東武伊勢崎線 ざっくり紹介
皆さんこんにちは、準急Aです。
初投稿の挨拶に続き、初めて内容のある文を投稿しようと思います。
◎東武に詳しい皆さまへ
この文章は私の大学の友人や高校時代の友人向けに作成したものです。鉄道にあまり詳しくない方を念頭にしているため、細かい内容についてはカットしている点があります。また私自身深い知識は持ち合わせておらず、その点が見え透くような文章もあるかと思います。以上2点についてご容赦いただければ幸いです。
なお敬体は面倒なので、これ以降は常体とさせていただきます。
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突然だが、あなたは世界一の高さを誇る電波塔、東京スカイツリーを保有する鉄道会社[1]をご存じだろうか。
日本の郊外私鉄のなかで、鉄軌道部門の収益が最も高い鉄道会社をご存じだろうか。
東証一部における各業種の代表・老舗企業たる称号、「01銘柄」に指定されている鉄道会社をご存じだろうか。
あなたは上記の質問にいくつ答えられただろう。
実は、これらの答えはすべて「東武鉄道」である。
東武?
少し東京の鉄道を知っている人なら意外に思うかもしれない。あの田舎電車が実は大きい鉄道会社なのだと知る機会など、普通に生きていたら与えられることはないはずだ。無理もない。
田舎電車などと揶揄しておいて、私は東武が好きだ。
群馬県伊勢崎市に生まれた私は、小学校6年生のときに鉄道に目覚めてしまう。地元にあるのはJR高崎線・両毛線と、東武線。しかし地元は鬼のような車社会。鉄道など殆ど利用したことがなく、故に地元路線の知識も皆無であった。
地元路線について調べていくと、どうもこの東武線というのは正式には東武伊勢崎線というらしい。生まれ育った街、伊勢崎の名前がついた路線。
知らなかった、そんなのあったのか。
「伊勢崎線は、東武鉄道の創業路線であり、同社の主要幹線の一つ。日本の私鉄路線の中では最も長い。[2]」
Wikipediaにこのような内容の記述があった。
大手私鉄の幹線かつ創業路線。
遠い世界・大都会の東京まで繋がっていて、私鉄で一番長い。
それに地元の名前がついている。この凄い路線に。
好きにならないわけがなかった。
私の東武に対する愛は、ここから始まった。
この鉄道趣味という世界に、強く引き込まれる感覚があった。
私は今も細々と鉄道趣味を営んでいるが、このような経緯があって、現在も東武鉄道・東武伊勢崎線があらゆる路線の中で最も好きだ。ダメが多いことを知っていても、なお好きだ。
「準急A」というアカウント名も、かつてこの路線を走った列車種別から借用しているが、それはまた別のお話。
前置きが長くなった。これだから鉄オタは。
では表題にもある通り、東武伊勢崎線についてざっくりと紹介していこう。各トピックの詳細は他の投稿に任せることとし、まずは全体を俯瞰する。
◎経由地
東武伊勢崎線は、東武鉄道の路線である。
東京都台東区の浅草駅を起点に、
・墨田区、足立区(北千住など)といった東京都北東部
・越谷、春日部、久喜など埼玉県東部
・館林、足利、太田といった両毛地域
を経由して群馬県伊勢崎市の伊勢崎駅に至る、全長114.5kmの鉄道路線である。
なお「両毛」というのは群馬県南東部と栃木県南西部を指す広域地名である。本路線を走行する、東京と両毛地域を結ぶ特急列車の愛称名にも「りょうもう」が採用されている。
◎諸元
全線が直流1500Vにて電化されており、軌間(レールの幅のこと。実は国内にも何種類か存在する)はJRなどと同じ1067mm、最高時速は110km/hである。
線内で最も急なカーブは浅草駅の半径100mカーブであり、これは1両20mの車両が通るにはかなりキツい。模型のように曲がる電車は一見の価値あり。
全線にわたって関東平野の平らな土地に線路が敷設されているため、トンネルは存在しない。
開業は1899/8/27。当初は北千住〜久喜のみの開業であった。
◎駅・線路など
駅数は55(押上を含む)。浅草方面が上り、伊勢崎方面が下りである。
以下、主要駅や本記事を読む上で必要な駅を示す。なお「|」は途中駅の省略を意味する。
浅草
とうきょうスカイツリー・押上
曳舟
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北千住
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西新井
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草加
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新越谷
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北越谷
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春日部
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東武動物公園
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久喜
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加須
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羽生
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館林
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足利市
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太田
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伊勢崎
※曳舟〜押上は実際は本線から分かれて支線のような形となっているが、正式には曳舟〜スカイツリーの線増扱いのためこのように表記した。
ここではややこしいので深掘りしない。
途中の東武動物公園駅から浅草寄りは、沿線に建つスカイツリーにちなみ「東武スカイツリーライン」の愛称名が付与されている。
全体の傾向として、上り方である「スカイツリーライン」の愛称区間は比較的駅間が短く、下り方の区間は駅間が長い。
輸送密度の高い北千住〜北越谷18.9kmは、線路が4本ある「複々線」となっており、これは国内の私鉄では最も長い。複々線長私鉄2位の京阪本線が12.6km、近年複々線化が完了した3位の小田急小田原線が11.7kmに過ぎないことからも、いかに当線の複々線が長いかお分かりいただけるだろう。(前述の曳舟〜スカイツリー・押上も一応複々線扱いだが、ややこしいのでここでは深掘りしない)
長大な複々線を持つ一方で、線路が1本しかない「単線」区間も存在する。それは、比較的輸送人員の少ない、下り方末端の館林〜伊勢崎である。当たり前であるが、線路が1本なら列車は駅以外ですれ違うことができないので、運行できる列車の本数は限られてくる。さらにこの区間は車掌が乗務しないワンマン運転が実施されており、列車本数の少なさやのどかな景色も相まって、ローカル線の様相である。
なお末端と言ってもこの区間だけで39.9kmあり、これは大手私鉄路線の京王線(37.9km)や東急田園都市線(31.5km)などよりも長い。
そして、これ以外の区間は線路が2本ある「複線」の区間である。このように当線では複々線・複線・単線と多種多様な線路の形態を見ることができる。
◎自社接続路線
当路線は東武鉄道の基幹路線なだけあって、同社の多くの路線と接続している。
具体的には上り方から、
曳舟で「亀戸線」
西新井で「大師線」
春日部で「野田線」
東武動物公園で「日光線」
館林で「佐野線」「小泉線」
太田で「桐生線」「小泉線(支線)」
である。12ある東武鉄道の路線のうち、7路線が伊勢崎線と接続していることからも、本路線が東武の基幹路線であることが窺えるだろう。
このうち東武動物公園から分岐する日光線は、本路線からの直通列車が特に多い。日光線系統は国際観光地の日光、有名温泉地の鬼怒川、さらに他社線に乗り入れて福島県は南会津までをも連絡しており、これらと東京を結ぶ各種特急が運行されている。
「スペーシア」や「スペーシアX」など、東武鉄道の花形特急はこちらの日光線系統へ走る一方、先述した伊勢崎線系統の特急「りょうもう」はビジネス輸送を担っており、華やかではなく落ち着いた印象である。
また、伊勢崎線はその路線長の長さから、JRや東京メトロなど他社線とも多く接続している。
◎相互直通運転
当線と接続する他社線に関して特筆すべきは、東京メトロの2路線だろう。
東京メトロ日比谷線と半蔵門線は、伊勢崎線と相互直通運転を行なっている。
相互直通運転というのは、簡単に言えば「他社の路線にそのままお邪魔する」というのを双方の会社が行っているということである。
伊勢崎線はターミナルの浅草駅に長い列車が入線できないことや、そもそも浅草駅の立地が良好でないことから、盛んに他社と相互直通運転を行うことで、都心へのアクセスと輸送力を確保している。
まず日比谷線についてだが、こちらは北千住駅で伊勢崎線と接続しており、日比谷線の終点である中目黒から、霞ヶ関や銀座などを通って北千住へ、北千住からは伊勢崎線で東武動物公園、さらに最長の場合は日光線に乗り入れて南栗橋駅まで直通運転を行なっている。
なお、各駅停車のみが日比谷線に直通する。
日比谷線と直通を開始したのは1962年である。
これは営団地下鉄(東京メトロの前身)と、東武のような郊外へ向かう私鉄とが相互直通運転を行った初めての事例であると同時に、伊勢崎線が初めて山手線の内側(≒都心)に乗り入れた瞬間であった。
それまでは都心へのアクセスが悪く、都心延伸もままならないまま、他路線に沿線開発の点で大きな遅れをとっていた伊勢崎線・並びに東武鉄道にとって、これはまさに悲願達成の瞬間であった。
次に半蔵門線である。こちらは押上駅で伊勢崎線と接続しており、半蔵門線の終点である渋谷のさらに奥、東急田園都市線の中央林間から、半蔵門線を経由して押上に至り、本路線の久喜や日光線南栗橋駅まで直通運転を行なっている。
こちらは急行・準急という優等種別のみが直通している。本路線の第2の都心直通ルートとして、2003年に直通を開始した。
◎長くなり過ぎたので中断
全体の俯瞰をするなどと言った手前、歴史や使用車両、列車種別と運行概況、沿線概況、利用状況なども書きたいところではあるが、1つの記事にするには長くなり過ぎてしまったので、ここで中断することにする。この続きは次の投稿でお伝えする予定。なぜスカイツリーと東武に関係があるのか、そもそもなぜ伊勢崎線が開業したのかなどの話もできたらと思う。
◎注
[1]スカイツリーについて、細かいことを言うと正しくは東武グループの企業が保有している。ただ本グループの親玉は東武鉄道なので、まずはこのような認識で差し支えないと思われる。
[2]第3セクターの路線を含むと肥薩おれんじ鉄道線や青い森鉄道線、三陸鉄道リアス線は伊勢崎線より長い。ただしリアス線は開業経緯から3つに分割されて扱われることもありグレー。
◎参考文献
東武時刻表 2023. 東武鉄道株式会社, 2023.
東武鉄道のひみつ. PHP研究所, 2013.
"大手民鉄の素顔 2023". 日本民営鉄道協会. 2023. https://m.mintetsu.or.jp/activity/databook/pdf/23databook_full.pdf, (参照2024-2-8).
ご覧いただきありがとうございました。
2024/2/9
準急A
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