恋人は少しブス09

 前回の08はR-18指定になってしまいました笑
 今回は無料記事にします。 


 稽古終わりでメンバーで時々居酒屋とかに行く事があった。僕とP以外は演出家のHさんはじめ皆相当イケる口だった。というか大酒飲みの集まりだった。時々新宿の今は思い出横丁と呼ばれているが当時はション横と呼ばれていた西口のごちゃごちゃした飲み屋街に行った。
 鳥園という居酒屋がいつも行く店でそこは現在もまだある。あの飲み屋街も建物も周囲の道路も整備されて当時に比べれば大分綺麗になった。それでも何も知らない人は入りにくい路地だ。怪しい感じが今も多少ある。そこがまたエキゾチックだ、とかで、外国人観光客の見学コースになっている。横道にそれるけど今新宿も再開発してるけどはっきりは言えないがあの飲み屋街の一角はどうやら残されるみたいだ。ああいう場所すら開発でビルかなんかになったらもう新宿とは名ばかりの街になるだろう。まあ建物の骨組みの老朽化が進むだろうからいつかは消える運命にあるかもしれない。ゴールデン街然り、2丁目然りだ。江戸の昔は日本橋から始まる東海道の宿場で内藤新宿と呼ばれて…ってそれ過ぎだろ話しが。

 僕とPは他の劇団員からいわゆる、できてる、と思われていた。僕がPに告白的な事をしてから約一年。同じ歳の僕らは19歳になっていた。19歳。それは僕には特に忘れられない歳だ。

 僕は数々のアルバイトをした。ビル清掃、着ぐるみ着てイベント出演、弁当の配達、ビルのガラス拭き、お好み焼き屋店員、札を数える機械の製造工場、文明堂のカステラ工場、靖国神社前のビルの警備員、自動車修理工場の雑用
、チラシ配り、ポスティング、そしてエロ本のモデル、まだまだある。その全てに面白いエピソードがあるのでそのうちバイトをテーマに別の記事を書きます。

 僕とPは皆に、できてる、と思われていたが、実際のところ前回書いたけれど僕たちの距離は一向に近づいていないのだった。その一年間。僕は何度Pの事を考えてマスターベーションしただろう(今回もR-18だな)
 眠る前にほとんど毎晩していたから約365回は放出していたのだろう。だから自分は性欲が強い方だと思っている。でも19歳なんて皆そんなものかなぁ?

 賢者タイムというのをご存知だろうか?男子の自慰行為において射精した後なんというか虚しさを感じてしまい欲望でギンギンの時とは別人の様な人格へと変貌し、

"そうか、欲望なんてかくも浅はかなものなのだな"、

なーんか思っちゃってしばらくシラーとなる。そんな状態を賢者タイムと呼ぶらしい。

 しかし前出の通り僕のそれはそんなに生やさしいモノではなかった。刷り込まれた罪悪感は僕に生死について考えさせるほど極端な苦しみを感じさせた。それで僕は不眠気味で気づくと明け方、なんて事もしばしば。Pを思ってため息をつく。

 僕の曲で17歳のジャングルというのがあるのだがまさに、明け方のため息さ、ってわけなのだった。
                   つづく

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