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26歳で初めて観たパルプ・フィクション

2022年の10月、週刊少年ジャンプで連載中の漫画「チェンソーマン」のアニメが放送された。
放送前から話題になっていたため、とりあえず観てみるかのノリで観始めたが最後、コミックを大人買いするはめになった。集英社の悪魔にやられた。

「もうすぐボーナスがでるので・・・」(東山コベニ)

チェンソーマン5巻35話

何やら聞いた話によると、OPの映像は様々な映画のパロディで溢れているらしい。
特に自分の中で印象に残っていたこのシーン。
最強のデビルハンター岸辺が銃を構えるシーンは「パルプ・フィクション」のパロディだったみたいだ 。

そんな話を聞いてしまったら元ネタを観ないわけにはいかないよね。
以下パルプ・フィクション本編の感想をつらつらと書いてみます。


なぜか頭に残る会話劇

吹き替え版と字幕版の両方を鑑賞したけれど、吹き替えのほうが断然好みだった。
なんというか、自然体かつ妙に頭に残る会話が多い分、日本語のほうがなじみがいいのかもしれない。

スーツを着た黒人のアフロ(ジュールス)と白人のロン毛(ヴィンセント)この二人の殺し屋という「非日常」な存在が、あくまで何の変哲もない、ありふれた「日常」を感じさせる会話にずっと主導権を握られている感じ。場を掌握している感じがたまらない。

ボスのマーセルスを裏切って、大事なアタッシェケースを奪った男たちを殺しに向かう際、二人がアメリカとヨーロッパのマクドナルドの違いについて会話するシーン。

ヴィンセント「あいつらはメートル法だ。クォーター・パウンダーなんてわからないのさ」

ジュールス「じゃあ、なんていうんだ」

ヴィンセント「チーズ・ロワイアルさ」

ジュールス「チーズ・ロワイアル?ビッグ・マックは何ていうんだ?」

ヴィンセント「ル・ビッグ・マックさ」

パルプ・フィクション

もうアラサーだからさすがにしないけど、大学生だったらこのうんちくを早速翌日にひけらかしてる。本当かどうかは知らないけど。

この二人が標的や作戦について話さず、ハンバーガーの話をしてるズレ感も面白いけど、仕事に慣れてくれば慣れてくるほど、仕事の話はしなくなるよね。それくらい二人は長くコンビを組んでいて、もはや日常になっているんだろうな。

若い時に観れてよかった

二人の会話を見ていて、大学生の頃を思い出した。
今では考えられないほど本当に暇で、「暇だ」ということを友達と暗黙的に共有し合っていた。
お互いに将来の話をすることはないし、野暮だとすら思ってた。

だから本当にくだらない話ばかりをしていたし、明日には忘れていた。
殺し屋のこの二人も、仕事の話をするのは野暮なんかもしれない。
「明日には死ぬかもしれない」とか、「命の重さ」とかはこの映画は語らない。
だからこそ、相方のヴィンセントは用を足した後あっけなく死ぬ。

「パルプ・フィクション」=三文小説(安価で低俗な小説)という意味らしい。
人一人の人生なんてそんなもんだと思えば、そんなに深刻そうな顔をしなくても生きていけるのかもしれない。



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