見出し画像

後味の悪いいじめの話

私の友人は中一のころ、いじめにあっていた。

私とは中2で同じクラスになったことから知りあったので、中一当時のことは詳しく知らないが「どうもA組は荒れている」との噂は耳に入ってきていた。

その「荒れている」という事の中に友人へのいじめもあった。

友人は離れた小学校から入学したため、中学に入学した時点で親しい友人がいなかった。それがおそらくいじめに拍車をかけたのではないかと思う。

中2でクラス替えをして以降はクラスでのいじめがなくなった事を思うと、やはりいじめに特段理由はなく「味方が少なそうだからやっていい」と思われたのが最大の理由なのだろう。

中2の時の私のクラスの女子はヒエラルキートップのイケイケ女子軍団と、イケイケとやや仲が悪いかわいい系女子軍団と、その他無所属に別れてはいたものの無所属の人数が多かったので思春期の難しい年頃にしては仲が良かったように思う。当然のように行事では一致団結していたし。

でもこれは、私の視点だった。

私は友人と名簿が近く、何かと一緒になる機会が多かったので普通に「友人」と認識していた。

これはあとから聞いた話で、その頃の友人は私の事を「いじめない人」と認識していたらしい。

彼女の中ではクラスメイトは「いじめる人」か「いじめない人」の2つにわけられていて、私のように「友人」「クラスメイト」ではなかったのだ。

「和気あいあい」と私が思っていたそのクラスは、友人の視点では「危害を加える人」か「加えない人」かだったのだ。

友人とは、同じ高校に進学したことから更に仲良くなってた。その後、進学して社会人になって互いに結婚して子供を持った今でもつき合いがある。貴重な長いつき合いの友人のうちの一人になった。

そのつきあい中で彼女の中2の時の視点を聞いたのは、彼女が結婚するときだったろうか。高校、大学と、年を重ねるごとに垢抜けてかわいらしくおしゃれになっていく友人が、ある日ふといじめの内容を教えてくれた。ひどかった。

大人にならなければ多分、辛すぎて言えなかったんだろうな。

高校時代、あれだけいっぱい一緒に遊んでいっぱい話していたのに。

友人をいじめていた同級生のうちの一人が、地元の名士の娘だった。
マンガみたいな話だけど名士の娘には取り巻きがいて、その人らと一緒にいじめていた。私も、なんとなく「取り巻きに囲まれている姿」にあまり近寄りたくない人だなと中学時代に思っていたことを覚えている。

昨年、その名士の娘が語ったことが書かれた記事を目にした。

一族の跡を継いだ彼女はそれなりの地位になっていた。彼女は相変わらず美しかった。いじめっ子にいつかバチがあたるなんて嘘だ。結婚で地元を離れた友人は、その記事を見て「二度と地元に帰りたくない。」と言った。

彼女は「いじめ問題」についてとある提言をしていた。そんな記事だった。彼女が書いた「いじめをなくす提言」の一つに

「歯列矯正への助成」

という項目があり、「悪い歯並びはいじめの原因になる」という主旨の文章が添えられていた。



そういえば、いじめられていた友人は歯並びが悪かったな。とふと思い出して心底ゾワッとした。



※創作です

来年またなにかやれたらいいな