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(米国株式市場12月5〜9日)代表株価指数下落。タックスロス・セリング、WSJ提灯記事、各指標発表により市場は一時悲観ムード。来週12月13日はCPI発表、14日はFOMC、Tax Loss Sellingシーズンも終盤で年末ラリー or 地獄のクリスマスとなるかが確定する可能性

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おはようございます!シケた相場が続きますね。WSJニック・ティミラオス氏の記事(来年以降の利上げ観測)が出て以来、またタックスセリングシーズンということもありフラフラしています。

まぁ、この程度の上下動で右往左往していてはどうしようもないと思います。どっしりと構えていきましょう。

それでは今週の振り返りをしていきましょう!


1. 今週の合戦の振り返り(要約ver.)


  • 代表株価指数続伸。年初来(YTD)下落幅拡大:ダウ平均:-8.50%、S&P500:-17.97%、ラッセル2000:-19.99%、NASDAQ:-30.49%

  • S&P500とNASDAQのAD Line、50MAを上回っている銘柄比率は下落。タックスセリングシーズン、WSJニック・ティミラオス氏のFRB提灯記事、各種指標発表により市場は一時悲観ムード。

  • 株式相場ステータスは「Confirmed Uptrend(確固たる上昇相場)」継続も売り抜け日は増加しており新規ポジションを建てる際は細心の注意を払う必要あり。

  • 卸売物価指数(PPI)は前年比、前月比ともに上昇率が市場予想を若干上回った。しかし基調的に減速の傾向を示しているが、13日のCPI結果を待ちたい。

  • 12月FOMCでは50bpsの利上げ確率が70%台となっており、先週末の状況とトレーダーの期待は変わりなし。

  • プットコールレシオ、VIXを見ても相場の恐怖と緊張感は当然なく、引き続き楽観的なコンディションへ。緊張感のないベア相場が続く。

  • 来週の12月13日はCPI発表、14日はFOMC、タックスロスセリングシーズンも終盤で年末ラリー or 地獄のクリスマスとなるかが確定する可能性あり。



2. 代表株価指数動向(&強気相場 or 弱気相場判定)

ダウ平均は下落耐性がやはり強いですね。S&P500、ナスダックは辛うじて50MAの上に位置しています。

PPI(生産者物価指数)の発表が金夜にありましたが、結果は11月は総合・コアとも市場予想を上回ってしまいました(総合7.4%/予想7.2%/10月8.0%、コア6.2%/予想5.9%/10月6.7%)。しかし、10月より上昇率が鈍化してもいます。

相場は一時下落に転じましたが、その後回復し、そして引けにかけて失速しました。CPIに向けて機関がリスクポジションを下げていく動きなのかもしれません。


年初来からの4指数の動きは以下です。


  • (青色)ダウ平均:-8.50%

  • (オレンジ色)S&P500:-17.97%

  • (黄色)ラッセル2000:-19.99%

  • (水色)NASDAQ:-30.49%


蛇の生殺しのような相場ですね。流石に「もう米国株はええわ」と飽きていなくなる人も増えてきたんじゃないでしょうか。死んでいなくなるのではなく、飽きていなくなる方が今年は多そうです。(円安である程度ダメージが薄くなっているので)

来週13日のCPI、14日FOMCで年末までの株価動向が決まってくるでしょう。


□ S&P500指数

S&P500を見ていきましょう。赤線が50日移動平均線(MA)、黒線が200日移動平均線(MA)です。

今週は金曜日から5営業日連続下落、1週間で4営業日下落と絶不調でした。雇用統計後にWSJのニック・ティミラオス氏が「FRBは12月の利上げ幅の減少も2023年はさらに金利を上昇させることを検討する」といった趣旨の記事を書き、利下げ転換一辺倒の市場の期待に余白を与えました。

また現在はタックスロスセリングシーズンですので、12月半ばまでは辛抱する必要があります。基本的には感謝祭後から12月半ばまでに実行に移す投資家が多いです。

CPI発表(13日)、FOMC(14日)、タックスロスセリングシーズン終了(15日前後)が来週同時に来る訳です。来週、年末ラリー確変か、地獄のクリスマスになるかが決まります。

以下はAD Lineです。シーズン的に仕方ないのですが、下を向いてしまいましたね。

AD line(Advance/Decline Line)」とは以下を指します。

(今日上昇した銘柄数 - 今日下落した銘柄数) + 昨日のAD Line

「AD line」が上昇していればそれだけ相場のトレンドは強気ということです。上昇している時に株は買いましょう。


以下は50日移動平均線を超えている銘柄の数です。先週末は90.45%でしたが、現在は77.13%の銘柄が50MAを超えています。押しが入っていますね。常に90%を超えている状況が理想なのですが、それは金融緩和時にしか起こり得ません。

不況→金融緩和をとにかく待つのが大切ですね。一般的な投資家が大きく賭けていいのはその時だけです。


□ NASDAQ総合指数

続いてNASDAQです。

50MAを下回りそうな勢いです。2022年はとにかくナスダックがダメですね。GAFAMの終焉を感じさせます。Youtubeのゼロ成長は中々に衝撃でした。なるほど遂にYoutubeも天井なのかと。

以下はAD Lineです。地を這うような動きですね。ダメだこりゃ。

以下はナスダック100の50MAを上回っている銘柄の比率です。先週は85.29%となっておりましたが、70.58%と下がってしまいました。


□ 現在は強気相場?弱気相場?

11月2日のFOMC後の下落を受けて「Uptrend under Pressure(上昇相場頭打ち)」に格下げとなりましたが、11月10日のCPI発表後に株価は大暴騰し、現在は「Confirmed Uptrend(確固たる上昇相場)」に返り咲きました。現在もステータスは継続しています。

売り抜け日はナスダック2とS&P 500に3ずつカウントされています。株は買っても良い水準ではあるのですが、「Uptrend under Pressure(上昇相場頭打ち)」に突っ込みそうな局面でもあるので、ポジション建ては慎重に行ってください。(通常よりもかなり厳しい銘柄選定をお願いします)


■ それぞれの言葉の定義:

◇ フォロースルーデイ(FTD)

① 主要指数(S&P500/NASDAQ)が弱く寄りつき、強く引ける日(前日比プラス)を待つ =上昇の試し。

② ①が出現してから4~7日目(が理想、それ以前もその後も出現する)に、出来高を伴って約1.5%以上の上昇を見せる日を待つ。

◇ 売り抜け日(Distribution Day)
前日より「出来高」が増加し且つ「指数が0.2%以上下落」する。

◇ 売り抜け日カウント
以下を満たせば天井圏の下落警戒となる。

● 4週間-5週間で売り抜け日が3-5日起こる(市場上昇中にも発生)
● 2-3週間という短い期間で売抜日が4日あっても当然注意が必要

カウントから25営業日経過後には消滅する。また、上記の条件を満たさなくても売り抜け日がカウントされることもあり、これは「指数が失速する」という意味のカウントとなる。

株価指数が活発な出来高の中で上昇していくなかで、前日と同じような出来高なのに停滞した場合にカウントがなされることがある。

■ 参考:



3. FRB動向

(FRBの金利動向に気をつける)過去を振り返ると、FRBの金利が引き上げられたことがきっかけで弱気相場が始まり不景気に突入した歴史があります。弱気相場が終わるのは金利が下げられた時が多いです。最も簡単で役に立つ金融指標はFederal Fund(FF)レート(政策金利)。

コンピューターによる自動売買や様々なヘッジサービスによってリスクの高い弱気相場で発生する株価の下落から資金を守るために、ポートフォリオの大部分をヘッジするファンドが現れました。金利が急騰する場面は相場が下落しやすい仕組みになっています。

↓↓(参考元:米FRB特集

□ 先週のイベント(11月28日〜12月2日)

◇ 米11月雇用統計

  • 米労働省が2日発表した11月の雇用統計によると、非農業部門雇用者数は26万3000人増で予想を上回った。失業率は3.7%で横ばいだった。

  • 平均時給は市場予想4.6%に対して5.1%となった。

◇ 米ISM製造業景気指数

  • 米供給管理協会(ISM)が1日発表した11月の製造業総合指数(NMI)は49.0となり、2020年5月以来初めて50を下回り、約2年半ぶりの低水準となった。10月は50.2だった。

  • 米連邦準備理事会(FRB)の利上げにより財(モノ)の需要が冷え込んだ。また、投入価格指数の低下が継続しており、インフレ率が低下傾向を続ける可能性があるとの見方を支えた。

◇ パウエル米連邦準備理事会(FRB)議長講演

  • パウエル米連邦準備理事会(FRB)議長は30日、「早ければ12月にも」利上げペースを減速させる可能性があると述べた。

  • 一方、インフレとの戦いはまだ終わっておらず、最終的にどの程度の利上げが必要か、いつまで続くのかなど、重要な疑問が残っていると注意を促した。

  • 「われわれは経済を破綻させて、その後に後始末をしようとはしない」と述べ、政策当局者は早期の利下げを望んでいないため過度の引き締めを避け、利上げペースを減速させて時間と共にインフレを押し下げるのに適切な金利水準を探っていくとした。

◇ 米10月求人件数

  • 米労働省が30日に発表した10月の雇用動態調査(JOLTS)は、求人件数が35万3000件減の1030万件だった。

  • 減少したものの高水準にとどまっており、連邦準備理事会(FRB)の積極的な利上げにもかかわらず、労働市場がなお堅調に推移していることが示された。

◇ 米財貿易赤字

  • 米商務省が30日発表した10月の財(モノ)の貿易赤字は前月比7.7%増の990億ドルに急拡大した。世界需要の鈍化とドル高を背景に輸出が減少した。

  • 財の輸出は2.6%減の1737億ドルだった。原油を含む工業用品や消費財などが減少した。一方、食料品と自動車および部品は増加した。米連邦準備理事会(FRB)の利上げを受けたドル高により、米国製品が世界市場で割高となっている。

◇ 世界経済成長率

  • 米シティグループは30日、来年の世界経済の成長率が2%以下に減速するとの見通しを明らかにした。

  • これまでに米ゴールドマン・サックス、JPモルガン、英バークレイズなども同様の見通しを示している。

  • ネーサン・シーツ氏が率いるシティのストラテジストは、新型コロナウイルスの流行とウクライナ戦争による逆風を成長鈍化の要因として挙げた。

  • 「世界経済は今後1年間、国レベルのリセッション(景気後退)に悩まされる可能性が高い」との見方を示した。



□ 今週のイベント(12月5日〜9日)

◇ 卸売物価指数(PPI)

  • 米労働省が9日発表した11月の卸売物価指数(PPI)は前年比、前月比ともに上昇率が市場予想を若干上回った。ただ基調的に減速の傾向を示し、米連邦準備理事会(FRB)が来週の連邦公開市場委員会(FOMC)で利上げ幅を縮小する可能性もある。

  • 11月のPPI(最終需要向け財・サービス)は前月比0.3%上昇。10月の上昇率は0.2%から0.3%に上方改定された。

  • 前年比上昇率は7.4%。10月の8.1%から鈍化し、伸びは2021年5月以降で最小だった。

  • サービス価格は0.4%上昇。全体の上昇の大半を占めた。10月は0.1%上昇だった。証券仲介、ディーリング、投資アドバイスおよび関連サービスのコストが11.3%上昇。機械・車両卸売、ポートフォリオマネジメント、長距離自動車運送も上昇したが、旅客輸送、自動車および部品、ホテル宿泊費は下落した。

  • 財(モノ)の価格は0.1%上昇。10月は0.6%上昇だった。食品価格が3.3%上昇した一方、エネルギー価格が3.3%下落した。食品とエネルギーを除いたコア財価格は0.3%上昇した。前月まで2カ月連続で横ばいだった。

  • 変動の大きい食品、エネルギー、貿易サービス部門を除いた、いわゆるコアPPIは前月比0.3%上昇、前年比4.9%上昇。前年比の伸びは21年4月以降で最小だった。10月は前月比0.2%上昇、前年比5.4%上昇だった。

◇ アドビデジタル物価指数

  • 米アドビが8日発表した11月の米オンライン商品価格を示すアドビデジタル物価指数は、前年同月より2%近く低下した。

  • 下落率は新型コロナウイルスのパンデミック(世界的大流行)後で最も大きく、インフレ率を見る上で重要な分野の一つが減速を続けていることを示した。

  • 前月比は3.2%下げた。今回の価格低下は、米連邦準備理事会(FRB)が期待しているディスインフレに向かっていることを裏付けている可能性がある。

◇ 米ISM非製造業指数

  • 米供給管理協会(ISM)が5日発表した11月の非製造業総合指数(NMI)は56.5と、予想外に上昇した。内訳の雇用も改善し、来年に景気後退が懸念される中でも米経済の基調的な勢いを示した。

  • 10月は2020年5月以来、約2年半ぶりの低い水準となる54.4だった。

  • 50を超える数値は、米経済の3分の2超を占めるサービス業の拡大を示す。



□ 金利動向(FF先物金利/市場の利上げ織り込み)

参考:CME FedWatch


◇ 前提知識:FRBによる金利引上げ

  • 1回目:0%-0.25% → 0.25%-0.50%

  • 2回目:0.25%-0.50% → 0.50%-0.75%

  • 3回目:0.50%-0.75%→ 0.75%-1.0%

  • 4回目:0.75%-1.0% → 1.0%-1.25%

  • 5回目:1.0%-1.25% → 1.25%-1.50%

  • 6回目:1.25%-1.50% → 1.50%-1.75%

  • 7回目:1.50%-1.75% → 1.75%-2.00%

  • 8回目:1.75%-2.00% → 2.00%-2.25%

  • 9回目:2.00%-2.25% → 2.25%-2.50%

  • 10回目:2.25%-2.50% → 2.50%-2.75%

  • 11回目:2.50%-2.75% → 2.75%-3.00%

  • 12回目:2.75%-3.00% → 3.00%-3.25%

  • 13回目:3.00%-3.25% → 3.25%-3.50%

  • 14回目:3.25%-3.50% → 3.50%-3.75%

  • 15回目:3.50%-3.75% → 3.75%-4.00%

  • 16回目:3.75%-4.00% → 4.00%-4.25%

  • 17回目:4.00%-4.25% → 4.25%-4.50%

  • 18回目:4.25%-4.50% → 4.50%-4.75%

  • 19回目:4.50%-4.75% → 4.75%-5.00%

  • 20回目:4.75%-5.00% → 5.00%-5.25%



基本は「25bps」ずつの利上げです。しかし、景気動向によっては50bps利上げすることも考えられます。2022年5月FOMCは50bps実行、6/7/8月に75bpsの利上げを実行と、大幅な利上げを行なってきました。

11月も75bps(これで4回連続75bps)の利上げを行いました。つまり14回目まで利上げが終わっています。



  • 13回目:3.00%-3.25% → 3.25%-3.50%

  • 14回目:3.25%-3.50% → 3.50%-3.75%

  • 15回目:3.50%-3.75% → 3.75%-4.00%



今週金曜日終了時点では以下となっています。12月14日会合の50bpsの確率は77.0%となっています。先週と全く同じです。更新されてないのかと思いました。12月13日にCPI、FOMCは14日なので、最後までわかりません。


□ FRBのバランスシート(BS)拡大・縮小動向

BSが拡大するということは、市場に流通する資金が増大して、景気を加熱させることに繋がります。

FRBは金利を引き上げる前に、まずはバランスシート(BS)の拡大停止(テーパリング、資産買い入れプログラムの変更)を実行します。すでにテーパリングは3月に終了しています。


※資産買い入れプログラムについて、米国債を月800億ドル(約8兆4千億円)、住宅ローン担保証券(MBS)は同400億ドルのペースで買い入れていました。こちらのペースを下げることを「テーパリング」といいます。



現在の推移です。順調にシュリンクしています。利上げと緊縮の二刀流を進めています。

今は景気を冷ます「BS縮小」が6月1日より始まっています。

「テーパリング」はFRBのBSの「拡大」を細切にして終了させていくことですが、その後利上げ、そして次はBSの「縮小」です(テーパリング→利上げ→BS縮小/QT)。

BSの縮小ですが、量的緩和で購入した債券などが償還された時に再投資しない場合はFEDのBSは縮小していきます。このようにバランスシートを縮小することを「QT(Quantitative Tightening)」といいます。

前回は4回利上げがおこなわれたあとQTが実施されましたが、今回は「約9兆ドルに膨れ上がっているバランスシートについては6月、7月、8月に毎月475億ドル圧縮し、9月から最大950億ドル圧縮する」ということで既に縮小は開始されています。


□ ブレイクイーブンインフレ率(期待インフレ率)

「ブレイクイーブンインフレ率」とは、「債券市場が期待する」インフレ率を意味します。10年は2.26%、5年は2.30%となんと先週よりも下がっています。債券市場はインフレがここからさらに進むなど1ミクロンも思っていなさそうです。

債券市場はずっとデフレを見込んでいるんですよね。これは5、10年間の平均インフレ率が2.39-2.47%ということを意味しています。債券投資家は米国のハイパーインフレなど起こらないと考えている、とのことで。

あまりにも見通しが甘くない?インフレ止まってないよ?という声も多かったのですが、11月のCPI発表(予想下振れ、7%台に減速)でインフレピークアウトが見え始め、やはり債券投資家はとても賢い投資家が生息する場所なのだなと改めて実感しました。

実際にCPIの前年同期比は減速していましたからネ。経済指標を見る際も大局観が必要です。点を見ていては失敗します。とはいえ、雇用統計で平均時給がまだ高かったので、少し怪しい雰囲気が残っています。

とにかく12月13日のCPIです。

ここまでの期待インフレの過去の経緯を話すと以下の通りです。


  • 2021年11月:上昇転換しましたが、その後に年末にパウエル議長がインフレは「インフレは一時的」という認識を改め、緩和引き締めが意識されたことで暫く沈静化していました。

  • 2022年2月:ウクライナ戦争など地政学リスクで原油や小麦が急騰し、債券市場もインフレを懸念している動きが明確になっていました。今は積極的な引き締めが意識され、その動きが漸く一服しています。
    2022年5月:10年ブレイクイーブンインフレ率が一時は2.95%まで上昇しましたが、5月に入り2.62%まで下がりました。利上げペース織り込みデータとしっかり連動。しかし、雇用統計とCPIを受けて反転上昇、5年の期待インフレ率は再び3%を超えました。

  • 2022年6月:FRBの「インフレ対策に無条件でコミット」など発言もあり、また経済指標が曇り始めてきたことでリセッション懸念まで噂されるようになりました。ブレイクイーブンインフレ率もそれを織り込んでか下落に転じました。

  • 2022年8月:少々上昇していましたが、CPIの頭打ちを受けて下落、そのまま上昇はしていません。



□ 長期金利(2・5・10年債利回り)

長期金利の動向は株式市場関係者は非常に注意深く見ています。10年債利回りと株式のバリュエーションは「シーソーゲーム」の関係にあるからです。
長期金利が上がれば(債券が売られれば)株の評価は下がります。

秀次郎が超富裕層の気持ちになってじっくり考えてみると、元本保証に近い債券投資で4%などの利回りが確保できるのに、わざわざボラの高い株に投資をすることはないでしょう。あくまで元本が大きい人の考え方ですね。

実際、債券金利が上昇すると株式市場が下落するメカニズムは、こういうことです。以下は2020年からの推移です。

頭打ちしていますね。長期金利自体は先週より微上昇しました。株は下がりました。教科書通りです。

(12月9日時点)
(12月3日時点)


4. プットコールレシオ

ここでは年初来からの比率(%)を観察します。直近の投資家心理を確認します。


プットコールレシオ = Put売買金額 /Call売買金額

⑴プットコールレシオ > 1 = Putの売買代金が大きい = 投資家が株式相場下落を期待(悲観的)

⑵プットコールレシオ < 1 = Callの売買代金の方が大きい = 投資家が株式相場上昇を期待(楽観的)

上記で算出されます。つまりプットコールレシオが1を超えているということはPutの売買代金の方が大きく下落を警戒する投資家が多いことを意味します。(オニール流では1.15が基準)

これは相場が悲観的なことを意味しており相場の底局面ではプットコールレシオが高くなる傾向があります。

一方、プットコールレシオが1を下回っているということはCallの売買代金の方が大きく上昇を期待する投資家が多いことを意味します。ただ、これは楽観的であるということを意味しており、相場の高値圏ではプットコールレシオは低くなる傾向があります。



12月9日(金)終了時点では0.9となっています。市場は楽観的です。12月7日に1.17まで上昇しましたが、急降下しています。


5. Volatility index(VIX指数/恐怖指数)

VIXとは市場で取引されている価格から逆算された「株式市場のボラティリティ」のことを指します。

株価指数は上昇時は緩やかに上昇し、下落時は急落します。市場参加者が高いボラティリティを見込んでいるということは、市場に対して不安を抱いていると想像できます。

VIX指数は株価の先行きにどれほどの振れ幅(ボラティリティー)を投資家が見込んでいるかを示す「株価変動率指数」のうち、米国株を対象にした指数。通常、株安が懸念される局面で上昇し、20を超えると不安心理が高まっていると解釈される。その場合、「株価が今後1年間に約7割の確率で上下20%の範囲で変動する」と投資家が予想していることを示す。

2008年の金融危機の際にVIX指数が80超に上昇して注目を集めた。18年2月と10月にもVIX指数の上昇をきっかけに米国株が下落する場面があった。VIX指数の上昇に連動して機械的な株売りを出す「リスク・パリティ」などと呼ばれるファンドが存在するからだ。

(引用:日経新聞)


S&P500指数(VIX:青)とNASDAQ100(VXN:赤)のVIX指数の5年推移は以下となります。S&P500は20を上回っています。それなりに緊張感は持っているような気もしますが、2022年はずっとこの調子ですね。高く跳ね上がることもなく、まさに蛇の生殺し状態です。


6. アクティブファンドマネージャーの動向(NAAIM Number)

次にNAAIM Numberです。NAAIM Numberはアクティブファンドの投資動向です。100を超えるということはアクティブファンドがレバレッジをかけていることを意味します。

12月7日時点では55.69です。まぁ、横ばいですね。何度も言いますがCPI待ちです。


上昇相場には「常に100を超える」彼らのレバレッジが必要です。例えば2020年のコロナショック後の上昇相場時のNAAIMが以下です。

9月のレイバーデイあたりで60程度になったのが底で、それ以外はずっと高い水準を維持していますよね。このような相場の時こそ、鬼気迫る思いでフルインベストする時なのです。秀次郎はこの相場環境を首を長くして待っております。資産100億円を目指すにはビッグウェーブが必要です。


7.注目経済指標の動向

以下が今週の経済指標発表でした(マネックス経済指標カレンダーを参考)。今週はPPIの発表がありました(4.FRB動向に詳細記載)。


今週の総括

  • 代表株価指数続伸。年初来(YTD)下落幅縮小:ダウ平均:-8.50%、S&P500:-17.97%、ラッセル2000:-19.99%、NASDAQ:-30.49%

  • S&P500とNASDAQのAD Line、50MAを上回っている銘柄比率は下落。タックスセリングシーズン、WSJニック・ティミラオス氏のFRB提灯記事、各種指標発表により市場は一時悲観ムード。

  • 株式相場ステータスは「Confirmed Uptrend(確固たる上昇相場)」継続も売り抜け日は増加しており新規ポジションを建てる際は細心の注意を払う必要あり。

  • 卸売物価指数(PPI)は前年比、前月比ともに上昇率が市場予想を若干上回った。しかし基調的に減速の傾向を示しているが、13日のCPI結果を待ちたい。

  • 12月FOMCでは50bpsの利上げ確率が70%台となっており、先週末の状況とトレーダーの期待は変わりなし。

  • プットコールレシオ、VIXを見ても相場の恐怖と緊張感は当然なく、引き続き楽観的なコンディションへ。緊張感のないベア相場が続く。

  • 来週の12月13日はCPI発表、14日はFOMC、タックスロスセリングシーズンも終盤で年末ラリー or 地獄のクリスマスとなるかが確定する可能性あり。


ーFINー

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