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『風の万里 黎明の空 (下) 十二国記 4』(小野不由美)【読書ログ#170】

一週間位あけようかなと思っていたけど、待ちきれず下巻にとりかかってしまった。

上巻の紹介は下記にて。

いやぁ。いいですね。いいですね。上巻で広げた風呂敷をすっきり綺麗に畳み切った。相変わらずすっきりとする読後感。

『風の万里 黎明の空 (下) 十二国記 4』(小野不由美)

上巻で並行して進んでいた少女二人の物語も、自然な形で陽子の物語と合流する。さらに、圧政に立ち向かうパルチザン達や、謎の組織からも魅力的な仲間が加わり、討ち入り開始から麒麟にまたがっての凱旋、そして気持ちの良いラストとまで、一気に読ませる。

後半は、痛快が畳みかけてくるのでワクワクがとまらない。

いやぁ、面白かった。

これまでの十二国記シリーズを読んだ感想でしかないが、十二国記は、絶対に期待通りに物語が進む。海外ドラマのように、不安にさせるためだけのエピソードは存在しない。「24」みたいに、ジャックバウアーの娘が理解不能な奇行に走り、見ている人間をイラつかせるようなことはない。ただ盛り上げる為だけに事件を起こしたり、こんな過ちを犯したりはしないだろうに! みたいな事もない。ちゃんとしてる。シュッとしてる。

なので、読んでいても安心できるし、ストレスも感じない。ワクワクだけが高純度に抽出され、ドーパミンが止まらない。さらに、元が児童向けという事もあるのだろうけど、全体的に優しさに満ち満ちている。

もちろん、愚かな登場人物というものは、やはり居るのだけど、それはわかりやすい位にわかりやすい悪者だったり、愚か者だったりする。そういった悪者は期待通りに罰される。愚か者は期待通りに落ちぶれるし、一部は期待通りに更生する。

こうなればいいな、という形でちゃんと物語が進み余計なストレスが無い。

そして、何が凄いって、そういった予定調和的なスッキリ展開に対して、読者として善し悪しを挟む気にならない。ツッコミを入れるような事にはならない。おいおい、そんな都合の良い話なんてあるかーい! とはならない。興ざめしない。とにかく気持ちが良い。ノーミスでスーパーマリオをクリアしたときのような気持ちよさ。

なもんだから、上下巻あわせて700ページを超える長い物語なのだけど、気持ちよく一気に読める。

シリーズ未読のかた、是非一緒に楽しみませんか。面白いよ。

それにしても、『魔性の子』はいつ読んだらいいのかしら。もう読んでもいいのかな。

いつもは、巻末の解説とか訳者あとがきとかは読まないのだけど、今回、電車で読了したあと読む活字が無かったということもあって、巻末の解説を読んでみました。そうしたら、解説で「ナルニア国物語」のネタバレを書いており、いつか読もうとおもっていた「ナルニア国物語」のネタバレを書いており! せっかく良い読後感にひたっていたのに、すごく、がっかりするという事があった。要注意。



「それって有意義だねぇ」と言われるような事につかいます。