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おバカ男子の集合体しげるちゃん『いやいやえん』【読書ログ#138】

言わずと知れた児童書の名作。「ぐりとぐら」シリーズが有名な作家姉妹のデビュー作にして、いまでも読み継がれる名作。大人が読んでも正直ピンと来ないが、子どもは、読み始めると夢中になっている。漢字がほとんどないので、字の本の最初としてはとてもちょうどよい。

『いやいやえん』(中川李枝子、大村百合子)

子供向けの短編が7本。すべて「しげるちゃん」という男の子のお話。

しげるちゃんは、保育園の約束事をあらかたわすれ、顔を洗わず、はなくそを舐め、はさみをもって走り、ともだちを蹴り飛ばし、上履きを手に履いて顔を撫で、濡れた手で拍手をし、口が悪く、粗忽で、粗相ばかりで、人のいう事を全く聞かず、友達の邪魔をし、女の子を泣かせ、女の子の格好をさせられ、小熊に卵焼きをあげ、オオカミに綺麗にしてもらいそこね、110番に電話をし、友達よりも沢山果物を食べ、木に挟まって小鬼にたすけてもらい、なぞの保育園につれてゆかれる。

とんでもない男の子である「しげるちゃん」は、中川李枝子が保育士だった時代に実際に居た子がモデルになっているそうだ。たしかにこんな子は居るよなと思う。

そして、自分の子供の、ちょっとした「しげるちゃん」的な面に、もっと寛大でいても良いのだろうなと考えたりもする。人様に迷惑をかけないよう、社会のルールってのはしっかり教えていくべきだとは考えるのだけど、せめて未就学のうちは、自由な発想、自由な思いを押さえつけず、好きなようにさせてあげたいものだ、と。

こどもに読み聞かせながら、読み聞かせている親が育つ。良い児童書は誰にとっても素晴らしいものだね。

うちは女の子二人だけど、気に入ってよく読み聞かせをしている。上の子は、年長くらいになると、自分で読んでいたよ。

先日紹介した『ももいろのきりん』も中川李枝子さんの作品。

魔法使いのように子供の心を掴む作家さん。すごいよね。

「それって有意義だねぇ」と言われるような事につかいます。