"Binance will transition from being a company to a community" and Now.ーー「我々バイナンスは、会社からコミュニティに変わる」そして今

バイナンス、という暗号通貨の取引所がある。

取引高世界一の取引所で、暗号通貨界が活発だったときには四半期利益が2億ドルを超すほどの勢いもある。それでもなお、その地位には満足せず、革新的なサービスを生み出しつづけている。ついに昨日、DEXをテストネットに上げた。

この記事は、コミュニティ化するバイナンスを、観察したものである。

暗号通貨の取引所と聞くと、怪しげに思われるかもしれない。言ってしまえば証券取引所と一緒だ。顧客の資産を預かって、取引してもらって、取引手数料を稼ぐ。

でも、この形態の取引所は、暗号通貨クラスタからすると、怖い

取引所にお金を預けなければいけないからだ。

普通の感覚からすると、「あたりまえじゃないか」と思うかもしれない。お金を預けて取引する。銀行に、取引の機能がついたようなものじゃないか――

それでも、こんなふうに訊かれたら、どう思うだろうか。

「どうして、あなたのお金を、赤の他人に預けなくちゃいけないの? 見知らぬ人に、あなたは大金を預けないでしょ」

一瞬考えて、こう答えるかもしれない。

「いや、だって、預けなくちゃ取引できないじゃないか。私はその会社を信頼して、お金を預けているんだ」

まさしくそれだ。あなたは、その会社を「信頼」しているから、お金を預けられる。何百万、何千万、何億円のお金でも、その会社に預けられる。ときおり、個人情報が流出したり、預金の着服があったりしても、最終的には回復されるだろうと信頼している。

でも、この信頼は、自発的な信頼ではない。社会が認めてきたから、それを追認しているにすぎない。あなた自身の信頼ではなく、社会の信頼である。

暗号通貨クラスタは、信頼するものを選びたい。

だから「お金を預けなくちゃ取引ができない」みたいに、信頼を強制されるのを非常に嫌がる。

なので、取引所は怖い。世界一の取引高をもっていても、バイナンスという取引所を信頼することは、難しい。自分のお金は、自分で管理したい。

そのバイナンスが、昨日、バイナンスDEXをテストネットに上げた。

DEXというのは、Decentralized Exchange:分散型取引所の略である。

いままでは、顧客の資産をCentral(中央のバイナンス)が預かっていたけれど、これからは、顧客が自身の資産をもったまま、取引できるようになる。自分の財布を、取引所に預ける必要はない。自分の財布から直接、取引できるようになる。

顧客と顧客のあいだに立って、取引を仲介する組織はいらない。だって、そうでしょう。身近な人とお金を受け渡しするために、わざわざ銀行を使って送金したりはしないもの。現金で1000円渡せばいい。

いままでのネットは未熟だったから、価値を流通させるために信頼できる仲介者が必要だった。ぼくたちはそれを、当たり前だと思っている。信頼しているから、そうしているのだと思っている。違う。信頼させられていただけだ。その不自由さに、慣れてしまっただけだ。

いま、常識が変わろうとしている。

あなたは直接、自分の財布から相手の財布にお金を渡せばいい。

バイナンスは1年前、「我々は、会社からコミュニティに移行する」と発表した。

信頼できる中央管理者は、必要ではなくなった。取引所という会社は、いらなくなった。ただ純粋に、取引できる場所が必要になった。

これは革新である。ただし未来へではない。原点に戻った、という意味である。

会社という組織は、顧客を必要とする。顧客に価値を提供する代わりに、対価を得る。その対価で、さらに価値を生み出していく。そういう仕組みだ。

けれど、会社という形態でなければ、価値は提供できないのか。そもそも、会社と顧客という分類には、意味があるのか。DEXというp2pプラットフォームが生まれる時代に、取引会社という仲介組織は、本質的に必要だろうか。

そんなことはない。

バイナンスは、原点に帰った。我々の使命は、取引会社をやっていくことではなく、十分に取引できる場所を提供することなのだ。そう決めなおした。

コミュニティになるとは、DAO: 分散型自立組織になるということである。

会社という中央管理者はいらない。そこに集まる人たちが、それぞれに取引できればよい。その取引の場が栄えるように改善しつづける必要はある(流動性がないと取引できない)。なら、いろんな場所で広めたり、取引システムをアップグレードしたりすれば、対価が支払われるようにすればいい。そのための費用は、取引手数料をコモンプールとして貯めればよい。支払い方法を変えたければ、ガバナンスを変える方法も決めればよい。

バイナンスがコミュニティになる、とは、会社だけがバイナンスを運営するのではなくて、会社も顧客も含めた概念がバイナンスになる、ということである。運営するのではなくて、みんなの自発的な努力をまとめる方向に行く。

たとえば最近、バイナンス・アカデミーを作って、暗号通貨の教育を始めた。さまざまな言語で、知識の普及に努めている。そういうプラットフォームを、構築しつつある。

いまバイナンスは、DAOになるために試行錯誤をしている。旧来風の会社から、DAO時代の「会社」への移行するバランスを見極めている。

そのための大きな一歩が、バイナンスDEXだ。


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