『ザ・トゥルーコスト』を見て考えたこと ~国の発展とはなんだろう?~
『ザ・トゥルーコスト』を見て考えたこと ~国の発展とはなんだろう?~
『ザ・トゥルーコスト』は、「ラナプラザデザスター」など繊維産業の様々な問題が取り上がられているドキュメンタリーです。
宣伝文:「流行の移り変わりが激しいファストファッション業界の裏側にせまるドキュメンタリー」
この映画を見て、考えたこと。国の発展とはなんだろう? 国が発展するということは、「軽工業」から「重工業」へ変化していくことだろう。
最初は、人的資源のみしかない。そのため、縫製に代表的される人的集約型の軽工業が発達する。その中で、排水等の規制など公害を解決し、さらに人権問題・労働問題を解決しながら、重工業へシフトしていく。当然、給与も上がり、コストも上昇していく。そのため、別の国へ軽工業の主体が移っていく。
日本も昔は、縫製が主体で、当時も発展国のアメリカへ「1$ブラウス」を輸出し、貿易摩擦を生じさせていた。その後、別の国に縫製の主役の座を譲っている。
つまり、軽工業(縫製産業)の位置づけは、「人手の多くかかる産業で、国が豊かになれば、人件費の安い国にシフトしていく」というイメージを持っていた。
しかし、この映画の中で紹介された事例は、私のイメージとかなり異なる。労働者の賃金を安いままに維持し、排水等の規制も行わないままで、公害を解決しないで生産を続けている。
映画の中では、「バングラディシュでは、政府が賃金を安いままにしておきたい」と表現していた。わざと変えないのだ。賃金を安いままにしておき、服が安く作り続けられている。誰がそれを望み、誰がそうさせているのか?
世の中全体が成長しているのに。世の中の条件が変わってきているのか?
さらに、この映画の中で、「批判されないシステムはだめになる」との主張が出てきた。具体的には、「冷戦がなくなった現在では、資本主義が暴走している」
つまり、冷戦が終わり、資本主義のアンチテーゼとしての共産主義がなくなったから、資本主義が暴走しているということだろう。
冷戦時代は相手(資本主義にとって、共産主義。共産主義にとって、資本主義)より優れているところを見せるために、国民にひどいことをしなかった。資本主義は共産主義のいいところを取り入れ、共産主義は資本主義のいいところを取り入れていた。お互いがお互いの体制をいいものと見せようとしていた。それが、社会を良い方向へ導いていた。
しかし、今は、資本主義のみになりその必要がないので、良い方向へ動かないということだろう。
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