まるでボンド、ジェームスボンド 『ラッキーキャットは だれの てに!』 読書ログ#58
今回のお話は夫婦愛と親子愛
第一話は、オークションへの参加から話が始まる。表紙はドレスコードにあわせて着飾るおしりたんてい一行と、ラッキーキャットのマスター、そしてその娘の「すず」だ。
さて、オークション。これが理解できるかなと少し心配しながら最初の読み聞かせをした。だって、二女なんて買い物の概念すら曖昧だもの。
二女は、買い物と聞くと「(スーパーの)オオゼキでおやつとジョアをもらってくるイベント」という認識が強い。あまりお金の概念が定まっていない。
長女はもう少ししっかりしているが、それでも小学生だし。ということで心配しながら読んでいたら、わりとあっさりと理解していて拍子抜け。
欲しいものを浅ましく奪い合う姿の滑稽さにも気が付くようで、二人で「我慢したらいいのにねー」「ねー」なんて言っている。自分達はパナップが我慢できないくせに。
それにしても、今回のおしりたんていは、これまで以上の盛沢山な内容だ。登場人物たちの意外な過去、あらたな謎の怪盗の登場に、前作にもチラッと出た「怪盗アカデミー」の存在。これまで出てきた端役の再利用。
なによりもインパクトのあるマスターの妻の登場。
そして、一番子供たちが湧いたのは、やはりおしりたんていがライブにゲスト出演するシーン。パープルヘイズならぬ、イエローヘイズ。ボーカルの呼びかけには、うっかり夫婦のiPhoneも参戦してしまい、子供達が興奮のあまり眠れなくなってしまう。読み聞かせ本としてなりたたない。
第一話 ラッキーキャットは だれの てに!
おしりたんていは、足繁く通う喫茶店『ラッキーキャット』のマスターから折り入って相談があると声をかけられる。
相談の内容はオークションへの参加だった。どうしても欲しい招き猫の《3体そろい》がオークションに出品されるのだが、オークション経験が無いので手伝ってほしいというもの。
おしりたんていが、依頼を断るところを見たことがない。今回も快諾。いいやつだ。
一行は、会場のサザエーズ(だれもが一度は思いつくシャレ)に乗り込む。そして、おしりたんていのアドバイスもあり、他の参加者の懐具合を調べながら効率的に落札をすすめ、3体のうち2体の招き猫を落札していく。しかし、最後の最後で3体のうち1体を取り逃してしまった。
しかも、落札した2体を窃盗団に狙われてしまい、人質も取られてしまう。
おしりたんていは、犯人の待つ港の倉庫に向かうが……
二話目 おもいでの まねきねこ
オークション騒ぎの翌日、ラッキーキャットにまぬかれたおしりたんていは、マスターとマスターの妻とのなれそめとなった招き猫が店から無くなっていることに気が付いた。
ショックのあまり寝込むマスター。おしりたんていは、マスターの娘「すず」を連れ、招き猫を探すが、その行き先は意外にも……
今回のむずかしい言葉
にゅうさつ いくらで買いたいと宣言すること。もっと高い値段をつけるひとがいたら、その人に買われてしまう。
らくさつ 自分の付けた値段が一番高かったので購入すること。
いっぴん とてもよい品。絶品に近い。
しんこきゅう 深く息を吸い、吐き出すことで心の落ち着きを取り戻す事
ちからずく ちからまかせに強引に事をすすめること
パンク 車や自転車、バイクのタイヤに穴があいて、中の空気が抜ける事
フルスロットル 目いっぱいスピードを出すために力を込めること
うでによりをかけた もともと上手なのに、さらに頑張っちゃうこと
ライブハウス みんなで音楽を聴きに行くところ
今回の内容を鑑みるに、今後もおしりたんていの世界はますます広がっていくのだろう。20巻、30巻と続ける覚悟を感じた回であった。
「それって有意義だねぇ」と言われるような事につかいます。