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九月劇場 色褪せる 激しく心が動いた時の視界

人の目や耳って上手いことできていて、「見たいものを見、聞きたいことを聞く」とはあまりよろしくない文脈で使われることが多いけれどもまさにその通り「見たいものをみている」んだなぁと思わされることが多々あります。

例えば「あー、この景色綺麗」と思って写真を撮っても全然綺麗じゃなかったりね。
自分の目で見るときは勝手にクローズアップして勝手にフィルターかけたりしているのでしょうね。

映画や写真、漫画などはそうした「自分の目にはどう映ったか」つまりは「どう感じたか」を再現したくて色々工夫をするんだけれども、それをコントでやるとは。

色褪せる

こちらは失恋した人が友人に彼女との思い出を語るコントなのですが、秀逸。「あ、そういうこと?」と気づいてから「じゃ、コこれはこうなるんじゃ?」っていう予想の当たり外れのおもしろさもきちんとあるんだけれども、この気持ちの揺れをこうして表現するのかーと。そっちにびっくりしてしまいました。

人の視覚の曖昧さ

先ほどの「見たいものを見る」という話で、「ショックなことがあると自分の周りが真っ暗になる」のと「良い事があると視界にかかっていた曇りのフィルターがパラリとはがれて周囲の景色が鮮明になる」というのは皆様も経験があるかと思います。

漫画などでよくある描写でもあるのですが、これ系の描写ですごいなーと言うのが「リング」。ホラー映画のあれです。初代映画版のやつ。

あの中でまばたきする度に貞子が近寄ったり、思い出すときにノイズが入ったりというというのが上手かった気がします。ちなみに、私はリングを見て以来怖すぎてホラー映画みれなくなったこととリングも怖すぎて1度しか見ていないので間違えていたらごめんなさい。とにかく人の目や心の動きに沿った映像でそれが映画を見終わったあとにもつきまとい、まばたきをして目を開けた瞬間に何かがそこにいるんじゃないかという恐怖をしばらく感じた記憶があります。

この上手さって恐らくズバッと見せたり出したりしてるんじゃなくちょっと揺らぎがあるというかその辺がリアルなんですよね。多分。

失恋したときのあの感じ

こちらはサムネに書いてある煽り文なんですが、失恋したときって目まぐるしく心が揺れてどす黒い気持ちから何から何までぶあーーーっと出てくるわけですが、そんな絶望の中でも本当に微かにほのかに新しい未来への予感もあったりするわけで、なるほどなと思いました。

面白いのがコメントで

「最後は黒ですか」

ってコメントがあって、私的には盲点だったのですがもしかしたら若い頃には私も「最後は黒だろうな」って思ったかもしれない。加齢と共に色んな過去の感情も美化されているんだな、私も。

みなさまはラストが何色なのか、ご意見お聞きしたいなと思ったコントでした。


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