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他の人の本棚は何故こんなに気になるのか『本棚が見たい!』【読書ログ#129】

『本棚が見たい!』(川本武)

人の家の本棚というのは何かと気になるもので、あんまりマジマジとみてはいけないだろうなと思いつつも、ついつい、じっくり眺めてしまう。

まったく趣味の合わない古本屋に来たようなラインナップの時もあれば、自分が情けなくなるような立派な本棚もあったりして面白い。

むかーし、鍋パーティーで集まったとある女性の家の本棚に、河童に関する書籍が資料レベルでそろっているのを見た時はドキドキしたな。あの方、今頃何をやっているのかしら。

私の部屋の書棚は、仕入れに失敗した古本屋とか、コンセプトの定まらない蔦屋とか、色々と言われますが、このノートの過去記事を見ればわかる通り雑多でまとまりがないのが特徴といえば特徴。誰の参考にもならないし、資産価値も無さそう。場所もとるので、妻や子供達からは煙たがられている。

こんな私の書棚(の写真はみせないけど)でも、自分にはわかるコーナー分けがあって、日本酒とか、料理とか、谷崎とか、SFとかに、なんとなく分るされていたりもする。そのなかでもお気に入りは他人の本棚コーナーだ。

20冊位しかないささやかな一角なんだけど、本と物理的に格闘するビブリオファイター達の活躍が記録されているステキな一角で、以前に1回、このコーナーから1冊抜きだして読書ログを書いたことがある。

で、そのときに、内藤陳さんの部屋の写真をちょいと使ったんですよ。

書棚というか、床に工事現場のレンガみたいに積み上げられた本の隙間でタバコを指に挟んで「もうどうにもならねぇよ」って顔をしているの。

割とあちこちで見かける有名な写真なんだけど、その写真のオリジナルがこの『本棚が見たい!』なのです。

深夜プラスワンの読書ログを書いて、そういえば家のどこかに有ったはずだよなと思い出し、どうしても読みたくなって、部屋中さがして見つけてきた。

本書は、ダイアモンド社が1984年から2001年まで出していた『ダイアモンド・エグゼクティブ』という強そうな名前の雑誌で連載されていた記事を本にまとめたものだけど、ここに内藤陳さんの書棚が登場する。

本書1996年の出版なので、健在だったころだ。写真と本人へのインタビューで構成された記事なのだけれど、実に味わい深い本だった。読んでいた小説を放り出して、シリーズ三冊を読みふけてしまった。

紹介されている方々も錚々たるメンバーだ。

筒井康隆、内藤陳、山田風太郎、荒俣宏、高村薫、村松友視、吉村昭、高橋克彦、畑正憲、和田勉、阿刀田高、ジェームス三木、安部譲二、山田太一、細川護熙、上之郷利昭、竹中労、日下公人、吉村作治、市川森一、夏目房之介、紀田順一郎、堀田力、秋元康。

格調高い。この中でも内藤陳さんの写真は群を抜いているのだけど、その他の方々の書棚もかなり興味深いいで立ち。

本書は人気企画だったようで、2、3と続きます。

『本棚が見たい! 2』には、猪瀬直樹、野口悠紀雄、横尾忠則、高橋義夫、上野千鶴子、山根一眞、赤瀬川隼、景山民夫、胡桃沢耕史、田中小実昌、三枝成彰、安西水丸、泉麻人、井家上隆幸、志茂田景樹、豊田有恒、松岡正則、岡留安則、水野晴郎、森詠、板坂元、國弘正雄、山本七平、高野孟。

ほら気になるでしょ?

第三弾もなかなかすごいですよ。

橋本治唐十郎、清水義範、桜井よしこ、C・W・ニコル、有田芳生、勝目梓、市川崑、棚森本哲郎、生島治郎、江波戸哲夫、唐沢俊一、高橋章子、中村彰彦、邱永漠、大槻ケンヂ、山本益博、林家木久蔵、鈴木邦男、金子郁容、阿井景子、田村隆一、オバタカズユキ。

ほら、ちょっとほしくなったでしょ? 人の本棚が好きな方は、まだ安く手に入るうちに買っておくと良いですよ。

「それって有意義だねぇ」と言われるような事につかいます。