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マーケティング支援会社のクリエイティブチームが、制作の相談ハードルを下げるために行った3つの取り組み

はじめまして。運用型広告を中心としたマーケティング支援を行っているアナグラム株式会社で、クリエイティブチームを任されている仙波と申します。今回はFeedforce Group Advent Calendar 2022の7日目として、アナグラムのクリエイティブチームで行ってきた取り組みを少しだけ紹介します。

昨日公開された6日目では、アナグラムの中島菜々さんが独自のワークスタイルと故郷の素晴らしさを語ってくれています。たったいま凍った指先でキーボードを叩いているのもあり、温泉が恋しくなってしまいました。

クリエイティブチームを立ち上げた背景

わたしたちが得意としている運用型広告では、広告クリエイティブ(バナー画像や動画)やランディングページの重要性が日に日に増しています。

主な理由は、広告運用の自動化が進歩したことでテクニックによる結果の差が小さくなってきたことや、成果を出すためにプラットフォームやユーザー行動の多様化に応じたクリエイティブの供給が求められることにあります。

このような業界トレンドの変化もあり、アナグラムでも約2年前にクリエイティブチームを立ち上げることになりました。前職でWebデザインの経験があったわたしと、もう1人広告運用チームから異動してくれた制作もできるメンバーの2人での立ち上げでした。

バナー制作さえ自社で対応できない状況

チームを立ち上げてからまず、クリエイティブに関する課題を拾い上げるためにSlackの全ての案件チャンネルを巡回することに。これは既存のポジションではなく、会社全体を横串でサポートするチームになったからこそ可能になった動き方でした。

その結果、わたしが思っていた以上にクリエイティブ関連の仕事で皆が苦労していることがわかりました。今ではすっかり懐かしい話になりましたが当時は、バナーを作りたいという基本的な依頼にさえ、十分に対応できているとは言えませんでした。

もちろんクリエイティブ方面以外での専門性を磨いていたからこそ、これまではサービス品質を高くできていたのも間違いありません。実際、多くのお取り引きも開始当時はクリエイティブ制作の必要がそもそもありませんでした。しかしすでに触れているように、クリエイティブ面の課題もアナグラムとして解決していかなくては、クライアントへ価値を提供するのが難しい時代になっていたのです。

なのに、なぜか相談がこない

クリエイティブ周りで困っている状況が想像以上に多いことはわかりました。しかし、相談が思ったより来ません。クリエイティブの支援が必要だからクリエイティブチームを立ち上げたはずなのに、相談が来ないのはどうしてなの……?

社内でヒアリングを行ったところ、相談したいけどできなかった人が多くいることが分かりました。Slack巡回で把握していたとおり、クリエイティブの課題はたしかに存在していました。しかし多くの場面で「クリエイティブチームには相談しない」と判断させてしまっていたのです。

本当は迷っているときこそ声をかけてほしいのだけど、それはこちらの理屈。相談してもらえなかった理由を探っていくと、以下のようなハードルがあることが分かりました。

  • 誰に、どこから相談すれば良いのか分からない

  • 相談の流れがイメージできず、どうすれば良いか分からない

  • そもそも自分が相談しても良いのか判断できない

どれもクリエイティブの内容ではなく、社内のコミュニケーションの問題だったのです。当時の相談窓口がどうなっていたかというと、以下のような状況でした。

「自分の上長か、クリエイティブチームの誰かに」
「どのSlackチャンネルからでもいいから」
「とりあえず相談してみて」

与件も見積もりも納期も対応可否も、何もかもケースバイケースだと考えていたので、まずは何でもいいから相談して欲しい!というスタンスでした。柔軟に動けるように良かれと思って規定をつくらず幅を持たせていたつもりでしたが、ここに多くの問題がありました。

必要な場面で相談してもらうための取り組み

長過ぎる前置きが終わり、ようやくタイトルの回収に入ります。相談のハードルを下げるために、大きく分けて3つの取り組みを行いました。

1)誰に・どこから相談すればよいか明確にする

まずは誰に・どのSlackのチャンネルから相談すれば良いのかを決め、呼びかけました。社内のチームごとに一次相談窓口となるメンバーを決めたうえで、チームごとにクリエイティブ相談用のSlackチャンネルも開設。誰に・どこから連絡するかが明確になり、過去の相談履歴も参照しやすくなりました。

誰に相談すれば良いのかを明確に。
対応自体をどのように行うかは、クリエイティブチーム内で都度検討するフローができた。

フルリモートでの働き方もまだまだ手探りのタイミングだったことも踏まえると、コミュニケーションのハードルを下げるのは最重要でした。

2)相談の際に準備するものを明確にする

相談する場所と相手が明確になったら、次は相談のための準備の案内です。制作業務の全体像が分からないので、どんな情報を、どのくらい準備すべきか分からないのは当然です。

制作依頼票も用意してありましたが、要件がフワッとしている段階では依頼表を埋めるのも難しいです。依頼票ありきのフローだけだと、カタチになる前の相談が埋もれがちでした。

もちろん情報は多いほうが嬉しいですし、最終的には必要な情報を整理します。しかし口頭のコミュニケーションであれば数分で共有できる情報も、資料やテキストとして揃えるとその何倍もの時間を必要とします。社内での相談でそこまで負担をかけるのは過剰ですから、まずは何も準備が無くても相談できることを明確に示すことに。

チームごとの相談チャンネルに、Slackのワークフローを設定しました。何も準備が無くても相談できることが伝わるような選択項目にすることで、ハードルを下げることができました。現在も頻繁に活用されています。

どんな相談でも受け付けるスタンスが伝わるような選択項目に。

3)納期などの目安をまとめたガイドラインをつくる

クリエイティブ制作に必要な工数や見積もりなどは要件によって本当にバラバラです。だからこそ元々「ケースバイケース」にしてしまっていたのですが、そうはいってもやっぱり基準があったほうが相談しやすいものです。

基準が分からないので、悪気はないけど無理がある依頼や、逆に過剰なほど慎重な相談もあり不健全でした。情報量の差から生まれるすれ違いを無くし、現実的な相談をしてもらえるよう、ガイドラインを設けることに。

たとえば「バナー制作は5営業日」のように制作物の種別ごとに、目安となる納期や対応可否の判断基準を整理しました。実際ガイドラインのとおりになるかは要件次第であり、結局のところケースバイケースであることは変わりません。しかし、何もかも「都度判断」のスタンスでは相談側の負担が大きかったのです。

重要なのは、ガイドライン通りに進めることではなく、基準を設けることで相談のハードルを下げることです。

ただ、ガイドラインの内容については改善余地もまだまだあります。ガイドラインを満たしていないがために相談を諦めるケースが発生していることも認識しています。ガイドラインを設けた当時よりも、クリエイティブの相談が社内で当たり前になっている現状を踏まえた改定が必要だと感じています。

忙しそうな人・気難しそうな人には誰も相談したくない

コミュニケーションの迷いを取り除いたことで、それまでと比べるとかなり活発に相談を受けられるようになりました。しかし、これまで紹介したような仕組み・環境由来の課題だけでなく、わたし自身の日頃の振る舞いも大きな原因でした。

Slackで深夜までアワアワしていたり、Slackのアイコンで死にかけている雰囲気を漂わせてしまうなど、周囲に忙しそうだと感じさせてしまっていた時期がありました。忙しそうに見られることで失う機会は計り知れませんが、得をすることは1つもありません。

また、気軽に相談してほしいと言いつつ「気軽な相談」に対して全力のフィードバックをしてしまっていたことも何度かありました。呼びかけと行動が噛み合っていないのですから、こんな調子では相談してもらえるわけがないのです。

社会人が機嫌よくあらねばならない理由、正論を言うときほど謙虚である必要性を身をもって学びました。CEOがイーロン・マスクじゃなくて良かったです。

締めくくり

今回紹介した内容は、今思うと恥ずかしくなるものばかりです。でも、こうやってたまに昔を振り返って、当たり前の基準が上がったことにしみじみするのも、たまにはいいですよね。

現在はバナーはもちろん、動画広告・LP制作・撮影など幅広くスムーズに対応できる基盤がかなり整ってきています。立ち上げ当時2名だったチームも現在は11名まで拡大しました。もちろん今は今でチャレンジングな仕事や思うように進められない仕事もたくさんありますが、今課題になっていることも2年後くらいに振り返ったときに当たり前にできているようなチームになれたらいいなと思います。プルス・ウルトラです。

明日のFeedforce Group Advent Calendar 2022ではフィードフォースの東口さんがなにかを書いてくれると宣言しています。まだコミュニケーションを取ったことがない方なのでSlackを漁ってみたところ、ShopifyのYouTube連携機能を試すために(?)Googleショッピング広告の解説動画を撮影・編集してYouTubeに投稿しているバイタリティ溢れる方でした。きっと面白いので、正座して待機しましょう。

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