地方自治法「指定管理者制度について」

内部試験の関係で地方自治法について学習していますが、ホームページ上で、地方自治法に記述試験に関するものが少なかったので、自分なりに記載したものを誰かの参考に公開します。

参照

問題


平成15年の地方自治法の改正により、従前の公の施設の管理委託制度に代えて、指定管理者制度が設けられたが、指定管理者制度の概要を説明しなさい。また、制度創設後について、どのような課題があるか、あなたの考えを述べなさい。

解答


1 指定管理者制度の概要について
 指定管理者制度については、地方自治法により「普通地方公共団体は、公の施設の設置の目的を効果的に達成するため必要があると認めるときは、条例の定めるところにより、法人その他の団体であつて当該普通地方公共団体が指定するものに、当該公の施設の管理を行わせることができる。」と規定されている。
 
 指定管理者制度は、多様化・高度化する住民ニーズへの効率的・効果的な対応を図り、住民サービスの向上、行政コストの縮減を図ることを目的とした制度である。
 従来の管理委託制度と異なる点として、指定管理者制度は、公の施設の管理に関する権限を指定管理者に委任して代行させるものであり、指定管理者は、利用料金制度のほか行政処分に該当する使用許可も行うことができる。
 また、指定管理者となるものについても特段の制約を設けず、その対象は民間事業者等が幅広く含まれており、指定管理者は、「法人その他の団体」と法に定められているため、個人を指定することはできないが、団体であれば法人格は必ずしも必要ではない。
 
2 指定管理者制度の課題
①自治体の施設に対するビジョンの明確化
 自治体がその施設をどのように位置付け、施設の役割が現代の需要に適合しているか等を常に検証し、施設のあり方のビジョンを明確にする必要がある。そのビジョンを自治体が持たず、ビジョンも含めて提案書やプロポーザルによって指定管理者に提案させ、その出来栄えを点数評価し、指定管理者を選定している例があるが、自治体の明確なビジョンのもとでこそ、指定管理者は自らの大切な役割を自覚し、与えられた使命を考え、その実現に向けて全力で執行することができるはずである。
 
②指定管理者制度の活用方法の意義を理解する
 施設の老朽化や人口減少、高齢化などの要因を考慮した公共施設のマネジメントが求められており、今後は施設数やサービス量の見直しは避けられない。施設利用にあたっての対象者が減少し、実際の利用者が少ない場合でも、施設の廃止が困難な事例もあるため、安価な経費で指定管理者に委託することで現状維持を図っている例もあるが、指定管理者制度を「自治体の財政や体制の当面の苦境を乗り切る施策」にしてはならない。
 
③適正予算
自治体からの指定管理料の提示額について、物価上昇や人件費の増加を考慮する必要がある。それらが対応されない場合、そのしわ寄せが施設の安全管理や人材育成などに波及する恐れがある。
また、利用料金制の導入や自主事業の充実を通じて収益を増加させることが検討されるべきであり、また、収益の一部を自治体財源に還元することで、制度の持続可能性を確保することも重要である。


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