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映画もいいよ宮崎あおいが超いいの『舟を編む』【読書ログ#48】

『舟を編む』(三浦しをん)

恋愛がこじれる話が苦手です。みてらなんない。だから、恋愛ドラマは見ない。どうせ最後は上手くいくくせに、話を盛り上げたいがために、登場人物にありえないような言動をとらせたり、ありえないような失敗をさせたり、いちいち不自然なところが苦手で見てられない。

この手の展開が好きな人も多いとは思うけど、私は苦手。すごく苦手。気まぐれオレンジロードとか、めぞん一刻とか、最初の話と最終話だけでいい。途中の波乱とか、別にいらない。みてらんない。24のジャックバウアーの娘のエピソード位要らない。

この本も、途中、割と早々に何かがうまくいっちゃって困惑するのです。ちょっと待て、残りの半分以上はどうなるんだと。手を止めて栞をはさみ、本の残りの厚みを確認する。結構残ってる。こんなに早い段階でこの男女は上下になっていて良いのかと。

まじめくん、どうせこれからヘマかなにかして嫌われたり、ライバルが現れたり、おいそれとは起こりそうにない危機とか、すれ違いとか、どうでもいい波乱が沢山あって、暗礁に乗り上げるんでしょう? でも乗り切るわけでしょう? そんな展開かなと思うわけです。ドキドキしたくないから、最後の方を先に読みたくなるんですよ。

でも、我慢して読み進めていたら、全然違った。これは愛小説ではなくて、辞書編纂小説だった。様々な困難をのりこえながら、なんだかんだで仕事を愛しちゃう人たちの奮闘記。

みな、仕事をしながら自分の漠とした気持ちを静かに抱え、黙々と仕事にとりくみ成果を出していく。いいね。

それに、良い人しか出てこない。西岡がいい。西岡パートに入り、グッと物語に人間味が出てくる。

恋愛関係がもつれて、恥ずかしくて見てられないみたいな事は一切なかった。ずっと仲良く上下になっていた。すみませんでした。

まさか辞書編纂の話で目頭を熱くする日が来るとは思いもよらなかった。後味の良い、ステキな小説。

調べてみたら、映画になっていたので早速見た。映画の香具矢さんは宮崎あおいだよ。いいのよこれが。

「それって有意義だねぇ」と言われるような事につかいます。