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【PINS/2021/2Q決算速報】、2021年第2四半期の結果は売上◎、EPS◎。広告単価の上昇が寄与し業績を引き上げる。ガイダンスの明言控える。アフターで暴落。CANSLIM定点観測。

(PINSの会社概要・歴史・ビジネスモデル考察は以下を参照してください。)

(Pinterestの会社概要・歴史・ビジネスモデル考察は「【PINS】急成長著しい未来計画型SNSを運営するピンタレストの株価を分析!ビジネスモデルや業績推移を紐解いた上でオニール流にファンダメンタルやテクニカルを評価する。」を参照。)

「Pinterest(ティッカーシンボル:PINS)」のQ2-2021の結果が出ました。


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※YoY = year over year(前年同期比)

PINSの2021年1Q決算

・売上$613.21M/YoY+125%(アナリスト予想:$561.88M)→◎
・EPSは$0.25/YoY+46.8%(アナリスト予想$0.13)→◎

MAU (Monthly Active User)
米国:91M (前Q98Mから減少)
米国以外:454M (前Q380M)

単価
米国:$5.08 (昨年2Q$2.5、前Q$3.99)
米国以外:$0.36 (昨年2Q$0.14、前Q$0.26)

アフター:△19%

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それでは2021年2Q決算の内容を詳しくみていきたいと思います。

1. Revenue(売上高)

Q2-2021:売上$613.21M/YoY+125%(アナリスト予想:$561.88M)。

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■ 売上推移

※YoY = year over year(前年同期比)

Q1-2019:$201.9M
Q2-2019:$261.2M
Q3-2019:$279.7M
Q4-2019:$399.8M
Q1-2020:$271.8M(YoY +34%)
Q2-2020:$272.4M(YoY 4%)
Q3-2020:$442.6M(YoY +58%)
Q4-2020:$705.6M(YoY +76%)
Q1-2021:$ 485.23M(YoY +78%)
Q2-2021:$ 613.21M(YoY +125%)

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売上高の上昇は加速しており非常にポジティブです。

2. EPS(1株当たりの当期純利益)

Q2-2021:(non-GAAP)EPSは$0.25/YoY+46.8%(アナリスト予想$0.13)

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Q1-2019:$ -0.32
Q2-2019:$ -0.06
Q3-2019:$0.01
Q4-2019:$0.12
Q1-2020:$△0.10
Q2-2020:$△0.07
Q3-2020:$0.13(YoY +1200%)
Q4-2020:$0.43(YoY +258%)
Q1-2021:$0.11(YoY+210%)
Q2-2021:$0.25 (YoY47%)

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EPSは4四半期連続でアナリスト予想をBeatし続けています。

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3.会社KPI

PINSはSNSの会社なのでユーザー数の推移が重要になります。全世界でのユーザー数は順調に推移していますが、本拠地の米国のユーザー数が減少しているのはネガティブですね。

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ただ、単価は米国で大きく上昇し結果売上とEPSを引き上げています。

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ただ、ガイダンスでも暗い見通しが示されています。以下で見ていきましょう。

4.ガイダンス

会社からの3Q会社ガイダンスは以下となっています。

YFでは売上高は9末は630.6M(YoY42%)を見込んでおり想定通りですが、MAUに対して暗い見通しが示されています。カンファレンスコールをおって見ていく必要がありそうです。

現在進行中のCOVID-19パンデミックやその他の要因による不確実性を回避するための活動を続けています。現時点では、第3四半期の売上高は前年同期比で40%台前半の成長を見込んでいます。

第3四半期の営業費用は、長期的な戦略的優先事項への投資を強化しており、第4四半期初めにはブランドマーケティングキャンペーンを再開する予定であることから、前四半期比で若干の増加を見込んでいます。

7月に入り、Pinterestのエンゲージメントの低下が続いています。2021年7月27日現在、米国のMAUは前年同月比で約7%減少し、全世界のMAUは約5%増加しています*。COVID-19パンデミックの進展や関連する規制は依然として不明であり、エンゲージメントの特定の主要ドライバーに対する可視性がないことから、2021年第3四半期のMAUに関するガイダンスは提供していません。

今後の見通しについては、電話会議でさらに詳しく説明する予定です。
2021年に向けた当社の主な戦略的優先事項は、コンテンツ、Pinnerエクスペリエンス、広告主の成功、ショッピングに集約されています。本年もこれらの分野への投資を継続する予定です。研究開発では、引き続きPinner製品、広告製品、計測機器への投資に注力する予定です。また、特に国際的な事業拡大を支援するために、従業員をさらに増員する予定です。これらの投資は、長期的な成長を支え、長期的に事業規模を拡大するための基盤を構築し続けるものと考えています。


5.CF (営業CF,投資CF,財務CF)

以下はCFですがIPOで調達した資金で順調に事業を拡大して営業CFが成長してきておりポジティブです。

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営業CF:104M (前年同期△36M)
投資CF:△11M (前年同期158M)
財務CF:6M (前年同期△0.4M)

6.財務状況(新株発行/設備投資/M&A)

以下はPINSの総負債比率の推移です。低下傾向にあり財務健全性は改善してきています。

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7.PINSのCANSLIM定点観測

CANSLIM分析は成長株投資の神として崇められるオニールが編み出した分析手法です。以下でまとめています。


当マガジンは各銘柄のCANSLIMを定点分析を行っています。PINSの前回のCANSLIMと今回のCANSLIMの推移は以下となります。

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C:○ → ○
A:○ → ○
N:△ → △
S:× → ×
L:◎ → ○
I:◎ → ◎
M:○ → ◎

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2021年7月30日時点のPINSのInvestors Business Daily上の総合評価は96点と最高に近い水準となっています。

■ C(=Current Quarterly Earnings)○

まずはファンダメンタルで一番重要な「C」です。「C」は直近EPSに関する指標です。直近の成長率は高くCの絶対条件は満たしているもののガイダンスが悪いことを加味して○としています

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「C」の条件

● 最低条件は前年同期比直近EPS成長率は25%以上
→ 合格(100%超え)
● 強気相場の時は前年同期比直近EPS成長率は40%以上
→ 合格(100%超え)
● 過去10四半期に以前に比しEPS成長率が加速している
→ コロナを機に成長が加速している
● 直近売上成長率は少なくとも25%以上上昇、又は直近直近3四半期で売上増加率が加速していることが最低条件
→ 125%成長しており直近増加している

(補足条件)
● 2四半期続けて大幅にEPSが成長
→ 3四半期連続で大幅に成長している
● 翌四半期、翌々四半期も力強い成長が予想されている
→ 翌四半期以降高い成長率でありながらも減速が予想されている
● 今後2年間で成長の軌道にのるガイダンスがある
→ 今後の成長率は今年より減速が見込まれている
● 同業他社でEPSの成長率が高い銘柄が少なくとも1つ以上存在
→ FBが高い成長率をだしている

(注意点)
● EPS成長率が66%以上の減少が二四半期続けば危険
→ 問題なし


■ A(=Annual Earnings Increase)○

次はAです。Aは年間EPSの推移です。以下の通りROEだけが基準を満たしていないですが、

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「A」の条件

● 過去3年連続で年間EPSが増加。EPS Stabilityが25以下
→ 2019年は僅かながら下落しているが直近2年は加速している。EPS Stabilityはまだ利益が出始めて日が浅いのでN/Aとなっている。
● 年間EPSの増加率が25%-50%以上の銘柄を選択
→ 年間EPS成長率は100%を超えている
● ROEが17%以上(出来れば25%以上)
→ ROEは13%と不合格

(補足条件)
● アナリストのコンセンサス予想が翌年EPSが上昇すると見込んでいる
→ 今年と来年で大きなEPSの上昇を見込んでいる
● 実際のEPSに比べて営業CFが20%以上大きい
→ 満たしている


■「N」(=New Products, New Management, New Highs=新興企業、新製品、新経営陣、正しい株価ベースを抜けて新高値)△


次は「N」です。Nは新しい何かを持っているかということになります。以下の点を加味して「△」という評価となります。

特に株価が苦境を迎えることを重く捉えています。

「N」の条件

● 成長著しい新興企業
→ 2009年設立で2019年IPOの比較的な新興企業
● 新しい画期的な製品やサービスを提供
→ 新しい形のSNSを展開している
● 素晴らしい経営陣
→ CEOのシルバーマンは卓越した創業者であることに疑いの余地はない
● 正しい株価ベースを抜けて新高値
→ 新高値を狙える位置まできていたが今回の決算の暴落で遠のいた


■ S(=Supply and Demand) ×

次は株式の需要と供給についての項目です。

「S」はあくまで急騰するための条件として必要な項目です。GAFAMのような大型銘柄で、この項目が悪かったから即座に投資対象から外すというのも早計です。

「S」の条件

(供給側)
● 発行済株式数が多い銘柄は上昇しにくい
→ 発行済株式数は5.4億株と多い(オニールは5億株で多いとしている)
● 長期間かけて自社株買を継続している企業
→ 自社株買は行なっていない

(需要側)
● 株価下落時で出来高が枯れてきているか、上昇時に出来高を伴っている
→ 下落時に大きな出来高を伴っており全く

(補足条件)
● 経営陣が発行済株式の1%-3%以上を保有(中小型株なら3%以上)
→ シルバーマンの保有比率7.9%で合格
● 過去2-3年の間に総資本に対する負債率が減少している
→ 下落しており財務の安全性がましている

(注意点)
● 過度な株式分割を行う企業は危険
→ 株式分割はおこなっていない。

直近のPINSの値動きです。下落時(赤)で出来高を伴い、上昇時(青)は比較的出来高が少なくなっています。売りが枯れた上での機関投資家の買いという理想的な状況とは程遠いですね。

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■「L」(=Leader or Laggard=主導銘柄か、停滞銘柄か)○

主導株か停滞銘柄かという基準としてLがあります。Lの条件は完璧に満たしています。しかし、今回の暴落で市場がオープンしてからレラティブストレングスが下落することが考えられるため○に引き下げとなります。

「L」の条件

● 業界内で上位2-3位の銘柄を狙う(時価総額ではない)
→ 業界の中で1位 
● レラティブストレングス指数が80以上(大化け銘柄の平均は87)
→ レラティブストレングスは87(ただし大きな下落が見込まれる)

(注意点)
● 共振株(=おこぼれ企業)には投資しない
→ おこぼれ企業ではない
● レラティブストレングス指数が60以下の企業に投資してはいけない
→ レラティブストレングスは87


■「I」(=Institutional Sponsorship=機関投資家による保有)◎


株価を引き上げるのは機関投資家です。機関投資家の買が確認されているかの条件についてオニールは以下の基準をお伝えしています。機関投資家の投資残高が増えていない点を受けて△としたいと思います。

「I」の条件
● 直近四半期で、株主数が著しく増加しているか?(一番重要)
→ ゆるやかに上昇している
● 最近の数四半期で、保有している機関投資家の数が着実に増加しているか?
→ 順調に右肩あがりに増加している。
● 株主となった機関投資家は優秀か?
→ 優秀なファンドによって保有されている

過去4四半期の投資しているファンドの数は以下となります。6末で減少に転じています。

Sep-20:944
Dec-20:1243
Mar-21:1535
Jun-21:1567

一方、保有残高は以下の通りとなります。3末時点まで増え続けています。残高も増え続けているということができます。(6末については8月中に集計がなされます)

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保有している上位ファンドは以下の通りとなっています。

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インデックスファンドがおおくなっていますが、上位のMorgan Stanley Inst Fd Inc-Growth PortやPrice (T.Rowe) Blue Chip Growth Fund Inc.の成績をみていきましょう。

✔︎ Morgan Stanley Inst Fd Inc-Growth Port

S&P500指数よりも高いリターンを出しているラッセル2000指数よりも高いリターンを叩き出している超優秀なファンドです。

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✔︎ Price (T.Rowe) Blue Chip Growth Fund Inc.

このファンドも直近1年間はS&P500指数に負けていますが、過去3年、過去5年、過去10年でいずれもS&P500指数を大きく年率リターンで凌駕している優秀なガンドです。

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■「M」(=Institutional Sponsorship=機関投資家による保有)◎

市場全体がUptrendなのかどうかという点は非常に重要になります。

銘柄自体が良くても市場全体の調子が悪いと適切なベースを上抜けたファンダメンタルが良好な銘柄でも上昇しないという事態になります。

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Mの条件についてはCANSLIMの目次記事の中でまとめておるぞい!

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2021年7月30日時点のオニールのInvestors Business Dailyの評価はでは「Confirmed Uptrend (確固たる上昇相場)」となっています。

毎週マーケットレポートを纏めていますので以下のマガジンで定点観察していただければと思います。


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