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チョクラルスキー法とは?シリコンインゴットの作成方法✨

一言で言えば…

「石英ルツボ内で溶融したポリシリコンに種結晶を接触させて、ゆっくりと上方に引き上げることで大型のシリコン単結晶を成長させる方法」です。

半導体プロセスの前工程におけるスタートラインは、シリコンウェハーですが、そのシリコンウェハーを作るための最も一般的な手法がチョクラルスキー法(CZ法)です。

この記事では、チョクラルスキー法について詳しく説明したいと思います🌱

CZ法によるインゴット製造炉

CZ法によるインゴット製造手順

CZ法は融解したSiに種結晶を浸して引き上げるシンプルなプロセスですが、実際には下記の様々な工程を経て製造されています。

  1. 種付け

  2. ネッキング(絞り)

  3. コーン

  4. 直胴

  5. テール

各工程について解説していきます。

まず、種付けは「無転位の種結晶をシリコン融液に浸す工程」です。
無転位の種結晶を回転させながらSi融液に浸すと、融液は濡れて高さhまで上昇します。このとき、種結晶と融液の温度差による熱衝撃で種結晶に転位が入ります。

しばらくすると種結晶は融解し、表面張力によるメニスカスを形成します。さらに、わずかに融液温度を上げながら引き上げ、転位が継続した直径2-3mmの単結晶を育成します。

種付けにおけるSi融液と種結晶の接触

次に、ネッキング(絞り)は「直径を細く絞りながら種結晶を引き上げ、転位を外に抜く工程」です。

転位が存在するとシリコンは単結晶化しません。したがって、種付け時に種結晶と融液の温度差によって生じる転位はネッキング工程で除去する必要があります。

転位は結晶を細く(2-3mm)絞ることで外に抜けていきます。この方法をダッシュネック法(Dash necking)と呼びます。

ダッシュネックで転位が抜ける原理は諸説あります。一般には、直径を絞ることで固液界面形状が融液に凸形状となり、転位は界面に垂直に伸びる為、転位が外側に向かい抜けていきます。

ネッキングによる転移の除去

コーンは「絞り工程終了後、結晶直径を増大させる工程」です。

るつぼを取り囲むヒーターの電力を低下させることで融液の温度を下げ、結晶の直径を減少させます。

また、結晶の成長速度(引き上げ速度)を減少させることでも直径は増加します。これは、引き上げ速度の増加により結晶の固化潜熱が減少するためです。

コーンにおける結晶直径の増大

直胴は「コーン終了後、一定の直径でシリコン単結晶を引き上げる工程」です。

直径を一定にするため、融液の温度制御やインゴット引き上げ速度の制御を行います。

また、引き上げ速度は無欠陥結晶を作るための重要なパラメーターであり、より精密な制御が求められます。

さらに、融液温度・引き上げ速度・融液対流によってもたらされる固液界面形状は、ドーパント・酸素分布(ストリエーション)や全面無欠陥結晶製造に影響するため、直胴工程の制御は非常に繊細かつ重要と言えます。

直胴におけるシリコン単結晶の引き上げ

テールは「直胴工程終了後、徐々に結晶径を減少させながら結晶と融液を切り離す工程」です。

結晶が所望の長さになったあと結晶を急に切り離すと、融液からの熱供給が急激に途絶えるため熱ショックが発生し、結晶に転位が発生してしまいます。

そこで行われるのがテール工程です。

テール工程では融液温度を上げながら結晶径を徐々に減少させることで、熱ショックを和らげながら、結晶を融液から切り離します。

テール工程が終了すれば、やっとシリコンインゴットの製造が完了です。CZ法はシンプルな成長法ですが、様々な工程が必要です。

テールにおけるシリコンインゴットのSi融液からの切り離し


まとめ🌱

  • チョクラルスキー法は高品質な単結晶シリコンを作る方法

  • 主にシリコンウェーハの製造に使用される

  • 種結晶を使って液体シリコンから結晶を成長させる

  • 高品質だが、成長速度が遅く、エネルギー消費が大きい

  • スマートフォンやパソコン、太陽電池など様々な電子機器に使用される

  • 技術の改良や他の材料への応用が進められている

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参考文献


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