「雪と記憶」あとがき

※2024/2/3 0時半頃 一部加筆訂正しました。
mygと付き合ってたけどふられて、傷を埋めるようにmtiさんと付き合うことになって、またmygが現れて、という、もう何番煎じかも分からない話を書きたいなぁ、と。思い立って書き始めたのが、なんというか、運の尽き。4、5000字くらいでさくっと終わるじゃろと軽い気持ちで、いやもう、本当にそれくらいの適当な加減と感覚で書き始めたが最後、トータル18,000字オーバー。ううーん、こんなつもりじゃなかったんだがなぁ。

今回のお話、結末を3種類ご用意しました。
どうしてか、って?
私がどっちかなんて選べなかったから。
だって、どっちも好きなんだよ。
どちらを選んで終わっても納得できる。でも欲を言えば、選ばれなかった一人とはどんな終わりを迎えたのか。それが例えifの世界だとしても、私なら読みたい。三角関係からしか得られない不安定さや、ドキドキ感は確かに存在する。だから私も、一読者として三角関係のお話はなんぼでも読みたい。何番煎じ上等。そんなもの気にせず、みんなガンガン書いてほしい。
が。神(書き手)様の采配一つで、結末が決まるのが創作物の宿命でもあります。よって、推しともう一人の間で、散々すったもんだ、じりじりはらはら、ドキドキした挙げ句、自分の推しとは結ばれませんでした、なーんてことはごまんとあるわけでして。それはそれで仕方がないし、始まりに対して終わりも一つ、対であることは物語としては当然のこと。美しい在り方なのでしょう。が! 読者としては、「この人の書くこの物語の、私の推しと結ばれる結末が読んでみたかった!!」と複雑な涙やらよだれやら(汚い)をだらだら垂れ流すことは、日常茶飯事なわけであります。
というわけで。
じゃあ両方書けばよくね? どうせなら、潔くどちらも選ばないパターンも用意するか。そんな軽い気持ちで手を出したら、こうなりました。僕はもう疲れたよ……。
頑張った分、お話を読んでくれたあなたがどの結末を選んだとしても、読んで良かったと思ってくれたなら嬉しいです。

あ! 念の為の注意ですが、他の作家様に無理なお願いをするのはご遠慮下さいね。「千って人は書いてくれました! だからあなたも本当は出来るんですよね!? 書いて下さい!!」なんて突撃したり、ということはくれぐれもお控えください。
結末を複数用意するって、滅茶苦茶に大変なことなのです。本当に、ほんっっっとうに! とてつもない労力のいることなのです。たった一つの結末さえ超絶難産で、結末が決まらない、浮かばない、書けない(描けない)ばかりに、いつまでも完成しない、なんてことがザラに起こりうるのが創作ですので……。
今回私のしたことは、明らかなイレギュラーであり、正気の沙汰ではなかった、くらいに捉えてくださっても過言ではないくらいです。いやもうマジで。そうぽんぽん生成できないです。そうできたらどんなにいいことか……。

ここからは各結末について、ちょっとした補足だったり、裏話的なお話。ネタバレを含むので、未読の方はご注意を。


mtiエンド


恐らく一番王道な選択ではないでしょうか。
最初は傷を埋めるための始まり。でもそれでも、一緒にいるうちに確かに恋に変わった。彼と一緒に過ごす時間が愛おしくて、幸せだと思っている。失いたいわけでもない。
今更関係の終わった人が現れたって、もう遅い。過去には戻れない。戻るつもりもない。揺れたのは一瞬だけ。本当に手を取って未来を歩いていきたいのは、「今」隣にいてくれる人。
でも裏でmtiさんはちょっぴり不安でした。あの夜、二人が具体的にどんな話をしたのかは知らない。けれど、なんとなく自分にとっては良い話ではないのだろうな、という予感。それについて、二人が触れないからこそ尚更に。結果、早とちりをしてしまったのでした。そのあと怒るナマエちゃんのやりとり、お気に入りです。


mygエンド


「今」お付き合いをしていて、辛いときに側にいてくれた、優しくしてくれた、最初はそうじゃなかったかもしれないけど、今はちゃんと好きで付き合っているmtiさんをふって、mygを選ぶ。そのためには相応の理由や覚悟がいる。それも、「外」側ではなく「内」側に。彼女の願いや夢として、決してブレることのない、それなら仕方ないかもしれない、選びたくなるよね、と思える理由。
それを書いたらちょっと長くなっちゃった。ボリュームが多いのは、私がmyg推しだから、というわけではないです。いや、だからこそ納得できる理由が、覚悟がほしかったのかもしれません。それでも納得できない人は納得できないかもしれない。だって、今隣にいてくれる人ではなく、元彼を選ぶってとてつもなく勇気とエネルギーのいる選択だと思うので。
罪悪感や後ろめたさといった、重くて暗い感情は、このルートが一番多く内包していると思います。
これは私だけの感覚かもしれないですが、モノローグを書くにあたって、幸せハッピー、楽しい! よりも、悲しい、痛い、切ないは増幅しやすい傾向にある気がしています。「私って可哀想でしょう? ほら、見て。こんなに痛いの。苦しいの。ねぇ、分かるでしょう?」と、想定外のところまで堕ちていけたりする。なんなら、書いていて気持ちいいまである。故に、悲しくて暗い気持ちに、書き手として酔いたくはない。ネガティブな感情よりも、前向きな思考、前向きな選択を書きたかった。遅すぎるかもしれない。でもまだ間に合うのなら、過去ときちんと向き合いたい。同じ過ちを繰り返さないために。大きなものを手放して選ぶのならば、それに相応しい覚悟を。
一旦帰ったのに、また帰ってくるmtiさんが私は好きです。


どちらも選ばないエンド


気持ちが吹っ切れている分、ある意味最もすっきり爽快なエンド。
夢小説である以上、バッドエンド扱いになるからこそ、とびきり美しくさっぱりした終わりにしたかった。いや、言うほど美しくはないかもしれない。ユルシテ……。
前述の二人で描いたエンディングと似ているようで、ナマエちゃんの心構えが全然違うので、少しずつ違う行動、会話になりました。そらもう、二人と話をする時点で覚悟決めてて、揺らぐつもりなんて毛頭ないんだから、怖くないし、呑気にケーキセット食べながら余裕でお話もできるでしょうよ。メンタルつよつよ。大丈夫、このルートを選んだナマエちゃんなら、きっとすぐに次の新しくて素敵な恋ができることでしょう。はたして、それはどんなお相手なんでしょうねぇ。うーん、幸せになってほしい。
多分あの後、一人でお気に入りの飲み屋に行って、上機嫌でビールを煽っていると思います。──はっ!! そこで新たな出会いが……!? やだ、誰と出会うの!? 誰か書いてくれ。お願いします。

とまあ、こんな感じでしょうか。
ここまで読んでくださりありがとうございました。少しでも楽しんでいただければ幸いです。
ちなみに。
このお話を書こうと思ったきっかけの曲を紹介しておきますね。音源の配信はないので、知っている方は楽しんでくださいな。
UNISON SQUARE GARDEN「スノウリバース」

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