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毎日読書#7 『ペンギン・ハイウェイ』(森見登美彦)

この物語の主人公『アオヤマくん』は、おっぱいが大好きで「毎日ほんの30分くらい」はおっぱいのことを考えている小学四年生。30分は男子から見ても長すぎると感じる。

アオヤマくんのライフワークは『研究』だ。

突如街に現れたペンギンを研究し、クラスメイトと<海>を研究し、歯科衛生士のお姉さんを研究している。

この説明だとアオヤマくんはただの変態小学生だが、そうではない。

アオヤマくんは賢く、純真で、真面目で、親切で、何でもメモを取り、大人へのホウレンソウは完璧でエスカレーションもバッチリだし、歯科衛生士さんのお姉さんのおっぱいばかり見ているし、いざというときは勇気を出すし、泳ぎも上手い。

そして、怒らないと決めているし、泣かないと決めている。やっぱり少し変だ。

アオヤマくんは変態だが、人(主に男子)によっては、自分の思い出を濾過し、選別し、究極に美化してピカピカにしてみると、割とアオヤマくんになるのではないか。

そのアオヤマくんが、俺だって機会とチャンスとタイミングと運と偶然と奇遇があればこれくらいの事はあったはず、なんて思ってしまう物語の中で活躍をする。大好きなお姉さんやクラスメイトと、ペンギンや<海>の謎を解き、いじめっ子と戦う。

物語に出てくる大人たちも、俺だってストレスも何もなかったらコレくらい粋な感じで子供と接することが出来るんだよと思わせるような人物達だ。喫茶店のマスターはこうじゃなきゃいけないよな、うんうん。

物語の冒頭から世界観にすっとひきこみ、何の違和感もなく不思議な世界を味あわせてくれる。読んでいることが心地よい。

いいねー! 楽しかった。もっと読んでいたいけど、物語はちゃんと終わるべきところで、ちゃんと終わってしまう。アオヤマくんは泣かないと決めた。でも、ぼくらはそうはいかない。

ゆるされるなら、ずっとソコで一緒に居たい。ずっと側でみていたい。森見登美彦はそんな小説を書きますね。おすすめ!

「それって有意義だねぇ」と言われるような事につかいます。