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「エレベータの定員予想」 『物理学者のすごい思考法 』( 橋本幸士 著)別解

  『物理学者のすごい思考法 』( 橋本幸士 著)は、すごくおもしろい理系的エッセイです。
 本書の中の「エレベータの定員予想」について、別解を考えたいと思います。( 44ページ 近似病 )

 前提条件:エレベータの大きさをネットで調べると、定員6人のエレベータの内寸(ミリ)は、 間口1050×奥行1150×高さ 2200。

 本中では、人の平均体重は65kg(容積は65L)、これを40cm立方体とし(仮称:立方体近似。容積は64L)、エレベータ内寸から:間口(1050/400)×奥行(1150/400)×高さ(2200/400)=41.5。
として、約40人としています。しかし、どうも、多い様に感じます。

 そこで、容積でなく、立方体を入れこむ問題とすると、間口、奥行、高さおのおので、切り捨てを行い、2×2×5=20人との結果となりました。(半分です!)
 これを【立方体近似、詰め込み方法】と名付けます。それに対して、本書の方法は【立方体近似、容積法】と名付けましょう。

 次に立方体ではなく、正四角柱と近似して考えてみます。
平均身長を160cmと考え、正四角柱として近似すると、タテ・ヨコ20cm高さ160cmとなります。(これも容積は64Lになった!)
 では、【正四角柱近似、詰め込み方法】で計算するとどうなるか?
エレベータ内寸から:間口(1050/200)×奥行(1150/200)×高さ(2200/1600)ですが、間口、奥行、高さで切り捨て 5×5×1=25人と予想します。
 どうでしょう、立った人が25人で(5人×5列)、詰め込まれる方が、実感にあっていませんか?

 この問題の意図を考えると、立方体近似は、「近似で」桁数を求めるイメージだと思います。それに対して、【正四角柱近似、詰め込み方法】は、フェルミ推定に近いかもしれません。
(フェルミ推定:現実に即した条件を仮定、予想される数値の幅を絞っていくイメージ)
 もう少し考えたい問題です。

 この様にいろいろ考えてみましたが、「定員」のイメージは、エレベータに詰め込み可能な人数よりも、エレベータが作動可能な限界人数の方に思えます。

当然、後者の問題では、上記の条件では、予想ができません。
その場合、定員は、(エレベータの限界重量)/(安全率)/(大人一人の平均体重)で求めるのが良いかと思います。

初稿:20210817ツイッターにて


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