今も昔もロウで固めた鳥の羽で

ファンマーケティングっていうんですかね。ファンベースでマーケティングを広げていく方法で、いわゆる口コミというか。今はSNSがあるので口コミの広がり方も範囲も昔とは違っているので、金に直結するという。

そして、以前に「ファンを作っておけば、何かあっても庇ってくれる」ので、ファンを大事に。という意見を目にしたことがあって、だったらなぜ炎上って起きてしまうんでしょうね。

庇ってくれるはずだったコアなファンの力が及ばないのか。

そして、炎上すると必ずでてくる「やっぱりそうだと思った」派の人はどうしてその時にならないとおかしさを指摘できないのか。

というのが謎だったんですが、自分が後者の気分を今味わっていて「なるほど」と。離れる方は「自分にはわからない世界なんだな」「そういうノリについていけない自分がおかしいんだろうな」と思いながら離れるので、何もいわず離れる。でもそのときの違和感や疑問が炎上したときに「ああ、やっぱり」という言葉と共に噴き出てしまうのかな。

と、ちょっと思いました。

そして最初の疑問、コアなファンは何から守っているのかというのは、実は「周囲が離れていく現状を見えないように」周囲を囲って見えないようにしてあげているのではないかと。炎上した人は急に梯子を外されたように感じるのかもしれないけれども、実は梯子はとうの昔に外れていて、外れた梯子に気づかないようにみんなで囲んでいてあげたというか。

だって、梯子がないことに気づいたら怖くて飛び降りちゃうでしょ。そしたらつまんないじゃん。

そうやって気がつけば、何層にもなっていたはずのファン層が、実は非常に薄っぺらくなっていて高さだけが増し、その隙間から隠しきれない問題点が漏れ出たとき、目撃するのは全くファンもなんでもない一般的な皆さんだった。ということかなと。

大体において、先鋭化された何かはその取り巻きによって徐々にマイルドに、あるいは上手なツッコミによってマイルドになっているのであろうと思うのだが、そのツッコミがなくなったとき、それは単に非常識では?というケース。

「フォロワー」とはよく言ったもので、そういうツッコミ上手な、灰汁を除いてくれるフォロワーって非常に大事だなと。だからみんなフォロワー数が増えると「界隈」を形成したくなるんですかね。「アイドルは人気が高まると不安になるから付き人を増やす」って記事はどこでみかけたんだろう。流し読みをしたのだが、今思うとなるほどだな。梯子がはずれているかもしれない恐怖を感じるんだろうな。って思います。

そこで思い出す一つの歌。

「むかしギリシャのイカロスは」で始まる歌、ご存じですか?ロウで固めた羽で飛び立ったイカロスの翼は太陽の熱で溶けてしまって墜落してしまいます。歌の中では「勇気一つを友にして」とイカロスの勇気をたたえる歌になっているのですが、ゾワゾワしてきます。

神話の方は、最初に「太陽に近づけば熱で溶けるよ」と忠告されているんですよね。神話の方が私はしっくりきます。こちらのサイトが非常にわかりやすくギリシャ神話をまとめてらっしゃる。

イカロスよ。必ず中空を飛ぶのだぞ。
低すぎると海の水しぶきで羽が重くなる。
高く飛ぶと、太陽の熱でロウが溶けてしまう。
まぁ、私についてくれば安心だ

結局はバランスの問題なんですが、面白さは危ういところで辛うじてバランスを保っている場合がほとんどで、そして危うければ危ういほどおもしろい。そう思ってみると絵画「イカロスの墜落のある風景」ってゾクゾクしてきますね。

誰も支えていてくれないし梯子はなくなっているかもしれない、鑞で固めた羽はいつか溶ける。その時に落ちるのは本当に自分が望んでいることなのか落ちて大丈夫な高さなのか。どうなんでしょうね。



来年またなにかやれたらいいな