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横丁オンリーユーシアター2022 酔っ払いに愛を

青森県八戸市は港町のせいか飲み屋が多く(東北では仙台の国分町の次の規模って聞いたことがあるけど真偽不明)、通りと通りを繋ぐ道、いわゆる横丁には飲み屋がびっしり詰まっています。
その横丁をまるっと舞台にし、いろんな団体がパフォーマンスを繰り広げるイベントが「横丁オンリーユーシアター」。
今年で10年目になります。

ちょうど私が八戸市を離れているときにはじまり、色々タイミングがあわず今年やっと見に行けました。
1番のお目当ては「ピン芸人九月」です。

絶対このイベント似合うだろうと思っていたのですが、今年めでたく出演が決定(昨年も出演予定だったが諸々でイベント中止になってしまった)。
というわけで、九月がコースの最後になるように申し込みをしました。

こちらのイベントは写真撮影、SNSへの投稿可なイベント(フラッシュ禁止、他の人の観覧を妨げない、会場によってはシャッター音禁止)。というわけでカメラ持って行きました。

オープニング(マチニワにて)

オープニングがあるというので、一応見てみるかと行ってみたら全くわけがわからなくて笑いました。
出演者全員で、山車の飾り?をもってぞろぞろと出てきたのですが、そのカオスぷりはまさに三社大祭。
三社大祭って、山車文化なので京方面から流れてきたとか来てないとかときいた覚えがあるのですが、最果ての地でなにがどうしてこうなったってくらい人形盛りつけてスペクタクルな噴射したりするお祭りです。
最近はどうかわからないですが以前に歴史マニアの知人が「三国志の中でなんでこの場面!?てのが題材になってる」
とバカウケしてましたが、なんというか、田舎ってどんどん独自の方向性に走ってガラパゴス化していきますよね。そういうの嫌いじゃないです。
都会は遠いから、自分たちで楽しみましょ精神です。

はちのへ~はちのへ~はちのへ~はちのへ~はちのへ~

出演者にダンサー多いせいか、カオスなりに美しく美しいけどカオスで、これは悪い夢をみているのか寺山修司インスパイア系なのか……。
わかった!これは酔っ払いのご機嫌な頭の中をあらわしているのでは!
などと一生懸命納得できる説明をさがしたりなんかしていました。
というわけでオープニングも終わって、いざパフォーマンス鑑賞へ!

みろく横丁

の前にみろく横丁。いや、つい。

表通りと裏通りを繋ぐ横丁。色んな意味で八戸の横丁の入口。2,3千円で軽く飲んではしごするのお勧め。飲みに行った日は意味もなくこの道通る。好き。なんなら往復してみたりする。県外から友達来たら連れてく。

みろく横丁は、席が空いていたらすかさず入るのが正解です。どこもすぐ席埋まっちゃうからね。
この日は煮物が売りの「にぃまる」へ。

みろく横丁「にぃまる」合鴨煮。鯖の冷薫も美味しかった。店主がイケメン。

結構食べ応えあるせいか、お会計のとき「え?やすっ!」って。
ちょい甘めの優しいお味の煮物でした。

開運姉妹(男山ビルにて)

ダンスユニットのお二人。

開運姉妹

コンクリートむきだしの今は使われていないビル。
夜になると開運姉妹の遊びの時間がスタート。
いつのまにか立っている二人。

脚立を飾ったり、お客さんと遊んだり、ユーモラスに動き回る二人の足取りはとても軽やかでそういえば足音聞こえたかしら。

靴屋に小人が夜中にお手伝いする話や、チックとタックが時計から出てきて寿司を食べて涙目になる話を思い出しました。

ダンスって、生身の体の迫力を感じることができて、生々しさと厳かさがあって良いですよね。
多幸感溢れるハッピーなステージでした。

洋酒喫茶プリンス

パフォーマンスの間にまた少し時間があったので

れんさ街。映えスポットって勝手に思ってる。レトロワンピース着るので写真とってくれ。

洋酒喫茶プリンスへ。
カクテルなんでも500円、チャージ料なし。というちょっとどうかしてる値段設定。お味はとてもおいしく一見さん大歓迎。
早い時間は空いているので、さっと入るのお勧め。17時から営業。

ラムベースの「えんぶり」ってカクテル。ほんと美味しい。お勧め。
有名人のサインと天井に名刺がびっしり。マスターはつかず離れずの接客でちょうど良い。

九月(パブ ダンディ)

お待ちかね!ピン芸人九月のコント

こんな機会がなければ入れなかったであろうPUBダンディ。大歓迎されてます。

横丁オンリーユーシアターの出演をきいて、絶対この会場が似合うと思っていたので主催者さんのチョイスに拍手喝采の私。
この会場以外だったら、みろく横丁の広場かれんさ街の通りで路上ギャグ師のナイン反町ネタをやり続けるしかないだろうなと勝手に思っていました。


店内は入口のネオンに反してシックな喫茶店風な感じ。飲みながら鑑賞できるんだったら飲みながら見たかったな。

横丁イベントということもあって、客層はなんというか横丁の客というか。若干アットホーム。
「親戚の子が確かいいとこ行ったはずなんだけど、よくわからない何かになって帰省してきて、どういう距離感でいけばいいのかわからない。」的な若干の緊張感の中雑談タイム。

九月の出身校は八戸高等学校という、県内トップクラスの学校。
例えるなら青森県の開成高校。(なんじゃそりゃ)
同じく弘前高校・青森高校も県内トップクラスの学校なんですが、こちらは人間椅子や寺山修司、太宰治など芸術寄りの有名人も多輩出しているのですが、対する八戸高校は真面目オブ真面目。なイメージ。

15分の中でコントを3本披露。

なんですが、私次の日とさらに次の日にも九月のコントを見ていて、いつ何をやったかさっぱり忘れてしまって、間違えてたらごめんなさい。

一本目多分これだったと思うんですよね。
ちょい皮肉が効いて考えさせられる点が、年齢層高めの大人な客層と「八高生か?なにやるんだ?」という客の期待に応えられる良きチョイス。
からの、二本目はっきり覚えてなくてラストが、詩の朗読風コント。

これがちょっと、客の「頭いい奴がなんかやるってよ」を逆手にとったというか、じわじわ後から「何を見せられたんだ?」というおもしろさが。

いい感じで詩を朗読してるけどよく聞けばおかしい。

いい表現というかほとんど良い文章で綴られた失った恋。
それを切々と読み上げていて、これは最後なんかいい話風にして幕を閉じる予感もするけどどうなんだ?
という期待感を無視して普通にあほな展開を切々と読み上げて終了してた。

綺麗な詩になりかけそうでならないという。
それがまた会場のレトロでシックな雰囲気(でも入口は看板ビガビが)と、ちょっと大人な客層にマッチしつつ、マッチしているんだけどなんかおかしいという戸惑いの雰囲気まるっと、してやられた感がある一本でした。
なんて事をしてくれるんだ。

オドラデク道路劇場(みろく横丁)

というわけで、再びみろく横丁へ。
すると広場から三味線の音色と人だかりが。

オドラデク道路劇場

八戸の街中で三味線聞こえるのって、なんか新鮮。
青森市はたまに路上三味線演奏(?)があったりしするのですが、八戸ではなかなかお目にかかれない。

福士正一さん

舞踏家の福士正一さん一座。
あちこちの道路や日常から感じるものを踊りにして表現するオドラデク道路劇場。寺山修司関連イベントでもお馴染みの方。
以前に田中泯さんの映画を見に行ったのですが、そんな感じというか舞踏ですね。

ステージで見るよりも路上がよく似合うというか。全然違和感なくみろく横丁に溶け込んでいました。
オドラデク道路劇場さんのステージが終わるとどこからともなく開運姉妹も登場して

開運姉妹

なんだかハッピーな感じでした。

というわけで、最後はみろく横丁の人気店鳥将にすかさず入り込んで、乾杯したのでした。

みろく横丁鳥将。八仙グリーンラベル。八戸きたらいいから八仙飲んでおけって思う。

鳥将も、いつも混んでいるのですが、入れてラッキー。おでんからなにからいろいろある(品切れもある)居酒屋。
女将さんの距離感が程よく、常連さんとおぼしき皆様の距離感も程よく、私の美容師さん激押しのお店。
目配り気配りがとっても程よい。
基本、各グループで話をしているのですが時折グループの垣根を超えてどっと店内で盛り上がったり。
その瞬間、同じ場で共有しているものについて盛り上がれるのって楽しいですよね。

というわけで、一日目は街を徘徊し飲み歩くというお手本のようなコースで楽しみました。

なにがいいって、飲みも鑑賞もかしこまらずにサクッとぱぱっと楽しめる点ですね。
横丁のノリというか。最高でした。

来年またなにかやれたらいいな