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【デュエマの日本一になりました】

???「なんで今さらこんな記事を書いてんだよ!!!!!」

忙し過ぎて中々書けなかった&書けないうちに途中まで書いてたのを忘れてて最近思い出した&もったいないので自己満で投稿しようかなと「わい」

遅筆すぎワロタ

※本当に今さら過ぎますが、恐らくもうなかなか無いであろう機会なので、ここに筆を執りたいと思います。



※本記事は投げ銭形式の完全無料記事です。

※時間が経ち過ぎてデュエルの記憶がだいぶ薄れ始めており、ところどころ実際とは違っているかもしれません。そういうものだと思ってお楽しみいただければ幸いです。

※バカ長いです。

※登場人物は全て敬称略です。予めご了承ください。

※本記事は「暗い」内容を含みます。胸糞悪くなる人もいるかもしれません。読みたくない方はブラウザバックでお願いします。












・2022年、6月。

2019年の忘れ物を取りに、45人の猛者が東京に集った。

そして、当のセキボンはというと……

関東のcsを満喫していた!!!!!!

せっかくの遠征だし、少しでもcs出て北海道の他の人らよりもポイント盛りてぇ~(ゲス顔)と思い、年休を4つ使って平日csに参戦w

とはいえ本命のJO退化は最後の最後まで隠し通すつもりでいたので、代わりにどう考えても本命ではないデッキを握ることにした。



どちらのデッキも、全国大会で最大勢力になるであろう、「火単」「JO退化」にガン不利というイカれたデッキ選択w

まぁコレなら、誰が見ても本命じゃないなとわかるはずだとw


ところが、これがたまたま関東の環境にベストマッチし、

津田沼 2位(600pts)

町田 8位(180pts)

高田馬場 8位(180pts)

というまさかの好成績w

(北海道のcsはドレミcsのジャッジ無し32人規模が主(優勝で500pts)なので、普通に合計960pts盛りはデカ過ぎる。ありがてぇ〜)


とはいえ高田馬場では、水単ムートピアで《ストリーミング・シェイパー》を撃って4枚固まって来た《アストラ・センサー》を、なぜか1枚マナに置いたせいで、《アストラ・センサー》→《アストラ・センサー》→《アストラ・センサー》→《超宮兵 マノミ》→《超宮兵 マノミ》→《超宮兵 マノミ》で《月下旋壊 ド・リュミーズ》にも《セイレーン・コンチェルト》にも触れずに負けるというトンデモないミスをやらかしてしまって8落ちをしてしまい、意気消沈。(《アストラ・センサー》もう一発で《月下旋壊 ド・リュミーズ》にも触れたし《次元の嵐 スコーラー》も出せていた)

俺はどこまで行ってもヘタクソなんだなぁと思い知らされた3日間でもあった。



・不安


全国の日程が近付くにつれ、夜はどんどん眠れなくなるし、ずっとソワソワして落ち着かない。

せっかく美味しいラーメンを食べたのだが、実は殆ど味わうこともできず、むしろ脂で気持ち悪くなる始末。

正直言うと、当日の朝は歯磨きしながら、吐く寸前だった。


どうしてこんなに不安なんだろう。


デッキに、自信はある。今さら迷いもない。

コレで仮に不利対面になす術なく負けたり、事故って負けたりしても、そこに何の悔いもない。


だが、プレイはどうだろう。


この全国に向けた調整の期間で、確かに、モチベーションの乱高下はあった。それでメンバーにたくさん迷惑をかけた。めちゃくちゃ反省している。

それでも、「このデッキ」と決めてからの自分の調整は、全力だった。注ぎ込める時間は全部注ぎ込んだ。各対面のプレイも、一つ一つ学んだ。


だが、それが◆ドラ焼きや、dottoや、カイザに匹敵するものだったかと言われたら──答えはノーだ。

やっぱり、詰め切れてない部分もある。カイザが最適解を出せる場面で、自分は出せない。当日の数日前であっても、それは変わらなかった。



前日のホテルで◆ドラ焼きは、「めちゃくちゃ緊張している」と、心境を語ってくれた。あれほど万全を期した◆ドラ焼きですら、緊張を隠せないのだと言う。

俺はどうか。緊張はしていない。多分。

しかし、ソワソワはしている。不安だからだ。



しかし、やるしかないのだ。自分に与えられた時間の中で、精一杯やり切ったと思うしかないのだ。




試合前、スマホは取り上げられなかったので、最後の最後までdiscordの調整録に目を通し、最後の復習をする。


……大丈夫。この大会にはみんながついている。




戦いの火蓋が、切って落とされた。




・vs scarlet


「1回戦がめちゃくちゃ緊張する」

scarletはそう心境を語ってくれたが、それはセキボンも例外ではない。

予選7回戦の長丁場、0-1スタートは痛過ぎる。この初戦に勝つか負けるか、今日一日の行く末を暗示していると言っても過言ではない。


scarletは対戦準備を始めるが、そこにあるはずのものが、無かった。





「超次元使いません」


マジか!!!!!!


この時点でドラグナーではない。《アルカディアス・モモキング》が《轟く覚醒 レッドゾーン・バスター》になる可能性もあるはずなのでほぼJO退化でもない。5cでもない。相手のデッキは一体……。

そして掠める嫌な予感。「火単」である。


(まさかね。)


そうして後攻のscarletから飛び出したクリーチャーこそ、まさしく《ブルース・ガー》だったのである。

(……まずい。)

この時点で手札に《禁断英雄 モモキングダムX》が無く、退化までが遠い。

この対面は《禁断英雄 モモキングダムX》が早く着地するか否かが鍵である。幸い火単対策の秘密兵器《斬罪 シ蔑ザンド》が手札にあるため、数ターンの猶予はありそうだが、お世辞にも良い手札とは言い難い……。

「《こたつむり》召喚、《ブルース・ガー》で1点!」




しかし、ここで早くも神が微笑んだ




「シールド・トリガー《バッドドッグ・マニアクス》!《こたつむり》を破壊!」


これのおかげで盾は4枚、1コスト+《我我我ガイアール・ブランド》でも受け切れる計算に。


間一髪窮地を脱したセキボン、3ターン目の時点で《禁断英雄 モモキングダムX》も確保し、4ターン目を迎えられれば《禁断英雄 モモキングダムX》+《斬罪 シ蔑ザンド》が火を噴く。

scarlet選手は《GIRIGIRI・チクタック》(捲り《ゴルドンゴルドー》)+《“罰怒“ブランド》で4打点形成するも、ダイレクトには間に合わない。

「《GIRIGIRI・チクタック》で1点……。《ブルース・ガー》破壊してエンドします」

確かに、過剰に殴って退化セットや進化先を揃えられるより、1点だけで止めておくというのは、実に嫌らしいプレイングではある。

こちらのシールドは3枚。盤面に残った《“罰怒“ブランド》、《ゴルドンゴルドー》、寝てる《GIRIGIRI・チクタック》のうち2体を処理できなければ、何かしらのクリーチャーを追加するだけでダイレクトアタックまでできる。こちらが《キャンベロ <レッゾ.Star>》で拘束したとしても、それは変わらない。

一方セキボンは、どこかで《キャンベロ <レッゾ.Star>》2点を通しにいかなくてはならないハンドであった。《斬罪 シ蔑ザンド》で寝てる《GIRIGIRI・チクタック》は破壊できるだろうが、《未来王龍 モモキングJO》攻撃→《キャンベロ <レッゾ.Star>》乗せで後続に制限をかけても、Gストライクで止まってしまった場合、ジャスキルを組まれこちらのシールド勝負になってしまう。


しかし、それはあくまで、《斬罪 シ蔑ザンド》が、盤面を1体しか処理してくれなかった場合の話である。




《禁断英雄 モモキングダムX》→《斬罪 シ蔑ザンド》で捲れたのは《ブルンランブル》!!これにより、《GIRIGIRI・チクタック》と《ゴルドンゴルドー》両方の破壊に成功する。

こうなれば、《未来王龍 モモキングJO》→《キャンベロ <レッゾ.Star>》の前に有効な札は火単側にはない。さらに運良く追加の進化先を引き込み圧殺。


無事、大事な初戦を勝利で飾ることができたのである……。







──これ、本当に《斬罪 シ蔑ザンド》ですかねぇ。


6月5日のこと。

大谷家に泊まり込んで調整していたセキボンは、《斬罪 シ蔑ザンド》の感触をもう一度確かめたくて、火単とのスパーリングを行っていた。

そもそもこの《斬罪 シ蔑ザンド》というカードの採用自体、対火単を強く意識してのものだ。2コストのせいで《禁断英雄 モモキングダムX》やら《進化設計図》やらとくっつきが悪く、基本的に《怒りの影ブラック・フェザー》の方が使い勝手は良い。

それを歪めてでも、《斬罪 シ蔑ザンド》を採る価値があるのか。もう一度確かめたかった。

その結果、30回ほど回して、《斬罪 シ蔑ザンド》が勝ちに絡んだ試合は2回。足を引っ張りこそしなかったものの、《斬罪 シ蔑ザンド》を使う・使わない以前の試合が続いた。


「ドラちゃん、これ本当に《斬罪 シ蔑ザンド》?」

「そう思うんなら《怒りの影ブラック・フェザー》で出ればいいんじゃないですか?“僕は《斬罪 シ蔑ザンド》で行きますけど”。」(←※ここまで冷たくはなかったけど要約するとこんな感じ


と、通話で相談するも、否定も肯定もされなかった。そりゃ《斬罪 シ蔑ザンド》を採るメリット・デメリットは当然ある

◆ドラ焼きの対応は、大会1週間前で未だにそんなところで迷っている自分への、ある意味“喝”だと思った。


──その夜。結論が出せないままカイザにも対火単を付き合ってもらい、最後にはセキボンが折れた。


要は、自分の感覚よりもチームの調整を信じただけである。

そりゃそうだ。こんなポッと出でやる気出したセキボンなんかの何十倍も、◆ドラ焼きやカイザの方が、この対面を熟知しているのだ。

メンバーが、《斬罪 シ蔑ザンド》だと言っているのだから、《斬罪 シ蔑ザンド》なのだ。


直前に素人が口を挟んで余計な混乱を招いたかもしれない……。みんなについていくという決意とともに、申し訳なさが浮かんで消えた。


その結果はどうだ。初戦から申し分ない活躍を見せてくれたじゃないか。(もちろんそれ以上にワンパン《バッドドッグ・マニアクス》が大きいが、仮に来なかっとしても2ターン《斬罪 シ蔑ザンド》2面処理から時間がもらえそうな展開になったであろう)


「ありがとう。」


初戦勝利を味と仲間への感謝を噛み締めつつ、次の対戦へと向かう。

そんなセキボンを待ち受けていたのは、まさかの北海道勢だった──!!


1-0




・vs NJ


(もっと上で当たりたかった)

この時の素直な感想である。

NJは自分と同じ北海道勢。エリア代表を勝ち抜いてこの舞台に居る。北海道のcsの常連であり、昔からいつも上位を競い合うライバルの1人だ。

何も東京まで来て、自分含め2人しかいない北海道勢とマッチングしなくたっていいじゃないか。

NJも同じ心境だったのではないかと推察する。



NJの超次元ゾーンには、《爆銀王剣 バトガイ刃斗》を始め、4cドラグナーを彷彿させるカードが並ぶ。


しかし、この時点で予感はあった。




(キメラやな……)




当時のアドバンスの2大巨頭とも言える4cドラグナーとガイアッシュ覇道。これらのパーツをそれぞれ少量ずつ割きながら(例えば《龍風混成 ザーディクリカ》などを不採用としながら)合体させたデッキこそ、“キメラ”である。


なぜ事前にそんな予感がしたのか。


一つは、彼はその数週間前の北海道のcsでも容赦なくこのデッキを握り、何ならリストまで自分に見せてくれていたからである。

そしてもう一つは、ある意味NJという男への信頼である。

彼は恐らくリストを秘匿するタイプではない。

さらにNJは、“火単速攻”といったアグロや、“JO退化”のようなコンボデッキは、絶対に使わないだろうなという自信があった。

それほどまでに、彼のDMへの向き合い方は一貫している

好きなデッキや好きなカード。それを環境で使い倒すにはどうすれば良いかを考える。それが、NJという男なのだ。


今日のデッキは、キメラ……ないし、違ったとしても《最終龍覇 グレンモルト》を使うデッキタイプであることは疑いようがなかった。

そうして、セキボンのマナセットを見て、(セキボンはJO退化かぁ)と納得した素振りを見せたNJは、キメラの象徴である《勝利龍装 クラッシュ“覇道”》をマナに落としながら《メンデルスゾーン》2ブーストを決めたのである。

いや、強えなおい…。

猶予はなくなった。溜める選択肢もあったが、手札には退化セットと《キャンベロ <レッゾ.Star>》《キャンベロ <レッゾ.Star>》《無双龍騎 ボルバル・モモキング》。トリガー《ドラゴンズ・サイン》1枚までなら許容で、走るには充分すぎる。

……行くしかない。

「《未来王龍 モモキングJO》でプレイヤー、《キャンベロ <レッゾ.Star>》のみ侵略!Wブレイクで!」


パリーン


1-1

・vs よしゆき


JO退化というデッキを握るにあたり、覚悟していたことがある。


退化できずに事故負けや、トリガー踏みまくって負けるのは、許容する、と。


だって、そういうデッキだって分かって、それでも敢えてこのデッキを握っているのだから。

先程のNJとの試合に、悔しさは微塵も無かった。ただ、今日は“自分の日ではなかった”というだけである。

勝とうが負けようが、淡々と、練習通りやるだけ。そう決めて臨んでいた。


……が、対面に座る男を見て、セキボンは運命の悪戯を恨む。


──よしゆき。同じ調整グループのメンバーである。

今回の調整メンバーの中で、共に全国の舞台に臨んでいるのはセキボン・◆ドラ焼き・カイザ・dotto、そして今、対面に座るよしゆきである。

たった45人しか居ない全国大会。そりゃ、どこかで同士討ちが発生したところで何ら不思議ではない。


それにしたって。こんなタイミングでの同士討ちはあんまりだ。


ここで負ければ1-2。一応2敗ラインまではオポーネント次第で決勝へ進める可能性はあるが、それでも早々に2敗してしまうとオポーネントは悪くなるし、そもそもこの後1回も負けられなくなってしまう。

つまり、この試合次第で、セキボンかよしゆきの全国優勝の夢は絶たれてしまう。3回戦目にして、お互いに崖を背負ったのである。


「やることをやるだけっす」


よしゆきのデッキは、火単速攻。それも、調整グループ内で彼が出した結論である。

火単速攻vsJO退化のマッチアップ。まず間違いなく言えるのは、先攻ガン有利である。


(ジャンケンぽぉぉぉぉぉんんんんん!!!!)←心の中


セキボン先攻にて、試合が始まった──。


「《凶戦士ブレイズ・クロー》召喚」

上から駆け付けた(後日談)という《凶戦士ブレイズ・クロー》の前に、有効札が無いセキボン。

「《カンゴク入道》召喚、《凶戦士ブレイズ・クロー》で一点!」

神微笑みすぎワロタw


さっきまでの緊張はどこへやら、そのままセキボンがよしゆきを圧倒し、そのまま勝利を納めた。


……が、それはよしゆきの全国大会への挑戦の終了も意味していた。

お互いにこの全国大会へ臨む思いは、それぞれあったはずだ。その芽を、自分が摘んでしまったのである。


──よしゆきの分まで、勝つ。


逆にセキボンの全国大会への挑戦は、まだまだ始まったばかりである。


2-1


・vs dotto


またしても、同士討ちである……。


さらに悲しいことに、ここは何と“下階段”。セキボン2-1に対し、dottoの戦績は1-2であったのだ──!!


……セキボンは最悪のシナリオを想定した。


仮にここでセキボンが負けて、dottoが勝った場合。

セキボンもdottoも早々に2敗した者同士、恐らくオポーネントは絶望的になるだろう。さらに、そもそもそこから先は互いに全勝要求が続く。せっかくお互いに死力を尽くして臨んだ全国大会で、お互いに散ってしまう可能性が非常に高かったのだ。

だからこそ。共に散ってしまうくらいなら、セキボンが勝つ方が、決勝に調整メンバーが残れる確率は高いと言えよう。

……かと言って。「手加減して下さい」だなんて、そんなことは口が裂けても言えなかった。細い道とはいえ、dottoにだって決勝進出の道は残されている。そのために必死に戦っている。そのために今日まで人一倍努力してきた男こそ、dottoなのだ。そんな男に対して、どうしてそんな邪な提案ができよう?

(そもそも、このような提案自体、悪質な非紳士的な行為として、罰則の対象である)




……だから。


勝つしかないのだ。


己のために、

仲間のために。


目の前にいる仲間を、

この手で倒すしか、ないのだ。





──セキボンは天を仰いだ。


神よ。


わたくしめにここまで酷い仕打ちをなさるのであれば。


どうか。


どうかせめて。


天下無敵の初手を!


僕に、下さい──!!!!


──デュエマ、スタート……っっっ!!





手札を開く。果たしてそこに天下無敵の初手は……あった!!

3ターン目に《神帝英雄 ゴッド・モモキング》絡みで殴り切れる初手!さらに《斬罪 シ蔑ザンド》もあることから、仮に相手に《禁断英雄 モモキングダムX》を立てられても《斬罪 シ蔑ザンド》→《神帝英雄 ゴッド・モモキング》バウンスで、途中で《キャンベロ <レッゾ.Star>》も絡めばその後の反撃すら摘める最強の初手だ!!


……惜しむらくはジャンケン。奇しくも後攻のセキボンは、dottoの引きが弱いことを祈るしかなかった。


しかし。

dottoの2ターン目は《禁断英雄 モモキングダムX》!そう簡単には、いかない。

しかし、こちらも2ターン目《禁断英雄 モモキングダムX》で応じる。仮に《キャンベロ <レッゾ.Star>》絡みで走られても、Gストライクを踏ませて《神帝英雄 ゴッド・モモキング》単騎で殴り切るプランが残されている!


祈るセキボン。




運命の先攻3ターン目。dottoの動きは……

「多色チャージして、《進化設計図》打ちます」

なんと、退化札ナシ!dottoはそのままターンを渡す。


何度も、最後の確認を行う。先程のdottoの《禁断英雄 モモキングダムX》の召喚で見えたカードとマナ置きでGストライクは合計3枚切れ。この《神帝英雄 ゴッド・モモキング》の攻撃は、きっと通る!

「《斬罪 シ蔑ザンド》でお互いの《禁断英雄 モモキングダムX》を退化!《未来王龍 モモキングJO》攻撃で《神帝英雄 ゴッド・モモキング》!2点!!《神帝英雄 ゴッド・モモキング》効果で相手の《未来王龍 モモキングJO》をバウンス」

完璧だ。これで反撃の芽も摘んだ!!

「モモキングを捨てたので《神帝英雄 ゴッド・モモキング》アンタップ、更に2点!モモキング捨てたので《神帝英雄 ゴッド・モモキング》アンタップ、最後のシールドもブレイク!」

次々に破られていくdottoの盾。そこにGストライクの姿は、……無かった!


ダイレクトアタック──!!!



……勝った………………っ!


神は、今日は自分に微笑んだ──!!!


…………


……



………………ん、


……


ちょっと待てぃ

俺、《キャンベロ <レッゾ.Star>》乗せ忘れてね?!?!?!?!????

《神帝英雄 ゴッド・モモキング》のバウンスと《キャンベロ <レッゾ.Star>》の拘束で、勝ち確定の盤面。セキボンは最初こそ《キャンベロ <レッゾ.Star>》を持っていなかったものの、最初の2ドローで《キャンベロ <レッゾ.Star>》を引き込み、次の2点の段階で侵略すれば、絶対に反撃されない盤面になっていたのだ。

しかし、試合後の盤面はどうだ。セキボンの手札には、忘れ去られた《キャンベロ <レッゾ.Star>》が、ぽつんとあった


……。


……、なんてこった………('ω………………


たまたま、


たまたま、Gストライクを踏まなかったというだけで。


天誅が下った可能性は、いくらでもあったのだ。

天誅(てんちゅう):天の下す誅罰。天罰。

日本国語大辞典

「dottoさんマジでごめんなさい」


自分の不甲斐ないプレイを慌てて懺悔する。dottoはそんなセキボンを引っ叩いてもおかしくないくらいの立場だったのに(もちろんそんなことをする人ではない)

「しょうがないですよ。代わりにこのまま勝って下さい!僕もセキボンさんのオポのために最後まで勝ちます」

と、背中を押してくれたのである。


そうだ、ミスったとはいえ、勝ちは勝ち。


──即ち、dottoの全国優勝の挑戦は、ここで終わったのだ。


だから、自分にはdottoの分まで、勝たなくてはならない「責任」がある──。


「絶対勝ちます」


こうして、セキボンの挑戦は前半を折り返した。よしゆき、dottoの思いを背に、後半戦オリジナルに臨む──!!


3-1


・vs ◆ドラ焼き


こんな陽気なツイートを垂れ流してはいるものの、本音はプレミした自分への猛省と、dottoの優勝の芽を摘んだ後ろめたさと、それでも勝ち続けられている自分への安堵と、もう、とにかく色んな感情が入り混ざり合って、ぐっちょんぐっちょんのぎったんめったんのばっきんどっかんという風であった。


メンタルが、終わっている。


だからこそ、気丈に振る舞うしかない。これで勝ち上がれなかったら、dottoに顔向けできない……。


昼食を軽く済ませ、会場に戻ると、いつの間にか次のマッチングが発表されていた。


………。


この5回戦目、対面に座ったのは、なんとここまで苦楽を共にしてきた盟友、◆ドラ焼きであった……。


いくら同士討ちが起きてもおかしくないって言ったって、

3連続で同士討ち。

そんなこと、あるか?!?!???


あまりにも無情。無情の頂である。


ちなみに◆ドラ焼きは4-0、セキボンは3-1で、今度は上階段の卓である。

◆ドラ焼きは勝てば5-0、ほぼほぼ決勝トーナメント進出確定だろう。もちろん相手が身内だろうと容赦はしない。

一方、自分が勝てばお互いに4-1となる。◆ドラ焼きには悪いが、ここは自分が勝って、更にその後はお互いに勝ち続け、2人とも決勝に上がる、というのがセキボン目線での理想だ。


◆ドラ焼きの後半戦オリジナルのデッキは、JO退化。当然40枚同型である。

有利不利も無い、どちらが勝つかなんて全く予想できない!


勝利の女神は、一体どちらに微笑むのか。


戦いの火蓋が、切って落とs──、

「セキボン選手、デッキのことで伺いたいことがありますので、こちらにお越し下さい」


??????????????


ジャッジの元へ連行されるセキボン選手。

まさか、何かやらかしてしまったか??????


「おいおいおい……」

めっっっっちゃくちゃ嫌な汗をかきながら、会場裏手のスペースにたどり着く。

「このスリーブだけ、特徴的なキズが見られます。交換することはできますか??」

そう言って見せられたスリーブには、確かに「ポツン」という感じの小さなキズがついていた。新品を持ってきたんだけどなぁ、うーん…

幸いデュエマの公式スリーブは42枚入り。それを持ってきていたので、事なきを得た。


「お待たせしました」

◆ドラ焼きの元に戻り、事情を説明。何事も無くてよかった、といったところ。


さて、仕切り直し。まずはお互いに入念なシャッフルを行う………、…

「………いや、これ……」

そのシャッフルの最中。ディールシャッフルをしていたセキボンは、先程のこともあり、より一層スリーブのキズに気を配っていた。

「ドラちゃん、このスリーブ、特徴的なキズない???」

と、指し示したのは、またしてもセキボン自身のスリーブ。前日デッキに入れた時には気にも留めていなかったが、先程のデッキチェックで引っかかったスリーブと似たようなキズを持つスリーブが、1枚どころか3〜4枚出てきたのである。

「さっきのでアウトなら、多分このスリーブもアウトな気がする」

すぐに先程と同じジャッジを呼び、事情を説明。判断を仰ぐ。

セキボンが使ったスリーブは、どうやら初期キズが多い個体を引いてしまったようだ。

とはいえ、予備はもうない。そこでジャッジからの提案は、

「こちらで用意したスリーブを差し上げますので、今入れ替えていただけますか」

というものであった。


急遽、用意したスリーブではないスリーブを着用することになったセキボン。再び会場裏に移動し、大急ぎでスリーブに入れていく。

「とんだ災難や……」

というわけで、当日の配信を見ていた方は気付いたかもしれないが、あのスリーブは急遽支給されたものをオーバー無しで使っていたのである。

ボルバルザークは小学生の頃の思い出のカードだったので、ちょっと嬉しかったのは内緒←

「ホントにスマン、ドラちゃん…」

「しゃーなしやで〜」


ということで、今度こそ、2人の命運をかけたゲームが、始まる!!


デュエマ、スタート──っ!!!!


ドン!
ドン!!
ドン!!!

WINNER:セキボン(ェ


それはそれは、特に書くことがないくらい呆気ない4キルであった。


◆ドラ焼き「待ち時間の方が圧倒的に長かったんですけど!!!!」


4-1




・vs ナツメ


4-1同士。数多の同士討ちを乗り越えたセキボンの対面に立ちはだかったのは、関西の強豪で、YouTubeでの活躍も目覚ましいナツメだった。

「よろしくお願いします」


座った時から、既に嫌な予感はプンプン感じていた


……これは、同型戦になるかもしれない。


この頃のナツメは、TwitterでもYouTubeでも《エボリューション・エッグ》を4枚採用したタイプのJO退化を激推し。さらにそのデッキを関西・関東のcsで惜しみなく使用し、次々と上位入賞を重ねていた。

これだけ派手に暴れ回っていたナツメである。もしかしたら隠し球があるのかもしれないと思いつつも、彼の様々な場所での言動から察するに、そのままエッグ型のJO退化なのではないかというのは、十分予想できたのである。


「《エボリューション・エッグ》唱えます」

果たしてそんなナツメのデッキであるが、正に予想通りのエッグ型JO退化であった!

ここを乗り越えれば決勝進出が見えてくる。大事な局面ではあるが……


「……エンドです」


ここでセキボンは《進化設計図》も《禁断英雄 モモキングダムX》も引けない、所謂ガン事故。しかし、何とかカウンターの機を探る。


「《禁断英雄 モモキングダムX》を退化。《キャンベロ <レッゾ.Star>》侵略で殴ります」

これをGストライクでキャッチ。

まだだ。ここで《禁断英雄 モモキングダムX》さえ引ければ、……もう一枚のGストライク要求ではあるが、《神帝英雄 ゴッド・モモキング》でカウンターが入るかもしれない!!


──しかし。


「エンドです……」


神はそう易々とは、微笑まなかったのである。


4-2


(しょうがない)


繰り返しになるが、JO退化を使う上で、事故はつきものであって、事故って負けは完全に割り切っていた。

やれることはやったのだから、それ以上でもそれ以下でもないだろう。


試合後。


セキボン「まぁまぁ、JO退化ですしこういう負け方はどっかで1回ありますw割り切りっす」

ナツメ「にしても一番ダメなタイミングですけどね。対面によっては5ターンスタートとかでも許されますけど、JO退化同型だけは絶対に事故れない」


ぐうの音も出ない。


・vs 香夜


とうとう、本当の崖っぷちに立った。

予選2敗。そこは決勝進出がオポーネントに託される、本当にギリギリのラインだ。

ここで負ければ、そのギリギリすらも無くなる。もう一度の事故も、ミスも、許されない状況に立った。


対面に座るは香夜。ここまで5-1の上階段!2敗ラインの自分にとっては、オポーネントが強くなるありがたいマッチングだった。

しかし香夜からすれば状況は真逆。負けたら決勝進出が怪しくなるラインでの下階段だ。この勝負も当然負けるわけにはいかない。


ジャンケンは、勝ち。あとは、己を信じ、天に委ねるのみ──!!


絶対に、勝つ。


デュエマ、スタート。





まずは《未来王龍 モモキングJO》埋めから入るものの、退化札が見えない渋めの展開。

更に黒マナも作れないことから、2ターン目は渋々《禁断英雄 モモキングダムX》をチャージ。

3ターン目に《エボリューション・エッグ》を打ち《禁断英雄 モモキングダムX》を手札に加えるものの、相変わらず退化もなければ黒マナも1つしかない。

一方の香夜のデッキは、この頃は若干下火になりかけていた“アナ退化”。しかしここまで5-1の香夜の引きは凄まじく、《エマージェンシー・タイフーン》で《竜魔神王バルカディア・NEX》を墓地に送ると、続く《地龍神の魔陣》はマナブーストではなく“手札に加える”。マナにはすでに1枚目の《死神術士デスマーチ》が顔を覗かせている始末。


これが何を意味するか。


どう考えたって、香夜の手札には、《死神術士デスマーチ》と《龍脈術 落城の計》が揃っているのだ

香夜のガン回りを恨んだとしても、それはどうにもならないことである。


運命の、セキボンの先攻4ターン目。ここを逃せば、もうセキボンの全国大会はおしまいだ。


手札には3ターン目に渋々回収した《禁断英雄 モモキングダムX》がいるのみで盤面は空。そして肝心の退化札であるが、マナに黒マナが1つしかないということは、もう許される札は一種類しか無かった。

これを引けるか引けないかに、確率で言ったらあまりにも分の悪い方に、セキボンの命運は託されてしまったのである。


「そんな都合のいいことが、起こるのだろうか」


先刻の対ナツメ戦でなす術なく敗北したセキボン。また同様に、セキボンと相対したdotto、◆ドラ焼きも、結果的には事故に屈したのである。

今まさに、予選7回戦中2度目の事故を引いてしまったのが、セキボンだった。


しかし、それが覆る道があるとしたら。


──頼む。引くしかない。


思いを込めて、力を込めて。


ドローっっっっっ!!!!!!!!

























??!?!?!?!?!?????????

s◯xッ!!!!!!!!!!!!!!!!


「……ヨシッ!」


思わず声が漏れた。正直こんな舞台で無ければ、もっと派手に叫んでいたかもしれない。


「《禁断英雄 モモキングダムX》召喚、からの《バッドドッグ・マニアクス》で《禁断英雄 モモキングダムX》を退化!」


腐りかけていた手札に、光が差し込んだ!!


「《未来王龍 モモキングJO》で攻撃する時に《アルカディアス・モモキング》、その上に《キャンベロ <レッゾ.Star>》乗せます!」

《終末の時計 ザ・クロック》やら、《秩序の意志》やら。アナ退化でありうる裏目を上げればキリがないが、それでも《龍脈術 落城の計》と《ロイヤル・ドリアン》、それからGストライクを最もケアしやすい殴り方がコレだ!


「Wブレイク!」


あとは相手の盾との勝負!いくらケアをしても、貫けない時は貫けない。祈るのみだ。


「……シールドトリガー《龍脈術 落城の計》!進化元の《未来王龍 モモキングJO》を戻します」

《未来王龍 モモキングJO》のシンカパワーにより《キャンベロ <レッゾ.Star>》が剥がれ、《アルカディアス・モモキング》のみに変わる。ここまで来れば、Gストライクでも《龍脈術 落城の計》でも反撃は不可能。《ロイヤル・ドリアン》やその他の意識外のシールドトリガーを踏むのだけ若干ダルいが、当然止まるわけもなく!!

「《アルカディアス・モモキング》でTブレイク!」


祈るセキボン。頼む、何事もなく、通れ!!!


「……もらいます」

ここでノートリ!!今度は心の中で、ガッツポーズを取る!!


「エンドで!!」


セキボンの場には、横になった《アルカディアス・モモキング》。

香夜のマナは、置いて4マナ。《キャンベロ <レッゾ.Star>》のクリーチャー拘束、《アルカディアス・モモキング》の呪文拘束の前には、回答は存在しないハズだ!!!


「負けました!!!」





──勝った………っっっ!!!





正直、ナツメに事故で轢き殺された後、この試合の4ターン目のトップを引くまでは、もう流れが消え、完全に終わったと思っていた。

よしゆきやdottoにどう顔向けしたらいいかばかり考えていた。


だが。


神は、居た──!!


値千金とは、正にこのこと。トップのバッドドッグ1枚で、九死に一生を得たのである!!!!


………


……



とはいえ、決勝進出が確定したワケではない。

この時点で、◆ドラ焼きとカイザは、6-1で決勝進出を決めていた。流石、と言わざるを得なかった。

ジャッジの口から、1人1人、決勝進出者がコールされていく。

あとは、ひたすら祈る。

どうか、どうか……………!!!!








激動の予選をくぐり抜け、首の皮一枚繋がったセキボンであった………!!!




・vs カイザ


決勝トーナメントのメンツが出揃う。

アドバンス・オリジナル共に全てのカードが同じリストで、◆ドラ焼き、カイザ、そしてセキボンが決勝進出を果たした!

この時点で、“マラかっち”というチームとしては、大勝利と言っても過言では無い成績だった!


……しかし、決勝進出を喜び合ったのも束の間、嫌な予感は的中した。

今回の決勝トーナメントは、1位と8位、2位と7位……のように、順位の上と下が機械的に配置される方式であった。


そうなれば。当たるは必然。同士討ち。


対面に座ったのは、同じく盟友の、カイザだ──!!


ここにきて、今回の調整メンバー全員(よしゆき、dotto、◆ドラ焼き、カイザ)が相手に回るという、出来すぎたドラマのような展開が待っていたのである!!!!





──カイザ。知る人ぞ知る関西の強豪で、2018年度に引き続き全国大会への連続出場を果たした実力者である。

マラかっちの全国大会へ向けた調整でもその力を十分に発揮し、セキボンを遥かに凌駕する練習量と実力で、直前までのcsでも次々と結果を納めていた。


使用デッキは、当然JO退化。40枚ミラーである。

「どっちが勝ってもおかしくないっす。勝った方が優勝しましょう!」

カイザもセキボンも、同じ気持ちだった。

どちらが勝っても、悔いを残さぬよう!

そしてその命運は、まさしく天に託されたのである。


デュエマ、スタート!!!!

──セキボン、ベスト4進出!(ェ


結果は、カイザ2連事故にセキボンが3t退化を2連続でブツけて勝つという、まっっったく味のしない展開であった。

しかし、カイザは悔しい気持ちも当然あっただろうに、

「今日はセキボンさんの日っす!絶対勝てます!!」

とセキボンを激励し、会場を後にした。


──これで、さらに背中にのしかかるものが増えた。

この波に乗って、最後まで行きたい……!

夢にまで見た栄光は、あと2勝にまで迫った──っっ!!!



・vs おんそく


今やZweiLanceのYouTubeチャンネルの名演者の1人としてその名を馳せる“おんそく”。

「おんそく アイドル」でgoogle検索すると出てくる

デュエマ系アイドルとしての地位も確立しつつある(?)おんそくだが、デュエマの実力も紛う事なく一級。


2017年度ランキングでは、エリア代表戦(ジャッジ大会)を勝ち抜いて。

2018年度ランキングでは、DMPランキングを走り抜き、上位者として。

そして今2019年度ランキングでは、DMGP8th王者として。


この全国大会に3年連続で臨む猛者は、おんそくを含め数えるくらいしか居ないのである。

(ちなみにセキボンとおんそくはかなり古くからの知り合いで、過去にはご自宅に泊めさせて頂いたこともある仲。その節はお世話になりましたm(_ _)m)


そんな、おんそくにとっては三度目の正直となる今大会で、初めて辿り着いたベスト4。当然、全国優勝への思いは人一倍だったであろう。


……一方のセキボンはというと。


セキボン「死にてぇ〜……」


会場にいる誰もが、もう既にお互いの手の内を知り尽くしている状態。当然おんそくにはセキボンのデッキはバレているだろうし、セキボンもおんそくのデッキを知っていた。

おんそくのデッキは「4c邪王門」。この全国大会の数週間前から、各地のcsでチラホラと結果を残し始めていたアーキタイプである。

《百鬼の邪王門》+《一王二命三眼槍》による受けの堅さを持ち合わせながらも、《鬼ヶ大王 ジャオウガ》による能動的な攻撃手段も持つという、まさに万能デッキである!

そして何より、4c邪王門vsJO退化のマッチアップはいくつかのセオリーがあり、JO退化の練度が問われる対面であった。

(4c邪王門vsJO退化のセオリーについては、あーくん様の記事にめちゃくちゃ簡潔にまとまっているので、誠に勝手ながらこちらに引用いたします。本当に良文ですm(_ _)m)

https://suiyotao.hatenablog.com/entry/2022/07/10/202638

セキボン「死にてぇ〜……」


で、セキボンが何故こんなに死にたがっているのかと言うと。











(※注意:ここから先、内容が鬱々とします)











あろうことか、セキボンは対4c邪王門のプレイング、殆ど詰められていなかったのである…。

もちろん、全くやっていなかったワケではないが、十分な練習が出来ていたか、ましてやセオリーをしっかり叩き込んでいるレベルだったかと言うと、答えはNoだった。


──全ては、エンジンがかかるのが遅過ぎたのだ。


先述の通り、セキボンの練習量は、◆ドラ焼きやカイザよりも圧倒的に足りていない。

まして直前にフラっと現れた新アーキタイプのプレイングをしっかり詰め切ることなど、セキボンにはできていなかった。


とにかく激しく後悔した。

4c邪王門というデッキを知らなかったワケではない

それなのに、分からないのだ。

知らないワケじゃないのに、分からない。そんなことは、この舞台ではあってはならないのだ。

そのあってはならないことが、今現実に起きてしまったのだ。


……ちなみに、おんそくは予選でカイザとも対面していた。結果は練習の成果を発揮したカイザがしっかりと詰め切り、勝利を収めていた。






……本当に、こんなことを考えてはいけないのだが。






「ここに座っているのがカイザだったなら。」






不甲斐ない。

カイザだって、どう考えてもここに座っていたかったに違いないのに。

そんなカイザを、引き運だけで倒して。カイザの夢を代わりに背負って立つはずだったのに。



それなのに、セキボンは。



自分の練習不足を認め、後悔するしか無かった。


「死にたい」


セキボンはこの舞台には相応しくない。

もう全て投げ出してしまいたい。


そんな気持ちで、いっぱいになってしまった。


よしゆき、dotto、カイザ。







……ごめん。


デュエマ、スタート──。



おんそくとの試合は、もうそれはそれは酷いものだった。(このあと配信される決勝戦でもやらかすことになるセキボンだが、はっきり言ってその比にならないくらいこの試合の方がやらかしている。)

頭は真っ白で、どうにかこうにか手探りでプレイしていた。

そんなプレイが正解なワケもなく。

引用したカバレージからは、お互いに死力を尽くして戦ったかのように書かれているが。(こんなに酷いプレイヤーを、ここまでかっこよく書いてくれて、小林龍之介様には感謝しかありません……

試合中の様子を断片的にしか捉えられないカバレージからですら、その酷さは十分に伝わってくる。「ちょっとでもJO退化を触ったことのある人」であれば、すぐに【ヘタクソ】だと気付くレベルだ。(後日、カバレージを読んだtakiからはキツくお叱りを受けました)

《キャンベロ <レッゾ.Star>》の使い方も違う。《アルカディアス・モモキング》や《神帝英雄 ゴッド・モモキング》のタイミングも違う。盾の割り方、殴るタイミングも違う。《バサラ》のケアも違う。


ぜーーーーーんぶ、不正解


それなのに。


勝ったのは、セキボンだった。


たまたま、《バサラ》を持たれていなかったとか。《切札勝太&カツキング ー熱血の物語ー》を踏まなかったとか。

そういう“おんそく側の下振れ”に助けられ、セキボンは決勝にコマを進めたのである。









試合後。おんそくは何の気なしに、知り合いの一人として、セキボンに話しかける。








「あそこ殴り方間違えてましたよね?」







──正に、トドメの一撃だった。





・vs NJ


決勝戦を待つ傍ら。惜しくもNJに敗北を喫した◆ドラ焼きが、おんそくとの3位決定戦に臨んでいた。


──◆ドラ焼きもまた、夢破れたのだ。


JO退化というデッキの強度にいち早く気付き、誰よりも長い時間をかけて練習に練習を重ねて、構築にも磨きをかけて。


それでも、あと一歩届かなかった。NJが、それを上回ったのだ。






──いつからだろう。

セキボンの中で、◆ドラ焼きという男が、こんなにも大きな存在になっていたのは。


今でこそ、フェアリーchや公式デュエチューブに引っ張りだこで、超有名人になってしまった◆ドラ焼きだが。

2017年にサバキZで爆勝ちできたのも、覇道vsサバキZの構図になった2018年エリア代表戦で、あそこまで胸を張って挑めたのも。

その陰には、必ず◆ドラ焼きがいた。

そして2019年、セキボンがDMGP8thの準決勝を制した時には、自分のことのように喜んでくれた。


今回の全国大会向けての調整だって、セキボンに対して思うところが色々あっただろうに。

それでも惜しみなく、力を貸してくれた。


全国のために関東入りしてからの数日も、◆ドラ焼きと共に過ごし、心境を語り合った。

彼といつの間にか仲良くなり、彼と共に切磋琢磨できること。何と贅沢で、貴重なことか


◆ドラ焼きの挑戦は、一旦幕を閉じた。そして今度は一番近くで、自分を応援してくれている。


……だから、応えなくてはならない。

練習量でも総合力でも何一つ◆ドラ焼きに追いつけないけれど。

それでも、彼の期待に応えたい。


先刻の準決勝のセキボンは本当に不甲斐なかったが、それでも今、マラかっちの念願を果たせるのはセキボンしか居ないのだ。


「やるしかない」


北で見慣れた“あの男”が、再びセキボンの前に立ちはだかる。



──NJ。まさかの北海道勢同士の優勝争いになった全国大会は、まるでショップでフリーを始めるかのような雰囲気だった。


ちなみに、北海道勢の全国大会優勝は、2013年の「EternalJoker」以来の快挙。NJとは、北海道に2枚もの“ドギラゴン剣プロモ”を持ち帰ることができることを、ひとまず喜び合った。


そして天王山。NJが握るのは“ネバー5c”と“ドラサイ5c”の両方の性質を併せ持つ“キメラ”だった!


5cとのマッチアップは、それなりに練習を重ねて臨めていたつもりだ。特にネバー5cは《アルカディアス・モモキング》の刺さりが良く、JO退化目線では、順当に回りさえすればそんなに分の悪い勝負ではない。

だが《ドラゴンズ・サイン》入りとなると話は変わる。《アルカディアス・モモキング》さえ立てられれば後はeasy、とはならない。

それでも、やるべきことは基本変わらない。ネバー5cと対面した時のように、《アルカディアス・モモキング》の早期着地を目指す、で良いはず。




いざ、決戦の舞台へ──!!




デュエマ、スタート──!!!



battle 1



後攻。《進化設計図》から入るも、回収は《キャンベロ <レッゾ.Star>》《キャンベロ <レッゾ.Star>》《禁断のモモキングダム》。肝心の《禁断英雄 モモキングダムX》が手に入らず渋い。

このデッキを回したことのある人、対面したことのある人なら誰でもわかると思うが、2ターン目《進化設計図》で《禁断英雄 モモキングダムX》無しは、所謂ちょっとした事故である(デッキが多少掘れている分救いはあるが…)


一方のNJは……何と3ターン目パス!ここにきて、初動に嫌われていた。


このチャンスこそモノにしたいが、このままではこちらは5ターンスタート。《ロスト・Re:ソウル》でも何でも通り放題である。


後3ターン目、ドロー。

?!?!?!????!?

Lucky Boy!!!!


手札には《バッドドッグ・マニアクス》。初動も切れていないNJには、ここはセオリー通り《アルカディアス・モモキング》3点→通れば《キャンベロ <レッゾ.Star>》《禁断のモモキングダム》、通らずGストライク等で止まっても、まぁ問題あるまい。

「《禁断英雄 モモキングダムX》を《バッドドッグ・マニアクス》で退化。《未来王龍 モモキングJO》攻撃時に《アルカディアス・モモキング》乗せて3点」

普通のネバー5cなら、これだけでもかなりゲームセットだ。


……普通なら。

ここで踏んだのは《ドラゴンズ・サイン》!!一番厄介なタイミング!!

そして《ドラゴンズ・サイン》から着地したのは《龍風混成 ザーディクリカ》からの《覚醒連結 XXDDZ》!!《アルカディアス・モモキング》を寝かせたままのエンドは不可となる形に。(スレイヤー付与で普通に殴り返されるため)

「シンカパワー、《アルカディアス・モモキング》破壊で」


棒立ちになった《未来王龍 モモキングJO》。立ちはだかるスレイヤーブロッカーの前に追撃をかけるわけにもいかず、NJのマナが初動事故で3マナしかないことも相まって、《ドラゴンズ・サイン》のブロッカー付与が解けるエンドを選択。


NJは《天災 デドダム》でようやく初動を切り、墓地に《天命龍装 ホーリーエンド / ナウ・オア・ネバー》が装填されてターンが返る。


無事に生きて帰ってきた《未来王龍 モモキングJO》。手札には《キャンベロ <レッゾ.Star>》《禁断のモモキングダム》《禁断のモモキングダム》。当然、待てるわけもなく。

「《未来王龍 モモキングJO》攻撃時に《禁断のモモキングダム》。2点!」


あとはひたすら祈る。《ドラゴンズ・サイン》《ナウ・オア・ネバー》以外なら大体通る2点。

 

「通ります」

突然の《覚醒連結 XXDDZ》にヒヤリとしたが、NJの事故にも助けられながら、貴重な1本目を先取した。


……さて、全国優勝に王手がかかった。夢にまで見たその瞬間が目の前に迫っている。

にも関わらず、そんな実感はまるでなかった。あるのは、カードショップみついのドレミcsで、勝利を争う時と何ら変わらない、オタク2人の姿だった


1-0






battle 2


後手2ターン目。

初手で赤黒マナ確保の《禁断のモモキングダム》を置くと、続く2ターン目に早速分岐を迎える。

《禁断英雄 モモキングダムX》の2枚目をトップしたのだ。

5c相手に、《禁断英雄 モモキングダムX》を複数立てて、片方で解放をチラつかせながら、もう片方を退化して攻め込む。これもよくある勝ち筋の一つだ。

しかし、2ターン目に《禁断英雄 モモキングダムX》を置くには、手札にある唯一の退化札の《バッドドッグ・マニアクス》か、唯一の進化先の《キャンベロ <レッゾ.Star>》を置くしかない……。


退化札か、進化先か……。





「ま、そのうち引けるでしょ」

《バッドドッグ・マニアクス》、チャージ。





これがすべての悪夢の始まりだった。


……ここから先の展開は、多くの読者の皆さんも、配信で目の当たりにしたことだろう。

続くNJのターン、NJはまたしても初動に嫌われ、セキボンは絶好のチャンスを迎える。

悠々と《禁断英雄 モモキングダムX》の2体目の建設を終えると、あとは退化札を待つのみとなった。


しかし。


来ない。


来ない。


引けども引けども、


退化札が、来ない。


NJも相変わらずヌルい引きを重ね、何度もターンが返ってくる。


それなのに。


……来ない。


来ないのだ。


2ターン目、軽い気持ちで置いた《バッドドッグ・マニアクス》を最後に。

セキボンの勝ち筋は、潰えた




1-1




何をやっているんだろう。


全国何万人ものDMPが焦がれる、最高の舞台で。


俺は一体、何をやっているんだろう。


よしゆきの、dottoの、カイザの、◆ドラ焼きの、無念を背負った舞台で。


俺は一体、何をやっているんだろう。


今日のために、貴重な時間を割いて、自身の力を注ぎつくしてくれた全ての調整メンバーが、画面越しに応援してくれる舞台で。


俺は一体、一体……。





……。






……このままじゃ終われない。時は巻き戻らない。

俺は、ミスった。それも、ありえんガバいミスを。

それはもう、認めるしかないのだ。


そのせいで、俺は全国優勝を逃すかもしれない。一生後悔することになるかもしれない。



──それでも。



次の一戦に、臨まなくてはならない。



「いや、ほんまごめんドラちゃん」

ドラ「何やってんの~~!!」

一番近くで見守る◆ドラ焼きから、最後の檄が飛んだ。





battle 3


う~~~ん、事故とまでは言わんけど……(《雪溶の鎖/堕牛の一撃》チャージ)

とりあえず《雪溶の鎖》を《堕牛の一撃》で割って、様子を見るしかない。

「《雪溶の鎖》召喚します」


NJは《ドンドン火噴くナウ》を連続チャージで3ターン目の初動に備える。



セキボン3ターン目。ドロー。

?!?!?!?!???!????????

マジで最後の最後まで引きが強い。神に感謝


ここでプランを変更し、《禁断英雄 モモキングダムX》を場に送る。


……次のターンで勝負が決まる。《アルカディアス・モモキング》もある。5c相手に、先攻4ターン目に《アルカディアス・モモキング》込みの過剰打点。十分すぎる。




そして、最後の分岐が訪れた。この横に棒立ちする《雪溶の鎖》。果たしてコイツは、刻むべきか、否か

刻んで《ナウ・オア・ネバー》や《ドラゴンズ・サイン》を踏んだ場合。もしもそこから《龍風混成 ザーディクリカ》→《ロスト・Re:ソウル》まで届いてしまったら。そんな最悪のシナリオが、目に浮かぶ。少なくとも次のターン、《アルカディアス・モモキング》込みで殴れば、その心配は多少緩和される。

この手札、水の泡にはしたくない。

しかし、今刻むメリットも大いにある。Gストライクを先に割れるのはもちろん、墓地が肥える前の今なら、《灰燼と天門の儀式》も無効だ。

《ドンドン火噴くナウ》も今なら踏んでも痛くないし、手札が整う今のうちなら《ナウ・オア・ネバー》や《ドラゴンズ・サイン》ももしかしたら無効札かもしれない。

ただ、ここまで2連続で初動を切れていないNJ。もしかしたら、また初動を引いていなくて、この1点で与えてしまうかもしれない──。


刻むか、刻まないか。


刻む、


刻まない、


刻む、


刻まない、


刻む──、









そうして、最後の最後まで、セキボンは正解を選べなかった。


正解は“刻む”。ここから《ロスト・Re:ソウル》まで繋がる確率の、なんと薄いことか。


どう考えたって、殴るメリットの方が大きい。

今殴って割っておきたいカードが、山ほどある。このターン痛くも痒くもないカードが、次のターンは致命傷に変わっている

何ならこの思考に至っては、試合中の段階で、十分辿り着くことができていた。


──にもかかわらず。

セキボンは、ターン終了を宣言していた。




もはやマトモではなかった。準決勝のvsおんそくといい、この決勝戦といい。

ミスがミスを呼ぶ。それはもはや雪崩と同じだった。




NJの3ターン目。ようやく引けた《天災 デドダム》を場に出すと、あっという間に“答え合わせ”は終わった。

墓地に置かれた《機術士ディール/「本日のラッキーナンバー!」》。紛れもなく、《灰燼と天門の儀式》を有効札にするうってつけの1枚だ。



ああ、これはきっと天誅が下るんだろうな。

セキボンは何かを悟った。



しかし繰り返すが、時は巻き戻らない。セキボンの手札で、《灰燼と天門の儀式》をケアする手段は消えた。前のターンに刻んでいればケアできたかもしれないが、それはもうできない。


……さらに悪夢は続く。NJのキャストした《天災 デドダム》は、《機術士ディール/「本日のラッキーナンバー!」》だけでなく、更なる回答を引き連れていた。

マナに落ちた《SSS級天災 デッドダムド》。場の《天災 デドダム》と合わせて、こちらの《アルカディアス・モモキング》単騎特攻を牽制する。

最悪はGストライクで、寝ている《アルカディアス・モモキング》は《SSS級天災 デッドダムド》の餌食になってしまうので、シンカパワーで割るしかなくなってしまう。5マナと大量の手札を抱えた何の拘束もない5cに対して、《未来王龍 モモキングJO》棒立ちはさすがに死と同義だ。


「《堕牛の一撃》で《禁断英雄 モモキングダムX》を退化して2ドロー」


手札にある進化先は《アルカディアス・モモキング》《禁断のモモキングダム》《神帝英雄 ゴッド・モモキング》。

どんな殴り方をしても、ケアできない札がある。《禁断のモモキングダム》から行って《ナウ・オア・ネバー》や《ドラゴンズ・サイン》を踏むかもしれないし、《アルカディアス・モモキング》からいってGストライクを踏むかもしれない。《灰燼と天門の儀式》はどの道ケア不能だ。


そして、セキボンが選んだ札は。

理由は2つ。

一つは、《天災 デドダム》を盤面から消すこと。《天災 デドダム》さえ消えれば、次の《アルカディアス・モモキング》3点がGストライクなどで止まったとしても《アルカディアス・モモキング》を場に残せる。

もう一つは、手札を整えること。5cの盾に突っ込むなら、せめて追加の《キャンベロ <レッゾ.Star>》や《アルカディアス・モモキング》が欲しかったのだ。


──ただし。


この2点は、正真正銘何もケアしていない2点。どんなシールドトリガーも、Gストライクも、NJにとっては有効札。


「Wブレイク!」


やけくそに近かった。しかしこれを通すしか、道はないと思っていた。


頼む、通ってくれ……!!






……、







ん~なるほど?!


とはいえ、8コストの《神帝英雄 ゴッド・モモキング》を処理するのは至難の業のはず。ましてや“キメラ”の構築に、《聖魔連結王 ドルファディロム》なんてあるわけが……。


NJ「来い、《黒豆だんしゃく/白米男しゃく》!!」


ハッとした。NJのキメラは《灰燼と天門の儀式》を有効にするために、初動に《黒豆だんしゃく/白米男しゃく》を採用していたのだ!


再び祈るフェイズが訪れた。


……負ける。プレミを重ねた天誅がいよいよ下る、そう思った。





NJが《ドンドン火噴くナウ》の処理を行う。山上を3枚見て……その表情はすぐに苦しいものへと変化した!!

8コストは、無かった。



横の《雪溶の鎖》が割られるも、またしても首の皮一枚つながったセキボン。

《神帝英雄 ゴッド・モモキング》の効果とシンカパワーを処理し、3枚の手札交換を行う。さらに《天災 デドダム》を退かせることにも成功した。

しかし、残念ながら《キャンベロ <レッゾ.Star>》は引き込めず、相変わらず《灰燼と天門の儀式》のケアは不能となった。


とはいえ、止まれるわけもなく。

「《未来王龍 モモキングJO》攻撃時、《アルカディアス・モモキング》進化。Tブレイク!」

最悪何かしら踏んでも、《灰燼と天門の儀式》以外なら何とかなるだろう。この時は、その程度に考えていた。





──ところが。






3枚のシールドを確認したNJの表情が、一気に変わった。

それも、悔しい表情に。

《アルカディアス・モモキング》効果で打てず。

まさかの《アルカディアス・モモキング》貫通!?!?!?!????



「ダイレクトアタックでw」


思わず、2人の間に苦笑が零れた。もう本当に、それはそれは実にあっけない幕切れだったのだ。


最後の最後まで運を味方につけたのは、セキボンであった……!!


────、


───、


──、


─、









──2019年度、全国優勝。【日本一、セキボン】


俺は、本当にその器だったのだろうか。







(※注意:ここから先、内容が更に鬱々とします)







NJを下した後も、どんな顔をしたらいいかわからなかった。


優勝を実感した瞬間のガッツポーズも、正直嬉しいのか何なのかわからなくなっていた。


セキボンというプレイヤーの浅さに、ぬるさに。嫌気が差した。








正直に言う。














“優勝したのに落ち込んでいた”














北海道に帰って、みんなから「おめでとう!」と祝われるたびに。

次の遠征先で色んな人から「配信見ました!」と言われるたびに。

心の奥底に、もやもやとしたものが残った。




──きっと、失望した人も多いんだろうな、と。





北海道のデュエル・マスターズを語る上で、欠かせない人物がいる。


takiだ。


takiは自分にとって、憧れであり、目標であり、ライバルであった。

takiの構築、takiのプレイング、takiの勝負強さ。(あと、人柄の良さ。)間違いなく、セキボンはtakiのファンの1人であった。


いつの日だったか、takiはマラかっちに所属し、一緒にデュエマをするようになった。takiが加入した時は本当に嬉しかったし、さらにそこでtakiというプレイヤーの凄まじさを肌で感じた。

2018年のエリア代表戦は、特に思い出深い。直前の2つのcsでセキボンの絶十とtakiの覇道が立て続けに優勝し、調整の成果がしっかりと発揮される喜びを味わった。と同時に、エリア戦では共にベスト16で散るという悔しさも味わった。


takiのラッシュメディアのインタビューの中で、takiがセキボンの名前を挙げ、「セキボンに抜け駆けなんてさせない」と語っていたのを見つけ、憧れの人に名前を出してもらえたことに、心の中で人知れず勝手に喜んでいた。


強いDMPといえば誰か」セキボンはその問いに、「間違いなくtakiです」と即答する。takiはそれほどまでに、偉大な存在だった。





しかし、セキボンという男は情けなかった。4度に渡る全国大会の延期の中で、セキボンのモチベーションは乱高下を繰り返し、takiを失望させた。

その結果、練習不足のまま全国大会に臨み、醜態を晒したのは言うまでもない。





全国大会を終え、カードショップみついの前で、takiと再会した。


「とりあえず、おめでとう」


takiはそう言って、健闘を称えて握手した。セキボンも、自分が出られるワケではない全国大会の調整で、明らかに自分以上に心血を注いでくれたことに感謝し、手を握り返した。


それから先、しばらくの間。セキボンはtakiと会話するのすら恐ろしくて、csで会っても実はマトモに口をきけていなかった


「とりあえず、おめでとう」その言葉を、セキボンは実に重く受け止めていたからだ。




(つい最近のcsで、takiが水魔道具で事故り散らかしてセキボンに愚痴りに来てくれた時、別の意味で内心ホッとしてたのは内緒です……)





──、





そんなこともあって、今改めて思う。


全国大会の日、あの決勝の舞台で。


セキボンは、最強とは言い難いプレイヤーだったと自分でも思う。


そして今も相変わらず、csではヤラカしてばかりだし、戦績も奮ったり奮わなかったりしている。


それでも自分は、このデュエル・マスターズというカードゲームを愛する一プレイヤーとして、勝利を追い求めていたい。


これから先も、takiをはじめとする、多くのプレイヤーのライバルでありたい。


たとえこの先、多くのプレイヤーから「ヘタクソのクセに運だけで日本一になった雑魚」と後ろ指を刺されたとしても。


あの《アルカディアス・モモキング》ダイレクトアタックの瞬間に感動した人の裏に、実は「このゲームくだんねー!」と失望した人が多くいたのだとしても。






それでも、セキボンは、一プレイヤーとして、その歩みを止めない。



そう、



落ち込んでばかりもいられないのだ。




これから先も、僕と一緒に戦ってくれる友人がいる。



ただのデュエマ好き一般人に過ぎない自分を、応援してくれる人がいる。




またよろこばしからずや。




今はまだ、takiには遠く及ばないものの。




その背中を追い続けていたい──!!





……、







──それは、それとして。




ところどころ至らない場面もあったものの、それでもセキボンが日本一になれたのは、言うまでもなく調整メンバーのみんなのおかげである


あの日持ち込んだデッキは、あの会場で間違いなく最強で、最高だった!!



“強いのは、調整メンバーのみんな。俺はそれに乗っかっただけ。”

本当に心の底からの言葉だ。



──だから、改めて言わせてほしい。


調整メンバーのみんな。
セキボンに関わってくれたみんな。
応援してくれたみんな。










セキボンを日本一に導いてくれて、ありがとう!










そして








これからも、よろしく──!!!!










─────────────────────










読者の皆様、ここまでお付き合いいただき、誠にありがとうございました!

長文駄文に加えネガティブな内容も多く、またとんでもない遅筆のために、今更な内容となってしまい申し訳ありませんでした。

ただ、この文章を読んで、あの日の熱を思い出して、少しでも楽しんでいただけたのであれば幸いです。




それではまた、どこかのcs会場でお会いしましょう。


おしまい

Thanks(敬称略)

◆ドラ焼き
カイザ
dotto
よしゆき
taki
Sabaki
25
ドッシュ
Vのもれ
北のあーさん
かっち
タク.
大谷
フェアリー
他、セキボンの挑戦に携わってくれた人たち

応援して下さった全ての方々
対戦して下さった全ての方々
運営して下さった全ての方々

and you !



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ほんとにおしまい


(有料部分には「ベーコンは焼いて食べると美味い」と書いてあります)

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