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初めてのデートは魔女とのデート『魔女(2)』【読書ログ#104】

『魔女(2)』(五十嵐大介)

魔女で思い出したけど、初めて付き合った女性と、初めてのデートでみた映画が『魔女の宅急便』だ。

1989年だから中学二年生かな。ませてる。おませさんだ。札幌の中心街にあった映画館で、たしか狸小路商店街。単品上映で、珍しかった。

当時の映画は、たいてい二本立てで、二本の映画を順に見せてくれた。映画館ではその二本の映画が繰り返し流されていて、好きなときに入って、好きなときに出る方式。おおらか。

映画館内の両サイドの席は喫煙席で、映画を見ていると、だんだん館内が煙たくなってくるのよね。凄い時代だったよ。

切符を一度買えばずっと映画館で座っていられたので、友達とよく色々な映画を見た。

ある日「AKIRA」を見に行ったときに、ちょっとヤンキーに染まり始めたU君が「おれ、まとめてチケット買ってくるから」と言って「ビー・バップ・ハイスクール 高校与太郎音頭」のチケットを買ってきたのは今思い出してもビックリする。

AKIRAを見に行ったのに。あのAKIRAなのに。当時から異彩を放っていて、当時の少年の心をわしずかみにしていたAKIRAなのに。

彼は、その場に居た全員から罵倒され「おまえはこの世に生まれてはいけなかったんだ」とブチ切れたW君と取っ組み合いの喧嘩をしていた。

W君以外の皆もわりと半狂乱で、一切言葉を発しないので先生からも障害があって声が出ないからと言われていたI君が、怒りに震えた顔で「Uはエイズなんだよ」とトンでも発言を口にした。

初めて声を聴いた! クララが喋った!? しゃべれたの?

映画は壮絶に退屈で、登場人物の全員が巻き舌だし、漫画も読んでいないし、全然内容がわからなかった。同時上映に期待したが、何を見たのかすら思い出せないので、きっとつまらなかったのだろう。

ビーバップハイスクール事件以来、あまり映画に行こうという話にならなかったので、結局スクリーンでAKIRAを見ることは無かった。返す返すも残念なことである。

魔女の宅急便は面白かったな。あの作品では、魔女は、割りとよいものとしてうけいれられていた。

だが、一般的には、魔女というのは、悪魔と交わった得たいの知れない力を持つものだ。

五十嵐の魔女は、害をなすものとして偏見をうけつつ、世界を深く理解したものとして書かれていて、これは第二集でさらに際立つというか、ものすごく説明される。

これは二冊続けて読むと、さらに遠い世界に行けて良いですね。

絵の圧倒は凄まじく、見開きで呆然とする事が何度もある。この絵を眺めるために買っても良いと思う。

同じ著者の『海獣の子』もおすすめされたので、読んでみたいと思います。

「それって有意義だねぇ」と言われるような事につかいます。