アオサギ彼氏

食生活に気をつけながら、裏山への散歩でコロナ禍を凌ぐ。
こんな軟禁状態は、初めての経験だ。
話し相手がいない一人暮らしだが、友人知人に会いたいとは思わない。
コロナが怖いのだ。
気が付いてはいたが、自分が、すごく臆病だということを再認識。

この間、友と呼べるのは裏山を降りたところにある池のアオサギだ。
池の畔で、一人体操をしている時、出会った。
毎日、会うことはできないが、瓢箪型の池のくびれ部分に架かる橋の欄干に羽を休めるのが、好きなようだ。
初めて会った時は、その大きさに驚いた。
朝のエサ取りを終えた後か、胸を張って孤高の鳥風情。
橋の門が開くのは、8時だから、傍に行くことは出来ない。
体操を終え、アオサギをしばし見つめ、念を送る。
「おーい、元気か。今朝の餌あさりは終わったのか?」
もちろん念は届かなく、我慢がならない指先で金属の欄干を静かに叩く。
これは確実に伝わる。
目線を僅かに振ったアオサギは、「ふん、またあの婆さん」と思ったかどうか、ぷいと正面を向くとおもむろに羽を広げ池の奥の木陰に飛んでいく。
「その辺に、お家があるの?」
彼は、答えることを知らない。
コロナ禍で見つけた小さな出会いだった。

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