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地方自治法「再議、不信任議決及び専決の制度」

内部試験の関係で地方自治法について学習していますが、ホームページ上で、地方自治法に記述試験に関するものが少なかったので、自分なりに記載したものを誰かの参考に公開します。

参照

問題

地方公共団体の長と議会の関係は、首長制のもとで相互の抑制均衡により、権力の集中を排除しつつ、公正な行政運営を確保することとされている。そのため、地方自治法は、長と議会との間で、相互に牽制する手段として、再議、不信任議決及び専決の制度が定められているが、この3つの制度について述べよ。
 

解答案

◎再議について

再議制度は、議会に対し長が拒否権を行使し又は再考を促す制度として設けられている。
一般的拒否権
普通地方公共団体の議会における条例の制定もしくは改廃,予算に関する議決について,長に異議があるときには,長は地方自治法に特別の定めがある場合を除いて,これを再度議会の議に付すことができる。
再議の請求は議会から議決の送付を受けた日から 10日以内に理由を付して行われなければならない。
議会が再議に付された議決と同じ議決を過半数で行っときは、その議決は確定するが、条例の制定もしくは改廃または予算に関するものについては、議会が出席議員の2/3以上の者の同意で再議に付された議決と同じ議決をした時に、その議決は確定する。後者の場合、出席議員の2/3以上の者の同意が得られない場合には、その議案は廃案となる。ただし再議にされた議決と異なる内容の議決が出席議員の過半数の同意を得てされたときは、新たな議決があったものとみなされ、長はこの議決に意義があるときは改めて再議に付することができる。
 
特別拒否権
普通地方公共団体の議会の議決または選挙がその権限を超えまたは法令もしくは会議規則に反すると認めるときは、当該普通地方公共団体の長は理由を示してこれを再議に付しまたは再選挙を行わせなければならない。これは長による議会への統制手段であると同時に議会の議決の適法性を確保するための地方公共団体内部の統制制度と見ることができる。
議会において
①法令により負担する経費、法律の規定に基づき当該行政庁の職権により命ずる経費その他の普通地方公共団体の義務に属する経費、
②非常の災害による応急もしくは復旧の施設のために必要な経費または感染症予防のために必要な経費を削除しまた減額する議決をしたときは、その経費及びこれに伴う収入についても、 普通地方公共団体の長は、理由を示してこれを再議に付さなければならない。
①の経費を削除してまたは減額する議決を再議に付し、議会の議決がなおその経費を削除し又は減額したときは当該普通地方公共団体の長は、その経費及びこれに伴う収入を予算に計上してその経費を支出することができる。
②については議会が過半数でなお災害応急経費を削除し又は減額したときは当該普通地方公共団体の長はその議決を不信任の議決とみなすことができる。
 

◎不信任決議


長に対する議会の究極の対抗手段として、長に対する不信任決議がある。不信任議決は議員数の2/3以上の者が出席し、その3/4以上の者の同意で行われる。ただし長が議会の不信任決議に対抗して議会を解散した場合、解散後初めて招集された議会において再び不信任の議決を行うときは、議員数の2/3以上のものが出席し、その過半数の同意で足りる。不信任決議の理由は特に制限されておらず、議会の政治的判断に委ねられている。
 

◎専決


「専決処分」とは、本来は議会が議決しなければならない事件を、時間的に議会の招集を待てない緊急な場合などに、行政運営の遅れや滞りを防ぐため、例外的に長が議会の議決に代わり意思決定すること。
 
①法律の規定による専決処分
ⅰ普通地方公共団体の議会が成立しない時、
ⅱ地方自治法113条但し書きが定める定足数の例外が認められる場合においてなお会議を開くことが出来ない時、
ⅲ普通地方公共団体の長において議会の議決すべき事件について特に緊急を要するため議会を少数招集する時間的余裕がないことが明らかであると認めるとき、または
ⅳ議会において議決すべき事件を議決しないときは、
当該普通地方公共団体の長はその議決すべき事件を処分することができる。
専決処分した場合、普通地方公共団体の長は次の会議においてこれを議会に報告しその承認を求めなければならない。
②議会の委任による専決処分
普通地方公共団体の議会の権限に属する軽易な事項で、その議決により特に指定したものは、普通地方公共団体の長において、これを専決処分にすることができる。議会の委任による専決処分をしたときは、普通地方公共団体の長は、これを議会に報告しなければならない。


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