おやすみプンプン忖度無しガチレビュー•考察(ネタバレあり)

おやすみプンプンを無料期間内で全て読み終えた。
結論、面白かったがモヤモヤが残る。
まぁ、後味が悪いのが作者の狙い目なら完全にその一人になったわけだが、純粋に消化不良が多々あったと思う作品である。

プンプンと愛子の異質で狂おしい程の純愛ストーリーはこれでもかというぐらいに描かれているが(鹿児島編)、ペガサス合唱団関連が本当に納得いかなかった。

簡単に言うとこれに尽きるが、きちんと良かった点と悪かった点について深掘りしていきたい。

・良かった点
まず、おやすみプンプンの面白さは人間味溢れたキャラ達が現実と戦うという話に筋が通っている。
また、ストーリー面はプンプンが南条幸の出会う所から話が加速していって読む手が止まらない程緊張感と驚きがあった。

また、このよく分からないおじさんだが、私はプンプンの奥底に眠る自意識ということにしている。
このおじさんは幼少期からプンプンに付き纏い、何かと要求してくる。
高校編からは現れなくなったが、再び“暴走”という形で現れる。
それは愛子母を殺すシーンだ。

この「おはよう、プンプン。」はプンプンの底に眠っていた暴力的、残酷性を秘めた自意識の解放を表していたと解釈している。

ここからの展開は口を開きながら読んでいた。

ラストシーンも割と気に入っている。
最終回では晴見視点で描かれているが、ラストページのプンプンとプンプンに関わった人達が映るシーン。
あれは孤独で誰とも分かり合えなかったプンプンが、紆余曲折ありながらも、生涯の仲間と出会ったというオチといえるだろう。
それは自分の事しか見えていない、否、自分の事を見る事に精一杯のプンプンには気づかない事だが、晴見視点で見て初めてわかることなのだろうか。
人一人の人生を追体験したような読後感で気持ち良かった。

・悪かった点
ペガサス合唱団。
あれは結局なんだったのか。
アカシックレコード、黒点、7月7日。
何一つ分からないままぶん投げられた。
ペガサス視点の話だけで何話、何十話も使ったのに投げっぱなし。
本当に肩透かしを食らった気分だ。
散々世界が滅亡だの新世界だの言ってたのに、何一つ起きなかった。
なんなら教団内で自滅してたし。
いや、本当に世界が滅亡されても、それはそれで非難殺到だが。
一応、関と清水のために用意された舞台には見えるが、本当に何話も使って描く事だったのだろうか。
それとも、ペガサス合唱団の電波会話を「絶対何かある」と思い、一文一文を丁寧に噛み砕きながら読んでいたから、意識してしまったのだろうか。

・総括
この漫画は面白いつまらないと一言でまとめられない作品であろう。
プンプンに全く共感できない人は「陰鬱な雰囲気なだけが淡々と続くだけでつまらない」とまとめたり、プンプンにめちゃくちゃ共感できる人は「心が持ってかれた。数日引き摺る」と意見や感想は千差万別であろう。

プンプンに共感できないとただただ陰鬱な雰囲気を押し付ける苦痛オナニー漫画と一蹴したくなってしまうだろう。
なので、それは「この漫画は深く突き刺さる素晴らしい漫画だから、つまらないって言ってる人はおやすみプンプンをちゃんと理解してない😡」と言う人達は、そもそもプンプンというキャラクターに共感できないので理解しようにもできないという人がいる事も考慮して欲しい所だ。

この漫画はストーリーの面白さ云々というよりも、心に突き刺さるような言葉と現実に生きるプンプンという人間の人生を追体験する漫画であると考える。

だから深い考察とか賛否両論は無駄だと考える。
共感できればできるほど心を引き摺る程の力を持ち、共感できなければできないほど理解できないキャラクターが勝手に悩んでセックスしてまた苦しんでるという様子を作者が気持ちよがって描いているようにしかみえない苦痛漫画になるのだから。

ちなみに私は数時間ぐらい持ってかれた。
いや、もしかしたら今も持ってかれているのかもしれない。

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