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リストの枯渇問題を解消する!アウトバウンドナーチャリング戦略

みなさんこんにちは!セルメイトの前田です!

セルメイトはインサイドセールスBPOとして多数のSaaS・IT企業の支援をしています!

今回の記事は、少し力を入れて書いてしまったため、約5,500字とやや長めのボリュームです。。
通勤時や休憩時などの空いている時間にお読みいただけると幸いです。

この記事を読んでいただいている皆様はインサイドセールスを担当されている方が多いと思います。そんな皆様が今すごく困っている問題としてあるのが、目標に対する商談獲得数が足りないということではないでしょうか。
会社から求められる売上目標、受注目標、商談獲得目標達成に向けて、現在保有しているリストを隈無く探すものの、商談確度の低いリードばかりで、いざアプローチするもなかなか成果が出ずに苦しんでいるというお声はインサイドセールス担当の方から非常によく耳にします。

そこで、今回の記事では商談獲得を増やすためのアプローチ手法である「アウトバウンドによるナーチャリング」について記載していこうと思います!


■インサイドセールスのリードが足りない問題

受注が足りない/商談が足りないという課題の根本にあるのは、そもそもインサイドセールスのリストが枯渇していることにあると思っています。十分な数や質がない中で商談を創り出して目標達成させるのは至難の業です。

私自身、セミナーやイベントでSaaSやITサービスを提供されている企業を中心としたBtoB企業のインサイドセールス担当の方とお話の中で、よく伺うあるあるのお悩み状況について以下に記載しました。

BtoB企業のインサイドセールス担当者が抱えるお悩み(一部抜粋)

(1) セミナーやホワイトペーパー流入からの商談が取れない
(2) リサイクルリードが枯れていて有効なアプローチ先が少ない
(3) 大手との商談が獲得できない
(4) 目標達成に向けた打ち手が見つかっていない

お話した企業の方みなさま同じような悩みを持たれているという印象であり、有効リードが不足していることによる目標商談数を達成できていないことターゲット企業への商談獲得に必要な施策がうまく回せていない状況に苦しんでいるとのことでした。

■特にアウトバウンドではリストが枯渇している

インサイドセールスに従事されている方の中でSDRを担当されている方も多いと思いますが、最近はBDRを担当されている方の数が増えてきている印象があります。BDRの組織でアウトバウンドアプローチをメインで担当されている方は、特にリスト枯渇問題を抱えているのではないでしょうか。

BDRではターゲットを明確に絞り込んで、自社にとって狙い撃ちしたいアカウントを獲得することが求められます。絞り込みが必要なため、ターゲット数が十分にあるというケースは少なく、一定活動期間を過ぎるとアプローチするリストがなくなってしまうという事態に陥ってしまいます。

■リスト枯渇はインバウンドの掘り起こしでも起きている問題

こうしたリストの枯渇については、先に述べたSDRでも起こっているのではないでしょうか。商談目標達成のためにはリードが足りない場合が多いため、セミナーでご挨拶したのみの方への複数回のフォローコールをするも通電率も商談獲得率も低いという状態が起きていることをよく耳にします。
こうした状態が起きている根本の要因としてあるのは、ナーチャリングを適切にしていないことだと思います。

■ターゲットリストを着実に育てていくのが「アウトバウンドナーチャリング」

アポイントという短期的な結果を作ることはもちろん重要ですが、それは自社組織にとっての重要な指標というだけです。顧客には関係がありません。すなわち、短期のアポイントという成果を求めることは売り手のエゴであるといえます。

今架電をしてアポイントが取れたか取れないかというアプローチでは、リストがすぐに枯渇してしまいますし、短期的な成果ばかり追いかけてしまうと顧客体験を悪くなってしまいがちなので、中長期で追っていればアポイントを取れたかもしれない会社との関係を壊してしまいかねないです。

そんなことは既に理解されているという方は非常に多いと思います。
ただ、意識では短期的な成果だけでなく長期的な成果が重要であるとわかっていても、組織のKPIが単月商談獲得数のみであり、リード獲得や見込み獲得が評価されない状態であれば、営業個人としては短期的成果しか追い求めないようになってしまいます。

中長期の成果を最大化させるには、短期だけの成果を求めるべきではないです。そのため、アウトバウンドのアプローチについてもターゲットリストを”資産”として捉え、中長期視点で商談を獲得することをKPIに設計した上で”線的コミュニケーション”が重要であることが組織に浸透させることが必要です。
その土壌ができれば、アプローチ手法が改善され、リスト枯渇を防ぐことができ、獲得率は向上していきやすいです。

■アウトバウンドでもナーチャリングは可能

アウトバウンドでアプローチを行う時には電話やメールが基本アプローチとなります。ただ、アウトバウンドアプローチでは顧客とのコミュニケーションを”点”で行ってしまうケースがよくみられます。
これがアウトバウンドで失敗する大きな要因となっていると私は思っているのですが、アウトバウンドにおいてもインバウンドと同様に顧客との複数回のコミュニケーションを前提とした”線”でのコミュニケーションが求められます。

アウトバウンドナーチャリングのイメージ図

■アウトバウンドナーチャリングによる効果

弊社ではSaaSを中心とした立ち上げから1年未満のスタートアップから上場企業まで、様々な企業さまのSDR及びBDR立ち上げのご支援をしております。大手企業に向けたプロダクトを展開したいというプロジェクトにおいては、アウトバウンドによるナーチャリングを行ってから3ヶ月で商談数を5倍にした事例も出ております。

<支援企業での成果>
・大手企業との商談数を3か月で5倍するという大きな成果改善
・最も刺さるセグメントにリソースを集中させることで受注率の向上
・ニーズが明確な企業に導入いただくことで解約率を最小限に抑止

【注意】アウトバウンドの活動においてやってはいけないこと

①架電リストを短期的に消化する
BDRでのアプローチをしていくと決めた際によくやってしまいがちなのが、とにかく活動量を増やしてアポイントを獲得しに行ってしまうことです。このようなケースの場合は、多くの場合は営業代行の会社などをコスト重視で選定して短期的な費用対効果を追求する会社が多いのですが、うまくいかないケースを多く見てきました。

②ターゲットを絞らずに架電する
BDRの特長の一つは、自社がアプローチ先を選定できることです。顧客になってもらいたい企業をこちら主導で決められるのです。にも関わらず、ターゲット選定を十分に設計せずにアプローチを進めてしまうのは悪手だと言えます。

③短期的な成果を過度に求めること(早期から商談化などのわかりやすい成果をのみを目標として設定すること)
営業として成果を求めることは重要ですし、なるべく短期の成果が望ましいことは一ミリも否定しません。ただ、短期的な成果を求めすぎてしまうとことの弊害が2つあります。

1つ目は顧客体験が悪くなってしまうことです。短期的成果のみを求めると、営業が強引かつドライになりやすく、顧客に対して良くない印象を与える営業活動になってしまう可能性が高くなります。また目の前の商談獲得に奔走するがあまりニーズがない顧客との商談をとってしまい、商談をしても受注ができないことも起こり得ます。

2つ目はリストが枯渇してしまうことです。1点目の理由とも通ずる部分が多いのですが、短期的成果を求めすぎるとターゲットリストを短期的に効率よく"刈り取る"ような意識になってしまうことが多いです。そうなると、顧客と「商談できるかできないか」の2択になってしまい、今すぐに商談ができない顧客への価値提供を怠ってしまうことが往々にして起こります。
十分にナーチャリングを行なっていれば期間を空けてアプローチした際に商談化できたかもしれないにも関わらず、その機会を逃してしまいます。提案機会を逃すだけではなく、「商談できるかできないか」の2択の提案のようにリストを"焼畑化"してしまうと、ターゲットへのアプローチが1周したら、今後アプローチできる先がないという悲惨な状態になってしまいます。

■アウトバウンドナーチャリングの具体的な手法

ここまで前置きがかなり長くなってしまったのですが、ここからは実際にアウトバウンドでのナーチャリングをどのように行うのかを記載していきます。弊社では以下の3つのステップを踏んで行っています。

STEP① 最重要ターゲット企業の絞り込み
STEP② ターゲット企業のスコアリング
STEP③ 導入検討推進者の巻き込み

STEP①最重要ターゲット企業の絞り込み
アウトバウンドでのナーチャリング行う上で一番重要なことはアプローチ前の準備です。具体的には自社が最も優先的にターゲットとする企業群の絞り込みです。弊社にて支援を行った会社の場合は以下のような点を意識してターゲット設定をしました。

✅最優先ターゲットを数百社以内(できれば500社まで)で絞り込みを行う
【絞り込みのポイント】

大きなLTVが見込める"一定の規模以上"の企業
②自社のソリューションがFitする"根深いニーズがある"企業

先にも書いたように、BDRでは絞り込みが重要です。絞り込みを行う上では自社が顧客になってもらいたいと思う優先ターゲットを決めると良いでしょう。大きなLTVが見込めるような大手企業にアプローチすることはBDRの主流になっていると思いますが、自社のソリューションがFitする"根深いニーズがある"企業に狙いを絞ることもとても重要です。大手企業への導入が決まったとしても、多くの場合まずは試験的に小さく導入するケースが多いです。注意しなければいけないのは、大手に導入されたとしても、活用されなければアカウント追加もなければすぐに解約されて大きな売上を見込むこともできません。
解約を防ぐには導入後の運用設計や活用支援などはもちろんですが、そもそもニーズが明確にある会社にアプローチをしなければいけないです。つまりは、導入した場合にアクティブな活用が見込めるような「解約が起きにくい」会社に絞っていくことが重要だと言えます。

実際に弊社がどんな絞り込みをしたのかを以下に提示します。

小売/飲食業界向けSaaS企業での支援事例

✅最重要ターゲット
定期的に店舗に出す指示内容の進捗管理や店舗からもらう業務報告の集計業務がうまく回っておらず、非効率な作業や業務が多く発生している企業

ターゲット抽出軸の具体例(※機密情報のため支援実例とは異なる例を提示)
→日本全国のうち20店舗以上を運営する飲食業界の約300社

STEP②ターゲット企業のスコアリング
ターゲット企業が固まったらいよいよアプローチを開始していきます。ただアプローチにおいても、ターゲット企業全てを均等にアプローチするのではなく、顧客の状況に合わせて濃淡をつけていくことが重要です。具体的には、検討の主体となるキーマンに接触できているか、現状の運用における課題/ニーズが明確になるか、検討時期や予算が合っているかなどをもとに優先的に追っていくべき顧客かどうかをスコアリングしていきます。

スコアリングのイメージ図

STEP③導入検討推進者の巻き込み
最後に意識すべきは誰と商談するかです。
特に大手商談の場合は、ニーズがある企業との商談を創出したとしても、適切な担当者と商談ができないと稟議の途中で検討が止まってしまい、案件を前に進めることができないケースが多くあります。

検討が途中で止まってしまうことを防ぐために、対象企業へのアプローチ部署や担当者が適切なのかを検証したり、可能な限り「導入検討推進者」の同席をしてもらうよう打診することが重要です。

手前味噌ですが、弊社では「誰と商談するのか」を強く意識して商談創出しているため、支援企業様にお渡しした商談の中から複数件の導入が決まっています。まだ契約更新を迎えていないため解約がどの程度起こるかの見通しは立っていませんが、ニーズが明確な企業に導入いただいているため、どの企業もオンボーディングまでスムーズに進んでおり日々の業務で活用いただいています。

■最後に

今回はアウトバウンドによるナーチャリングについて記載をしていきました。皆様がこれからBDRの立ち上げを行う際や、大手企業との商談獲得施策を強化する際などにご活用いただけたらと思います。今回の記事を気に入っていただけましたら、ハートマークをタップして「スキ」をつけていただきまして皆様の周りの方にシェアいただけると嬉しいです!

インサイドセールスについて外部のパートナーに相談したい!という場合はぜひお気軽にご相談ください!

■セルメイトについて
セルメイトではBDR施策の戦略策定~実行までをトータルで支援しています。インサイドセールス、特にBDRのノウハウがなく自社での立ち上げが難しい場合、体制が整備されている外部のリソースを用いて立ち上げを行うこともお勧めです。

現在のお悩みとして「どの程度リードや商談数の増加に繋がるのか、まずはシミュレーションしてみたい」などインサイドセールスについての相談などあれば、お気軽にお問い合わせください。