見出し画像

【PINS/2021/1Q決算速報】成長するピンタレスト、2021年第一四半期の結果は売上◎、EPS◎。市場予想を上回る。CANSLIM定点観測。

(Pinterestの会社概要・歴史・ビジネスモデル考察は「【PINS】急成長著しい未来計画型SNSを運営するピンタレストの株価を分析!ビジネスモデルや業績推移を紐解いた上でオニール流にファンダメンタルやテクニカルを評価する。」を参照。)


「Pinterest(ティッカーシンボル:PINS)」のQ1-2021の結果が出ました。


■□━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━□■

※YoY = year over year(前年同期比)

・PINSの2021年1Q決算は、売上$485.23M/YoY+78%(アナリスト予想:$ 473.66M)。→◎
・EPSは0.11$/YoY+%(アナリスト予想$0.07)→◎
・修正EBITDA 83,824M
・ユーザー数:478M /YoY+30% (予想 480.5M)
・ユーザー単価:$1.04/YoY+34%

アフター:△10.31%

■□━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━□■


画像11

売上とEPSは大幅にBeatしたが、ユーザー数の伸びと単価が芳しくないの。特に単価は4Qを下回ってしまっておる。以下、Tweetでもまとめておるゆえ、何かあれば情報いただけるとうれしいぞい!

画像12


それでは2021年1Q決算の内容を詳しくみていきたいと思います。

1. Revenue(売上高)

Q1-2021:売上$485.23B/YoY+78%増(アナリスト予想:$ 473.66M)。

画像13

アナリストの予想を上回り文句ない結果といえるでしょう。2020年4Qより減少しているように見えますが、毎年1Qから4Qに向けて徐々に売上高が加速するので問題ありません。

■□━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━□■

■ 売上推移

※YoY = year over year(前年同期比)

Q1-2019:$201.9M
Q2-2019:$261.2M
Q3-2019:$279.7M
Q4-2019:$399.8M
Q1-2020:$271.8M(YoY +34%)
Q2-2020:$272.4M(YoY 4%)
Q3-2020:$442.6M(YoY +58%)
Q4-2020:$705.6M(YoY +76%)
Q1-2021:$ 485.23M(YoY +78%)

■□━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━□■

ガイダンスについては目次7でみていきます。

2. EPS(1株当たりの当期純利益)


Q1-2021:(non-GAAP)EPSは$0.11/YoY+190%(アナリスト予想$0.07)


EPSもアナリスト予想はクリア。EPS予想は「Yahoo Finance」で取れます。アナリストは保守的に予想を出すため、決算企業はこれを超えなければ市場から好感されません。

Pinterestは4四半期連続アナリスト予想を凌駕しています。

画像18


過去のEPS(non-GAAP)とYoYの推移は以下の通りです。

画像40

黒転して間もないので成長率が異常なレベルで高いですが利益が出始めているのは非常にポジティブですね。

例年、売上と同じく1Qから4Qに向けて加速していくので2020年4Qに比して弱くても問題ありません。

■□━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━□■

Q1-2019:$ -0.32
Q2-2019:$ -0.06
Q3-2019:$0.01
Q4-2019:$0.12
Q1-2020:$△0.10
Q2-2020:$△0.07
Q3-2020:$0.13(YoY +1200%)
Q4-2020:$0.43(YoY +258%)
Q1-2021:$0.11YoY+210%

■□━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━□■

茶菓子TIME:何故EPSの伸びが加速していくと見込まれている?

因みに決算を受けてまだ更新されていませんが、今後のEPSの成長予想は以下の通りとなっています。

(4月28日時点)

スクリーンショット 2021-04-27 22.03.40

画像5

今後5年のEPSの平均成長率が240%って高すぎませんか?何故ですか?

画像6

画像7

良い質問じゃ!ポイントは単価とソーシャルeコマースじゃ!

画像8


Seeking Alphaのレポートが非常に参考になるので、この内容を元にお伝えしていきます。

まず、広告単価がFacebookに比べて依然として低くなっており、拡大余地が大きいことが挙げられます。現在Facebookの広告単価は30ドル程度となっていますが、Pinterestはまだ3ドル程度と10分の1にすぎません。

顧客が伸びなかったとしても、広告単価が大きく引き上がるだけで大きな上昇をする余地があるのです。


次にFacebookのShop Digitalが成功をおさめていることから分かる通り、ソーシャルeコマースは今後莫大な可能性を占めています。

ソーシャルeコマースとはSNSの中でモノやサービスを購入することができる仕組みです。ピンタレストは自分の趣向をボードにまとめているので、ボードから推測される興味のありそうなモノやサービスを広告に出し、そのまま購入できる土壌が整っています。

更に現在進められているShopifyとのパートナーシップで100万以上の小売店やサービス提供主を獲得することができれば、この動きを加速させることができます。

参照:Pinterest and Shopify expand partnership to boost social commerce globally

ソーシャルeコマースは年率29%の勢いで成長し2026年には市場規模が1兆9000億ドルにもなる巨大な市場です。売上規模が年間20億ドル程度のPinterestからすると大きなインパクトをもたらすことが期待されています。


画像9

The moteley Foolの記事でもPinterestはソーシャルeコマースに適した企業であるとされておるからの!期待したいところじゃの!

画像8


3. 調整後EBITDA


調整後EBITDAは83.8M (前年同期 △53.3M)と大幅に改善。

4. CF (営業CF,投資CF,財務CF)


CFについてみていきます。営業CFが大幅に伸び、投資CFのマイナスを大きく上回っており健全な水準となっています。今後の投資をする余力も営業CFから出せるようになってきたということができるでしょう。
営業CF:270.5M /YoY 372.3% 投資CF:△35.1M (前年同期 57.8M) 財務CF:9.3M (前年同期 23.7M)

画像20

5. 企業KPI

今回重要なのが企業のKPIです。

5.1 ユーザー数

ユーザー数は前年同期比で30%以上上昇し478Mとなりました。アナリスト予想が485Mであったため、若干下回っていることになります。

画像21

また、成長率の鈍化も懸念されるポイントであることと、ガイダンスでお伝えしますが2Qの成長率も懸念されるところです。

5.2 ユーザー単価

ユーザー単価については$1.04となっています。前年同期の$0.77と比べて35.1%の上昇となっています。

画像22

4Qに比べて下落はしていますが、これは毎年売上と同じく1Qから4Qに向けて増加していく傾向にあるので問題はないでしょう。

6.財務状況(新株発行/設備投資/M&A)

Pinterestは上場から2年程度しか経過していないため、新規株式発行を継続的に行なってきました。

しかし、直近は新規株式発行の勢いは鈍化しており株式希薄化の度合いは低くなっています。

画像23

また、設備投資については1Qはあまり積極的に行なっていないことが伺えます。以下は投資CFの項目です。

スクリーンショット 2021-04-28 7.57.08

Purchase of property and equipmentは前年同期に比べても減少しています。ただ、次の項目で述べられている通りガイダンスでは設備投資を加速させることが想定されています。

7.ガイダンス

会社からの2Q会社ガイダンスは以下となっています。

第二四半期:売上高105%成長
全体Monthly Active User:10%台半ばの成長(鈍化?)
米国Monthly Active User:横ばい(今まで通り)
営業費用:積極投資で前年同期比増加を予想

7.1 売上高

今回決算発表直前のアナリスト予想は以下となっていました。

スクリーンショット 2021-04-27 12.55.01

つまり2Qの売上高は530.41Mと前年同期272.48Mから94.6%成長がみこまれていました。

そのため、今回の会社ガイダンスである105%は予想を大幅に上回るポジティブな内容といえるでしょう。

7.2  EPSについて

EPSについて会社からのガイダンスはありませんでした。

アナリスト予想も決算を受けてまだ更新されていませんが、2Qの見通しがどのように変更になるか注目されるところです。

スクリーンショット 2021-04-28 7.10.48

7.3 会社KPIについて

今回Afterで株価の大きな下落の要因となっていると思われる会社KPI

MAUが10%台半ばの伸びとなるということは、2Q時点でのユーザー数は仮に10%台後半の15%と仮定すると以下の通り約480Mとなり1Q時点とユーザー数が変わらないということになります。

画像15

画像16

つまり、ユーザー数が伸び悩むことが予想されているということですね。

画像17


結局事業規模はユーザー数×ユーザー単価ですからね。(けど、なぜ売上のガイダンスが強いのか精査する必要はありそうです….。単価に自信があるのでしょうか。)


8.決算を受けた株価の動き

日本時間朝8時現在、アフターでPinterestは10%下落しています。

スクリーンショット 2021-04-28 7.59.08


売上とEPSが予想を大きくBeatしたにも関わらず、大きく下落しているのはやはりユーザー数の伸びとユーザー数のガイダンスが悪かったことが影響しているのではと考えています。

一応Yahoo financeでは以下のレポートがでています。

Pinterest Share Plunge in After Hours Despite Stellar Earnings Report

On the surface, the sell-off seems to make little sense. First-quarter revenue grew 78% from year-ago levels to more than $485 million. It also cut its net loss significantly, reporting negative earnings of $22 million. Pinterest lost about $141 million in the first quarter of 2020.

Moreover, the number of monthly active users (MAUs) rose by 30%, boosted by massive growth in the company's non-U.S. user base. Additionally, these users drove increased revenue as the average revenue per user (ARPU) surged by 34%

However, the selling occurred as the company warned growth might take a breather as the economy reopens. Other peers and industry watchers expect online growth to slow as users return to offline activities. This likely explains why Pinterest only offered guidance for the upcoming quarter.

Still, Pinterest stock may appear priced for perfection. It has retreated in recent weeks and pulled back after almost reaching the $90 per share level. Though the sell-off takes Pinterest to about $70 per share, that still amounts to a 185% gain over the last 12 months. Moreover, it still sells for about 25 times sales.

画像26

要は決算は素晴らしかったが、経済の回復に伴って成長が一息つく可能性があると会社が発表したこと(これはユーザー数の伸びの鈍化のことじゃろう)や、同業他社がオンラインの成長が鈍化すると予想していること、不透明感がましてるため第2Qのガイダンスのみを発表したことを挙げておるの。

画像8


そもそもPinterestはCup with Handleを形成しかかっていましたが、株価は4月16日に大きく下落していました。

スクリーンショット 2021-04-28 8.07.45

Cup with handleってそもそも何?という方は以下のツイートをご覧ください。

この下落の要因についてはCleveland社がPinterestの広告主が減速したことを報じたことで、1Q決算に対して懐疑的な見方が優勢となり大きく売られました。

Pinterest (NYSE:PINS) is 7.3% lower in the stock's worst one-day decline in weeks, alongside some inklings that the quarter may have fizzed at bit toward the end.
Cleveland Research says Q1 looks like it ended softer than mid-quarter expectations would indicate, and some agencies/partners noting a deceleration from Q4 levels.
And some omni-channel retailers are seeing Pinterest spending decelerating. That come amid chatter that Pinterest is not as good at campaign optimization as Snap, or growing as fast as Snap

参照:Seeking Alpha

しかし、当然これらのことを織り込んでアナリストは予想を作成しているので、市場の過剰な反応のように思えます。

そこから持ち直して再び最高値を伺うという流れの中で今回の決算でユーザー数の伸びの鈍化が懸念され、再び本日米国時間28日に叩き落とされそうです。

画像26

PINSはハンドル高値の88.90で狙っておったが、まだ買わせてくれそうにないのお。ただソーシャルeCommerseの将来性は大きいと見ておる故、引き続きWatch Listとして経過観察していくぞ!

画像8


9.CANSLIM定点観測

ここでは、以前にCANSLIM判定を行った2020年第4四半期からアップデートがあった部分を付け足していきます。

【PINS】急成長著しい未来計画型SNSを運営するピンタレストの株価を分析!ビジネスモデルや業績推移を紐解いた上でオニール流にファンダメンタルやテクニカルを評価する。


「CANSLIM」は成長株発掘法の著者、ウィリアム・オニール氏の成長株の見極めに用いられる判断指標です。

オニール氏の理念は、①「CANSLIMを満たすかどうかで真の成長株かどうかを見極める。」②「株価チャートで売買のタイミングを測り大きな利益の獲得を狙う。」というものです。CANSLIMを通してPINSはオニールが定義する「成長株」と言えるのかどうかを見ていきましょう。

因みに、オニール氏の判断指標を使っても、そこには個人の「意思」が入るため必ず株で勝てるということではありません。しかし、株式投資をする上で、最低限どのデータを見るべきか、どのように判断をしていくかといった「型」を身につけられる大きなメリットがあります。

「型」を身につけ、自分の相場観を養い、勝率が高い「自分の型、自分の投資手法」を確立していきましょう。

画像1

まず真似てから昇華させるのはどの分野でも同じぞ!!

画像2


筆者が行った判定結果は以下の通りでした。CANSLIMは残念ながら満たしていません。


■□━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━□■

C:○
A:○
N:△
S:×
L:○
I:○
M:○

■□━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━□■


画像1

因みにオニールが運営するInvestors Business Dailyの評価ではPINSは99点中97点とほぼ最高評価になっておる(4月28日時点)

画像2


9.1: C(=当四半期のEPSと売上) ◯

まずはCです。Cの基準として重要なのは以下の2つの基準です。

■□━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━□■

⑴ 当四半期のEPSが前年同期比で25〜30%以上か?直近数四半期に成長率は加速しているか?

⑵ 売上が25%(または直近3四半期で伸び率が加速)以上伸びているか?

■□━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━□■


⑴ 当四半期のEPSが前年同期比で25〜30%以上か?

直近四半期のEPSの成長率は190%と十分な水準です。直近数四半期でEPSは黒転しておりEPSの成長率は加速しているといえるでしょう。(黒転直後は成長率がばぐったように高くなるので鈍化と捉える必要はありません。)


画像40


⑵ 売上が25%(または直近3四半期で伸び率が加速)以上伸びているか?

また直近3四半期の売上高成長率も25%を大幅にBeatしています。

画像23

2020年3Q:58.25%
2020年4Q:76.45%
2021年1Q:78.43%

「C」については○で問題ありません。


9.2: A(=年間EPSの増加) 前回と同様 ○

年間EPSの推移を測るものなので、Q4-20から判定に変更はありません。

画像24

Pinterestは毎年順調にEPSを成長させています。


9.3: N(=新興企業、新製品、新経営陣、正しい株価ベースを抜けて新高値) 前回と同様 △

Q4-20から判定に変更はありません。PinterestがSNSの中では新しい形態ですが、今回の決算で新高値からまた遠ざかることを加味して△とします。


9.4: S(=株式の需要と供給) △

次に株式の需給をみる「S」です。

■□━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━□■

⑴ 浮動株比率(大企業(米国基準で時価総額100億ドル以上)であれば経営陣が1-3%、中小企業であればそれ以上が望ましい)

⑵ 自社株買いをしている企業かどうか。

⑶ 企業の負債比率が低く推移しているかどうか。

⑷ 直近の出来高(機関の大きい買いが確認できるか)

■□━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━□■

これは前回と変わっていないの割愛します。

(参照) PINSのビジネスモデルと2020年4Qの決算解剖

簡単にまとめると以下です。


⑴ 浮動株比率(大企業(米国基準で時価総額100億ドル以上)であれば経営陣が1-3%、中小企業であればそれ以上が望ましい)

→CEOと共同創業者で15%保有しているのでクリア

⑵ 自社株買いをしている企業かどうか。

→ まだ上場から年数がたっていないので新規発行で資金調達

⑶ 企業の負債比率が低く推移しているかどうか。

→ 健全

⑷ 直近の出来高(機関の大きい買いが確認できるか)

→ 直近大きな出来高を伴って下落しており×


9.5: L(=主導銘柄か、停滞銘柄か) ◯

業界の中で2番から3番以内の企業でレラティブストレングスが80以上の企業に投資すべしとしています。

PinterestはInvestors Business DailyのInternet-Content Groupの中で1位となっていますので完璧です。

スクリーンショット 2021-04-28 9.13.03


また、株価の値動きを示すレラティブストレングスは94と引き続き強さを保っています。

9.6:I(=機関投資家による保有) ○

個人投資家に株価を急騰させる力は余程の小型株でもない限りありません。

やはり、機関投資家の買いが重要な要素となってきます。(特に時価総額が5兆円あるPinterestに関しては重要ですね)

以下はPinterestに投資している機関投資家の数の推移です。

スクリーンショット 2021-04-28 9.17.49

順調に増えていますね。

また、Fintelでみても機関投資家の保有数量は増加の一途をたどっています。

(2021年4月28日時点)

スクリーンショット 2021-04-28 9.19.54

直近機関投資家の保有数量が大幅に下落しているように見えますが、これはSECの提出期限の問題です。

機関投資家のSECヘの提出期限が四半期末から45日となっています。ですので5月の中旬にならないと集計ができません。


また4月28日時点での機関投資家の保有上位は以下となります。

スクリーンショット 2021-04-28 9.21.04

スクリーンショット 2021-04-28 9.22.14

優秀なファンドが買っており、心強いですね。

9.7: M=(株式市場の方向) ◯

M=Marker Directionはテスラ株に関わらず全銘柄に関わることですので、週刊でレポートを作成していますのでそちらを参考にしてください。

米国大返し〜US Stock Market Magazine

「強気相場」であれば、グロース株も積極的に投資可能です。4月28日現在は強気相場です。


-以上-

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?