【建築学生・就活】最大手組織設計事務所を辞めた話
建築学生の方々へ
ご覧いただきありがとうございます。
この記事は「建築学生」特に「進路を迷っている建築学生」に向けて書きました。
進路に悩んでいる方、就活をしようと意気込んでいる方にとって、とても「現実的」で「具体的」な情報が詰まった記事になっています。
全て読んだ後には、周りにいるどんな建築学生よりも「組織設計事務所」について詳しくなり、進路選びで適切な判断ができるようになります。
そういった意味では、読んだ方の将来を変えてしまう可能性が大いにあります。
ある種の責任を感じつつも、とても大切な内容なのでこの記事を書くに至りました。
最大手設計事務所に入った感想
幸いにも私の就職活動は順調でした。
就活は情報戦だとどこかで聞き、多くのOBの方々や先輩から就活対策のお話を可能な限り集めることからスタートしました。ポートフォリオや作品シートの作り方、即日設計のコツなど有益な情報をたくさん聞いて、それに従って準備をする日々を送りました。
設計事務所のリサーチも欠かさず行い、雑誌や特集されている本も何冊か読みました。学生の割にはすごく詳しい方だったと思います。
迎えた面接本番は緊張しながらも、しっかりと準備をしていたおかげで内定につながりました。
一緒に入社する同期はコンペ入賞者などで知った名前も多く、そんな優秀なメンバーと共に入社できることに誇らしさを感じたことを覚えています。
入社してからの研修はあっさりしたもので、2週間くらいしかなく、あっという間にプロジェクトにアサインされました。
そこからあっという間に月日が流れ、
一ヶ月…
半年…
一年…
と経過した頃に抱いた感想は、
「思ってたのと全然違う…。」
というものでした。
体感10%くらいしか会社のことを分かっていなかったなあとがっかりしました。就活のときに入念なリサーチを行なったと思っていましたが、入社してからは知らないことばかり。充分な情報が集められていなかったと気が付き、肩を落としました。
それと同時に、
「あまりにも大切な情報が学生に伝わっていない」
という現状に気が付きました。
社会を経験した今だからこそ言えることですが、
学生が組織設計事務所について知っていることが少なすぎるのです。
というよりも、社会人がちゃんと伝えていないから学生が知る術がないのです。
そんな無知な状態で人生の一大イベントである就活に取り組むというのはリスクが大きすぎます。
多くの社会人が「実際に会社に入ってみないと分からないよ」と言います。
自分もある程度は同意します。
百聞は一見にしかずといいますし、想像で補うにも限界があるでしょう。
それにしたって社会人は学生に大切なことを伝えることを怠りすぎていると思うのです。
より良質な情報を知っていれば、多くの学生が正確に進路を選ぶことができます。
自分がその業種に合っているのか?望んでいる会社なのか?
そんな判断の精度を格段に上げることができます。
内情を知らずに就職すると、ほとんどの場合は辛い日々が待っています。
ある人にとって最高の事務所だとしても、あなたにとっても最高の事務所だとは限りません。
自分の想像とかけ離れていた場合、数年後には転職を決意しているか、自分の感情を押し殺す日々を延々と続けるかです。
辞める前の自分もそんな感じでした。
知った上で自分の意思で就職するのと、
何も知らずになんとなく入社したのでは、
全く違う日々を送ることになります。
それなのに、
この記事の内容を知っている就活生は1%にも満たないでしょう。
毎年毎年多くの人が就活をするのにも関わらずです。
設計事務所の情報を知ることは案外難しい
この記事は先輩からも教授からもOBからも聞けない内容ばかりとなっています。
実は組織設計事務所の必要な情報を知ることは案外難しいのです。
理由は以下の通りです。
自ら赤裸々に語る会社は存在しない
→雑誌やホームページに載っている情報は広報用に用意されたものです。現役OBは会社の良い面「だけ」を語る
→就活生をより多く集めるために、良い面を伝えます。反感を買うことを恐れて否定的なことを言わない
→OBや教授は忖度して無難な内容しか口外しないでしょう。そもそも限られた人しか就職したことがない
→多くの先輩も教授も就職したことがないので内情を知りません。ここ数年の内情を知っている人はさらに少ない
→20~30年前の古い情報では参考になりません。
→私は数年前までいましたので、かなり現況に近い情報をお伝えできます。社会人経験のない学生が会社の様子を想像するのは非常に難しい
→この記事では、できる限り学生が理解できしやすいように説明します。
タイトルの通り、私は組織設計事務所を辞めています。
そのため実際の状況を知っていますし、皆さんを引き入れたい訳でもありませんので、良く言う必要がありません。
珍しい境遇にいる私だからこそ、遠慮せずに語れることがあります。
忖度して伝えてしまうと損をするのは学生ですので、学生のためにかなりズバズバと書いています。できれば現役社会人には見て欲しくないくらいです。笑
組織設計事務所に憧れを持っている人には耳が痛いかもしれませんが、入社してからではなく、今知っておいた方が絶対に良いと思います。
私が最大手設計事務所を辞めた理由
繰り返しになりますが、私は国内最大手組織設計事務所(ご存知の方も多いと思いますが、日建設計という事務所です)に新卒で入り、数年間働いたのち辞めました。
日建設計といえば、各大学の1位や2位の人しか入ることができず、世界の組織設計ランキングでトップ5に入るような事務所です。実際に辞めた今でも素晴らしい部分が沢山ある事務所だと思っていますし、他では決して真似できないような技術を持っていて、さすが最大手だと感じています。
そんな事務所をなぜ辞めることにしたのか。
可能限り細かく振り返り、客観的に分析した内容をまとめました。
就活の際、日建設計は第一志望の会社でした。
入社当時の私は「日建設計でトップを取る」なんていう野心すら持っていました。
しかしながら1〜2年目頃にはそんな野心を忘れ始め、ここが心から望む場所なのだろうかという疑問が芽生え始めました。
さらにそこから数年して「本当に望むことをするには辞めるしかない」という考えに至りました。
入社してから私自身のやりたいことが大きく変わったわけではありません。
入社前も今も、根底で目指しているところはほとんど同じです。
ただ私が
「組織設計事務所というものを全然イメージできていなかったのです。」
辞めた理由を一言に凝縮してしまえば、上の言葉になります。
もっと詳しく知れていれば、違う設計者人生を歩んでいたかも知れないなと思います。
この記事で伝えたいこと
勘違いして頂きたくないのですが、組織設計事務所の批判だけをする記事では決してありません。
私なりの解釈を、私見も交えながらにはなりますが、素直にそのままお伝えします。長所も短所も全てひっくるめてです。
この記事には2つの目的があります。
本当の組織設計の姿を、できる限り知ってもらいたい
その上で、本当に就職したいのか再考してもらいたい
建築学科で数年間学んだ後、就活をして就職、という昔からの敷かれたレールがあります。多くの建築学生はこの流れに乗ります。(私もその一人でした。)
そのうち99%の学生は就職する会社のことをあまり知らないか、あるいは(私のように)知ったつもりになった状態で入社します。
私も含め、こうした人々の多くが「思ってたのと違った」と辛い日々を送っているのを近くで見てきました。一部の人ではなく「多くの人が」です。
だからこそ、社会に出る前の建築学生の方々に正確な情報を知っておいてもらいたいのです。
憧れを崩してしまうようなこと、耳が痛い内容もあるでしょう。
ですが、それも含めて直視してもらいたいと思います。
理由は後述しますが、組織設計事務所とアトリエ事務所は別業種と言っても過言ではありません。多くの人が志望しているから僕も私も、ということが動機だとしたら考え直して貰いたいです。
就活は人生の大きなターニングポイントだということは誰もが分かっていることでしょう。
そうであれば、
全力で情報を集めて、
真剣に進路を悩んで、
そのあとで結論を出すべきです。
私からお伝えできる情報は、全てこの記事の中に書いたつもりです。
自分の将来にために必要だと感じた方のみ、読み進めてください。
お力になれることを祈っています。
新建築の半分以下の値段としましたが、読む人によっては100冊分以上の価値があります。
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