクロンに効くのであれば、昨日急騰、急落した銘柄はそれぞれリバースするかと思います。

投資家としては、コロナショック第二弾の暴落を回避し、金融緩和拡大発表と同時に底値でフルインベストメントがベストでしょうが、イチ人類としては、既存ワクチンがオミクロンを退治し、生活正常化へ向かって欲しいと当然考えています。この土日も目が離せない展開ですね。


速報情報をまとめます。


◇ 欧州を中心に新型コロナ感染者が増加。

イギリスが欧州初の累計1000万人超え(一日の感染者が4万人を超える日が続く)。

(イギリス)

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ドイツ、感染者が最多更新

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ロシア、死亡者増加中

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(フランス、ロックダウン(都市封鎖)や外出禁止令の発動は想定なし

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オランダ、部分的ロックダウンへ、そしてさらなる対策へ)

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旅行関連株はこの影響で毎日のように株価を下げていました。

そしてトドメの。

◇ 南アフリカ新型変異株

(WHO曰く、最新のコロナウイルスの変異体は、懸念されている他の変異体よりも再感染のリスクが高いことを示す予備的証拠があるとの見解を示しました)

(香港で新型の2例目が確認されました)

(ジョンソンエンドジョンソンが新型変異株に向けてワクチンのテストをすでに始めているとの報道がありました)

(ファイザー(PFE)曰く、ワクチンが効かない変異体が出現した場合、その変異体に対するワクチンを約100日で開発・製造することを期待しているとのこと。何事も超スピードで対応していく米企業は凄まじいですね)

(モデルナは、既存のCovid-19ワクチンのブースター候補3種をOmicron変種に対してテストする)

(南アフリカの科学者であるサンネ氏は、変種によるCOVID-19の重症化を防ぐために、ワクチンが依然として有効であることを示すあらゆる兆候があると述べています。)

(アフリカの変異株の感染者数は少ないとの主張。Worldmeterの統計を引用。↑上に貼っているのも同じくWorldmeterです。)

(オーストラリア、「心配な」Covidバリアントのために国境を封鎖)

(ベルギーで新しいCovid-19バリアントの疑いのある症例が2件検出される→ウイルス新種の感染を1件確認)

現在は情報が錯綜しすぎて「わからない」という状態ではないでしょうか。この記事の変異株情報は、随時更新していきたいと思います。


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※11/27(土)20:00更新

◇ NY州が緊急事態宣言

・新型コロナの新たな変異株を巡り、米国や香港などは南アフリカ共和国を含む一部のアフリカ諸国からの渡航制限を強化。
・ニューヨーク州のホークル知事は26日、緊急事態を宣言した。州内の新型コロナ感染者増加や新変異株「オミクロン」の脅威を理由に挙げた。


◇ ドイツ、チェコでもオミクロン株確認か

・ドイツとチェコの保健当局者は27日、それぞれの国でオミクロン株とみられる症例を確認したと明らかにした。
・欧州ではベルギーで確認されている。

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※11/28(日)10:00更新

◇ オミクロン変異体は、顕著な症状を伴わないマイルドな疾患に留まる?

・コロナウイルスの新しいオミクロン変異体は、顕著な症状を伴わないマイルドな疾患をもたらします。"南アフリカ医師会の会長、アンジェリーク・クッツェー氏"
・症状は軽度で、筋肉痛や疲労感が1~2日続き、体調が悪くなることもあります。これまでのところ、感染しても味覚や嗅覚が失われることはありません。軽い咳が出るかもしれません。目立った症状はありません。
・感染者の中には、現在、自宅で治療を受けている人もいます。病院はオミクロンの患者で過密状態にはなっていませんし、病院でワクチンを接種した人からも新型は検出されていません。他の国でワクチンを接種した人は、軽度または無症状であることがわかっています。


◇ ファウチ所長(パンデミック下で非常に発進直が高い)の最新コメント

・バイデン米大統領の首席医療顧問で米国立アレルギー感染症研究所(NIAID)のファウチ所長は27日、新型コロナウイルスの新たな変異株「オミクロン」が米国に既に流入している可能性はあると述べた。
・ファウチ氏はNBCの番組「ウイークエンド・トゥデイ」で、「そうだとしても驚かない」とコメント。「われわれはまだ検出してはいない」が、このウイルスが「これほどの伝染性」を示す状況では、「ほぼ必ず最終的には全体に広がっていくだろう」との見方を示した。

◇ (渡航制限)英国、イスラエル、シンガポール

・英国、イスラエル、シンガポールは、この新種のウイルスの脅威を理由に、南アフリカとその周辺国からの渡航を制限しました。
・木曜日の夕方までに、英国は南アフリカ、ボツワナ、エスワティニ、レソト、ナミビア、ジンバブエからのフライトを現地時間金曜日の正午から禁止しました。
・イスラエルとシンガポールの当局者も、モザンビークとともに同じ国をレッドリストに加えることを発表。


◇ 速報性の高い変異株に関するツリー(Twitter)

速報情報は私が見ている限り(当たり前ですが)英語の情報が圧倒的に速いですね。

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※11/28(日)19:00更新

◇ ボスティッチ氏(アトランタ連邦準備銀行の第15代社長兼最高経営責任者である米国経済学者)、新機種の登場により、経済への影響が予想以上に長期化する可能性があると指摘。

◇ 英国で新しいバリアント「Omicron」が2例検出される

◇ 新型コロナウイルス「Omicron」が拡大を続け、オーストラリアで感染者が発生

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それでは週報の本編に入っていきます。


1. 今週の合戦の要約

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・代表株価指数大幅下落、南アフリカ変異株「オミクロン(Omicron)」誕生。市場は一斉にリスクオフに。旅行関連銘柄が売り叩かれワクチン銘柄は上昇。
・株式市場ステータスは引き続き「Confirm Uptrend(確固たる上昇相場)」を継続。金曜日は大きく下落も出来高は縮小し売り抜け日数は据え置き。
・FRB議長はパウエル氏が続投決定、同氏発言の中で「インフレを防ぐためにあらゆる武器を使う」とタカ派な発言あり。また1.75兆円の大型歳出法案(気候変動・社会保障関連歳出法案)可決も迫っているとの見通しもあり金融政策正常化(テーパリング加速、利上げ前倒し)のペースを加速する可能性から株式市場は不安定化(テック系グロース株が下落)。
・VIX急上昇、南アフリカ変異株報道に大きく反応し市場心理は不安状態に。
・NAAIMナンバーは引き続き100超えも今後の南アフリカ変異株報道次第では大きく縮小可能性あり。
・来週は南アフリカ変異株報道次第では再度注目を集める可能性あるCRWD、OKTA、SNOW、DOCUなどが決算。

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2. 代表株価指数動向(&強気相場 or 弱気相場判定)

□各指数の動き

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当然、全指数下落です。金曜日(ブラックフライデー)の株価指数の動きは以下でした。

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・NYダウ平均:-2.53%
・S&P500:-2.27%
・ナスダック:-2.23%
・ラッセル2000:-3.67%

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原油先物は-13%と記録的な下落となりました。ワクチン銘柄BNTX+14.19%、MRNA+20.57%、PFE+6.11%、リモート関連銘柄ZM+5.72%。

引けから時間が経っているのにまた少し具合が・・・(笑)久しぶりのきつい下げでしたね。しかし、S&P500とナスダックは50日移動平均線よりまだ上です。この程度でヘコタレている場合ではありません。そういう話をしています。

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□現在は強気相場?弱気相場?

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Confirmd Uptrend(確固たる上昇相場)」継続です。金曜日の下げでステータス変更を覚悟しましたが、出来高が非常に薄い日でした。感謝祭の影響で機関投資家があまり機能しておらず、月曜日の動き次第ではすぐに「uptrend under pressure(上昇相場頭打ち)」もしくは「Market in correction(調整相場)」になりそうです。

難しいですが、短期トレードをしているのであれば、こんな時こそ8%を基準に個別株を損切りで手仕舞っていきましょう。上向いたと確信できる時に入っていけば良いのです。

致命傷を避けるのが最優先されます。致命傷さえ負わなければ何度でもチャレンジできます。


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(売り抜け日とは?)

売り抜け日カウントが以下を満たせば天井圏の下落警戒となります。

● 前日より出来高が増加し且つ指数が0.2%以上下落する売抜日カウントが4週間-5週間で3-5日起こる。(上昇中に発生)
● 2-3週間という短い期間で売抜日が4日あっても注意が必要。

(売り抜け日カウント数とは?)

前日比で0.2%以上のマイナスを前日以上の出来高ともなって記録した日を「売り抜け日」とカウント。4-5週間で4-5日あれば天井から下落の可能性あり。2-3週間という短期間で売抜日が4日ある場合も注意が必要。

「フォロースルー日」を迎えたらカウントはリセット。「フォロースルー日」は下落局面で前日比プラスで引けた日から4-7営業日後に出来高を伴って大幅に上昇した日のことを指す。また、カウントから25営業日経過後にも消滅する。

ただ、上位の条件を満たさなくても売り抜け日がカウントされることもあります。これは「指数が失速する」という意味のカウントとなっています。

指数が活発な出来高の中で上昇していくなかで、前日と同じような出来高なのに停滞した場合にカウントがなされることがあります。

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3.セクター別(1week)

□ S&P500

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ワクチン銘柄上昇(MRNA+31.11%等)、旅行関連株下落(DAL-9.32%等)


□ セクターETF騰落率 Highlight(1week)

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インバース(反対の動き)とVIX系のETFの緑が際立っていますね。


4. FRB動向

(FRBの金利動向に気をつける)過去を振り返ると、FRBの金利が引き上げられたことがきっかけで弱気相場が始まり不景気に突入した歴史があります。弱気相場が終わるのは金利が下げられた時が多いです。最も簡単で役に立つ金融指標はFederal Fund(FF)レート(政策金利)。

コンピューターによる自動売買や様々なヘッジサービスによってリスクの高い弱気相場で発生する株価の下落から資金を守るために、ポートフォリオの大部分をヘッジするファンドが現れました。金利が急騰する場面は相場が下落しやすい仕組みになっています。


□ Highlight

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参考:米FRB特集

□ 先週のHighlight(11月15〜19日)

◇ 全般

・金利と期待インフレ率は落ち着いた推移。
・欧州のコロナ再拡大が債券買いの要因に。
・まもなく次期FRB議長が決定。


□ 今週のHighlight(11月22〜26日)

◇ パウエルFRB議長続投

・バイデン米大統領は22日、パウエル連邦準備理事会(FRB)議長(68)を続投させる方針を決定。ブレイナード理事(59)を副議長に指名。
・パウエル氏コメント:「食費、住居費、交通費などの必要経費の上昇に対応が難しい家計が特に高インフレによる打撃を受けると認識している。景気を支援すると同時に、高インフレが根強いものにならないよう政策措置を利用していく
・発言の中で「インフレを防ぐためにあらゆる武器を使う」とタカ派な発言あり。また1.75兆円の大型歳出法案(気候変動・社会保障関連歳出法案)可決も迫っているとの見通しもあり。
・金融政策正常化(テーパリング加速、利上げ前倒し)のペースを加速する可能性から株式市場は不安定化(テック系グロース株が下落)。


□ 今後の予定

・12月3日:雇用統計
・12月15〜16日:FOMC

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□ ドットチャートの動き (9月FOMCの復習、次回は12月15日!)

ドットチャートはFOMCメンバーによる金利予想です。

更新は3月・6月・9月・12月です。6月は3月から引き続き、2021年での利上げは見込んでいませんでした。しかし今回の9月のFOMCで見通しが大きく変更されました。全体的に高い金利に向かってFOMCメンバーの予想が動いていますね。

(最新ドットチャート)

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11月のFOMCでテーパリングが決定されました。来年6月まで段階的に実行。
米国債月100億ドル、MBS月50億ドルのペース(ペース調整あり得る)で実施されます。利上げは経済状況次第、躊躇はしないとのこと。12月のドットチャートにも注目ですね。


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◇ GDP見通し(前回→今回)
2021年:7.0%→5.9%
2022年:3.3%→3.8%

◇ インフレ見通し(前回→今回)
2021年:3.4%→4.2%
2022年:2.1%→2.2%

◇ コアインフレ見通し(前回→今回)
2021年:3.0%→3.7%
2022年:2.1%→2.3%

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□ FRBのバランスシート(BS)拡大・縮小動向

BSが拡大するということは、市場に流通する資金が増大して、景気を加熱させることに繋がります。

FRBは金利を引き上げる前に、まずはバランスシート(BS)の縮小(テーパリング、資産買い入れプログラムの変更)を実行します。

(2002/12/18-2021/11/10)

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Assets: Total Assets: Total Assets

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※資産買い入れプログラムについて、現在では米国債を月800億ドル(約8兆4千億円)、住宅ローン担保証券(MBS)は同400億ドルのペースで買い入れています。こちらのペースを下げることを「テーパリング」といいます。

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繰り返しになりますが、11月のFOMCでテーパリングが決定しました。来年6月まで段階的に実行されます。米国債月100億ドル、MBS月50億ドルのペース(ペース調整あり得る)で実施されます。買い入れのペースは緩まりますが、緩和は継続です。まだまだ金融相場は続きます。が、このテーパリングが加速するとの市場の認識により株価はグラついています。

利上げに関してはすでに来年6月時点での利上げを織り込み始めています。2022年6月15日時点で利上げ確率は74.3%でしたが...。

2022年5月4日時点が47.1%から45.4%に下がっています。新型変異株に反応しています。激動の日々ですね。


□ ブレイクイーブンインフレ率

ブレイクイーブンインフレ率とは、債券市場が期待するインフレ率を意味します。

この1年間「5年ブレークイーブンインフレ率」と「10年ブレークイーブンインフレ率」は上昇基調で進んできましたが、5月に入り一服、6月に入り下落。横ばいが続いていましたが、10月に入り遂に上昇に転じました。

(2020/01/01-2021/11/12)

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10/5-Year Breakeven Inflation Rate


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現在は下落に転じてはいますが、緊張状態は続きます。


□ 長期金利(5&10年債利回り)

長期金利の動向は株式市場関係者は非常に注意深く見ています。10年債利回りと株式のバリュエーションはシーソーゲームの関係にあるからです。金利が上がれば(債券が売られれば)株の評価は下がります(あえて、非常に簡易的に表現しています、評価が下がるのはそれだけではありません)。

(2020/01/01-2021/10/28)

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10・5・2Year Treasury Constant Maturity Rate

短期債(2、5年)が上昇し長期債(10年)が下落するという動きがあり、その後先週は欧州のオーストリアのロックダウン、ドイツロックダウンの可能性を言及し債券の買いが進みました。欧州の感染状況はこの記事の冒頭の通りです。

そして、昨日は南アフリカの変異株「オミクロン」の登場。債券はさらに買われました。債券利回りは低下しています。1.68%→1.482%です。リスク回避の動きが顕著でした。

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有事の円も買われるまさにリスクオフの展開です。115円台だった円が113円台まで買われています。グロース株には追い風の展開ではありますが、これもまた変異株「オミクロン」への対策次第です。


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5. プットコールレシオ

ここでは年初来からの比率(%)を観察します。直近の投資家心理を確認します。

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プットコールレシオ = Put売買金額 /Call売買金額

⑴プットコールレシオ > 1 = Putの売買代金が大きい = 投資家が株式相場下落を期待(悲観的)
⑵プットコールレシオ < 1 = Callの売買代金の方が大きい = 投資家が株式相場上昇を期待(楽観的)

で算出されます。つまりプットコールレシオが1を超えているということはPutの売買代金の方が大きく下落を警戒する投資家が多いことを意味します。これは相場が悲観的なことを意味しており相場の底局面ではプットコールレシオが高くなる傾向があります。

一方、プットコールレシオが1を下回っているということはCallの売買代金の方が大きく上昇を期待する投資家が多いことを意味します。ただ、これは楽観的であるということを意味しており、相場の高値圏ではプットコールレシオは低くなる傾向があります。

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PUT CALL RATIO CBOE


S&P500のプットコールレシオは0.926となっています。1を下回っています。以下に当てはまります。

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⑵プットコールレシオ < 1 = Callの売買代金の方が大きい = 投資家が株式相場上昇を期待(楽観的)

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プットコールレシオで見ると、投資家はまだ上昇を期待している水準です。先週は0.83でしたので、流石にネガティブな見通しになってきてはいます。


6. Volatility index(VIX指数/恐怖指数)

VIXと言えば、昨日は急騰しましたね。市場が大慌てでした。

VIXとは市場で取引されている価格から逆算された「株式市場のボラティリティ」のことを指します。株価指数は上昇時は緩やかに上昇し、下落時は急落します。市場参加者が高いボラティリティを見込んでいるということは、市場に対して不安を抱いていると想像できます。

VIX指数は株価の先行きにどれほどの振れ幅(ボラティリティー)を投資家が見込んでいるかを示す「株価変動率指数」のうち、米国株を対象にした指数。通常、株安が懸念される局面で上昇し、20を超えると不安心理が高まっていると解釈される。その場合、「株価が今後1年間に約7割の確率で上下20%の範囲で変動する」と投資家が予想していることを示す。

2008年の金融危機の際にVIX指数が80超に上昇して注目を集めた。18年2月と10月にもVIX指数の上昇をきっかけに米国株が下落する場面があった。VIX指数の上昇に連動して機械的な株売りを出す「リスク・パリティ」などと呼ばれるファンドが存在するからだ。(引用:日経新聞)


S&P500指数(VIX:青)とNASDAQ(VXN:ピンク)のVIX指数の5年推移は以下となります。

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VIX/VXNの5年推移


以下は3ヶ月の推移です。

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VIX:28.61、VXN:28.45

20を超えているので明らかに不安心理が市場にはあります。

久々に強い上昇でした。まだコロナショック時の水準とはほど遠いですが(到達した時にはほとんどのファンドがお亡くなりになっているんですが)、こちらもこの週末でどれだけニュースが出てくるかで月曜日の動きが決まってきます。


7. 空売り比率 (Short Volume)


空売り比率・ショートボリュームはNYSE(ニューヨーク証券取引所)で空売りされている株式の数をNYSEの総出来高との割合で示したものです。

この比率が高ければ投資家が市場をネガティブに見ていることが読み取れます。(「空売残」はShort Interestです。ここでは触れません)


特に暴落局面で注視するのが有効で弱気相場が底をつける時というのは空売りの「急増を示す数値の上昇」が通常2回か3回現れると成長株の巨匠・オニール氏は言及しています。

それではまずS&P500指数の空売り比率は以下となります。S&P500指数で最も取引Volumeが多いETFであるSPYで見ていきます。


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SPY - Short Interest - SPDR S&P 500 ETF Trust - Short Squeeze, Short Sale Volume, Borrow Rates, Fails-To-Deliver

昨日のデータは反映されていませんが、それまでは落ち着いていました。

ナスダックについても取引ボリュームが大きいQQQでみていきたいと思います。


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QQQ - Short Interest - PowerShares QQQ Trust - Short Squeeze, Short Sale Volume, Borrow Rates, Fails-To-Deliver


そもそも空売り比率がSPYよりも高く推移するのがQQQですので、急激とまではいきませんが、昨日の大きな株価指数が反映されていないので、こちらもSPYと合わせて後で更新します。


8. 機関投資家やアクティブファンドマネージャーの動向

□ センチメントインジケーター

センチメントインジケーターは、個人投資家、機関投資家、海外投資家の過去12か月の株式ポジションと比較したもの。スコアが1を超えていたら、ポジションが増大していることを示し、-1を下回るとポジションが縮小していることを示しています。

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(Sentiment Indicator and Stock Positioning)

11月22日更新「0.0」(11月8日は「0.3」)。ファンドポジションは縮小しています。昨日の下げでさらに縮小しているかと思います。


□ NAAIM Number

次にNAAIM Numberです。NAAIM Numberはアクティブファンドの投資動向です。100を超えるということはアクティブファンドがレバレッジをかけていることを意味します。

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NAAIM Exposure Index

24日までのデータしかありませんが、100を超えておりアクティブファンド はレバレッジをかけている状況でした。昨日、重傷を負ったファンドもあるでしょうね。


9. 注目経済指標の動向

以下が今週の経済指標発表でした(マネックス経済指標カレンダーを参考)。来週は米雇用統計があります。FOMC前にどのような数字が出てくるのか、注目です。まぁそれよりも南ア変異株報道が目先は大事ですが。

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10.来週の決算

だいぶ決算シーズンも落ち着いてきました。マネリテ編集部からはCRWD、OKTA、SNOW、DOCUで速報を出したいと思います。モデルナ、ファイザーなどのワクチンの効果が無に帰した時に、これらの銘柄は光り輝きますので、まさかの最注目銘柄となっています。早く制限なしの旅行行きたいですね、皆さん。

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総括


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・代表株価指数大幅下落、南アフリカ変異株「オミクロン(Omicron)」誕生。市場は一斉にリスクオフに。旅行関連銘柄が売り叩かれワクチン銘柄は上昇。
・株式市場ステータスは引き続き「Confirm Uptrend(確固たる上昇相場)」を継続。金曜日は大きく下落も出来高は縮小し売り抜け日数は据え置き。
・FRB議長はパウエル氏が続投決定、同氏発言の中で「インフレを防ぐためにあらゆる武器を使う」とタカ派な発言あり。また1.75兆円の大型歳出法案(気候変動・社会保障関連歳出法案)可決も迫っているとの見通しもあり金融政策正常化(テーパリング加速、利上げ前倒し)のペースを加速する可能性から株式市場は不安定化(テック系グロース株が下落)。
・VIX急上昇、南アフリカ変異株報道に大きく反応し市場心理は不安状態に。
・NAAIMナンバーは引き続き100超えも今後の南アフリカ変異株報道次第では大きく縮小可能性あり。
・来週は南アフリカ変異株報道次第では再度注目を集める可能性あるCRWD、OKTA、SNOW、DOCUなどが決算。

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それでは良い週末を!!


ーFINー

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