子供にも良質なミステリーを! 知育にもなる探偵シリーズ - 『おしりたんてい むらさきふじんのあんごうじけん(トロル)』【読書ログ#32】
おしりたんていは顔が尻
子供に超人気、小学校低学年向けの幼年童話。
「おしりたんてい」には、このシリーズとは別に、幼児向けの絵本があるが、こちらは、自分で読める年齢向けのシリーズとなる。
物腰は丁寧で、上品な立ち居振る舞い。レディーファーストが染み付いたジェントルマン。何が会っても冷静沈着、推理は鋭く、ロジカルに犯人を追い詰めていく。
そして、ここ一番で、顔の尻から強烈な屁を放ち事件を解決する。
紹介していて、もう、なにがなんだかわからない。
屁は顔の尻から放出されている。恐らく、口と肛門が一緒になっている。発声もここから行われる。生物としてどうなっているのか気になって、読み聞かせどころではない。「え、このオナラはどこから出てきたの?」「え、顔の尻から紅茶飲むの?」「おしりたんていの尻には尻があるの? それとも顔?」
だが、細かいことが気にならなくなると、とたんに面白くなる。
内容も盛りだくさんで、本筋の謎解き以外に、迷路や、おしりの探し絵、暗号に謎解き、さらに、カバーでは間違いさがしと、子供が喜ぶ仕掛けが満載で盛りだくさん。
全88ページとボリュームも十分。これに、メインとサブの2つのお話が掲載される。他の巻も基本同じスタイル。
一本目「むらさきふじんのあんごうじけん」
1階にカフェの入るとあるビルの2階、住居兼探偵事務所で、助手のブラウン(犬)と、朝の紅茶とスイートポテトを楽しんでいるところに依頼人が訪れる。
依頼人は、全身をサツマイモと同じ色の紫のファッションで身を包んだ、オーイモ農園の「むらさき婦人」だった。
先祖から残された暗号を解読してほしいという依頼だったが、なにか様子がおかしい。ふーむ、臭いますね。暗号を解読しながら、迷路やパズルの謎を解き、お宝に迫っていくが……
ワクワクしながら謎をといてゆき、最後に放たれる凄まじい勢いの屁に大爆笑必至。犯人の謎が明かされたあとは、最初のページの方に戻って再確認、おー、すごいすごいとなる。
ミステリーの王道のような構成に大人は膝を打ち、子供は感心する。面白いよ。
二本目「おやつどろぼうはだれだ?」
おしりたんていの事務所から、おやつの『たまごプリン』が盗まれた!?
探偵事務所からオヤツを盗むという大胆不敵な犯行に、おしりたんていたちは、探偵3箇条、
覚えて、調べて、理解する
を駆使して解決に挑む。そして、導き出された意外な犯人とは!? むらさき婦人の事件の、ほのぼの後日譚。
おなら以外はシモネタもナシ。暴力もナシ。超安心で子供に読ませることが出来る。
小学一年の長女がすごく熱心に黙読をする。声にださずに本を読むのは大人な行為だと思っている次女は「おねぇちゃんは頭の中だけで読んでるよ」と尊敬の眼差し。妻は「尻?」と怪訝を隠せない。
「それって有意義だねぇ」と言われるような事につかいます。